たとえばこんなIS×煉獄   作:秋の夜長

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文字数が少ないですが、これでクラス代表戦は終了です。


たとえばこんなクラス代表戦 後

 無慈悲に振り下ろされた刃は何の障害も無く目標に直撃し、鮮血を撒き散らさせる。

 

「嘘だろ……」

 

 その瞬間を目撃した織斑一夏は、呆然としたまま立ちつくし、言葉を零した。

 それは何に向けて放たれた言葉なのか、セシリアがあっけなくやられてしまった事か、それとも、乱入者の持つ剣が自らの持つブレードと似た物だからか、もしくは、剣を振るう一瞬に憧れの存在である姉を幻視してしまったからだろうか。

 答えは――出ない。

 ただ一夏は、目の前で友人が斬られたことに激昂し、真っ直ぐに乱入者へと突っ込んだ。

 

「うああああああああ!!」

 

 ただただ怒りという感情のみを表現したかのような声にならない叫びを上げ、一夏はブレードを振るう、もはや彼の頭の中にはAICを警戒する、と言うことは抜け落ちていた。

 がむしゃらにブレードを振ったところで、相手にあたるはずも無い、先程と同じように、一夏は空間に縛り上げられた。

 

「くそっ、何で……何でお前が……」

 

 その曖昧な問いに乱入者は答えることは無く、再び刃が振り上げられる。

 やられる、先程のセシリアと同じように、そう考えた瞬間、その景色がフラッシュバックする。

 光る刃が煌き、鮮血が舞った。

 彼女を助けられなかった、なんて不甲斐ないことなのか、自分に対する怒りが再燃する。

 自分と相手、その二つへの怒りは累積され、一つの大きな爆発を起こした。

 

「!?」

 

 力任せにISを動かし、無理やりAICという鎖を引きちぎる。

 その予想外の行動に、相手の動きが僅かに鈍った。

 放たれた刃を左手で受け止め、ISごと自らの腕が切られるのを無視、右腕のみで雪片を強引に振り回す。

 目の前に火花が散り、相手が軽く吹き飛ぶ。

 破れかぶれではあるが、ここで初めて、一夏は相手に攻撃を加えることが出来た。

 血が滴り、感覚が消えそうな左腕で雪片を握り締め、前進。

 僅かな隙を逃さないように、ただひたすらに素早く斬撃を叩き込む。

 一撃、二撃、三撃と攻撃は当たり、更に一撃強烈な振り下ろしを受け、相手は地面へと叩きつけられる。

 相手が体勢を立て直し、反撃しようと両腕の形を変化させるよりも早く、一夏の剣は両腕を切り払った。

 全身に力を入れ、一夏はさらに剣を振り上げる。

 もう、自分の体の感覚はほとんどない、しかし、そんなことなどどうでもいい。

 体がどうなろうと、こいつだけは倒す、その気迫だけで剣を振り下ろす。

 火花が散り、剣を持つ手が止まる。

 相手は変形途中の腕を交差させ、一夏の斬撃をぎりぎりで受け止めていた。

 両腕を振り回し、剣を払いのけると、右腕を釘付きの腕に変形させ無防備な腹部に叩き込む。

 

「がっ……」

 

 衝撃が一夏の腹部に収束し、後方に吹き飛ばされた。

 意識が強烈な衝撃により消える寸前にまで落ち、一夏は浮遊感の中で目を閉じかける。

 しかし、わずかな視界に、乱入者の左手、その手に持つブレードが映り込んだとき、意識の中に、たった一人の肉親の姿を幻視した。

 その瞬間に、一夏の意識がわずかに覚醒した。

 倒れる前に地に足をつけ、踏み込む。

 ただ、尊敬する家族を汚されたような怒りとほとんど無いよう力で、一夏は雪片を、振るった

 

「てめえが……その剣を、千冬姉の刀を使うんじゃねえええええ!」

 

 一夏の斬撃は、相手の刀ごと胴体を斬り、真一文字に傷をつける。

 そのまま一夏は体制を立て直すことなく転倒し、相手は糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちるだけだった。

 勝った、と確かな手ごたえを一夏は腕に感じていた。

 体中の痛みに耐え、意識を離さないようにしていた一夏の目に映ったのは、更なる絶望だった。

 

 

 

 切り裂かれた痕からは奇妙な色をした液体が滴り落ちる、それは血ではなく、一夏が見たことの無い物だ。

 一応最初から予想はしていたが、乱入者は人間ではなかった。

 ロボット、いや、それはロボットと人間を組み合わせ、人間の枠以外を取り除いたような物だった。

 かくん、と膝を着き、動かなくなった乱入者に、変化が訪れる。

 絶え間なく流れ出していた液体が停止し、傷口が塞がっていく。

 次々と先ほどの戦いの痕が減り、ゆっくりと立ち上がった頃には、一夏の与えた傷跡はすべて消えうせていた。

 更に、変化は止まらない。

 乱入者の体が大きく光りだしたのだ。

 視界を焼く閃光に、一夏は見覚えがあった。

 一夏自身に起きたある出来事と、その光景は類似していたからだ。

 

「ファースト……シフト……?」

 

 ISの特徴ともいうべきシステム、形態移行。

 一夏が、セシリア・オルコットと戦った時にも起きた、進化。

 それが今、目の前で行われていた。

 

 光が治まり、一夏の視界も回復する。

 

「変わって……いない?」

 

 一夏が見たのは、光が起きる前と同じようにそこに居る、乱入者だった。

 その姿にあまり変化は無く、変化をあげるとするならば、体中の装備が外れている程度だろう。

 乱入者が一夏の方へと振り向いたとき、変化の内容が一夏には分かった。

 顔が、ついているのだ、人間と同じように。

 最初に乱入してきたときには着いていなかった、その顔の口を動かすと、合成音声のような声を出した。

 

「織斑 一夏」

 

「一夏、無事か!?」

 

 乱入者が再び何かを言おうと口をうごかした瞬間に、自らの姉の叫びが聞こえる。

 ようやく、救援が来たらしい。

 量産機とは思えない速度で乱入者に突っ込む姉の姿に、安堵し、体の緊張がはずれる。

 乱入者は、織斑千冬が接近するよりも早く、消えた。

 まるで瞬間移動したようにアリーナの端へ移動した乱入者に、姉弟は息を呑んだ。

 間違いなく、進化している。

 しかも、とてつもなく、想像できないほどに。

 再び瞬間移動し、消えた乱入者に対し、硬直していた教員を叱咤し、アリーナ周辺を捜索するように指示する。

 

「大丈夫か? 一夏」

 

 千冬の言葉に、一夏は答えない。

 もう、彼は心身共に限界が来ていた。

 疲労感と倦怠感に身を任せ、一夏は眠りにつく、意識が完全に眠る直前、彼は乱入者の言葉を思い返した。

 彼は、ただ一言こう言ったのだ。

 

「また、会おう」――と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数か月後に、彼らはまた出会うことになる。

 これが人類の敵、たった一人の『ADAM』と、世界初の男性IS操縦者、織斑一夏、彼らの約一年に及ぶ因縁の始まりだった。




いったんここで一区切りです、初心者の拙い文章ですが、読んでくださりありがとうございました。
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