光り輝くその瀬戸際に   作:いろすけ

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色は思案の外2

「こんなもんでいいかな?」

「うん、ありがと」

 

 シャルロットたちはアリーナにいた。光輝にラウラ、鈴と一夏まで来ていた。そこでISを展開、もっと言えば光輝の琥珀の能力を用いてシャルロットのリヴァイブにプラズマを譲渡していた。

 

「準備はいいか、シャルロット」

 

 対峙するはシュバルツェア・レーゲンを纏ったラウラだった。黒いISはそれだけで禍々しさを内包している。いつでも準備はいい、と主張するように臨戦態勢をとっている。

 

「大丈夫だよ」

 

 一言、意思を伝えるとお互い上空に飛翔する。ある程度の位置で急停止。武器を構える。

 

「来い」

「行くよ」

 

 瞬時に展開した六二口径連装ショットガン《レイン・オブ・サタディ》を二丁展開する。対するラウラはワイヤーブレードと大型レールカノンを構え、迎え撃つ姿勢を見せた。

 

「…ふぅ」

 

 息を吐くと同時にショットガンが火を噴いた。真正面から放たれた弾丸はラウラにとっては問題にならない。いつものようにAICで簡単に捕縛できる。そう思い、手をかざそうとした。

 

 ―――パァンッ。

 

 乾いた音が響き渡る。放たれた弾丸はAICに捕まることなくシュバルツェア・レーゲンに届いたようだ。一番驚愕しているのは他でもないラウラだった。

 

「今のは?」

 

 一夏が発した疑問に鈴が答える。

 

「弾丸のプラズマ化ね。弾丸速度がありえないくらい速くなってるわ」

「マジかよ」

 

 被弾した箇所を眺めるラウラ。シールドエネルギーで守られていたとはいえ装甲に傷一つない。確かに恐ろしく速いが威力はほとんどないに等しい。それがラウラには不思議でならなかった。

 

「まだだよ、ラウラ」

 

 すぐさま意識を切り替え、戦いに集中する。弾丸をAICで止めるのは不可能だと判断したラウラは左右に移動することで狙いを絞らせないようにした。

 

「ならこれだよ」

 

 シャルロットも負けじと応戦するが複雑に移動するラウラを捕らえることはできない。

 

 ――――――バチイィィ。

 

「なっ!?」

 

 信じられないことが起こった。明らかに狙いが逸れたはずの弾丸がジグザグな機動を描いてラウラの元に吸い寄せられて来たのだ。まるで雷が落下するかのようにジグザグに。

 

「さっきの弾は光の速さの特性を持つ。そしてそれは光の移動の特性を持ってるんだよ」

 

「別の特性…だと?」

「まだまだ行くよ!」

 

 《レイン・オブ・サタディ》をいつの間にか六一口径アサルトカノン《ガルム》に切り替える。当然これはシャルロットの得意とする高速切替《ラピッド・スイッチ》だ。立て続けに連射することで相手に一切の休憩を与えない。

 

「くっ」

 

 速さの特性を持った光速の弾丸がラウラを襲う。しかしラウラも負けてはいない。そこまでのダメージがないことをすぐさま判断すると被弾も無視して突っ込んでくる。しかも、すでにプラズマ刀を展開し終えている。

 

「さあ、どうする!シャルロット!」

 

 シャルロットの懐に入る寸前、確かにラウラは笑みを見た。マズい、そう思った時にはすでに遅かった。

 

「っ!?」

 

 左肩の装甲が吹き飛んだのだ。

 

「特性が速さの弾幕の中に突破力が特性の弾丸を紛れさせただけだよ」

 

 慌ててラウラは距離を取る。瞬間加速でアサルトカノンでは狙いが難しい距離まで引き離す。シャルロットのことだからすぐに武器を換えて応戦してくるだろうが関係ない。ならその瞬間にまた距離を詰めればいいだけだ。しかしその考えは甘いと気づかされた。

 

「惜しいなぁ。やっぱまだ慣れないや」

 

 ラウラの僅か左横に弾丸が到達したのだ。ここまで驚かされれば大体わかる。今のはおそらく光を推進力に回した、言うなれば飛距離の特性。シャルロットはそのようにして戦況に応じて様々な種類の特性を纏った弾丸を放つ。それを見極めるのは極めて難しい。ましてや的確に弾の特性を切り替えるなんて並の芸当じゃない。高速切替が使えるシャルロットのみが扱える技。誰が何と言おうと唯一無二の使い方だった。

 

(僕の取柄は初めから切り替えることだけだった…だからこれが、僕の唯一無二だ)

 

 弾の特性に苦戦しているラウラはレールカノンを発射。それと同時に再び接近を試みる。いっそのことゼロ距離で戦えば厄介な弾は飛んでこないと判断したのだ。その判断は正しい。さすがだ。しかし、そもそも近づくことさえ難しい。瞬時に弾の特性が見破れない以上、躱すのも防ぐのも難しい。

 

「いいだろうシャルロット」

 

 そう言うとラウラは眼帯を強引にむしり取った。金色の左目。動体視力、視覚解像度等を数倍にはね上げる目。オーディンの瞳《ヴォーダン・オージェ》。

 

「嬉しいね。それまで使ってくれるなんて」

「ふん、お前が相手なら当然だ」

 

 その目を展開したラウラの反応は圧巻の一言だった。光速の弾丸は確実に避け、突破力の一発はAICで確実に止め、変則軌道はワイヤーブレードで落とされた。

 

「…っ」

 

 かなり接近してもシャルロットは回避せず、銃弾を放ち続ける。この距離なら瞬間加速一回で完全に詰めることが出来る。光速の弾丸も威力にかけるし、ここまでくれば変則軌道も意味をなさない。ここまでの思考で目の間の弾の特性を絞り込む。

 

(この弾は突破力の一撃。なら止める!)

 

 AICを発動。目論見通り弾丸の補足に成功した。

 

「弾の特性さえ把握すればなんてことはないな」

 

 それができる人間がこの世にどれだけいるかはさておき、完璧にシャルロットは攻略されてしまった。

 

「ああ、ラウラ。言ってなかったけど僕の扱える弾の特性は五種類あるんだ」

「なに?」

 

 光速、変則、突破力、それに飛距離。冷汗が流れるような嫌な感じがした。

 

「最後の特性は放電、だよ」

「な、なにっ!?」

 

 瞬間、ラウラが捕縛していた弾丸から電流が溢れ出す。マズいと思ってもすでに遅すぎだ。ラウラはそのまま光に包まれた。

 光が消えた場所にいたのは満面の笑顔のシャルロットと不貞腐れたようなラウラだった。アリーナの画面には勝者の名前が表示されていた。

 

「光輝、どうだった?」

「僕よりプラズマの扱いうまくてちょっと嫉妬する」

「ええ!?」

 

 光輝に近づきたくて頑張ったのに逆に嫉妬されちゃったよ。本末転倒な気もするけど、それでも僕は嬉しかった。僕、少しでも光輝に追いつけるよう頑張るね。これからもずっと、だよ。

 シャルロット・デュノアは最高の仲間たちと、そして最愛の人のおかげで今日も強くなる。その目標は彼の隣に立てるようになること。

 うららかな日差しの中、画面に映し出された名がゆっくりと、消えていった。

 

 

 




次回から新しい本編再開です。

予告した通りセシリアが中心のお話です。なのでシャルロットの出番はかなり減っちゃいます。
ホントはめちゃくちゃ出したいんですが話の都合上…(泣




セシリアが今後どうなっていくのか、是非お楽しみに!
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