適当につづる短編集   作:嘘吐きgogo

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こちらの作品は、作者のメインの小説をにじファンで書いてた時に一緒に上げたもので、移転作品です。

↓ここからは、当時の前書き。

こちらは、前に短編集であげていたものを、要望があったので再投稿したものです。

あんまり人気がないのと、自分でも微妙かなと思ったため消していたのですが、それでも気に入っていただけた方が数名いたので、絶対正義の片隅に置くことにしました。

いつか書き直して続きを書きたいです。

因みに、全く絶対正義には関係ないので、本編読者の方は読まなくても大丈夫です。



短編『海にて、蜘蛛成りて、網を張らん』

町の中を歩いていると、グゥ~、と自分のお腹から空腹を知らせる音が鳴る。

 そういえば、そろそろお昼頃だな、と思い。直ぐ近くに合った酒場が目に入ったので、その扉を潜ることにした。

 

 店に入ってみると、中々繁盛しているようで店の中には客でいっぱいだ。

 私は一人だし、取りあえず目についた空いているカウンターの席に座る。

 

「いらっしゃい。何にするかね?」

 

 すると、酒場の店員のおじさんがカウンター越しに話しかけてきた。

 私はチラリと、カウンターの奥にかけられているメニューに目をやって、その中から食べたい物を決めると、おじさんに頼んだ。

 

「じゃあ、お酒とその魚料理を頼もうかね」

「あいよ」

 

 おじさんはそういうと、酒の入った木製のジョッキを私の前において、魚料理に取りかかった。

 私はゆっくりと酒に口をつけながら、料理を待っていると

 

 

「「「「ギャハハハハハハ」」」」

 

 五月蝿い笑い声が響く。

 その声の方に目をやると、八人ほどの目つきの悪い男達が酒を飲んで騒いでいた。

 

「へぇ~、彼奴は」

 

 私は、その中に見た事のある顔を見つけて、ほくそ笑む。

 

「何考えてるか知らないが、彼奴らには近づくなよお嬢ちゃん」

 

 コトッ、とおじさんが渋い顔をして、注文した料理を私の前に置く。

 それに空腹な私はそれに目を輝かせて、食器を手に取り料理に手を付ける。

 

「聞いてるのか? 彼奴らは」

「懸賞金七百万ベリーの山賊、キジマとその部下よね」

 

 私はおじさんの言葉を途中で遮り、懐からキジマの手配書を取り出しカウンターに置く。

 その私の行動におじさんが血相を変えて慌て始める。

 それもそうだろう、直ぐ近くにいる山賊の手配書を取り出すなんて、正気の沙汰ではない。

 

「おいおい、お嬢ちゃん! 早く仕舞えって」

「あはは、悪かったよ」

 

 あんまりにもおじさんが必死なので、つい笑ってしまった。

 私が手配書を仕舞うと、おじさんは安堵のため息をつく。

 

「そんな物を持っているってことは、もしかしてお嬢ちゃん、賞金稼ぎかい?」

「そうよ、当たり」

「お嬢ちゃんがね~、とてもそうは見えないな」

「そこそこ、有名よ」

「そうなのかい? でも、彼奴だけはやめときな。彼奴は何人も人を殺してる、めちゃめちゃヤバい奴だ。その中には彼奴を狙ってきて返り討ちにあった賞金稼ぎもいるんだ。お嬢ちゃんがかなう相手じゃないさ」

 

 まぁ、七百万ベリーは平均賞金額が三百万ベリー東の海ではかなり高額な方になるし、おじさんがそう思うのも仕方ないね。

 でも、悪いね。

 ニヤリ、と口を歪め、おじさんに悪戯を仕掛けた子供の様に告げ、席を立つ。

 

「もう、手は出しちゃった」

「へ? お、おい!」

 

 私はおじさんの静止の声を無視して、山賊達の席に真っ直ぐ向かう。

 山賊達の席の前まで来ると、山賊達も私に気がついたようで訝し気にこちらに顔を向ける。

 

「あん? なんだガキ?」

「俺達になんか用か?」

「もしかして、一緒に飲みてぇ、とか?」

「だったらもっと成長してからくんだな」

「あちこち足らねぇからよ」

「ケツだけは、でけぇ見てぇだけどな!」

 

「「「「「ギャハハハハハハハハ!」」」」」

 

 海賊達は、私のお腹から膝にかけてまで丸く大きく膨らんでいる独特な服を指差し貶すと、それが面白かったのか、どっ、と笑い出す。

 ……流石に頭に来たよ。

 

「冗談でもやめて欲しいね。態々、酒が不味くなる顔を見ながら飲むなんて、そんな悪趣味持ち合わせていないよ」

「あんだと?」

「そりゃあ、どういう意味だ? ガキ?」

 

 私の言葉に、笑っていた海賊達は機敏に反応し、怒りをあらわにして私を睨みつける。

 

「貴方達が見るに耐えない顔をしているって言っているのよ。先祖に何か混ざってるんじゃなの? そんな顔しているし」

 

 ガタ、タッ!

 

「んだと、こらぁ!」

「ふざけやがって、このガキ!」

「死にたいらしいな!」

 

 皮肉いっぱいに答えてやると、山賊達は席を蹴り上げ立ち上がり、今にもこちらに襲いかかろうといった雰囲気だ。

 遠巻きに様子を見ていた他の客達も不安なのか、ざわざわと騒ぎだす。

 

 相手は男が八人。

 普通なら勝てないだろうけど……もう終わっているしね。

 

 

 

 ドサッ、ドサッ、と立ち上がった山賊達が突然、次々に倒れる。

 

「あ……あぁ」

「さ、寒い……さむ、い」

「震えが……とまんねぇ、よ」

 

 倒れた山賊達は皆顔色が異常な程に悪く、ガタガタと体を震わせ、寒さを訴えている。その姿は、まるで酷い病に侵された病人のようだ。

 山賊達の突然な様子に店の客達が驚いている中、私は持っていたロープで山賊達を縛り上げると、カウンターの奥で未だ状況を把握できずに口を開けて惚けているおじさんに声をかける。

 

「ねぇ、おじさん」

「……あぁっ! な、なんだい!?」

 

 私の声で正気に戻ったおじさんの少しびくついてる態度に、私は軽く口元に笑みを浮かべて頼み事をする。

 

 

「賞金から少し渡すからさ、この人達を運ぶの手伝ってくれない?」

 

 

 

 

 

「これで暫くはゆっくり過ごせそうね」

 

 私は、軍の施設で懸賞金を貰うと、手伝ってくれたおじさんに五十万程渡し、宿の部屋に戻り懸賞金を数えながらベットに寝転ぶ。

 そろそろ、お金が無くなって来ていたので、偶然キジマを見つけれたのはかなり助かった。

 東の海は四つの海の中で最弱の海といわれるだけあって、賞金首の懸賞金の額が低いから定期的に捕まえないと直ぐに無くなってしまう。

 宿暮らしは何かとお金がかかるからね。

 

 職について定期収入を手に入れるのも良いけど、長年、賞金稼ぎをやってきたので中々抜け出し難い。

 

「……って、すっかりこの世界に染まっちゃったわね。今更だけれど」

 

 そんな思考をしてしまう自分に呆れて笑ってしまう。

 

 

 

 私、黒谷ヤマメには前世の記憶といった物を持っている。所謂、転生者という奴ね。

 しかも、転生した先は、私が生きていた世界では無く、ワンピースという有名な少年漫画の世界だった。

 

 それはもう転生した当初は酷く驚いた。目が覚めたら知らない場所で赤子になっていたのだから、驚かない方が可笑しい。

 それに、私自身死んだ記憶が無く、本当にいつの間にかにこの体になっていたので原因もよくわからない。寝ている間に災害かなにかで死んだという可能性もあるけれどね。

 

 最初は何でこんな事になったのか、戻れない物かと散々悩んだけど、自由に動けない赤子に数年近くも生きていれば色々と気持ちの整理もできて、育ててくれた親にも情がわいて、五歳ぐらいの時には既に新しい人生を生きていく事を決めていた。

 まぁ、後でワンピースの世界だと知った時は、またもや酷く悩む事になったけれど、私が生まれたのは原作でも比較的安全な東の海の小さな村だし、危険な目には遭わないだろうと考えていた。

 

 

 その考えは、私が八歳の時に住んでいた村が海賊によって滅ぼされた事で容易く覆された訳だけど。

 

 両親や村の大人達は殺され、私を含めた村の子供の数人はどこかに売られる為か、海賊達の奴隷にされる為か、殺されはしなかったが海賊に攫われ、船に乗せられた。

 船に乗せられた私たちは朝から晩まで海賊達に扱き使われ、食事も十分に貰えなかったし、文句や泣き言を言えば、容赦なく殴られた。

 私は他の子達と違って前世の記憶があるので泣いたりはしなかったが、他の子をかばって殴られていた。私も両親を殺されて酷く落ち込んでいたけれど、周りの子達の様子を見ていたら流石に精神は大人である自分が守らなきゃ、と変な使命感の様な物を感じていたし。

 多分、急に色々失った代償行為だったんだろうけどね。

 

 

 そうやって、辛い日々を海賊達の元で暮らしていたある日、私たちがいた海賊船が他の海賊船と戦いになった。

 私は子供達と一緒に隠れていたのだけど、どうやら向こうの海賊の方が優勢だったらしく、隠れていた部屋が戦いで興奮した向こうの海賊に見つかってしまい、殺されそうになった。

 パニックになった私も子供達も何とか部屋を出て、戦場になっている船をバラバラに逃げた。

 私も他の子にかまっている余裕なんて無くて、死にたくない一心で逃げた。

 

 海賊のいない方へ、いない方へ、と逃げていたら、私はいつの間にかに隣接していた向こうの海賊船の中に逃げ込んでいた。向こうの海賊の方が優勢だったので、乗っていた海賊船が攻め込まれていたせいで海賊が少なくなっていたからだと思う。

 

 私が走るのを止めたのは、その海賊船のある部屋に入ってからだった。

 まだ、聞こえている人の悲鳴や怒号などの争い合う音に怯えながら、私はその入った部屋で隠れそうな場所を探していた時、偶然にとある物を見つけた。

 

 傘模様の奇妙な果実――悪魔の実。

 漫画、ワンピースに出てきた食べれば泳げなくなる変わりに特殊な能力を得る事のできる果実。

 

 それを見つけた私は迷わずにそれを口にした。

 怯えていた私は力が欲しかったから。死にたくないと、少しでも何かにすがりたかった。

 

 今、思うとかなり軽卒な事をした思う。

 悪魔の実を食べたからといって、直ぐに能力を自在に操れる訳でもないし、実によってはその時の状況では何の役にも立たない事もあった。いや、役に立つ事のほうが明らかに少なかった。

 それに、向こうの海賊が勝っても殺されない可能性もあった。その場合は環境は変わらなかっただろうけど。

 それを、売れば最低でも一億ベリーになる悪魔の実を勝手に食べたりしたのだから、確実に殺される様にしてしまった。

 本当に軽率と言わざるを得ない。といっても、あの時の精神状態では仕方のない事か。

 その結果、今私は生きている訳だし。

 

 それが、良かったか、悪かったか、は分からないけど。

 

 

 私が能力の判別方法が分からないことに気がついて焦っていたら、運悪く戻ってきた海賊に見つかってしまった。

 今度は先ほどと違って標的が私しかいなかったので、子供だった私に逃げ切れる訳も無く、私は殺される道しか残ってなかった。

 

 

 

 私が悪魔の実を食べていなかったらね。

 

 

 火事場の馬鹿時からとでもいうのか、死を目前にして悪魔の実の能力が暴走。

 黒い霧みたいな物が体から出たと思ったら、私を殺そうとした海賊が急に倒れて、苦しみだした。海賊の体には黒い斑点が、みるみるうちに幾つもでき、最後には体中から血を噴き出して、死んだ。

 私はその光景を目を見開いて、ただ呆然と見つめる事しかできなかった。

 

 

 あまりにも突然な事に放心していた私は、かなりの時間が経ってから、先ほどまで五月蝿いくらいに響いていた戦闘の音がしないのに気がついて、正気に戻った。

 戦闘の音どころか、人の声もしない。

 私はヨロヨロと立ち上がり、血塗れの死体を避け、恐る恐る部屋から出て見る。

 しかし、やはり何の音もしない。近くに人がいる気配もしない。

 

 流石に可笑しく思った私が戦闘が激しかった甲板に出てみると

 

 

 

 

 

 

 甲板には、黒い斑点が付いた海賊達の死体とその海賊達から噴き出た血が一面に広がっていた。

 

 

 

 

 

 私が食べた悪魔の実は超人系、ゲホゲホの実。

 私はありとあらゆるウィルスを生み出し操る事のできる、ウィルス人間になっていた。

 

 能力が暴走して出してしまった黒い霧は目に見える程、高密度の致死性と感染力が異常に高い、凶悪ウィルスの塊だった。

 

 結局、両方の船で生きていたのは私だけ。

 子供達も海賊に殺されてずに生き残っていた子も体中に黒い斑点を浮かべて、血の海に沈んでいた。

 

 

 生き残りはしたが何もかも失ってしまった。それでもどこかで落ち着いた部分が残っていたらしく、私は海賊達に扱き使われていた時に何とか覚えていた拙い航行技術で小船を動かし、近くの島へと辿り着かせ、私は一人生き残った。

 

 

 

 

 それから私は、ずっと一人で生きてきた。能力のせいだ。

 

 悪魔の実は非情に希少な物で、偉大なる航路以外ではまず見る事は無い。それ故、悪魔の実の能力者は偉大なる航路以外の海では不気味がられ、忌避される。

 私の悪魔の実は見た目は何も変化しないので、能力を使用しなければバレないと思っていたのだけれど……元々、悪魔の実の能力の制御は非情に難しい。能力を得たばかりの頃はうまく扱えずに暴走させてしまったり、体が変わる物は勝手に変化させてしまったりもする。

 

 それが、私の場合は驚いたり、衝撃を受けたりすると、ウィルスを多少漏らしてしまうというかなり厄介な物だった。漏らすウィルスは感染力も効果も風邪を引く様な低い物だったけど、忌避されるには十分だった。

 

 

 

 私もそんな危険な能力を放っておく訳にもいかず、何とか制御しようと努力して、思いついたのが今の私――黒谷ヤマメだ。

 悪魔の実の能力はイメージが重要であるらしく、使用者のイメージ次第でありとあらゆる使い方ができる。もちろん全く別の性質にする事はできないが、やりようによっては、自身の能力に関する概念的な効果を発揮する事さえできる。

 私はそれを前世の記憶から引っ張って来る事にした。

 

 黒谷ヤマメ――前世で嵌っていたシューティングゲームのキャラクター。土蜘蛛の妖怪で『病気を操る程度の能力』という能力を持っている。今の私の能力をイメージするのにこれ以上の物が無かった私は少しでも自分を黒谷ヤマメに近づけようとした。

 

 まず見た目からと、黒い服の上に一風変わった茶色いワンピース――そのワンピースはお腹から膝にかけてまでが丸く膨らんでおり蜘蛛のお腹に見え、その膨らんだ部分にくすんだ黄色いリボンを何重にか巻いている――に変え、それを常に着る様にした。

 

 髪は元々、ヤマメと同じ金色なのでそのまま茶色リボンで縛って、短いポニーテールにする。

 

 そして口調も変えて、最後に黒谷ヤマメと名前を変えた。

 どうせ私の名前なんて、もう知っている人もいないのでどうでもよかった。

 

 

 それにそのおかげか、実際にその成果もあり、能力の制御は格段にうまくなっていき、今ではウィルスを漏らす様な事は無くなった。

 それでも、人に忌避される事に変わりは無かったけどね。

 

 

 そんな私が生きていく為には能力を使って金を稼ぐしかなかったが、だからといって村を滅ぼした海賊の様にはなりたく無かった私は、その海賊などの賞金首を捕まえる立場の賞金稼ぎになる事に決め、そのままズルズルとやり続けて今に至る。

 

 

 

 

 強力な能力のおかげと、東の海という比較的強い犯罪者が居ない環境のおかげで、報酬の割に危険度が低くて辞め難いのよね。

 

 ただ最近、凄く虚しく感じる。

 

 私には生きる目標がない。叶えたい夢がない。

 転生してから、あまりにも多くの事がありすぎて、我武者らに生きる事しか考えていなかったせいだ。

 

 旅をしながらお金が尽きたなら、適当に賞金首を狩って稼ぐ。そんな風に当てもなく旅をしてきたけど……

 

 

 

「私は一体、何がしたいのかな?」

 

 

 私はここ最近、ずっと考えている事を、今夜も深く、深く、自分に問いただしながら目を閉じた。

 

 

 

 

 黒谷ヤマメになりきる事で誤摩化して生きている空っぽな自分に、何も無いなんて気がつかずに。

 




まぁ、特に書き直しもしていないので、あとがきもまえのをそのまま乗せます。

以下前のあとがき。

これは「絶対正義」を書く前に、どの作品を書くか悩んでいた候補の一つです。
「絶対正義」のプロト品みたいな物なので、ジャンルはほとんど「絶対正義」と同じですが、憑依が転生になっており、また、こちらはウツホに比べてかなり弱いです。
それと、話が未完成過ぎて没にした物なので、かなり分かり難い作品です。(読み返してて、自分ですら何がしたかったのか分からないという罠w)
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