たとえばこんなIS×煉獄   作:秋の夜長

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少し煉獄側を強く書きすぎたかもしれません。
一方的な展開が有りますので、苦手な方はご注意ください。


たとえばこんなクラス代表戦 中

「っ……! なんなのよあんたは!」

 

 鈴音の問いに対し、相手の答えは弾丸だった。

 右腕の円筒型の砲身が回転し、無数の弾丸を連続して発射する。

 鈴音は突然の攻撃に反応が送れ、弾丸の直撃を受けた。

 

「くっ……」

 

 なんとか距離を開くことが出来たものの、すでに一夏との戦いでエネルギーを消費している鈴音のISのシールドエネルギーは、四分の一ほどに減少してしまっていた。

 距離を開き、煙が治まることによって乱入者の全貌が露になる。

 メタリックな色と男性的なフォルムは、どこと無く人形のような生気のなさを感じさせる。

 両腕、頭部、胸部が変形していることと、背中に生えた二枚のスラスターから、おそらく相手はIS、もしくはそれの亜種のようなものだと推測した鈴音は、一気に加速し近づく、早計と取られるかもしれないが、最初の砲撃のらしき攻撃と先程の攻撃から、距離をとることは危険だと判断した結果だった。

 何者かは知らないが、不法侵入者に情けをかける必要は無い、一気に決めさせてもらう。

 鈴音は相手が射程内に入った瞬間に、竜砲を連続して叩き込む。

 不可視の弾丸が動こうとしない相手に迫る、当たった。

 鈴音はそう確信したのとほぼ同時に、乱入者は動き始める、周囲の空気をスラスターに溜め込み、一気に放出することでの高速移動、瞬時加速だった。

 ハイパーセンサーでもギリギリで反応できるほどの速さで相手は左へ回避、更に連続して瞬時加速を行いこちらへと急接近する。

 

「早い!? くっ……」

 

 何とか回避行動を取ろうとするが、こちらが移動するよりも早く相手は突っ込んでくる。

 乱入者は勢いのままに右腕の砲身を鈴音に叩き込む。

 衝撃と僅かな鈍痛が腹部に走る、鈴音が体勢を立て直したときには、相手はすでに次の行動に移っていた。

 鈴音への突進の直後に急停止し、そして左腕を刀型の刃へと変形させ再び瞬時加速、鈴音を追い抜きながら切り払い、一閃した。

 

「嘘……」

 

 一気にシールドエネルギーが減少し、残りのエネルギーはあと一割どころか数%程になる。

 それによって使用者の危険を感じ取ったISが絶対防御を作動、鈴音は地面に倒れながら、憎々しげに乱入者を睨みつける。

 しかし、相手はそれを気に留めず、まるで鈴音に興味を失ったかのように周囲を見回す。

 

「てめええええええ!!」

 

 叫びと同時に織斑一夏が出現する、どうやら最初の一撃で戦闘不能になったわけではないようだ。

 

 

 

 織斑一夏は瞬時加速を一方向に連続して行うことで、急加速、認識できないほどの速度で乱入者に近づく。

 気合と共に速度を乗せて放たれた雪片の一撃は、あっさりと受け止められた。

 いや、受け止められたのではなく、一夏が急停止したのだ。

 一夏は何が起きたのか理解できていなかった、鈴音がやられていたのが視界に入った瞬間、激昂と共にほぼ勘のみで瞬時加速を行い、雪片を振るった。

 しかし、雪片は相手の僅か数十センチのところで動かない、まるで一夏自身が空間に固定されているかのようだ。

 

「AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)!?」

 

 鈴音の驚いたような声が通信で聞こえる。

 乱入者は右腕を巨大な釘のようなものへと変形させる。

 動けない一夏に近づき、右腕を叩き込まんとした瞬間、青白い光線が乱入者に降り注ぐ。

 油断していたのか、いきなりの攻撃に対応できずに光線を浴び、逃げるように一夏から距離をとる。

 すると、動けるようになった一夏のそばに、青いISが降り立つ。

 

「セシリア・オルコット、ただいま参上いたしましたわ」

 

 優雅な動作で降下したのは、一夏と同じクラスであり、もう一人の専用IS持ちであるセシリアだった。

 

「助かった、セシリア」

 

「構いませんわ」

 

 一夏の礼の言葉に、毅然とした態度でセシリアはそう返す。

 

「申し訳有りませんが一夏さん、私が相手をひきつけますので鳳さんを安全な場所に非難させてください」

 

「…………セシリア一人で大丈夫なのか」

 

 一夏はセシリアとISで戦闘し、その実力はかなりのものだと認識している。

 しかし、目の前にいる相手は戦闘中だったとはいえセシリアと同じ、国家代表候補生である鈴音を瞬殺することが出来るほどの実力、明らかに一対一で戦うのは危険だ。

 そう告げようとした一夏に、セシリアは軽く手を振り静止させる。

 

「先程一夏さんを止めたのはAIC、という兵器の仕業です」

 

「AIC?」

 

 先程にも鈴音が言った聞きなれない単語に、一夏は首を傾げるがセシリアは一夏より少し前進すると言葉を続ける。

 

「AICとは、簡単に言ってしまえば相手の動きを停止させる、というもでして、複数のものと実体の無いエネルギーなどには効果が無いのです」

 

 そこまで言って、セシリアは一夏の方向へ振り向いた。

 彼女の説明を聞く限り、一夏とAICの相性は非常に悪い、最悪と言ってもいいほどに。

 セシリアの言葉から暗に、自分は役立たずだ、と言われたのを理解した一夏は、自分の非力さに憤りを感じる。

 

「と、言うわけで一夏さん、出(・)来(・)る(・)だ(・)け(・)早(・)め(・)にお願いしますね?」

 

 私もどれだけ持つか分かりませんので、と言うセシリアに一夏は頷くと、合図も無くほぼ同時に動き出した。

 一夏は回り込むように鈴音の元へ、セシリアは乱入者の目の前に。

 それぞれが動き出すと同時に、乱入者も動き出していた。

 目の前に立ちはだかるセシリアに、どけ、と言わんばかりに左腕の刀を向ける。

 セシリアはまったく意に介さず、自らの武器であるレーザーライフル、スターライトmkIII取り出し、己のISと同じ名のビットを展開する。

 セシリアが戦闘体勢に入るのと、乱入者が両腕を変化させセシリアに向けて突進するのは、ほぼ同時だった。

 

「さあ、踊りなさい! わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 

 

 

 

 戦闘は両者共に一歩も引かず、戦力は拮抗していた。

 確かに実力は相手の方が上だ、しかしこちら側の目的が時間稼ぎなので、相手を近づかせず適度な牽制をして、後は回避に集中していれば、勝てはしないが負けを引き伸ばすことは出来る。

 しかし、セシリアには二つの疑問があった。

 まず、なぜ乱入者は最初にアリーナのバリアを貫いた兵器を使わないのか、これは単純に使用にチャージが必要なのだとか、弾速や命中精度が低いのだと考えれば特におかしいことではない。

 次に、相手は何者なのか、と言うこと。

 これは、セシリアには答えを出すことが出来なかった、飛行や瞬時加速を使っていることから少なくとも相手の背中から生えているスラスターはISの物だと考えられる。

 しかし、セシリアには相手がISの様には見えなかった。

 姿を見る限り中に人が乗れるほどの大きさではなく、何より相手は一(・)度(・)も(・)量子変換を行っていないのだ。

 セシリアには、どうもそれがきな臭く、言い知れぬ不安感を感じてしまう。

 もし、相手がISではなかったとしたら、一体何だというのか、それが二つ目の疑問だった。

 胸の中に僅かな蟠りを残しつつも、セシリアは己に課せられた任務を成功させていた。

 そして、一夏が鈴音を運び避難させたところで、急に相手の動きが止まった。

 変形した両腕を

 だらりと垂らしながらも、どこに目がついているのか分からない頭部はセシリアの方向を向いている。

 明らかにおかしい相手の行動に動揺したが、この攻撃の機会を逃すわけには行かない。

 セシリアは放っていたビットを相手の後方に移動させ、回避が間に合わない距離で射撃を行った。

 刹那――乱入者の左腕が微かにぶれる。

 その一瞬にも満たない出来事は、対峙しているセシリアのISのハイパーセンサーですら確認することが出来ぬほどの速さであった。

 そしてIS、ブルー・ティアーズのモニター画面に表示される文字、それはビットの一つ、正確にはつい先程セシリアが動かしたビットが行動不能、すなわち破壊されたことを知らせるものだった。

 

(確認できない速度でビットを斬った……)

 

 明らかに先程とは違う相手の雰囲気に、セシリアは動揺し動きを止めてしまった。

 気がつけば、乱入者がこちらへと接近していた。

 後方に退避した瞬間、相手の胸部から放たれた白いワイヤーのようなものが装甲に突き刺さり、物凄い力で引き寄せられる。

 無防備な状態で自分へと飛んでくるセシリアに合わせるように、乱入者は変形させた右腕をISの中心、腹部に叩き込んだ。

 

「カハッ……」

 

 シールドエネルギーのおかげでダメージは軽減されるが、その衝撃はセシリア自身に伝わる。

 息を強制的に吐き出させられ、視界が激しく点滅する。

 その状態から更に乱入者の右腕が破裂し、小規模な爆発が発生した。

 直に触れた腕から爆発が起こり、休む暇なく襲う二度目の痛みと衝撃が混濁した意識を余計にかき乱す。

 爆風によりセシリアは吹き飛び、まともに体勢を立て直すことが出来ず地に倒れ伏す。

 しかし、幸か不幸かブルー・ティアーズのシールドエネルギーはまだ尽きていないため、戦闘不能にはなっていない。

 眩暈を感じながらも立ち上がろうとするセシリアだが、それを視認することが出来ぬ鎖が縛り上げる。

 

「アクティブ……イナーシャル、キャンセラー……」

 

 セシリアは憎々しげに呟く。

 エネルギー兵器や複数を対象にすることが出来ないその機能はセシリアとは相性は悪くないのだが、こうして本体を止められてしまえば意味は無い。

 身動きが出来ないセシリアの前で、乱入者は両腕を変形させる。

 何の変哲も無い普通の両腕に。

 そして、ここで初めて乱入者は、武器を量子変換した。

 現れたのは、黒い片刃の剣。

 それは形は、自らの認めた男、織斑一夏のISが使っていたブレードと酷似していた。

 一夏の刀と似たその剣は、一夏の扱う刀のように変形し、特殊なエネルギーで形成された刃を作り出す。

 乱入者は、無駄を省いた動作でそれを振り上げ、何のためらいも無く目の前の敵へと振り下ろした。

 刃が当たる直前、セシリアの耳には、愛しい男性操縦者の悲痛な叫び声が聞こえた気がした……




前後に分かれていると書いていましたが、量と区切りが悪いため三話構成になります。
申し訳有りませんでした
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