落第騎士の英雄譚–力の求道者–   作:黒乃 柳

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外伝の後書きにありましたが今回は楽しい楽しいお買い物回です、…少なくとも前編は()女装が苦手な方は注意願います!?(・_・;?


強いられる犠牲–女装–

「……矢張り入り込んでいたか、御苦労だったな」

 

「お手柄だねェ…流石は《悪魔》とも言えるけどさァ?」

 

数日後の放課後、有栖院凪の正体を明かすべく理事長室で新宮寺と西京、俺の3人が顔を合わせる、凪には事前に報告する旨を伝えたが動じた様子は無く寧ろ俺に身柄を委ねてきた

 

 

「…別に手柄という訳では無い、…で…奴を如何するつもりだ?」

 

「さて…如何したものか……御前は如何したいんだ黒之?」

 

にやにやと笑いながら手を組み此方を見詰める新宮寺、こういう笑みを浮かべる此奴は相手の内面を見透かしている様で嫌いだが…仕方が無い。

 

 

「……奴に学ぶチャンスを与えてやってくれ、学業だけではなく友人関係から学ぶ事もある筈だ……お願いする、理事長。」

 

以前彼奴を含め解放軍に居た同年代の者達を裏切ってしまった負い目もある、だが其れは抜きにして彼奴は未だやり直せる…その機会を与えてやってほしいと頭を下げる俺に新宮寺は煙草に火を付け椅子から立ち上がり

「何時も理事長と呼べば良いんだがな、…御前が見張っているなら奴も大した事は出来んだろう…今後も眼を光らせておけよ…くく…っ」と含み笑いを浮かべ部屋から出ていった

 

 

「くーちゃんたら悠坊の事を何気に認めてるんだねェ…、私も戦闘力や人柄は認めてるけど」

 

「………支払われた対価と信頼に見合う分は応える、解放軍と違って金払いも良いし金の使い方にとやかく言わないからな」

 

 

残った西京までにやにやと笑う、…笑うな、俺だって恥ずかしいんだ、努めて真顔で接するが…

 

 

「あ〜…個人授業だけじゃないんだっけ?まぁ一時期傭兵業界を席捲した《悪魔》を雇う金が一般教師の給料以下なら安いもんなのかもねェ、——にしてもさァ…割と似合ってるじゃないのさ?じ ょ そ う ♪」

 

 

元から顔付きは綺麗所だからかね〜♪等と宣いひーひーと腹を押さえる西京……笑えぬ様に口にガムテープでも貼って簀巻きにしてやろうか?と黒い感情が芽生えるが背中を向け顔を見られぬ様にする

 

 

「……授業が終わってすぐに捕まってな…ポーカーに負けたら女装して半日過ごせと彼奴()が言うものだから…此処まで来るのに他の生徒に出逢わないか不安だった。」

 

日焼けした小麦色の肌、髪は後ろに降ろしリボンを後頭部に着けている。

胸パッドと何処から入手したのか聞くのもおぞま…恐ろしい絵のモデルが着ていそうな長袖のピンク色のドレス、薄紅色の口紅と濃すぎない化粧、脚はドレスの丈に隠されており男と見破るには声で判断するかスカートをまさぐりアレを触る以外無いといったかなり本格的な女装に流石に恥ずかしくなり身を捩る俺に足音も無く西京は近付き

 

 

「…いやァ…割と声さえ何とかしちまえばバレないと思うけどね〜、ていうか声を聞く迄私もくーちゃんも誰だか解らなかったし。敵ながら見事というか何というか…良い仕事するねェ♪」

 

教育者にあるまじき発言をする…そういえば今は亡き妹も似たような事を言ってた「|私『わたくし』達は姉妹ですよ〜、お兄様は実は男の子の皮を被った女の子なんです♪」…と、成長期だからだろう、きっと二十代、せめて三十代になったら男らしく……ショックを受け思考が纏まらない部屋を後にする

 

 

「行っちゃった、…まぁ、喋らなきゃバレないだろうし何より楽しそうだからいっか♪」

 

—————

———

 

「………は、誰にも見られていないか?」

 

暫く歩き我に帰る、気付けば自室の前だったがふと背後から誰かが走り寄る音が聞こえ慌てて振り向く

 

 

「あら……えっと…何方ですか?悠騎さんの御友人ですか?」

 

 

珠雫だった、如何やら俺に用がある様だ…慌ててはいるが潜入調査もしていた事がありその経験を活かし声帯を変える

 

 

「…私は春姫、悠騎お兄様の妹です、珠雫さん…ですか?」

 

 

すまん春姫、死後の自分は売り渡したも同然だが死んだら殴って良い、というか殴ってくれ…!

 

 

「そうなんですか?……確かに似ていますね、背格好なんてそっくり。…確かに私は珠雫ですが…何故知っているのですか?」

 

怪訝そうに眉を寄せる、尤もな疑問だ。

 

「二卵性の双子ですの、でもお兄様の方がほんの少しだけ高いですし…知っている理由はお兄様から聞いた特徴に一致しているからですわ、もう一人の妹みたいで可愛いと思っている…と」

 

真実を織り交ぜる、二卵性の双子という点は真実、可愛いと思ってるというのも真実…嘘なのは俺が春姫に扮しているという点だけ、それ故に心苦しいが珠雫は何故か俯いて頬を染める。

 

「…そんな……恥ずかしい……」

 

…何だか良く解らないが照れている様だ、此れは…チャンスだ

 

「…実は実家の方で如何してもお兄様が出席なさらなければならない法事が…鍵を預かってはいるのですがその間御部屋を片付けておこうかと思って来たのです…お兄様に何か御用事ですか?」

 

鍵をちらつかせ真実味を持たせる、後で黒鉄やステラを抱き込む必要はあるが背に腹は代えられない…変態扱いされるよりはマシだ

 

「そうなんですか?……実は明日、お兄様とお買い物を出来る事になったんですが宜しければ御一緒に…と思ったんです、そうだわ、春姫さん、一緒に如何ですか?何だか春姫さんからは私と同じ感じがするんです」

 

記憶の中の春姫を脳内で成長させ演じている為か如何やら俺とはばれていないらしい、此処で断れば蟠りは残るが…色々な意味でアブナイ橋を渡るのもどうかと悩んでいたが後から来た"元凶"が見事に退路をブチ切ってくれた。

 

「あら、断る理由は無いわよね?寮生活なら色々買い込んでおいた方が良いもの♪」

 

「アリス…?」

 

恐らく影から全て見ていたのだろう、珠雫は何時の間に?とばかりに振り返り首を傾げていた、ついでに俺は奴を睨んでやると肩を竦めつつ俺に近付き背後に回り込む

 

 

「うふふ、此処で逢ったのも何かの縁、一緒に行きましょうよ春姫?」

 

 

………如何やら俺は犠牲を強いられている様だ、女装してもう一日を過ごす俺という名の犠牲を。

 

 

「………特に用事はありませんわ、行きましょう?珠雫さん、アリス(イケホモ)さん」

 

—————

———

 

当日、黒鉄とステラには事情を話し半ば呆れられながらも助力を仰ぐ事に成功した。

無論の事あのオカマにも最高の女装を施す様に言った処断る処か大喜びし所謂ゴスロリ衣装に着替えさせられるが此れならある程度のアクションをしてもばれないだろう

 

「「…………」」

 

…黒鉄とステラの視線を感じる、だが生暖かい感じではない…気付けば黒鉄の脚をステラが踏んでる

 

「…ぁ、あはは…えっと…春姫さんだっけ?今日は宜しくね?」

 

「綺麗な女性(ひと)よね、私からも宜しく、ハルキ」

 

 

綺麗…だろうか、確かに幼少期は春姫と入れ替わっても気付かれないという事はあったが…ふと横を見遣ると凪がにやにや笑っている、脚を踏み潰してやろうかとも思うが何処か上機嫌な珠雫の手前それは出来ない

 

「うふふ!」

 

「む〜っ」

 

「本当に驚きました、まさかステラ殿下のように高貴な方が興味を持たれるなんて、私達兄妹や庶民が好む娯楽に」

 

 

「日本の事をもっと学びたい、って言ったら誘ってくれたのよ?私のご主人様のイッキが」

 

珠雫は|俺『春姫』が俺を好いているから黒鉄に手を出さないと信じているらしい、警戒されるよりはマシだが目の前で繰り広げられるキャットファイトに黒鉄は「ははは…」と力なく笑う、気持ちは…解らなくもない

 

 

「殿下が学ぶべきなのは、遠慮とか空気読むとかじゃないですか?」

 

 

「空気読んだからこそよ、実の兄にキスする妹とお出かけなんて危険すぎるもの!」

 

 

まだやってる、毎度毎度飽きないものだ、空気を読んだのか黒鉄は話題を変えようと凪に話し掛けていた

 

 

「えーっと…それで君は?」

 

「珠雫が誘ってくれたの、珠雫のルームメイトの有栖院凪よ、アリスって呼んで?」

 

 

「アリス…?」

 

…解る、というか俺もそうだった、俺より僅かに高いオカマを爪先から髪先迄見詰める黒鉄、恐怖のカマ王はしなをつくり

 

 

「いやぁだぁ〜いきなりそんなじろじろ、…お兄さんのエッチ!」

 

 

…誰か、俺の|SAN値『心のライフ』が0になる前に此奴を始末してくれ…あ、此奴が始末屋だったな、其れも一流の。

 

 

「…御免、でも…その…男だよね?」

 

ステラが黒鉄をじーッと見つめている、此れ以上何をする気だ?

 

 

「生物学的にはね?でも安心して、心は乙女よ!」

 

珠雫は凪を見つめている、…如何か霊装を出すような事態にはならないように…。

 

 

「いや、安心する意味がよくわからないけど…」

 

 

……言いたい事があるならちゃんと言うべきだ、ヒトとは理性と知識の生き物だからな

 

 

「ふふっ、お兄さん真面目なのね?でもそういうの素敵……悠騎お兄さんが本命だけど…」

 

否、謹んで遠慮する、所帯を持つ気は無いがかといって俺にも選ぶ権利がある。

後、珠雫もちゃんと言うべきだ、此のマイペースオカマが聞き届けるか如何かは別として

 

 

「あたしも狙ってみちゃおっかな…♪」

 

 

あ、地雷踏んだな…俺でも今、薔薇の園が見えた。

 

 

「冗談!冗談だから珠雫ソレしまって!」

 

「珠雫!それまた校則違反だから!」

 

 

じと目で宵時雨を顕現させる珠雫、此れには流石にフォローは出来ない…無論野郎二人のフォローだが。

 

—————

———

 

 

「ちょちょっと珠雫!アンタ何してんのよ!?」

 

「何って…ごくごく一般的な兄妹のスキンシップですが?」

 

暫く経ち何とか珠雫を落ち着かせた黒鉄は彼女と手を繋ぎ歩いていた、とても嬉しそうで見ている此方も自然と口許が綻んでいたがステラは其れに異議を唱える…何か問題でもあるのだろうか?

 

「昔から良く手を繋いで歩きましたよね、お兄様?」

 

 

「はは、まあそうだよね」

 

 

懐かしい…俺と春姫もそうだった、良く泣かされたな……お菓子を取った取らない等今となってはくだらない事で

 

 

「だったら…私も…」

 

…成る程、仲睦まじい兄妹のスキンシップだが羨ましいのか。まぁ祖国を離れてホームシックに掛かったと考えれば納得だ。

 

 

「あれ?ステラさんはお兄様の下僕なんですよね?いえ、良いんですよ?手を繋ぎたければ繋いでも?でも肉親でもない異性と手を繋ぎたがるなんて、まるで特別な感情があるみたいですよねー?

は!まさかステラさんは!?」

 

 

矢継ぎ早に口を開く珠雫、特別な感情?唯のホームシックじゃないのか?

 

 

「そんな事ないわよ!私はイッキの下僕!唯其れだけよ!」

 

 

「なら手を繋ぐ必要はないですねー、さっ参りましょお兄様!」

 

 

ふむ…如何やら俺にはまだ預かり知らぬ事がある様だ、まぁ全てを把握するのもプライバシーの侵害だ、黒鉄の部屋からステラの悲鳴が上がった翌日何故か黒鉄の頬が腫れていたが良く知らないし気付かなかった事にしたしな

 

黒鉄の腕を引っ張り先を歩く珠雫の背中を見遣りながら一週間程前の事を思い出し一人頷く

 

 

「お兄様今日は何を食べましょうか?」

 

「何でも良いよ」

 

 

「ん"ん"ん"ん"…!」

 

 

言葉にならない言葉を発し憤りを露わにするステラを凪と共に宥める

 

 

 

「バカイッキ!シスコン!優男!女ったらし!変態!シスコン!」

 

「……シスコンを2回言っているぞ、まぁあの2人にしてみれば4年ぶりの家族のスキンシップなんだ、寛大な気持で一歩譲るべきだと思うが…」

 

「珠雫ったら今日はハジけてるわね、後お兄さん、其れは火に油を注いでるわ」

 

…本当に、水と油というか犬猿の仲というか……あ、犬猿の仲でも春姫ともめたな…桃太郎のお供なのに喧嘩するのか?と

そんなくだらない事を思い出している間にショッピングモールの管制室では…

 

 

 

 

 

「おい、そろそろ交代だろ」

 

「ああ、そうですね」

 

「………」

 

—————

———

 

 

「うわーっ!これ美味しい!!」

 

「確かにクリームが濃厚で後をひきます」

 

「でしょー?此処久しぶりの大当たりだったから教えたくて!ほら、春姫も食べて食べて!」

 

「……あら、本当に美味しいですね…♪」

 

「でもアイス系なら3階のお店がオススメよ?後で一緒に行きましょうね、春姫?」

 

…此れはつまり…珠雫には黙っているから食べ物巡りに付き合え、という事か、パフェを食しながら青筋が立たぬ様必死に堪える

 

 

「…アンタ詳しいのね、ハルキは甘い物は好きなのかしら?」

 

だが、此方にはステラと黒鉄が居る、フォローに入ってくれたステラに感謝しながら微笑みを浮かべる

 

「えェ、好きですよ?昔は良くお兄様に茶化されましたが矢張り双子というべきか…食べ物の趣味は似ています♪」

 

 

(なに、この綺麗なのに可愛い生き物…!)

 

…何か、気のせいかステラが俺を睨んでいる、何かしただろうか?

僅かばかりに戸惑う俺だったが視線を気にしてか珠雫が会話を振ってくれる

 

 

 

「美味しいお菓子と可愛いお洋服の事ならアリスの右にでる人はいません、ねっ?後で悠騎さんへのお土産も買って帰りましょう?」

 

 

「ふふっ、生きがいですもの。そうね、少し身体がぽかぽかするお薬が入ったお菓子でも食べさせようかしら♪」

 

 

……絶対此奴が用意した食べ物は喰わない、何を食べさせられるか解ったもんじゃない。

殺気を抑えるのも限界を迎えた辺りで黒鉄が何気なく珠雫の口許に指先を伸ばす

 

 

「折角綺麗な恰好してるんだから気をつけないと」

 

「あわわわ…っ」

 

何だか顔が紅い、口許についたクリームを指先で掬い取り舐めただけにも拘らず…初々しいものだ

 

 

「あら?珠雫って攻撃力ばっかりで守備力がないタイプ?」

 

 

「だ、黙っててアリス!突然で吃驚しただけよ!」

 

 

未だに顔が紅いが如何やら少しは余裕を取り戻した様だ、安心しつつも視線を正面に戻すとトンデモナイモノが其処には在った

 

 

「げふん!げふん!」

 

「いっ!?」

 

「なに?私の顔に何か付いてる?」

 

 

「ついてないと思ってる事が驚きだよ!?」

 

 

全くだ、髭でも剃るのか?と言わんばかりに口許全体にクリームが付着…否、意図的に塗りたくられている

 

 

「もし何かついてるなら…珠雫にしたみたいに取ってくれてもいいのよ?」

 

 

いや、何か付いてるとかそういうレベルじゃない、寧ろ何かに|憑『つ』かれたか…この皇女は、母が健在なら相談するのだが…。

 

 

「もうそういう次元じゃないしね…今タオル借りてくるから」

 

 

「ちょ!ちょっとイッキーッ!!」

 

 

ほんの少しだけ本気で心配していたが如何やら杞憂だった様だ。

 

 

「ステラさん…貴女もしかしてアホですか…?」

 

「ふふ、結構可愛いところあるのね?ちょっと応援したくなっちゃった、ねぇ春姫?」

 

「え…えぇ。(何だ、唯のアホだっただけか)」

 

「ぐっ…煩いわね、もうっ!」

 

その後、黒鉄に拠りむくれっ面を拭われつつも何処か嬉しそうなステラを見ていたが凪に連れ出される形で男子トイレへと向かう事と成る

 

—————

———

 

「其れにしても二人には驚いたよ、あの珠雫が二人には心を許してるみたいだから」

 

用を足し凪に化粧をされながら兄としての黒鉄の一面を垣間見る、彼は彼なりに珠雫を見ている様だ

 

 

「あら、そんなに驚くような事?」

 

 

「繊細で人見知りで…そうそう人に懐く子じゃないんだよ、特に異性には」

 

「まあ、私は女だし?…悠騎お兄さんは天然人誑しだし今は春姫ちゃんだしねェ♪」

 

「…一言余計だ、……彼女が人に不信感を抱いているのは気付いていた、施設の子等が似た様な雰囲気を纏っているからな。—そんな彼女が御前を追い掛けて破軍に入学したその意味を深く考えてくれ…"想いの強さ"をな」

 

「…そうだね、兎に角お礼を言いたくて、珠雫と仲良くしてくれて有難う…二人とも」

 

 

頭を下げる黒鉄、兄妹仲は良好な様だ…冗談混じりに胸パッドを揉み回す凪の脚を軽く踏ん付け距離を取りつつ此方に近付いてくる"二人組み"の気配に気を配る

 

 

「本当に珠雫やお兄さんが言った通りの人ね、強くて、とても優しくて…でも、だからこそ貴方は…」

 

「え…?」

 

「ううん、何でもないの、忘れて?」

 

 

「…二人ともお喋りは其処までだ、有栖院、解ってるだろう?」

 

「もう、お兄さんのせっかちさん♪——隠れるわよ、二人とも」

 

凪とは二、三回仕事を共にした仲だが割と呼吸は合う方だった、阿吽の呼吸とも呼べる運びで黒の隠者(ダークネスハーミット)を顕現させ黒鉄の手を引きながら影の中へ身を隠す

 

数秒後

 

 

バタンッ!

 

「ヒャッハーッ!!」

 

 

ズガガガガガガガガガッ!

 

 

「おい、人が居たら人質にしろって言われてるだろ!?」

 

「わーった、わーった!でも一瞬で誰も居ない事が解っただろ?」

 

バタン

 

「ひょっとするとこのモール…」

 

「占拠された…!?」

 

「かもね、悠騎お兄さんは如何思う?」

 

「……武装や状況からして恐らくテロリストだろうな、一般的な指揮官なら先ず管制室に少数精鋭を送り込み間取りを確認した後人が密集している処を大多数で叩く…大方今は取り零しを集めている処だろうが…どちらにせよ今は状況把握が優先事項だろう、仮に人質が居た場合動くに動けん」

 

「そうね、確かめに行く必要が有りそうなのは間違いないわ」

 

影の中から再び外へ、見るも無惨な無数の弾痕…少なくとも誕生日サプライズには見えない、回線が生きていれば良いが…。

 

「それが君の霊装…」

 

黒の隠者(ダークネス・ハーミット)影を操ることができるの、影の中を移動する事もね?行きましょ、珠雫達が心配だわ」

 

「うん!」

 

(ステラ…珠雫…ッ!)

 

—————

———

 

『犯人は伐刀者を含むグループで、莫大な金を要求しているらしい、警察からの応援要請がきている、お前達5人の学外での霊装使用を理事長権限で認めよう』

 

「有難う御座います、理事長」

 

『くれぐれも無茶はするなよ…其れから、其処に黒之は居るか?』

 

「はい、居ますが……悠騎君、理事長先生が」

 

「……代わった、何か用か?」

 

運良く通信が生きていた為外と通信を取っていた黒鉄の生徒手帳を受け取り新宮寺と会話を交わす

予想通りの流れだ…此の場合人質というのは最悪一人でも充分である…国賓扱いで日本に居るステラ・ヴァーミリオン、命に優先順位を付けるつもりは無いが生憎犯罪者組織というものはそうもいかない。

彼女の人と成りを知っている為出来れば迅速且つ的確に動きたいのだが…。

 

『…御前に限り伐刀絶技の使用を制限する、釘を刺す必要もないとは思うが—人質ごと犯罪グループを壊滅させられても困るからな、憤怒の壊炎は禁止だ、尤も他の伐刀絶技も際どいがな』

 

 

「……何かと思えば、問題無い…御前の生徒達を信じろ。仮に使う状況になったとしても黒鉄達なら上手く避難するだろうさ」

 

 

ふ、と笑った後通信を切る、黒鉄に対する信頼の表れだろう。

 

 

「さてと、どうするの?聞いた感じではステラや珠雫も捕まっているでしょうし…」

 

「…其れは矢っ張り隙を窺っ「…其れで人質の安全を保証しきれない」…じゃあ如何するの?」

 

黒鉄の言葉を遮った以上俺が言い出しっぺだ、まさかこんなものが役に立つとは思わなかったが今は使えるものは何でも使わなければならん。

二人に俺の考えを伝えると凪は妖しく笑い、黒鉄は止めに入るが首を振り制止する

 

 

「——議論する時間があるなら一人でも多く救う為に行動すべきだろう?後は任せた…俺は俺の役割を果たす。」

 

 




次回はシリアス回…になると思います。
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