名前も声も知らない   作:はやめ

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第2話 非情のポケモントレーナー

 

 

「許さない、か。面白いな、お前」

 突然の介入にも調子を乱されることなく、むしろ自分のやり方に異論を唱える異端児がどんな顔をしているのかと興味津々の様子。金髪の男はサングラスの縁を上げながら、わざとらしくユウリを観察する。彼の瞳には、夏の暑さにも負けない正義感に燃える爆発寸前の少女が映ったことだろう。

「戦ってくれたポケモンに、可哀想だと思わないのか」

「カワイソウ?」

 男は首を傾げる。単に彼女を焚きつけようとする目論みの上での挑発ではなく、素朴な日常生活における疑問のような認識。それほど、ヘルガーのモンスターボールを割ったことに対して、何の罪悪感も抱いていないという証だ。

「ソイツはそれ以上成長する見込みがないから、逃がしてやったんだぜ。辛い戦いから自由になれたんだ。勝てない相手との戦いを強いられるポケモンの方が、よっぽど可哀想だと思うけどなァ?」

 ユウリは思い当たるところがあったのか、口を噤み怯んでしまう。確かに、ユウリはゴウカザルに勝利という至極の快感を味わってほしいのだろう――アユムに何度も挑んで来ることがそれを物語っている。

「そ、そんなことあるか! ヘルガーはお前のために戦ったんだぞ!」

 教師の説教の如く受け取っているのか、全く聞く耳を持たない。男は耳の穴をほじりながら、次からは気を付けますと言わんばかりの当てにならない適当さで相槌を打つ。暖簾に腕押しの態度がユウリにとって余計面白くないものだから、とうとう彼女は顔を真っ赤にしながら噛み付いていく。

「ポケモンとトレーナーってのはな……」

「ポケスロンと同じだ」

 ここで思わぬ反撃を食らい、黙り込むユウリ。男はサングラス越しから、彫刻のように研磨された視線をのぞかせる。

「能力の高い奴がチームで地位を得る。能力の低い奴はただのお荷物。使われることもない」

「チームメイトの間には――」

「信頼関係がある。だろ?」

「分かってて、やったのか」

 ヘルガーの夢の跡は、儚くも捨てられている。あのボールだったものから、いつも高原を見上げて、一番になろうという想いを分かち合っていた――ユウリはそう信じたかった。ポケモンとトレーナーとは、そういうものだ。ヘルガーが本当にこの男を慕っていたのだとすれば、それは裏切りの行為と何ら変わりない。アユムは、いつ何時も喜怒哀楽をゴウカザルと共にするユウリだからこそ、男の言動を見過ごせないのだと、痛いほど感じる。男の持論には全てを否定し切れない面もあるが、アユムとてチャンピオンとの苦い記憶を省みれば、ポケモンを自分の下僕のように扱うことは間違いだと言い切れる。

 トレーナーにとって、ポケモンは己の全てだ。生身では戦えない人間の代わりに、争い事を決着する手段としてポケモンが先陣に出る、それがバトル。それだけではない――ポケモンがいなければ、生活もままならない人だって、この広い惑星にはごまんといる。

 男は己の物差でポケモンの限界を計り、勝手な理由で見切りをつけた。見逃されていいことではない。とある国では、ポケモンの自由平等を謳い、モンスターボールからの解放を唱える宗教的勢力の台頭もあったそうだ。さすがにそこまでいくのはやりすぎだとしても、ポケモンとの付き合い方は個々が鑑みるべき永遠の命題に違いない。

 アユムはライゾウとのバトル以後、自分がポケモンと誠実に向き合っているかどうか分からなくなった。自分の目標は、ポケモンにとってエゴの押し付けではないかと、生き様にすら自信を喪失していたのだ。だからこそ、一度ポケモンバトルから身を退こうと考えていた。

 険しい顔で一部始終を睨み付けるアユムとマフォクシーをよそに、沈黙を決め込んでいた長髪の男がとうとう重い口を開く。

「お互いに譲れない主張があるのなら、バトルによってそれを示してはどうかな」

「戦ってどうする」

「分かることがあるかもしれないよ」

「時間の無駄だ」

 長髪の男の提案を却下し、男は踵を返す。しかし、男の行く手を炎によって阻むのは、ゴウカザルだ。ユウリと気持ちを一つにして、ヘルガーの屈辱を思い知らせようとするその表情が、男の気に障る。

「主人と同じ顔しやがって」

「ヘルガーに謝れ」

「何もオレは悪事を働いたわけじゃない。完璧なチームのためだ。お前に邪魔される筋合いはない」

「ポケモンへの裏切りが、悪いことじゃないのか!」

 おやと共に炎を噴き上げ、叫ぶゴウカザル。男はヘルガーを抱えるユウリに向かって舌打ちし、心底面倒臭い作業を進めるようにボールをベルトから取り外す。ボールを握る力が若干強く込められているようだ。

「信頼がどうとか、裏切りだとか、さっきからうるせえんだよ」

 男は人差し指でボールを弄び、キャッチする。投げられた球体からは光が溢れ出し、目の前にはゴウカザルより一回り大きい背丈のポケモンが姿を現す。

 頭から伸びる白い毛はゴウカザルの炎と似ている。長い脚は乗り越えることの出来ない壁かと見間違いそう。腕から火花のように炎が弾け、今にも開戦のゴングを鳴らそうとしている。

 アユムは咄嗟に叫んでいた。

「ユウリ! バシャーモだ。ゴウカザルと同じタイプの!」

「よう、兄ちゃん。コソコソしてないで、もっとこっちに来いよ」

 言われて、アユムとマフォクシーも前に出る。場にはまた新たなる火種が持ち込まれ、まもなく芽吹こうとしていた。同じタイプのポケモンを前にして、俄然ユウリとゴウカザルは火がついたようだ。ゆっくりと立ち上がって、敵陣に揺らめく二つの輪郭を睨み付ける。

 

 

『  名前も声も知らない 第二話  』

 

 

「アユム、ヘルガーを頼む」

「分かった」

 戦火が及ばないように、という配慮だろう。ユウリはヘルガーを自宅で飼っているポケモンのように撫でてやる。ヘルガーは足を引きずりながら、アユムの下へとやって来る。

 間近で見ると例のポケモンが与えたダメージは深刻だった。これはバトルを待たず、すぐさまポケモンセンターへ連れて行かなければならない傷だ。それどころか、ヘルガーの角から尾に至るまで、随所に切り傷や打撲の痕などがある。これは一朝一夕で出来る痕ではない。アユムは思わず顔をしかめる。ヘルガーの傷が醜いからではなく、これだけの傷を身体に刻み込むことになるまで戦わせた、あの男の浅慮に対してだ。マフォクシーは腕を組み、ヘルガーに同情するような母性ある感情を寄せる。

 それを見ると、アユム自身かつてライゾウに叱咤されたことを思い出す。勝ち目のない相手にマフォクシーを無理矢理戦わせ、挙句チャンピオンに治療してもらったという辱めにも近い過去を。

「こんなになるまで、無茶をさせたのか……」

「キミは、彼女の友達かな」

 ヘルガーを労わるアユムの横に、長髪の男が立つ。左目が前髪に隠れて見えなくなっており、余計に妖しい雰囲気を漂わせる。アユムは苦笑交じりに返す。

「友達というか、なんというか。分かりません」

「そのヘルガー、すぐポケモンセンターに連れて行った方がいいね」

「ボクもそう思っていたところで」

 アユムの手を離れ、ヘルガーが遠くを見やる。対峙するユウリとホクト。ゴウカザルとバシャーモ。身体はきっと痛むだろうに、アユムは思わず拳を握る。

「ヘルガー」

「彼らのバトルを、見届けたいのだろう」

「あの、あなたは?」

「ボクはタクト。セイエイリーグ出場を目指して、旅をしている。キミは?」

「あっ、アユムです。えっと……一応、ボクもリーグ出場を」

「そうか。キミとはリーグで戦うことになるかもしれないね」

「お、お手柔らかに……。あの、止めなくていいんでしょうか」

「ヘルガーかい?」

 アユムには、一刻も早くポケモンセンターにヘルガーを連れて行きたいという気持ちがある。

 だが、ヘルガーは真逆の行動を取っている。タクトはしばらく考えた後、思いついたように提案する。

「ヘルガーの意思を尊重しよう。幸い、立っていられるならば、致命傷は免れている。回復はそれからでも遅くない」

 有無を言わせぬ説得力があるような気がした。何事にも動じず、落ち着き払った態度が自分とは違い、振る舞いからも風格が露わになっている。アユムはそんなタクトと自分を心の中で密かに比較し、知られることのないまま劣等感を抱いていた。

 

「オレはバシャーモで行く。お前は?」

「あたしの相棒はコイツだ!」

 ゴウカザルは自らを親指でさし、ユウリのパートナーであることを主張する。

「相棒、ねえ。何ポケモンに感情移入してんだか……」

 豊富な表情を見せるゴウカザルに対して、バシャーモは指示された時のみ動く戦闘マシーンのように沈黙を保っている。ポケモンの一挙一動もトレーナーに似通っており、ゴウカザルは歯軋りする。

「見せてやろうぜ、ゴウカザル。あたし達のコンビネーション!」

「ポケモンバトルの勝敗を決めるのは、強さだ。それは信頼なんてチャチなものじゃ揺らがねえ……力なんだよ!」

 バシャーモが構えを取り、それが戦闘の合図となった。

 

 

 *

 

 

 火花散る激情のポケモンバトルは、拳のぶつかり合いから始まった。ゴウカザルとバシャーモの繰り出す衝撃によって迸る、電撃にも似た焦げ臭い香りが辺りを満たす。

「グロウパンチ!」

「受け流せ」

 ゴウカザルが腕を後方から押し出す。一発お見舞い――かと思われたが、バシャーモはゴウカザルの両肩を掴むと、そのままエネルギーの衝突を鮮やかに回避する。

「もう一度だ!」

「弾き返せ」

 バシャーモは腕を交差。ゴウカザルは真ん中を狙って突き出す。しかし、阻まれた。腕によって振動を抑え込み、互いに皮膚が擦り剥けそうになるほど後退する。

 すぐさま跳躍から間合いを取るバシャーモ。ゴウカザルの攻撃を無効化する戦法を取る敵に、早くも苛立ちを募らせるユウリ。事態はアユムが危惧した通りに動いている。

「くそっ、小細工ばかり仕掛けやがって。バシャーモを追え!」

 ゴウカザルは力任せにバシャーモを追い込もうとする。アユム達から見て、バシャーモは街路の行き止まりに追いやられている。ゴウカザルが強力な攻撃を叩き込めば、逃げ場はない――。だが、何かがアユムの中で引っかかる。それでは、どうぞ攻撃してくださいと言っているようなものだ。

「インファイト!」

「違う、罠だ!」

 アユムは叫び、タクトもそれに頷く。

 時すでに遅し。ゴウカザルは接近戦の体勢を整え、自身の守りを捨てた状態にある。無防備なゴウカザルを視認して、バシャーモの虚ろな瞳が熾烈さを帯びる。

「受け止めろ」

 男の指示に従い、バシャーモもまた蹴りで応戦。まさにインファイトの名にふさわしい光景が繰り広げられる。拳と足、足と拳。互いの四肢を余すことなく、全力の決闘に用いる二匹のファイター。怒りに燃えるゴウカザルに対し、冷ややかさをもって応じるバシャーモ。二匹の動作は同じでも、そこに潜む真意は全くもって対照的である。鏡を見ているような連撃の応酬だが、敵の真似だけに留まる力量ではなかった。男が獰猛に指示を下す。

「ブレイズキック」

 バシャーモの足先が炎にくるまれて、曲芸のように翻る。ユウリは攻撃に転じるものだと信じて疑わなかった。そこが誤算だったのだ。蹴りを利用した驚異的な跳躍は、一歩敵の先を行く。見上げる少女を、太陽光が掠めた。

「あれを出すしか……ないみたいだなッ!」

「ユウリ!?」

「フレアドライブ!!」

 ユウリが叫ぶ。ゴウカザルが大地からエネルギーを授かるようにして、自らを頭の炎で囲い込む。敵目掛けてのロケットスタート。炎の弾丸にて穿つ。これがユウリの言っていた超必殺技であることは、アユムとマフォクシーには一目瞭然だ。矢のような一撃をもらっていたら、マフォクシーはこうしてゴウカザルのバトルを観戦することもなかっただろう。

「いっけえええええッ!」

「攻撃一辺倒のバトルしか出来ないのか。シャドークローで炎を引き裂け!」

 バシャーモとゴウカザルの線が交わる。太陽の下に炎を纏う戦士が空に輪郭を描く。その雄々しさはトレーナーならば感に打たれぬ者はいない。アユムはライバルともいうべき存在の大いなる進歩に、率直な感嘆の声を漏らす。

「すごい……。ユウリ、本当に強くなったんだ」

「しかし、バシャーモの方が一枚上手のようだよ」

 タクトの言う通り、先に影がぶれたのはゴウカザルの方だ。バシャーモが静かな瞳で、落下していくゴウカザルを見やる。闇の爪が、闘志の火炎車を切り裂いた。ゴウカザルは苦渋に顔を歪めながら、壁に頬を擦り付け落ちていく。

「負けるなゴウカザル! 壁を使って攪乱するんだ!」

「反撃の隙を与えるな。叩き潰せ!」

 バシャーモは壁を滑り、瞬く間に敵の始末に向かう。ゴウカザルは瓦礫の間に指を食い込ませ、落下から受身を取る。続けざまにバシャーモが拳をかすめる。危機一髪だった。

 ゴウカザルが鋭角を描き、壁から壁へと伝っていく。まるで密林を自在に駆け回る狩人のようだ。バトルフィールドの狭い隙間を利用して、バシャーモを牽制するのが狙いだろう。後方に跳躍しながら、バシャーモを誘い込む。斜線を貫くように伸びる一本の直線――それがバシャーモの残像だ。ユウリはなんとかアドバンテージを奪取することが出来た。スタジアムである街路は、ゴウカザルの庭も同然。バシャーモは地に降り立ち、動きを目で追っているが、それも間に合っていない。優位に立った者は更に畳み掛ける。

「もう一度、フレアドライブ!」

 男は舌打ちする。敵からすれば、これほどおぞましく、焦りを誘発する状況はあるまい。弾丸はどこから魔の手を伸ばしてくるか分からない。バシャーモを足止めするには十分だ。男も指示を出さない。否、出せないのだ。迂闊に少しでも動いてみるがいい。格好の的になり、串刺しのような痛みがバシャーモへと襲い掛かるだろう。

「どうだ! これがあたし達のバトルだ!」

 勝ち誇ったように告げるユウリ。一方、先程までの威勢の良さも、忘却の彼方へと葬り去った男。勝負はついた――そう思われた矢先のことだった。

「やっぱり、お前のバトルは単調すぎる」

「負け惜しみか。だったら、この状況から逆転してみなよ!」

 ユウリはとどめを刺すと言わんばかりに、灼熱の塊と化したゴウカザルをバシャーモへと差し向ける。男は下手をすれば敗北は免れない戦況で、笑っていた。

「何か来る!?」

「ブレイブバード!」

 バシャーモは腰を落とし、頭を突き出す、前傾姿勢に移る。地に重心を預け、立ち上る砂塵と共に突撃。赤と白のクラッシュ。目を開けることも厳しい煙の中で、生身に戻されたゴウカザルはなんとか一矢報いようと、片腕を伸ばす。しかし、身体に痺れが走ると、物乞いをするような手つきでそのまま倒れ込みそうになる。圧倒的にユウリの勝利が見えていた局面で、男は心を乱されることなく、ただ敵の隙を突くことだけ考え、最後の展開を繰っていたのだ。

「ど、どうして!?」

「フレアドライブをどれだけ使ったと思っている?」

「……まだだ! ゴウカザルッ、立て! 気合いだ!」

「気合? それが、お前達のいう信頼か」

 トレーナーが諦めては、勝負はそこで終わりだ。ゴウカザルを必死に鼓舞し、今一度戦いに舞い戻らせようと奮闘する。だが、タクトの厳しい視線は、既にこのバトルの結末を物語っていた。

 もはや、ゴウカザルは正しい方向に動くこともままならない。当然である。フレアドライブを常時発動し続けるだけでも肉体にとっては大きな負荷がかかるのに、あろうことかユウリはそれを闇雲に使用し、攪乱のための策とした。それだけではない。バトルが始まった時から、ゴウカザルはグロウパンチやインファイトといった、激しい動きを要求する技ばかり使っている。対して、バシャーモが男の指示によって放った技はシャドークロー、ブレイズキック、ブレイブバードの三つだが、敵の接近に際し使用することで負担を軽減した。体力を温存し、無駄な動きを徹底的に省く。それがこのバトルにおいては功を奏したのだ。

 バシャーモが回し蹴りを入れると、ゴウカザルは背中を引きずられながら吹き飛んだ。ユウリがそれを受け止め、労いの声をかける。

「ゴウカザル、無理させてごめんな……。本当に、ごめんな」

 目を瞑ったゴウカザルを優しく迎え、抱きしめる。バシャーモはそれほど息を切らした素振りも見せず、男の方に帰っていく。彼は言葉一つすらかけなかった。それを見て、アユムが眉を潜める。

「バシャーモに何も言わないのか」

「この程度の相手、勝てて当然だからだ」

 ユウリがゴウカザルに顔を埋めるのが、横目に入る。自分の実力を貶されて、傷つかないトレーナーなどいない。ましてや、ポケモンへの冒涜と同じとくれば。言いたい放題の罵詈雑言を見逃すほど、アユムは心底冷え切っていない。

「今の言葉。取り消せよ」

「雑魚に雑魚と言って何が悪い。コイツのバトルは馴れ合いでしかない。お前も見ただろう。戦略もガタガタ、その場しのぎの思い付きばかりだ」

「取り消せ」

「オレは事実を述べたまでだ」

「事実だったら……何を言ってもいいのか」

 アユムは自分でも発する言葉が震えていることに気付く。男はユウリの説教よりも面倒臭そうに頭を掻く。

「ったく、どいつもこいつもヌルい奴ばかりだ。おいタクトさんよお! もういいだろう。オレはあんたの言う通りにコイツとバトルしてみた。何も得るものはなかったぞ」

 アユムはタクトの方を見なかった。彼にはこの男に喝を入れ、一泡吹かせるような灸を据えてくれると願っていた。だが、タクトはアユムほどユウリに無意識の思い入れもなければ、トレーナーとしてどこまでも現実を見据える男だった。

「確かに、彼女のバトルはまだまだ甘い点が多い」

「そんな……」

「アユムくん、ボク達はトレーナーだ。チャンピオンを目指す以上、勝利を求めるのは至極当然のことだよ」

 諭すように言い聞かせるタクト。それでも納得がいかない。ユウリの努力や愛情を否定する、そんなトレーナーでありたいとは思わない。すると、男が何かに気付いたような素振りを見せる。

「ん? お前……どこかで会ってないか」

「お前と会ったことなんかない」

「ふっ、手厳しいな。割と記憶力は良い方なんだよ。お前を見たのは、確か――」

 この男と前に一度、出会っているだと? 冗談も休み休み言え、とアユムは思う。ただでさえ腸が煮えくりかえっているのに、男の茶化したような態度が気に障って仕方ない。糸がぷつぷつと切れて、熱い感情がマグマのように溜まっていく。

「ああそうだ、思い出した! ショウブタウンだ」

「ショウブタウン……?」

「お前の兄ちゃんと戦ったんだよ」

 言われて思い当たるところがあった。男の説明を加えて、アユムは脳裏にかつての光景を描いていく。

 

 それは、一家に凄腕の挑戦者がやってきて、半ば道場破りのような状態になった時のことだ。ショウブタウンはセイエイの東部に見られる、小さな町である。そこでは「カチヌキファミリー」と呼ばれる、ポケモンバトルに長けた血筋の一家が日夜トレーナーとしての腕を磨いている。アユムはファミリーの次男として生を受けた。彼らは家族ぐるみでポケモンバトルの普及に努め、立ち寄ったトレーナーとの特別試合を引き受けたりと、闘技の世界を盛んにするために惜しみなく貢献している。その成果が認められ、ポケモンリーグから表彰状を受け取ったこともあり、今も玄関に飾られている。

 当初、彼は齢六。旅立ちを迎える四年前の出来事であった。長男テルマは連戦連勝を重ね、順調に八つのジム――オオゼリのエバーバッジ、イリマのグレイバッジ、キンカンのシトラスバッジ、シラカシのサルビアバッジ、キョウナのオリエンタルバッジ、リンドウのカーマインバッジ、ゴギョウのライラックバッジ、シオラのグラファイトバッジを有するジムだ――を制覇した。いよいよポケモンリーグを一か月前に控え、初心に帰るため一家団欒を楽しもうと帰路についたところであった。テルマは何事をも恐れず、旅先で見舞われた幾つもの事件を解決するなどの活躍を果たした。中には、外国でも多発する過激な集団などとの交戦もあったようだが、そんな逆境を跳ね返し、無事に戻って来たのだ。アユムはテルマを心から尊敬し、ポケモントレーナーの模範としていた。

 久しぶりに一家揃っての食事を迎えるところ、一人の男が現れた。例にとって、カチヌキファミリーの噂を聞きつけたのだろう。彼はポケモンバトルを申し込んだ。父や母は後にしてほしいと頼んだが、テルマは勇ましく名乗りを上げる。ポケモンリーグ前の良い腕試しだと言い、挑戦者を待たせるよりも勝負を行った方が互いに満足するとふんだのだ。八つのジムバッジを手に入れた者の発言には重みがあり、一家はテルマに命運を託す。かくして、試合が始まった。

 テルマは相棒のリザードンを、男はバシャーモを繰り出す。試合はテルマがリードし、バシャーモは空中戦を仕掛けるリザードンに苦戦を強いられているようだった。誰もが当たり前だと思った。リーグ出場を前にしたテルマが、こんなところで負けるはずはない。

 しかし、男のネックレスが光輝を帯びると、バシャーモの姿が見る間に変化したのだ。家族は開いた口が塞がらない。テルマは、それが旅先で耳にした「メガシンカ」と呼ばれる現象であることを知っていた。何故なら、テルマもまたメガシンカの使い手だったからだ。彼の腕にはめられたリングの中のストーンがリザードンと共鳴し、炎を司る翼竜は先程までとは打って変わった黒く禍々しい姿に変化する。

 これはただのバトルとは違う――アユムは瞬きも忘れて、夢中になっていた。メガシンカ同士の壮絶な戦いは、スタジアムを立っていられないほど炎の渦に巻き込む。最後まで立っていたのは、バシャーモ。今まで完璧な記録を打ち立てていたテルマにひびが入った瞬間だった。

 それから、テルマは敗北のショックで立ち直れない日々が続いた。彼は元々が順風満帆に行き過ぎたがために、負けることの屈辱と重みを知らなかった。結局、彼は来るべきリーグをベスト16という成績で終えることになった。家族は本来の調子ならばベスト4進出もありえたと、テルマのことを励ましていた――。

 

「四年前のリーグは、オレにとっても不本意な結果だった……!」

 アユムはハッと我に帰る。回顧を見透かすように、男が続きを語り始める。

 その時初めて、男は無機質だった仮面に、感情を滲ませる。

「オレはその時、まだ馬鹿正直にポケモンを育てていたっけなあ。だけど気付いたんだよ。元から高い能力をもったポケモンさえ揃えれば、面白ェぐらい楽に勝てるってことがな!」

「それは違う。どんなポケモンだって、育てれば強くなれる」

 アユムは子供なりの理想論を振りかざして対抗する。分かっていない、とばかり男が皮肉な笑みを張り付ける。

「それはお前が挫折を味わったことがないから、そう言えるんだろうな。どれだけ育てても、どれだけ頑張っても、勝てない相手は腐るほどいる! ポケモンの強さは生まれた瞬間に定められた、いわば運命のようなものだ。凡人が足掻いて上手くいくなら、チャンピオンなんてものは今頃溢れかえってるだろ。そうは思わないか?」

「それは……」

 ふと、マフォクシーを見つめる。彼女には目立って、生まれ持った才覚があるわけではない。それでもバトルの日々に明け暮れ、アユムの夢に付き合ってくれている。そして、アユムはマフォクシーを窮地に追いやってしまうこともあったが、彼女は愛想を尽かさず傍にいる。マフォクシーは、男の言うことなど何ら意に介さない様子だ。

 能力――アユムはふと、ライゾウのガブリアスを脳裏に浮かべる。あのポケモンが負ける相手など、恐らくは存在しないだろう。それほどの衝撃を植え付けられた。夕日にきらめく鱗。今でもくっきりと手でなぞるように蘇る。男の言うように、絶対的な強さを誇るポケモンを使えば、グランドマスターのガブリアスを鎮めることさえ叶うのだろうか――。

「アユム」

 微かな声が聞こえる。いつもより弱気で、消え入りそうだが、柔らかで透明感のあるそれは、ユウリのものだ。

「あたしは……お前と、お前の育てるポケモンに勝ちたくて。ここまでやって来たんだ」

「ユウリ……」

「お前のポケモンを見ていれば分かるよ。能力だけが、全部じゃないってこと」

 何度も挑んできたユウリだからこそ、言える言葉だと思った。そして、アユムはようやく分かった。何故、ユウリが執拗なほどバトルを挑んで来るのか。それは、単にアユムを倒して自分が上だと証明したいからではない。アユムと彼の育てるポケモンの間に、確かな信頼を見出しているから。その強さの源に触れられることが嬉しくて、戦っているのだ。勝つか負けるかは二の次で、ユウリにとってはアユムとのバトル、それ自体が全てなのだ。

「負け犬の戯言は聞きたくないな」

「それ以上ユウリを侮辱したら、ボクが許さないぞ」

「ハッ! お前もコイツみたいなことを言う。許さない。なら、具体的にどうする?」

 迷いは断ち切れた。アユムはこれまで培ってきた己とポケモンを信じ、挑戦状を叩きつける。それは誰かの尊厳のために奮い立ち、トレーナーであろうとする瞬間だった。

「ボクとバトルしろ。カチヌキファミリーの次男として、お前に勝つ」

 

 

 *

 

 

 男はサングラス越しの瞳をますます不愉快そうに細める。

「兄が出来なかったリベンジを成し遂げようってか」

「ボクは、ボクのために戦うんだ」

 アユムの言葉は、語るというよりも言い聞かせる含みをもっていた。心配そうに見上げるユウリだが、アユムは強張っていた表情を和らげる。

「ボクは負けないよ」

 彼女はそっと頷く。今のアユムならばもう心配はない、とばかりに、ゴウカザルをボールに戻し、タクトとは反対の方向に立って見守る。

 場にはアユムと男、そしてバシャーモだけが残る。戦場に立つ者だけが分かる、独特の空気だ。

「バトルは一対一。どちらかが先に戦闘不能になったら負け。どうかな」

「さっきと同じだな。いいぜ。オレはバシャーモで行く」

 アユムはマフォクシーを見やる。やる気に満ちた頼もしい顔つきだが、ゴウカザル戦のダメージが残っているのか、急にしゃがみこんでしまう。アユムはやはり自分がふがいないバトルをしたせいで、マフォクシーをまた無意味に傷つけてしまったと反省する。

「おいおい、死にぞこないはやめてくれよ。オレのバシャーモはまだ傷を負っていないんだ。それじゃあフェアじゃないだろ」

 ゴウカザルの頑張りをなかったことにするような発言。どこまでも傷痕をえぐろうとする人間だ。アユムは倒すべき敵を睨みつけながらも、マフォクシーには観戦を言い渡す。

「マフォクシー。今回は休むんだ」

 マフォクシーは申し訳なさそうにしゅんと俯く。アユムは微笑みかけて、ボールの中で相棒を眠らせる。そして、ボール越しから一部始終を見ていたであろうポケモンに助けを求める。

「頼むよっ、オンバーン!」

 光と共に、巨大な翼を広げたポケモンが現れる。一見すると巨大な双眸がのぞくように見えるが、大きな勘違いだ。目に見えるものは耳。V字の眉より下から本当の顔が、超然としている炎の戦士を品定めする。その反応は必ずしも余裕を伴ったものではなく、敵の力量をおのずと見計らうことで湧いてくる感嘆であった。

「お前が口だけのトレーナーじゃないことを祈るばかりだ」

「言いたいことはそれだけかい?」

 男は舌打ちする。今のアユムを崩そうとするのは骨折れ損だと分かって、痺れを切らし戦闘開始のゴングを鳴らす。バシャーモは先程まで己に課した調整を解いたかのように、いきなり疾走を始める。ゴウカザル戦では手加減をしていた――とでも言いたげに。

「おいかぜ!」

 オンバーンが両翼をはためかせると、たちまち後方から風が吹きつける。バシャーモにとっては向かい風だ。アクセルを減速させて、まずは序盤を制する。バシャーモは腰を屈め、高位置から迫り来る風をやり過ごそうと試みる。無駄だ――アユムは不思議にも澄み切った心で、快活に指示を出す。

「風に乗って攻撃だ! エアスラッシュ!」

 オンバーンが翼を得物のように振るう。真空の刃がバシャーモに剣閃を突き立てる。おいかぜの真価はここで発揮された。

「ブレイズキック!」

 バシャーモは火を纏った回し蹴りでこれに応戦するが、ブレイズキックが一回転なのに対し、オンバーンのエアスラッシュは二発続けて放たれた。初発を防いでも、二発目が来る。男はサインでバシャーモに壁へ逃げるよう指示を繰り出す。

 先程とは少し戦い方を変えて来たようだ――アユムは確信する。今回のバシャーモは恐らく、攻撃を主体としたバトルスタイル。ユウリの場合、パワータイプのゴウカザルに対抗するため、バシャーモを守りに入らせただけのことだ。本来、バシャーモはゴウカザルにも負けない打撃の力を誇る。アユムとの戦いによって、ようやくその真価を発揮しようという目論みに違いない。

「アユムの奴、落ち着いてるな……」

「落ち着いてはいるが、攻めに入らなければバトルは動かないぞ」

 二人の独り言が後を引き継ぐような形になり、アユムと男のバトルの更なる展開を予感させる。

「シャドークロー!」

「させるか! バシャーモを上空に連れて行くんだ!」

 バシャーモは爪に邪悪な魔物を込めたような殺気を灯し、オンバーンは風に流されるまま敵を迎え撃つ。バシャーモはオンバーンと接触する直前、大地に切れ目を入れる。たちまち小石や砂が飛び交い、それはまさに疑似的なすなかけと見て差し支えない。方向感覚を損ねたオンバーンは、ブレイズキックの一撃によって壁に打ち付けられる。

「オンバーン!」

「オーバーヒート!」

 バシャーモはこれまでに見せたことのない技の準備に移る。口内から溢れんばかりの炎を呼び起こし、凝縮させているのだ。

「逃げろ!」

 ユウリが叫ぶ。分かっている、アユムは思わず歯軋りする。オンバーンが身体を起こして逃げるまでに、オーバーヒートが自由を許すかどうか。最悪の事態を防ぐには、どうすれば――? アユムは咄嗟に耳を塞ぐ。

「ばくおんぱだ! 思いっきりいけえ!」

 オンバーンを動かすのではなく、その場で出せる技によって危機回避を図る。タクトは感心したように頷く。刹那、オンバーンの耳から劈くような轟音が発生する。爆発的なノイズが飛び交い、タクトやユウリも顔をしかめる。バシャーモはオーバーヒートに集中するあまり、ばくおんぱを予め防ぐことが出来なかった。バシャーモは苦しみに悶えながら暴れる。充填を待たず、火の玉は見当違いな方向へ飛散する。それがおいかぜによって流され、バシャーモ自身に跳ね返る。バトルが始まってから、男が顔を歪めたのはこれが初めてだった。

「や、やった。すげえ! いいぞアユム!」

「正念場はここからだ。敵も本気を出してくるだろう」

 タクトの言う通り、バシャーモは指の関節を鳴らし、遊びの時間は終わったという迫力を醸し出す。アユムは思わず生唾を飲み込む。喉はすっかり枯れていた。旅先でこれほどの使い手と戦うのは、ライゾウ以来のことだ。

「飛べ!」

 男はバシャーモに跳躍を指示。太陽を背に飛翔する姿は、大空を我が手に収めたかのような覇者を感じさせる。

「こっちも飛ぶんだ!」

 オンバーンは翼をはばたかせ、決戦の舞台へと勇む。バシャーモはやって来たオンバーンの背に飛び乗り、拳を叩き込む。罠だ。アユムはすぐに体勢を立て直す。オンバーンは背中の痛みを堪えながら、旋回によってバシャーモを落とそうとする。しかし、離れない。アユムは気付く。爪を食い込ませることで、しがみついているのだ。

「なら、もう一度ばくおんぱで――」

「それを待っていたんだよ。ブレイズキック!」

 バシャーモはわざと手を放す。落下間際に足を翻し、耳に蹴りを入れてきた。ばくおんぱは失敗に終わり、オンバーンの飛行は不安定になる。アユムは拳を握り締める。どんな局面でも逆転の一手を打ってくる男の実力は本物だ。油断すれば、こちらが負ける。だからといって、臆することはない。積み上げてきた毎日を信じるだけだ。兄の出来なかったことを、ここで成し遂げてみせる。

「りゅうせいぐん!」

「オーバーヒートで迎え撃て!」

 オンバーンは額にエネルギーを集め、宇宙からの恩恵を借りた隕石を生成していく。バシャーモは地に降り立ち、先程不発に終わった奥義の発射準備を始める。こうなれば技を先に出した方の勝ちだ。食らった方が負ける。一か八かに懸けてみるしか、あのバシャーモに致命傷を与える方法はないとアユムは割り切ったのだ。

 だが、りゅうせいぐんには一つ弱点がある。ドラゴンタイプ最強とされる秘儀は、ポケモンがトレーナーに心を開き、懐いていなければ完全な習得には至らないという面だ。アユムは土壇場で繰り出す決意を固めたが、まだガブリアスが放つような威力は到底見込めない。それでも、アユムはオンバーンを頼りにしているからこそ、指示をした。そして、りゅうせいぐんを指示されることの意味を、オンバーンもまた心得ている。何故なら、オンバーンはアユムに向かって力強い瞳を向けたからだ。

「あれだ」

 ユウリは誰に告げるでもなく、呟く。

「アユムの――いや、あいつらの強さは」

 りゅうせいぐんの基となる塊が膨張していく。あと僅かで解き放たれる――その瞬間。

「ハハッ! オレの勝ちだァ!」

「早い!」

 先に業火を放ったのはバシャーモ。吐き出された焔がのたうち回り、傷口を刺激されたハブネークのように暴れ狂う。オンバーンは焼き尽くされながらにして、頭上から友情の一撃を打ち揚げる。エネルギーは空中で分裂し、被弾する形でバシャーモを襲う。逃げ場などあるはずもない。街路を小爆発が埋め尽くす。

「ど、どうなったんだ……?」

 ユウリもタクトも咳込みながら、すぐにバトルフィールドの様子を確かめようとする。

 アユムと男は、煙が晴れるのを待つ。そして、両者とも声を失う。オンバーンも、バシャーモも、力の抜けた様子でその場に倒れていた。

「引き分け、か……」

 アユムも思わず、膝をつく。だが、忘れてはならない。オンバーンはこれほど強大な相手に対して、よくぞここまで健闘してくれた。

「ありがとう」

 情けないトレーナーが振り絞った勇気に付き合ってくれて、アユムは感謝の言葉を述べる。

 男はサングラス内の感情を悟らせない瞳でバシャーモを見据え、モンスターボールに戻す。ヘルガーの時のように逃がすことはしなかった。彼が目指す完璧なチームとやらには、バシャーモは必要な構成員なのだろう。何も言わず、その場を去ろうとする。

「待てよ。何か言うことはないのか」

「オレとお前は、すぐにまた会うことになる」

 意味深な発言である。その意味を考えていると、男が怪訝な顔をこちらに向けてくる。

「知らないのか? この町に来ていながら、ローズシティポケモンバトルトーナメントのことを」

「ローズシティ、ポケモンバトルトーナメント……?」

 それにはタクトが説明を加える。

「一週間後、ローズシティのスタジアムで行われる大会のことだよ。優勝者には、チャンピオンリーグマスター・ライゾウさんと試合する権利を与えられる」

 ライゾウ。アユムが何より恐れ、何より記憶に焼き付けている人物の名だ。優勝すれば、ライゾウとのバトルが待っている――アユムは複雑な感情が絡みすぎて、言葉にならなかった。それは必ずしも喜びや期待を伴わない。

「お前とは、そこで決着をつける」

 男は今度こそ感情を包み隠さず、明確な宣戦布告を突きつける。それは、彼がアユムを好敵手として認めた証。

「名前は――」

「は?」

「名前だよ。お前の」

「……ホクト。キンカンシティの、ホクトだ」

 それだけ言うと、青年ホクトは踵を返す。

「ボクは、アユムだ。ショウブタウン、カチヌキファミリーのアユム!」

 聞こえたのか、聞こえていないのかは分からない。だが、そんなことはどうでもよかった。

 トレーナーとして相成れない部分ばかりだが、ホクトの実力は紛れもなく絶え間ない努力によって培われたものだ。あの男もトーナメントに出場するとすれば、優勝争いは想像を絶するような熾烈で過酷なものとなるだろう。アユム、ユウリ、タクト、そしてホクト。これから鎬を削り合うであろう者達の物語は、こうして幕を開ける。

 そしてヘルガーは、自分を捨て去った主人の背中が地平線の彼方に溶け込んでいくまで見つめていた。

 

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