暗殺する教室で生きていく   作:SiriusSTAR

14 / 14
白の時間~13時間目~

家に書類を持って帰る途中、空が光った。……雷?やっぱりこの世界にも雷は鳴るのか。雷は鳴るのに、魔法を扱えない人しかいないということが奇妙に思える。そういうものなのだろうか。これがこちらの当たり前なのだろう。

家に着くと鍵は開いていて中にはカルマくんがいた。

 

「もう少し早く帰ってくれれば俺帰れたんだけどなぁ……」

「……?」

「現在大雨の影響で電車が止まっていますね」

 

カルマくんの携帯であろう、それから律の声が聞こえた。……意外と電車は脆いようで、あちらの世界には向いていないのだろう。ふと猫を探してみると私のベッドの上で寝ていた。近づこうとするとカルマくんに止められる。

 

「まず拭いたら?ベッドが濡れるよ」

 

数秒して自分の服がびしょぬれだったことに気付く。一応上着に水の弾きそうなジャンパーを着て行ったのだがあまり、意味がなかったようだ。どうせなら着替えるか。タンスに入っていた部屋着を持って風呂場へ向かう。

 

もし電車がこのままであればどうするのだろう。恐らく聞こえるであろう大きな声で違う部屋にいるカルマくんに聞いた。

 

「親に連絡はー?」

「……親は旅行行ってるから別にー」

 

少し遅れての反応。どこか不機嫌そうな声に何か事情があるのだろうかとも思えた。だから話を変えずにそのまま会話を続けさせる。

 

「鞄の中にお弁当2つあるから好きな方食べて」

 

すると返事は聞こえないが何かプラスチック特有の音が微かに聞こえた。

とりあえず全て脱いだが寒いのは裸になってることだけではないだろう。……ぱぱっとシャワーを浴びてしまおう。

 

 

 

 

「……そういう乾かさない癖は止めた方がいいけど?」

 

出て来て早々の言葉がそれだった。そういえば以前も髪が濡れていると注意されたことがある。修学旅行の時だったか。乾かすと言っても乾かしようがないし今まで布で拭くくらいだった。

そう考えていると突然カルマくんは部屋から出て行った。

 

「……?あ、律。今日はありがとう」

「いえ、私は何もしてませんし」

 

流石に携帯型の律は色んな事は出来ないんだなと思う。まぁそんなに世界便利でもないか。

足音が聞こえたのでカルマくんかと見ると、何か形容しがたい物を持って来た。

 

「なんでドライヤーあるのに使わないんだか、座って」

 

そこ、と呆れながら差されたのはベッドの脇。指定されたその位置に座る。

ドライヤー、というのか。何かビームでも出そうで使おうにも危ないから使わないようにしていた。けれど、この世界は別にそんな危険な世界でもないのであった。

カルマくんは私の背中を前にベッドに座る。何をするんだろうと首を回転させるとその首を戻される。

 

突然大きな音が出た。ゴォオという音。恐らくドライヤーというものからだろう。熱く強めの風が頭に当たる。当る位置を色々変えたりしながら髪を弄るので大人しく待っているとそれは5分ほどで終わった。

 

「終わり」

「うん……」

 

濡れていた髪はいつも通りに乾いていた。髪を乾かすものなんだ。じゃああのスイッチを押せばあの熱い風が出てくるんだろうか。

コンセントを抜いてコードを纏め終えたものを私に渡してカルマくんは言う。

 

「それ、お風呂から上がったら毎日やってね。やらなかったら髪にカビが生えるらしいよ」

「か、カビ?」

 

悪戯っぽく笑うカルマくん。……これ、毎日しよう。そう心に決めた。

決心してドライヤーを勉強机のところに置き、ビニール袋を開ける。完全に濡れきってるけど容器に入っていたから問題ないかな。2つのお弁当を取り出し電子レンジにかけて猫を見ようとした。

 

「……あれ、猫は」

「さっきのドライヤーの音で隠れちゃいました」

 

律が苦笑いしながら画面越しに差した場所、ベッドの下の隙間を覗く。暗くて見え辛いが確かに猫の光る目が見えた。おいで、と呼ぶとすぐに来てくれた。……素直な子だ。

 

「そういえばこのアパートで飼えるの?」

「……飼うことに問題はないけど」

 

私が世界に戻った時のために里親探さないと。そう言う。

例え向こうの世界で猫が存在していたとしても連れていくことは出来ないのだろう。

 

「一応烏丸先生が探してくれるって」

「苦労が絶えないね、あの先生」

 

その言葉にちょっと罪悪感が生まれる。確かに今日も凄く疲れていた。明日くらい休ませてあげてもいいんじゃないかと思えて来る。

 

「あ、今日帰れそうにないから泊まるよ」

「了解」

 

丁度レンジの音が鳴ったので一つのお弁当を取り出し、もう一つのお弁当をレンジにかける。近くに落ちたであろう雷の音。……雨はまだ止みそうにないのかな。

 

「如月さん!猫の名前どうします?」

 

そう聞かれて律の画面を遠目ごしに見ると色々な名前の羅列。それに対抗しようとするカルマくんは私の携帯で「厨二病っぽい名前」というサイトを私に見せて来る。

 

「レフ」

「……なにそれ」

「向こうの言葉で、白」

 

省略系だけど。レフ、と呼ぶとにゃあと鳴きながら私に頭を擦り付けて来る。

不満そうにえー、と唸るカルマくん。言葉は望めば翻訳されないのかと考える。

 

「先、食べていいよ」

 

レフから離れ、電子レンジの前に立つ。もう何十秒。そうして待つ時間がどこか長く感じた。




お待たせ致しました。
なんとか手に力が戻ってきました。日常生活には支障はないのですが、まだちょっとパソコンでタイピングは時間かかるかもです。そして指火傷しました痛いです。
因みにノルマ達成ならず。短くて申し訳ないです。

※夜に何かあると思った人は心が汚れてしまっている証拠です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。