落第騎士の英雄譚–力の求道者–   作:黒乃 柳

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他作品そっちのけで書いていたものを投稿してみたいと思います、作者は騎士やら魔法等ファンタジーな作品や所謂王道物が好きですが書きたい時に書くスタンスなので基本遅筆ですf^_^;




第一章 プロローグ及び外伝
求道者


 

——俺は英雄が嫌いだ。

 

否、言葉が足りないな…俺は英雄という存在を"崇めるだけの弱者"が嫌いだ。

彼の新撰組の沖田総司にしろ土方歳三にしろ個人だろうが集団戦だろうが他者を殺めた上で戦場で散っていった。

 

其れは良い、戦場に立つという事はそれ則ちリスクを犯すという事、自然の摂理…当たり前な事だ。

 

——だが、自分では何もしやしない屑が彼等の名を引き合いに出し剰え自分の都合の良い様に尾鰭を付ける…そんな構え方に腹が立つ。

其れは神話に於いても同じ事が言える…特に俺の一族、《黒之》は……

 

「……何時迄隠れてるつもりだ?」

 

「…………流石は元世界ランキング3位…といった処か、気配は完全に消したと思ったのだがな…。」

 

常に死角を取る様に後を追っていたのだが途中で余計な雑念が入っていた様だ、月明りを反射させ乍2対から成る釵の鈎に親指を引っ掛け人差し指で柄を押さえる…所謂逆手持ちで彼女、新宮寺 黒乃の前へと姿を現す。

 

 

「確かに気配は完全に消してたな、ま…逆に不自然過ぎた訳だが…御前程の魔力が急に消えたら嫌でも気付く。——目的は何だ?」

 

「……今後の参考にする、…俺は強い者と闘いたいだけだ…——KOKに出て来る様な…そう、貴様の様な強者を倒す事が俺の全てだ…ッ!!」

 

KOK(King Of Knigths)…伐刀者同士の格闘競技、現在は引退してしまったが新宮寺 黒乃は時間を操る因果干渉系の異能を以て世界ランキング3位という座を欲しいままにしたが結婚を機に引退した。

今日、破軍学園に気配を消して彼女の動向を観察していた彼にとっては其れは口惜しい等という生易しい言葉では現せられない…遥々インドから彼女に逢い、其れがどの様な形であれ闘いたいと願った彼にとっては。

 

「…やれやれ…熱心なファンかと思ったらその実戦闘狂の類とはな、悪いが御前の相手をすr「——初めからこうすれば良かッたな……自衛の為なら交戦も止むなし…だろう?」…ッ!」

 

(此の私が気付かれない内に間合いに入られた…、私と同じ系統の伐刀者と観るべきか?)

 

即座に双銃を顕現させ柄により破壊力を増した正拳突きをいなす新宮寺、然し…其れはフェイク。

本命はその勢いを活かし鋭利な先端を掴み鈎で首筋を狙う一撃であった…!

 

「ち…ッ、器用な奴だな…!」

 

「御前程の強者に力押しだけで勝とう等甘い事は考えん……其れに、まだ隠し玉は残っているぞ?」

 

長年培われた感とでも云うべきか、横跳びで躱し銃弾を放つ新宮寺、其の連射速度たるや常人の想像を超えるが襲撃者は空いた方の釵で致命傷に繋がるものは全て弾き切り右手に持つ釵の形態を変化させる。

 

柄を始め獲物を刺し貫く為の3つの鋭利な先端は変化し三叉槍へと様変わりを果たす、其の長さは凡そ2メートル…左手の釵も同様の変化を果たすが長さは1,5メートルと若干短い

 

「壊せ…三都破壊者(トリシューラ)

「拒絶せよ…決して征服されぬ者(アダマス)

 

 

「霊装が二種類…だと?」

 

目の前の光景に少しばかり面を喰らうが攻撃の手は緩めない、然しながら左手で扱う決して征服されぬ者(アダマス)は銃弾を弾く処か"真っ二つ"に斬り裂かれる有様。

 

「……我が左手の槍は万象一切を斬り裂き何人の干渉も受け付けん、——そして、右手は全てを屠る終焉の焔と化す…ッ!

憤怒の…!(パスパ…ッ!)「其処迄で良いんじゃないのかい?悠坊?」……夜叉姫か…」

 

右手の三叉槍に膨大な魔力を貯めた処で待ったが掛かる、声の主は年若い襲撃者にも新宮寺黒乃にも面識がある人物であった。

 

「…御前の差し金か、…たく…何なんだ此奴は?」

「あはは♪いんやぁ、私も襲われた口何だけど中々勝負が付かないからくーちゃん処に行けば愉しめるよー…っていたたたたッ!?」

 

「ほほぅ…つまり元を糾せば御前さえ口を滑らせなければ私が面倒を被る事も無かった訳だなァ?」

 

 

目の前で顳顬をぐりぐりと拳骨で圧迫され涙目に成る夜叉姫こと西京寧音、彼女こそが現KOKリーグ3位の実力者であり重力を操る猛者である

だが…今この時を於いて彼女の背丈が背丈故に悪戯を咎められている少女にしか見えない、悠坊と呼ばれた襲撃者は黒いフードを脱ぎ捨て溜息を漏らす。

 

「………西京、感謝だけはしておく…彼の侭ヤりあっていたら引き分け…否、それすら解らんな…」

 

射干玉の如き髪を背中迄伸ばし瞳は茶色、肌は日焼けの所為か多少赤黒く鼻筋は通っており全体的に整った顔立ちはあどけなさを感じさせる。

流暢な日本語が彼を日本人である事を物語っている、其の彼が黒乃の双銃に一度だけ視線を送り西京へと頭を下げる

 

「おンやァ…らしくないじゃないのさ?"眼"で観たのかい?」

 

茶化す様だが何処か愉しげに笑う西京、何の事だか解らない新宮寺は煙草を取り出し火を点ける。

 

 

「……俺には未だ完勝する実力が無いと悟っただけだ………望むのは圧倒的勝利

…悪鬼の如き存在……未だ足りん…全然な。」

 

「…私としても結婚して幸せな時期に厄介事は御免だが名前位名乗るのは筋だろう?」

 

新宮寺の言い分も最もだ、と紫煙を吐く彼女へと再度向き直る、強者との闘いを異常な程渇望するだけで根は真面目気質なのだろう。

 

「……黒之、黒之悠騎(くろのゆうき)だ…」

 

「黒之…か、一応聞くが解放軍じゃないだろうな?」

 

黒之、という姓と先程の西京の科白を統合した結果目の前の青少年が何者か把握し始めた新宮寺だが悠騎は首を横に振る

 

「……一時期エーデルワイスと戦う為だけに居たが今はフリーランスの傭兵をしている、尤も最近では名ばかりが拡がって商売上がったりだがな。」

 

此の発言に対し新宮寺は疎か西京ですら絶句する。

エーデルワイス、世界最強の騎士にして史上最悪の犯罪者…然し人命救助を率先したり等不可解な点が多い人物と相対する為"だけ"に犯罪組織にすら身を置く執念にもだが1年程前に本気の彼女と刃を交えた少年の話を風の噂程度には聞いていたのだ

 

「…こりャまた…流石というか何というか……」

 

「……で、唯戦う為だけに日本に戻ってきた…と…《時空の翁》に一族郎党皆殺しにされた唯一の生き残り……取り敢えず御前の素性は解った、其の上で私から提案があるが…聞くかい?」

 

 

新宮寺からの提案、其れは唯ひたすらに力を望む悠鬼にとっては新たな戦いの舞台を得る事に成る。

 

其れが憎悪に満ちた少年の心を癒すか否かは今は未だ、誰にも解らない。




次話から本編へとなりますが今回の話の時系列的にはステラが日本へ来日する半年程前になります、その他疑問や質問があれば答えられる範囲であれば御答えしたいと思います。
では、今回はこれにてm(_ _)m
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