灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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2016.02.22:全面改定、短かったため2話と統合させました。

2016.05.11:改定


ささやき、目覚め、出会い
1話  ここはどこ?


ーーー目覚めよ(アウェイク)ーーー

 

ーーー目覚めよ(アウェイク)ーーー

 

 

頭の中に声が響く・・・

その声は私を呼んでいるようなそんな感じがして私は目を覚ました。

周りは真っ暗だけど松明に照らされてここが屋根のある場所だとわかる。

 

「っ!」

 

体から感じる感触は硬い。石床に寝かされているみたいだ。首を動かして辺りを見渡すと奥の方に出口らしき灯りが見える。なぜ自分がここにいるのかがわからず動けないでいると

 

「もしかして、誰かいる・・・・・?」

 

声が聞こえてきた。するとすぐに「あ、うん」や「・・・います」という返事や。「何人いるんだ?」「どうなってんの?」といった声が聞こえてきた。どうやら私以外にもいるようだ。

 

「・・・大丈夫です」

 

私も自分の存在を主張した。声の数はかなり多いし、年も近い気がする。こんな場所ぜんぜん知らない。記憶がないのだ。ここにくるまで何をしていたか。どうしてここで寝ているのかが。思い出そうとしても途中でフッと消えてしまう。そんな状況に混乱していると

 

「じっとしてたってしょうがない」

 

低くてハスキーな声。男の人だ。小石を踏む音がした。立ち上がって移動するみたいだ。

 

「どっか、いくの?」

「明かりの方に行ってみる」

 

男の人の動く気配を感じてつい声をかけてしまった。男は出口らしき灯りの方にいくみたいだ。「あたしも行く」「・・・俺もいこっかな?」所々から男についていく声と立ち上がる気配。このままじゃ取り残されちゃう。急いで立ち上がり歩こうとしたが松明の灯りは足元まで届いていないのでおぼつかない。壁に手をつこうと思って松明の方に手をかざす。

 

「きゃっ」

「あ、ごめん」

 

男の人にいきなり手を掴まれた。驚いて手を引っ込めると男の人の声

 

「ごめん。こっちのほうに壁があるから・・・」

「あ、ありがとうございます」

 

どうやら彼は手を引っ張って壁まで導くつもりだったみたいだ。だけど急に掴まれた時は本当にびっくりした。

改めて壁に壁に手をついて歩く。みんな壁に手をついて歩いている。さっき手を掴まれた時、顔が見えたが見覚えがなかった。っていうか聞こえていた声全部聞き覚えがない。んっ?全然思い出せない。友達はおろか親の顔も思い出せない。まるで忘れてしまったみたいだ。いったいどうゆうこと?

 

「・・・・考えないほうがいい、のかな」

 

手を掴んだ彼が呟く。

 

「何「何か、言いました?」」

 

何か聞こうとしたら私の後ろの女の人が被せて聞いてきた

 

「いや、別に、なんでも・・・」

 

私も含めみんな不安なんだ・・・

出口と思わしき場所はやはり出口だった。銀髪の男。多分最初に立ち上がった人が最初に出てみんなは彼に引っ張られるように。

空は薄暗い。周りを見渡すとここを頂上に緩やかな傾斜になっている。ここは山?それとも丘?。後ろを振り返ると塔が立っている。ここから出てきたのかぁ。

 

「同年代・・・ですよね?」

 

メガネをかけた男の人が私達を見渡す。私も釣られて見渡す。男8人、女5人。全員で13人。やっぱりみんな知らない人だ。

 

「あの・・・ここってどこなんでしょうか」

 

先頭集団が街を見つけた。だが城ではないかという声も聞こえる

それ以前にここはどこだろう?目が覚める前の記憶が思い出せない。

 

「あの・・・ここってどこなんでしょうか」

 

気の弱そうな女の子がビクビクとした感じでみんなに聞いてきた。この声は塔の中で割り込んできた声の人だ。

 

「だ、誰か知りませんか?・・・ここがどこか・・・」

 

女の子はもう一度聞いたがみんな何も言わない。みんなもここに身に覚えがないってことかぁ・・・もしかして!

 

「あの!ここにお互い知っている人いますか?」

 

私の声でみんな顔を見比べている。赤い髪をした背の低い男が「マジかよ・・・」と呟いた。やっぱりみんな知らない人同士・・・ということはみんな私と一緒で友達や親の顔を思い出せないんじゃ。

 

「ちゃらららら~ん」

 

沈黙を破って急に甲高い声が聞こえた。みんな声の方を見る

 

「どうも~元気ですか~。ようこそグリムガルヘ。案内人を務めるひよむーですよ~」

 

ひよむーと名乗ったツインテールの女の子はきゃぴきゃぴした感じで私たちに近づいてきた。

 

「チッ、むかつくしゃべり方だ」

 

丸刈りの男の人がいらいらした様子で地面を蹴る。

 

「こわいですね~。おっかないですね~。そんなに怒らないでくださいよ~ね?ね?」

 

ひよむーは丸刈りの所まで近づいて謝罪?をする。

 

「だったら怒らせるんじゃねぇ」

「わっかりました~。ひよむーこれから気をつけるであります」

 

わざとらしく敬礼をするひよむー。わざとやってるんじゃないあれ?

 

「・・・わざとやってるだろ、てめぇ」

「あ、ばれちゃいましたぁ。まぁ冗談はおいておいて・・・きゃー殴らないでくださ~い。」

 

私の気持ちとシンクロした丸刈りがひよむーを殴ろうとするが、するりとかわす。

 

「んっと。そろそろ話進めますね。仕事の話です」

 

ひよむーのその言葉にピタリと手を止める丸刈り。いつの間にか周りが明るくなってきている。夜じゃなくて早朝だったようだ。

 

「取りあえずついてきてくださ~い。ついてこないと置いていきますよ~」

 

ひよむーはツインテールと手を揺らしながら来た道を戻る。私達はそれについてゆく。誰も丘に残っていない。しばらく歩くと丘の下に向かう道があった。舗装されていないただ道を踏み固めただけの道だ。もちろん道から外れると何も手入れされていない草むら。しばらく歩いていると奇妙な物が見えた。

そこだけ短く刈り取られていて白い石が置いてある。その石には何かが彫ってある。あれって・・・

 

「な、なあ。あれって」

「ひょっとして・・・墓?」

 

聞こえてきた会話からそのことを確信してぞっとした。墓ってもしかして私達どこに連れて行かれるの?

 

「今のところは気にしな~い、気にしない。みなさんにはまだ早いですよ~。まだ早いといいですね~」

 

私の心配を遮るようにひよむーが言った。まだ早い?どういうこと?ひよむーの言葉を考えていると前の人とぶつかってしまった。

 

「すいません」

 

前の人。私の腕を掴んだ人は顔を上に向けたまま黙っていて返事がない。

 

「あの・・・」

「あ、いや、月が・・・」

 

言われて空を見上げ月を探す。あった赤い月が見える。んっ赤い?

 

「あぁ・・」

「お月さん赤いやん。めっちゃきれい」

 

周りの人も月が赤いことに気づいた。少なくとも私が知っている月は別の色をしていた。月が赤いのはおかしい。

それから私達はひよむーについていき街の中に入った

 

「ここが城塞都市オルタナで~す」

 

オルタナに住んでいる人、町並みは自分の住んでいたところとは違うと断言できた。先頭を歩く人たちは「ここは外国ではないか」と言っているか赤い月を見てしまっている私達は心の中で否定した。

 

「気づいていなかったのか?あの女に言われて気づいたが俺は、名前程度しか覚えていない」

 

銀髪は私の方に視線を向けながら言った。さっきまで騒いでいた人達は自分達の記憶が全然ないことを思い出したのか黙ってしまった。

重い雰囲気に耐えられなくなったのか軽そうな男が

 

「そういえば、みんなの名前知らないね~歩きながら自己紹介しない~俺キッカワで~す」

 

と自己紹介を提案し勝手に始めた。みんなも重い雰囲気を取っ払うように自己紹介を始めた。私の腕を掴んだ男はハルヒロといい。私の言葉を遮った気の弱そうな子はシホル。銀髪はレンジ。他の人はおいおいということで。自己紹介をしたことで会話がちらほら聞こえ始めた。私も周りに習って近くの人に話しかけた

 

「あの、マナトさん・・・オルタナって聞いたことあります?」

「えっと、シオリさんだった?わからない。あの月を見る限り僕たちの知らない場所だと思うのだけど・・・」

 

周りの人もこの場所に心当たりはあるのかと同じようなことを聞いている

 

「よーやく到着しました。ここが、かの有名なオルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーン事務所です」

 

「オルタナ・・・軍・・・兵団・・・レッドムーン・・・」

 

ぶっそうな単語が並んでいるが建物は木造。名前の響きからもっとがっしりした感じだと思うのだけど・・・。ひよむーはさっととドアを開けて「はやく、はやく~」と手を振って私達も入るように急かす。

建物の中に入ると幾つかのテーブルと椅子、カウンターが設えてあり、さらに奥にも同様のテーブルと椅子が設えてありそこには私達を値踏みするような目を向ける人達がいた。カウンターの奥には男が一人いた。ひよむーはその男に後を任せてさっさと出ていった。ひよむーが出ていくと男は

 

「ほら、そんなところにいないでもっと前にいらっしゃい子猫ちゃんたち。私はブリトニー。当オルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーン事務所の所長兼ホストよ。所長と呼んでもいいけど、ブリちゃんでもオッケー。ただしその場合は、親愛の情をたっぷり込めて呼ぶのよ。いい?」

 

私がオカマだ~と思っているとレンジが近づいていき

 

「質問に答えろ。ここがオルタナって街はわかった。だが、辺境軍だの義勇兵団だのってのは何だ。なんで俺はここにいる。お前はそれを知っているのか」

「威勢がいいわねぇ。ワタシ、嫌いじゃないわよ、あんたみたいな子。名前は?」

 

所長は愉快そうに含み笑いをした。

 

「レンジだ。俺はお前みたいなオカマ野郎は好きじゃない」

 

レンジが言い終わるか終わらない位のタイミングで所長はナイフをレンジの喉元に突きつけた。一瞬過ぎて私にはわからなかった。

 

「レンジ。いいこと教えてあげる。ワタシをオカマ呼ばわりして長生きできたやつは1人もいない」

 

所長は目を細めながら言った。

 

「殺れるものなら殺ってみろよ、オカマ所長」

 

レンジはなんとナイフの刃を素手で掴んだ。掴んだ手から血が流れ出している。

 

「ふふっ。忘れられないのをあげる」

 

一触即発な状態。今すぐにでも殺し合いが始まるかのよう。

 

「あ、あの!ここに連れてきたのはそうゆうのをするためじゃなくて別に理由があるからですよね!?」

 

みんなの注目が集まる。「うわ。あの女死んだ」とか聞こえる。嘘こんなことで私死んじゃう?所長は私をじっと見て「ふん。まあいいわ」と言って椅子に座った。レンジも一歩下がった。そして所長から私達を連れてきた理由を説明し始めた。

城塞都市オルタナはモンスターや多種族との全線基地で私たちのような人たちを義勇兵団にして戦力にしている。ちなみに義勇兵になると義勇兵見習い章、銀貨10枚が貰える。見習い章は身分証明になるみたいだけど持っててもあまり役に立たないらしい。正式な義勇兵になると色々と特典がつくらしいが・・・

そうこうしている内に私以外の全員が義勇兵見習い章と銀貨を取った。所長は「どうする?」って顔で私を見ている無一文で何も知らない土地に放り出されるよりかある程度の身分やお金もくれるし受けとるしか選択肢はないようだ。て言うか拒否した人いたのかな?って思いながら受け取った

 

「おめでとう」

 

所長はわざとらしい笑みで手を叩いた

 

「これからあんたたちは見習い義勇兵よ。しっかり頑張って、さっさと義勇兵になってちょうだい。義勇兵になったら困ったことや相談に乗ってあげなくないわよ」

 

レンジにウインクして

 

「レンジは見習いでも相談に乗ってあげる」

 

オカマであれ男同士ではちょっと気持ち悪かった。

 

「おい」

 

レンジの声と突然の鈍い音。振り向くとレンジがロンを殴り倒していた。

 

「い、つう。どうゆうつもりだ」

「俺を最初に見たとき思っただろう。こいつは自分より強いか弱いかって。答えを教えてやる。立て」

「・・・テメェ」

 

ロンはレンジに飛び掛る。しかし、ロンの攻撃はレンジに当たらない。レンジは容赦なくロンをボコボコにする。そしてレンジはロンの頭を掴んで頭突きをした。

 

「・・・石頭だな」

「つえぇな。お前」

「俺について来いロン」

「しばらくはついていってやるよ」

 

レンジは私達を見渡しマナト、アダチ、チビを誘う。しかし、マナトは断った。

 

「あとは・・・」

 

レンジは私に視線を向ける。私も?っと思ったら「行くぞ」と言ってレッドムーン事務所から出て行こうとする。そこにサッサが必死にすがりつき合計5人のパーテーを作って出て行ってしまった。

 

「俺ちゃんもチーム・レンジにに入れてもらいたかったなぁ。レンジ&ロンで多分ケンカ無敵っしょ。アダチは頭よさそうだしチビちゃんかわいいしサッサ美人だしウハウハだし。うあぁーいいなぁー。でもまぁ言ってもしょうがないよねぇ。俺ちゃん情報収集行っきまーす。グッバーイ」

 

キッカワは言いたいことを言ってさっさと出て行ってしまった。

 

「あんたたちもさっさと出て行きなさい。こちらは朝から起きて眠いのよ」

 

所長は欠伸をしながら私達はレッドムーン事務所から追い出された。私の手元には義勇兵見習い章と銀貨が入った袋。記憶もない。知らない土地。このグリムガルでの生活が始まった。

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