「オークとコボルトが一緒にいた」
サイリン鉱山周辺の調査3日目の情報交換の時、サッサ班が言った
「オークとコボルトって本当ですか?」
「ああ」
アダチさんの問いにサッサと同じ班だったレンジが頷く
オークは緑色の肌をしていて鼻は潰れ、耳が小さく尖り、口は大きく両端から大きな牙が生えている。体は大きく横幅もある大型人型種族だ。ノーライフキングなどの不死族を除く種族でオルタナや同盟国家最大の敵だ
「おかしい。コボルトは他種族と一緒に行動することはない」
メリイさんが疑問を口にする
コボルトは犬頭で全身体毛に覆われた人型種族だ。犬のような見た目をしているように強い上下関係があり、他種族に排他的だ
「一緒に行動していたのは事実だ」
「・・・オルタナに戻って報告すべきですが、情報が足りません。ここはその拠点の調査を行いそれから戻りましょう」
「この情報だけでも戻る価値はあると思うけど?」
アダチさんの提案にアディさんが異を唱える。
「そもそも調査と言ってもここに居られるのもあと僅かだし、戻るべき」
「せめてコボルトに上位〈エルダー〉や普通のがいないかだけでも・・・」
議論の結果、1日だけ使って数や規模、その他に拠点は作られてないか、といった情報を集めることとなった
「この状況下では情報を持ち帰るのが優先です。班のリーダーの方は決して無茶をしないでください」
サッサさん、ダイさん、ステラさんが頷く
次の日、サッサさんの情報を元にオークとコボルトの拠点に向かった
「確かにオークとコボルトが一緒にいますね。装備が貧相なのでレッサーですよね」
「ええ」
私の問にメリイさんが答える。見た所下働きしているのは主にレッサーコボルトで普通のコボルト、エルダーコボルトの姿は1度も確認できなかった
今日1日の調査で下記の情報が共有された
・拠点にはコボルト30匹、オーク10匹がいる
・コボルトはレッサーまでしか確認できなかった
・コボルト側がレッサーまでなので上位オークがいると思われる
・その周辺に他の拠点は見当たらず
十分すぎる情報を得た私達は早朝にキャンプをたたみ。オルタナに戻るために移動を開始した
元来た道を戻る。途中、下り勾配が終わり、平坦な道の岩場から大きな影と小さな影に出くわした
「フゴッ!」「キャン!」
「「ヘっ?」」「んっ!」
オークとコボルトだった。数は見えるだけでオーク3匹、コボルト2匹。お互い気配に気づいていなかったのか時が止まってしまった
「ッ!」
この状況で1番最初に動いたのがレンジだ
レンジは前方の3人を押し退け、グレートソードでオークの肩からナナメに一閃して斬り倒した。
「うおぉぉぉぉ」
続いてロンさんが突撃、レンジと2人で前方のオーク、コボルトと相対した
「オウ、オウ、ワオォォォォン」
コボルトが大きく吠える。まずい
「クソ、仲間を呼ばれた」
アディさんがエストックを抜いて岩の上からこちらに飛びかかろうとしたコボルトを切りつける
「安寧を生きるものに死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」
私は近づいてくるコボルトにモータルレイを打ち倒す
よし、コボルトもゴブリンと一緒で高確率で倒せる
「オーム・レル・エクト・ヴェル・ダーシュ」
アダチさんの放った魔法は命中すると鈍い音を出しながらコボルトは無抵抗になった
「シオリさん!」
私はそのコボルトをモータルレイで倒して
「私のモータルレイは一撃で倒せないことがあるのでトドメは他の方に!」
「わかりました!」
前方にいたダイさん、ステラさんが下がってメリイさんと3人で私とアダチさんを守る
サッサさんは私達より前に出ているアディさんとチビの援護をしている
オークは見えているだけだったが、コボルトの数が多い。だが、レンジとロンさんがオークを抑えてくれているので安全にコボルトに対処ができる
「これならいける・・・」
後は相手の援護がくる前に・・・
「フゴォォォォ!」
突如、オークの雄叫びが響いた。私達も戦っていたオークもコボルトも動きが止まる
「雄叫び〈ウォークライ〉・・・」
ステラさんが震える声で言う
2、3秒して動けるようになり、声のする方向を見る
オークが3匹いた。真ん中のオークは一回り体が大きく、身に付けている鎧も他のオークと違う。
体の大きいオークは私達を見渡し
「オマエタチノナカデツヨイノハダレタ」
喋った?もしかして上位オーク?
オークの声を聞いてレンジが前に出る
「キャス・リアンオマエハ」
「レンジだ」
「レンジコッチダ」
キャス・リアンと名乗ったオークはレンジを私達と離れたところに誘う
「アトハスキニシロ」
キャス・リアンの言葉を聞いた残りのオークは雄叫びを上げこちらに向かってきた
「ダイ、あっちを!」
「わかった!」
向かってきたオークにラウンドシールドを全面に向けたアディさんが突っ込んできた
それと同時にダイさんがチビさんとサッサさんの元に走る
「オヴゥ!」
オークがアディさんごと倒れる
「フゴゥ!」「グッ!」
倒れたオークに追撃をかけようとしたがもう一匹に阻まれ飛ばされる。アディさんはすぐに起き上がるがふらついている
「アディさん!メリイさん回復を」
私はメリイさんをに回復を頼むが反応がない。メリイさんに顔を向けると真っ青な顔をしていた
「あ、あ・・・」
「メリイさん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!メリイさん!」
「ム・・・ツミ?」
「私はシオリです!メリイさん!」
アディさんは先程のダメージが残っているのかオーク2匹の攻撃に押されている。アダチさんの魔法もステラさんの弓もあまり効果が薄く。チビさんとサッサさんもコボルトに阻まれてしまっている
どうする?このままじゃ・・・
「あぐぅ!」
アディさんが吹き飛ばされる。起き上がるがろうとしているがうまくいかない所にオークが近づく
「あ、あぁぁぁ!」
私は飛び出し、オークの1体に
「安寧を生きるものに死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」
お願い効いて!
願いが通じたのかオークの魂が飛び出て倒れる
「死して我に従う玩具となれ・死体操作〈ゾンビクリエイト〉」
倒れたオークにゾンビクリエイトを唱え触れて操作する
そのままもう1体のオークに飛びかかる
「ンゴッ」
オークの首を絞める。抵抗して殴ってくるがもう死んでいるから無駄だ
オークの魂を見て肉体から飛び出た所でもう1体のオークにゾンビクリエイトをかけ
「メリイさん。アディさんをお願いします」
「え、ええ・・・」
まだ顔色が悪いけど大丈夫・・・
私はオーク2匹とダイさん、チビさん、サッサさんの元に行く。3人はこちらに向かってくるオークにビックリしたが、私とオークが一緒にいること。オークがコボルトを襲う姿を見て、ゾンビクリエイトだと気づいたようだ
「アダチさんの元に戻ってください」
3人にそう伝えロンさんの元に向かう。
「ロンさん・・・」
ロンさんはオークとコボルトを倒し座り込んでいた
「そっちも・・・終わっ・・・たか」
ロンが立ち上がりレンジの元に向かう。私もゾンビクリエイトで操作しているオークと共に向かう
レンジはキャス・リアンとの戦いに勝っていた。ただ、相当疲労しているのか私達が近づいても一瞥しただけだった
私はオークにレンジとロンさんを抱っこさせみんなの元に戻った
みんな無事であることが確認でき皆の顔には笑みが出ていたが、私にはきになっていることがあった
メリイさんのあの反応・・・何か過去にオークか何かで・・・それにムツミって?
聞けば簡単なのだが恐らくはぐらかされるだろう
メリイさんから話してくれるのを待つしかないのかなぁ
「シオリさんの暴走がなかったら誰か死んでたかも知れませんね」
「えっ!」
アダチさんの言葉で意識が引き戻される
「まさかオークに突っ込んでいくとは・・・」
「いや~無我夢中で・・・」
「所であのオークを使って鎧やらを持ち運ぶことは可能ですよね?」
ホントちゃっかりしてるねアダチさん・・・
その後は問題なくオルタナに戻りレッドムーン事務所で調査で得た情報を報告した
早い内に遠征隊が組まれるのでそれの参加が義務づけられた。
今回のモンスターの身ぐるみは等分で換金は後日行うこととなった
「メリイさん来てないなぁ・・・もしかしてもう帰った?」
その日の夜私にはシェリーの酒場にいた。理由はメリイさん。あの時のことを話してくれなくても何だか一緒にいてあげなきゃいけない気がした
食欲もあまりなく簡単なものを摘まんでいると声がかかった
「ちょっといいかい?」
声の方を振り向く。そこにはマナトを大人にした感じの男が立っていた。身なりはかなりいい。鎧の肩当てに星のマークがいくつかある
「私はオリオンのシノハラ。最近メリイと一緒にいるところを見てね。ちょっと話しませんか?」
ただのナンパだったら断っている。ただし、メリイさんが関わっている。私は了承し、ササハラさんの後について酒場の2階に上がっていった