「して…あの
悠騎達が寮へと戻った夜、何処か憤りを隠せずにいる銀髪の男は見事己が孫の心を射止めた女騎士へと左右非対称の双眸を向け問い掛ける
其れは肉親を心配しているというよりは己もまた、一族の仕来たりに従ってきたにも関わらず其れを拒み《管理者》としての自覚も意識もなく只の人として振る舞う愚孫に対する怒りである。
そんなエゴ、本来なら答える気には成らないが生憎義理と義務がある為必要な事のみを簡潔に答えるエーデルワイス。
「……伐刀者としても武芸者としても…肉体的にも技術的にも強くなっています。気功…東洋の神秘とでも言うべきでしょうね。
—何より、確実に
想い人の事を思いながら答える、彼が用いる気功術、あれは大きく分けて外気功と内気功があるのだが専ら使うのは外から自然エネルギーを取り込む外気功、それを外に排出する事なく内側に留め魔力と練り上げる等普通の気功では無い、謂わば仙術と呼ばれるソレに迄昇華しているのだ。
世の理のギリギリ内側で人外めいた力を発揮するのだが悠騎は一度…正確には家族を惨殺された際の発露を加えると二度その"外側"へと到っている。
故に彼女のその見解は正しくもあり間違いでもある。彼女は一つ見落としている…否、意図的に知らされていない情報がある。
——彼…黒之悠騎にはその時の記憶の前後はあれど其の瞬間の記憶が何方も無い
彼の師が彼と初めて逢った時と今際の際に施した呪法に拠り"自身が覚醒に到ったという"記憶を消去され改竄を施されていた、恐らくは彼のトラウマを少しでも軽減させる為と《トリシューラ》の暴走を恐れた結果だろう、神造武装…神代の時代に名を馳せたソレは人の手では模倣すら出来ぬ正しく"此の世を穿ち滅ぼす槍"なのだ。
尤も、仮に覚えていたとして、そして其の力を以てして時間を遡ったとしても同質の力を持つ黒之宗我が居る限り父母や妹、師を救えはしないのだが。
然し彼が"覚醒"について覚えていない事自体はエーデルワイスにとっては寧ろ喜ばしい事である。
何故ならば彼女は彼には魔人側に…此方側には来て欲しくは無い、少なくとも未だ歳若い彼には、と生来の優しさから来る思いやりが先立ってしまうから。
だが同時に生娘の様な事も想ってしまう。
『古い仕来たりや運命など関係なく2人で生きたい…真の意味で対等な存在として痛みも孤独も全てを包み愛し合いたい』…と。
そんな考えを見越した上で宗我は笑みを浮かべ「上々、上々…然ればそろそろ…代替わりの時期も近いかのぅ…」等と宣う、
「……難儀なものですね、神というのも…《クロノス》…時間と空間を支配し"幾つもの新たな未来を紡ぐ存在"一つ気になったのですが彼が貴方の跡目…《クロノス》として覚醒した場合、あの槍との契約は何の様に?」
「ふぅむ…前例が無い事じゃが観てみるかの…——ほほぅ、こりゃたまげた……理を捻じ曲げ屈服させるか、破壊神其のものじゃな…戦士としては兎も角《神》としては実力の10分の1も出しておらぬな、何せ儂等と同じ起源を持つのであれば《アダマス》の名を冠する武具を顕現出来る筈じゃ…尤も、儂も儀式を終えてから武具が変化した上に一種類増えたからのぅ…元々儂の霊装はこの鎧よりちゃちなもんだったんじゃが翼が生えた上に大鎌も顕現しおった。」
悠騎達の様子を見通す為に使っていた鏡を用い幾つもの並行世界の1人、黒乃想厳と呼ばれし荒神を観た上で《クロノス》として覚醒するという事は人の常識を打ち破ると悠騎の変化を拒むエーデルワイスに現実として突き付ける
『御前が愛した男は…あの能力を持って生まれた時点で人に疎まれる存在だ』と言わんばかりに。
事実、想厳は悠騎とコインの裏表と呼んでも過言ではない程生い立ちが似ていた、想厳の方が暦の上では先に生まれたが其れでも影と光と言って良い程似ていた。
——唯一違うのは妻以外に救いを得られたか如何かの違いだけ。
そのままあるシーンを垣間見た瞬間白き騎士は一瞬眉を寄せたと思えば…
「…………失礼します、急用を思い出しました。」
「ふむ…まァゆっくり休むが佳い」
何故か踵を返すエーデルワイス、彼女達が見ていた映像…正確には近い未来に高い確率で起こり得る記録に出た、ある"光景"を見た彼女の後ろ姿を見送る宗我だがふと違和感を感じTVの巻き戻し機能を作動させるように記録を再度観るとニヤリと笑みを浮かべ得心を得る。
「……世界最強の剣客も女じゃのぅ…彼奴等が望むであれば曽孫の顔を見るのも良かろうて…クク。」
—————
———
「はぁ…」
宗我に与えられた別邸迄早足で帰宅しそのまま着替える事もなくベッドに腰掛け知らぬ内に溜息が漏れる…我ながら如何かしているとは思います…ですが…堪えられない…!
「……貴方は私の大切な存在で…番で…_____なのですよね…なのに…何で…」
何かの間違いだと思いたい…
否…何かの間違いに決まっています、きっと彼は誑かされたのでしょう…優しくて、まるで名工がその生涯を懸け鍛え上げた宝剣のようにヒトとして綺麗な彼だから…
「…許せません…西京寧々…いえ、彼女1人を消した処で根本的な解決には…——そうです…いっその事……ふふ、ふふふふ…ッ!」
彼女、エーデルワイスは気付いているのだろうか、ハイライトの消えた瞳で妖しくも狂った様に笑う己の姿を
一度だけの逢瀬、もしあの場でステラが介入しなければ二人は更に燃え盛った事であろう。
それはそれでいい、寧ろ生物として当たり前の帰結なのだが……彼女からしたら漸く実った想いに冷水をぶっかけられた挙句近い将来浮気の芽を突き付けられた、最早強引な手段に出ても可笑しくはない程に彼女は狂い始めている
(あァ……今迄は遠くで観ているだけで満ち足りたのに今はもう…あれだけじゃ足りません…今日逢ったばかりだというのに…想いが溢れ出てきます…悠騎…ッ!)
暴れ出した感情はもう止まらない
溢れ出た水が器に戻らぬように…邪魔をする者はその狂刃の元に斬り伏せられるだろう。
——…尤も、彼女が何の様な行為に出たとしても彼女の想い人は大抵は受け入れてしまうのだろう…何せ別世界の彼はクロノスとシヴァ神、何方の神性も受継ぎ妻の為だけに一つの世界を破壊した後再生させた妻想いの男
故に、悠騎も例に漏れる事なくエーデルワイスを悲しませる様な真似はしない…筈。
例外があるとしたら彼が帰依していた宗教上、性知識(男根に関係がある為)はあれど恋愛経験が皆無であるという矛盾が齎す歪さだが…。
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———
「…ま、参った…」
(……こんなんじゃ勝った内に入らない…ユウキは…多分この学園の誰よりも…)
甲冑型の霊装を得物とする桃谷を威圧のみで圧倒するステラ、然し昨日の戦いを思い出し…否、あの戦場の跡を見て彼女は確信していた。
悠騎は明らかに手を抜いていた、それも4人掛かりにも関わらず針で刺す程度の力加減で。
仮に、一対一で相対した場合自分は如何なるのか…果たして勝てるのか……そもそも勝負になるのかすら…不安と同時に対一輝戦の時にも抱いた興味が彼に向けられる。
(行こ、ユウキの試合って確か今日だった筈だし急いでシャワーを浴びれば間に合うわよね)
—その考えは甘かった、彼女は忘れていたのだ…彼の学内での知名度と同じ程の悪名を。
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「……何か弱点は観えたか?」
「あれ…今日試合じゃなかったっけ?」
「相手が棄権してきた、"命だけは御助けを!靴でも何でも舐めますからッ"…だとさ、遣る前から牙を抜かれた弱者を甚振る趣味は無い。
…尤も、俺も日夜鍛錬を積んでいる、今なら珠雫にも負けない魔力制御力を有していると自負出来るから練習相手が欲しいのは事実だがな?」
そっか、と力無く笑う一輝、テラスで外の空気を吸いながらノート型パソコンに映されていたのは桐原対女生徒の試合だ
「………自分の能力を活かした戦い方だ、森林に身を隠し遠くから狙撃…理には適っているがきのこ頭と同じ位の下衆だな。」
試合内容を見ての一言、相手の姿が見えないというのは純粋に脅威、まして遮蔽物の多い森林を形成出来るのはそれに拍車を掛けている
——然し、"試合"という形式の中で勝敗の決まった相手を射抜き続ける其の性根は気に食わない…途中から戦意を削がれている女生徒を見ながら下衆と称する悠騎に一輝は感想を洩らす。
「……悠騎君ってさ、良く殺すとか言うけどその実本質的には《騎士》だよね、高潔というか…」
何で?と聞きたい様子、仕方が無いと肩を竦め語り出す
「…俺が元々はサドゥだというのは聞いているだろう?
サドゥとは俗世から離れ自らに苦行を課す者だ、まぁ観光客が多い場所では金目当てのパチモンが多いが俺の師は元魔導騎士で本物のサドゥでな…師からはカラリパヤットやヨガ、闘う為の身体作り以外にも薬草学や一般教育をならったのだが…サドゥらしからぬ博愛主義者というかなんというか、人の世の"痛み"に何時も嘆いておられた」
懐かしむ様に己が生い立ちを語る、その顔は何処か優しく…それでいて悲しみに彩られ一輝に更なる問いを投げ掛けさせずにはいられなかった程だ
「…好きだったんだね、その先生の事が…でも、それと君の口癖の接点が解らないかな…、もっと分かり易く言ってくれると助かるかも」
「すまんな…あまり自分の事を語るのは苦手なんだ。…師は晩年、人の世に必要なのは"真の愛"と仰られた…打算等ではない誰もが誰かを愛せる世界、愛とは大切に想い、その者の為に動く事と教わった…。
——だが……俺には其れが良く解らなかった、目の前で父母と妹を殺され…俺を助け育ててくださった師すら殺され……」
「…ごめん…」
其処まで聞いて一輝は気付いてしまった、彼が殺すというのは彼なりの人…もっと言うなら敵を傷付ける事無く遠ざける為の"処世術"であると、愛が良く解らない…人を大切にしようとしても師から与えられた行為の範疇でしか理解が及ばないのだ
そして、サドゥという特殊な環境下…インドでは村で結婚式を挙げる場合神父の代わりに立つ事もあるが子供ながらに新郎新婦の華やかさにしか目が行かないのは致し方なかろう。
「……構わん、今迄は確かに愛は解らないが一般常識や生きる術…騎士としての心得はしっかり叩き込まれた。
——其れに…今は大切だと思える存在が出来た、彼奴と…一輝、御前の御蔭だ」
目の前の学友に笑みを浮かべる。此れは愛情というよりは友情や親愛の類だが友人が作れる環境では無かった為愛情と勘違いしている傾向がある…何せ8歳の誕生日迄"悪魔"と虐げられてきたのだ、無理もない
だが彼の中に居るもう一人は…確実に愛情と呼べるだろう、喩え今がまだ小さな灯火だとしても…其れは全てを焦す程激しく燃え盛る。
我ながら厄介な相手に唇処か心まで奪われるとは思わなかった、天国の両親や妹に顔向け出来ないかもな…と心の中で苦笑する悠騎だが不意に何処からか視線を感じ辺りを見回す
「何だか照れ臭いな……如何かしたのかい?」
「………いや、何でもない…そんな事より一輝、御前の時間を俺にくれるなら数時間で数ヶ月程修行が出来る場所に案内するが…如何する?」
「!…驚いたな…そんな事が出来るなんて…でも、何でだい?」
確かにそう問い掛けるのも無理は無い、憐れみか?とは問わないが若しそうなら幻滅したであろう。
然し、悠騎の答えは違った
「…何方か一方に手を貸すのは公正では無いが、言ったはずだが?友を侮辱されて憤慨しない程屑では無い、と。
—去年、俺は此処には居なかった、だが…もし間に合うならば出来る事はしてやりたいんだ…あの男との因縁に決着を付ける為の手伝い位は、な?」
「……そっか、知ってるんだね…」
…個人的に調べたからな、と腕を組み空を見上げる悠騎、逆に一輝は知られたくなかった…と落ち込むが少なくとも憐れみからではなく、純粋に"友人"としての申し出に嬉しさも感じていた。
「…まぁ、強要はしないさ。唯俺の鍛錬にもなるから良ければ一緒に…とも考えてはいる、複数の術式を長時間発動させながら槍を振るうのも伐刀者として良い鍛錬になる、とな。」
「……ステラ次第かな、僕は今直ぐにでもお願いしたいけど流石になんの相談も無しじゃ…ね?」
熟考した結果出た答えは了承、但しルームメイトのステラに外出の旨を伝えたいと言う一輝に律儀な男だ…と笑いながら頷く
目指すは桐原静矢への雪辱、そして更なる高みへの到達…其れらを胸に二人は其々の部屋へと戻る。
—————
———
「…さて、と…身支度位はしておこうか…な…!?」
部屋へと戻り鍵を開けた矢先、居る筈の無い人物が扇情的な姿で料理を作っていた。
「御帰りなさい、今日は試合が無かったにも関わらず遅かったですね?…友人思いなのは良い事ですが…——あまり構い過ぎなのも考えものかと、悠騎は私の番なのですからもう少し私を構うべきです…」
矢張り先程の視線の主は此奴だったか、と頭を抱えるが扉を閉めカーテンを閉める…鍵を掛けたかは動揺していて確認はしていない、何故ならば…
「……つまり寂しくなったから俺の留守中に上がり込んだ…と、…誰にも見付かっていないだろうな?
——ラフな格好だった様だが何故下着姿で俺のコートを羽織りながら料理を作っている?」
そう、数少ない衣類を勝手に拝借され彼女が着ていたであろう衣類は何故かベッドに折り畳まれている。
…黒のレース下着で包丁を握る彼女を誰にも見られぬ様にする為だ、妖しく微笑む姿に何故か胸の鼓動が高鳴る悠騎、そんな彼に答える為一度包丁を置いた野生の魔王は両腕を絡める様にして抱き着き胸を押し付け…
「ふふ…心配ですか?私が誰かに盗られないか…と…?安心して下さい、誰にも見られていませんし此の程度のセキュリティなら問題なく突破出来ます…。
—其れに何故、と申されても…番の食欲と性欲を満たすのは番の役目でしょう?あ、若しかして裸にエプロン姿の方が良かったですか?まぁ次から直すという訳で今は子作り致しましょう、今日、今直ぐッ…ノンストップで…ッ!」
矢継ぎ早に言葉を紡ぎ次第に語気を強める魔王様、此れは流石に時空神でありエリュシオンの管理者の末裔も拒むと思いきや
「…否、何方も同じだろう、先生がチラリズムとネコミミメイドは文化だと言っていた…。
——その結果、学生結婚でも良いならな。指輪は用意する暇が無かったから今度デートしよう、指のサイズを測る為に。だが…実は此の後黒鉄一輝と約束をしている、数時間で数ヶ月程修行が出来る様に…とな?」
何気に師の性癖を
この愚直さも含めて彼の事が好きではあるのだが、想いを告げ心が繋がりあったエーデルワイスとしては他の女の頭を撫で剰え親密そうにしている未来等あってはならない事。
ならば修行も食事も…彼にとって全てを与え、彼がしたい事を受け入れ与えられる存在となり二人だけの世界を創り上げたいという慟哭にも似た感情に突き動かされている訳である。
「……私からしたら数時間でも悠騎からしてみれば数ヶ月…ですか。
—ならこうしましょう…私も連れて行って下さい、…嫌なんです…此れから先、私が知らない貴方が居る事が……自分でもおかしいのは自覚していま…ン…っ…」
其処まで言って唇を塞がれる愛という名の狂気に染まりつつある麗人、昨日の続きという訳ではない、純粋にシたいからシただけという本能めいたキスだ。
純粋に可愛いと思ったのは確かだが唇を奪ったのは殆ど無意識だった、…悠騎自身恋愛経験は無いが今、エーデルワイス個人に抱いている二つの感情の何れかが恋心だというなら自分は幸せだと…此処迄考えてくれる存在が居てその存在を愛おしく思える自分は決して不幸では無いと思えたから
「…は…、…おかしくない……御前は俺の所有物で…俺は御前の所有物だ、喩え再び本気で刃を交える事に成っても…俺の妻は…——エーデ、御前だけだ…誰にも渡さない…御前を…独占したい!」
「ッ…ゆう、き……っ!」
180近い背丈だが無駄な肉が無くかといっていざとなったら動き難い無駄な筋肉も無い…簡単に言えばバネの様にしなやか且つ強靭な迄に鍛え抜かれた細身の身体を上着を脱がせた後胸板に顔を押し付け抱き締めるエーデルワイス、日本や海外のアスリートは特化型といっても良い程何処か一部分が発達しているが彼は全体的にバランス良く鍛え抜かれており"雌"を魅了する身体付きをしていた。
其処に加え鼻筋が通り射干玉が如き髪を伸ばした女人めいた顔立ち…アリスのチョイスした衣類とメイク技術も相まり完全に女性に間違われる程整った顔…エーデルワイスが面喰いという訳では無いが其処が魅力の一つとも言えるのは確かだ。
そんな彼の胸板に指先を這わせ……何時か、子作りしましょうね。等と言われたら幾ら恋愛経験の無い悠騎といえど彼女を押し倒してしまうのは致し方無い事である。
「…全く、仕方がないな……今からでもシ「「ぁ、あはは…お邪魔シマス」」…………良し…一輝、ステラ、其処になおれ、御前達の此処1、2時間辺りの記憶を殴って消してやる」
彼女の下着に手を伸ばそうとした矢先扉が開き驚愕の表情を浮かべる友人二人にさしもの悪魔も数秒固まる
エーデルワイスはコートを羽織っていたとはいえ押し倒された為下着姿、悠騎は自分で脱いだ訳では無いにしろ上着は脱いでおり然も覆い被さる様に押し倒している、此れが意味する処を把握出来ない程哀れな目撃者達は子供では無かった
そして、悠騎自身もそれは同じ…自身の生まれ持った
((あ、悪魔…!))
後に二人の学友は其々が此の時の記憶を振り返り此の時程命の危険を感じた事は無かったという。
—————
———
数分後、エーデルワイスの制止も手伝い二人は事なきを得るのだが
「………と、いう訳で俺とエーデは結婚を前提に付き合っている、式には出席して欲しい」
「いやいやいやッ!という訳ってどういう訳さ!?」
「そうよ!昨日の戦いから何でそうなる訳!?…してあげない事はないけど!」
着替え終えたエーデルワイスは悠騎の傍に座り彼女との交際を惜しげも無く語る彼氏…基夫に気恥ずかしくなり俯く
借りてきた猫といえば聞こえは良いが彼女は仮にも世界最強の剣士であり犯罪者、そんな彼女と何をどうすれば?と面を食らうステラ・一輝の両名だがエーデルワイスが発する言葉に押し黙らされる
「…悠騎…少し恥ずかしいです、そんな事より…何故皇女迄来たのですか?」
「ぅ…」
「それは…」
何処か警戒している様な言葉と威圧感で圧倒される2人、悠騎は彼女が淹れた紅茶に舌鼓を打つ余裕すらあり代わりに答える事とする
「…恐らく一輝と共に修行をしにきたのだろう、俺としては問題無いが彼方の食料の備蓄を考えると2、3ヶ月がタイムリミットか、まぁ通常の時間経過なら2、3時間だがな、実際は。後は自生している山菜やキノコ類を焼いて食えばもう1、2週間は伸びるだろう」
何せステラは女性としては見た目に似合わぬ大食漢だ、尚且つ此の人数、何かあった時の為に備蓄しておいた食料も計算に入れた上で2、3ヶ月が修行のタイムリミットだと述べるが一輝は首を振る
「……いや、1ヶ月みっちり実戦形式で鍛えてくれれば良いよ、だらだらと時間を掛けるより其の方が僕もステラも強くなれる……必ず、君と同じ場所に到るから。」
「…そうね、負けっぱなしは趣味じゃないの、今は勝負にすらならなくても闘える位には這い上がってやるわ…!」
覚悟を瞳に灯した眼差しに《比翼》と《悪魔》は僅かに口許を歪ませ笑みを浮かべる
(…成る程、悠騎が気に入る訳ですね…手合わせをするのも一興かもしれません)
(…矢張り…面白いな此の二人は。
—師は最後迄反対したが…此れ以上強くなりたいなら到る時期が来たのかもしれん……俺自身が持つ
きっかけは一緒に鍛錬を積むというシンプルなものだった、然し暫しの後彼等は識る事になる
——自分達の運命が何か得体の知れぬものに管理されていた事、そして…運命等と生温いものではない"宿業"が齎した激しい慟哭を。
次回は修行&桐原戦です、もっとも原作を読んだ方なら大体予想はつきそうですが(苦笑)