白黒つけよう、ガールズトーク
SIDE ~シャルロット~
時間は巻き戻って臨海学校一日目の夜。僕、いや、僕らは織斑先生の部屋に呼び出された。箒、セシリア、鈴にラウラ。みんな理由は聞かされておらず、緊張が走る。
「お、織斑先生、何故呼び出されたのでしょうか?」
箒が恐る恐る問いかける。
「ふむ、お前らあいつらのどこがいいんだ?」
織斑先生の唐突な質問により、恐怖のガールズトークが幕を開けた。
「あ、あの…あいつらとは?」
「一夏と光輝に決まっているだろ」
そう言うと織斑先生は視線を僕らの手元に移す。そこには少し前に渡された飲み物が…。
「…あっ」
「おいおい、別に飲んだから言え、と言うわけではないぞ。あいつらの姉として聞いている。まあ、光輝の方は実ではないが、似たようなものだろう」
ビールを飲みながら語る織斑先生は嬉しそう。…お酒が飲めるから、じゃないよね?
「でだ。お前らはどっちが好きなんだ?」
にべもない。あまりに直球な質問にみんな心なしか赤くなる。
「…織斑先生」
「名前でいいぞ。今は一人の姉として聞いているからな。凰もその方が呼びやすいだろう」
箒と鈴は昔からの知り合いだったね。今更ながらにふと、そんなことを思い出す。
「教官!」
一番初めに口を開いたのはラウラだった。
「私は一夏の強いところが好きです」
「いや、弱いだろ」
即答。一切の迷いも感じられなかったよ!?
「強いです…少なくとも私にとっては…」
赤くなるラウラを羨ましい目で見つめるみんな。ふふっ、なんか面白いね。
「お前には一度聞いてみたかったんだが、光輝のことはどう思っているんだ?」
ラウラに視線が集まる。それに関しては僕もしっかり聞いておかなくちゃね。…別に深い意味はないよ?ただ、気になる、というか…なんというか。
「光輝のことは尊敬しています」
「尊敬?」
訝しげになる織斑先生は恐ろし…難しい顔をしていた。
「連れて行ってくれると、言ってくれました」
「どこへ?」
「知らない世界に。そこにはとても綺麗だと。…そう言ってくれた光輝には感謝と尊敬でいっぱいです」
「ほう」
うっ、ここまで正直に話せるってすごいよね。聞いてるこっちが恥ずかしいよぉ。
「わ、私は…その、頼りになる…ところです」
顔を真っ赤に染めて話す箒に少し驚いちゃったなぁ。だって箒、こういう話、苦手そうなのに。
「ふ、普段はだらしない奴ですが…い、いざという時は…その…頼りになります」
織斑先生は満足したのか何度か頷いた後、鈴へと視線を移した。
「凰、お前はどうだ?」
鈴…鈴は一夏のことが好きなのかな?それとも光輝?はっきり言って一番気になる答えかもしれない。僕の考えはどうやら織斑先生も同じのようで、顔に笑いを浮かべている。
「あ、あたしは…」
鈴の紡ぐ言葉に、より一層注目が集まる。
「…一夏のことが好きなんだと思います」
その言い方には少し迷いのニュアンスが含まれているように感じた。…考えすぎかな。
「光輝はどうだ?中学時代はいい雰囲気だったろう?」
な、何その話!?聞いてないよぉ!?
「こ、光輝は…ええっと、あの…」
鈴は真っ赤になって俯いているけど、今はそれどころじゃない。中学時代に光輝と鈴がいい雰囲気!?気になるよぉー。
「たぶん光輝のことも好きです。その好きは…まだよく分かりません。でも光輝がもし、他の誰かと付き合ったとしたら………ちょっと…嫌です」
「ここで完全に否定しないあたり、正直な奴だ」
そう言って織斑先生は、はっはっはっと笑う。
「まあ、そのくらいの年でハッキリ理解している方が可笑しい。何も悪い事じゃない。じっくり悩めばいいさ」
二杯目のビールに手を付け、景気のいい音を響かせる。
「次は光輝の方だな」
も、もう。聞く前から分かってるんじゃないですか…。
「大人なところです。初め、わたくしは嫌われても当然なほど酷いことを言ってしまいました。けど、光輝さんは笑って許してくれました。いえ、それどころか悩んでいるわたくしを励ましてくれました」
照れながら話すセシリアは色っぽく、同性すらも惹きつける何かがあった。
「そんな器の広い光輝さんに惚れましたわ」
「…そうか」
セシリアは本当に光輝のことが好きなんだね。今更だけど、改めて分かった気がしたよ。でも、弱ったな…セシリアとはライバルなのに……光輝のことを褒められると、やっぱり嬉しい。
「さて、最後だな、デュノア」
みんな言ったから逃げられないよね。というか、みんな見すぎ!見すぎだってば!
「僕―あの、私は…真剣なところ…です」
光輝はいつも、何に対しても真剣だよ。きっと、僕はそれが羨ましいんだ。自由に生きたいとさえ、思わなかったから。僕は全力で生きてる瀬戸光輝という人物に憧れているんだ。
「初めて優しくしてもらえたから…初めて私を、私という人間を認めてくれたから……」
ああ、そうだよね。みんなは何のことだか分からないよね。
「居場所をくれたから」
それなのに謙虚…あれは自分に無関心って言った方がいいのかな?
「だから、光輝のことが好きです…」
口に出して、改めて分かった。
きっと僕は――――――
――――――――――――――羨ましいのだ、と。
とりあえず一段落、って感じです。
次回からはオリジナル展開に入ります。
勝手ながらストックの関係上更新が週一くらいになります。
いや、本当に一から書くのって難しい…。
出来るだけ頑張りますのでどうかお付き合いください。