灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

13 / 44




13話

私はオリオンのシノハラさんについてシェリーの酒場の2階に上がる。シェリーの酒場の2階に上がったことはないけど見てみると大人数のパーティーやクランが主に使用しているようだ

 

「急に呼び出して申し訳ない。メリイがいない今ならいいかと思って」

 

シノハラさんはオリオンのメンバーが集まっている長机まで私を案内すると椅子に促した

 

「あの・・・何かご用でしょうか」

 

席に座りながら言う

 

「実はメリイは元々私達のクランに所属していて・・・それで時々様子を見たりしていたのですがどうでしょうか?彼女は」

 

「どうでしょうか?とは」

 

「いえ、あの・・・何か取り乱したりとか・・・」

 

もしかしてオークの時のこと?

 

「はい。最近の依頼で様子がおかしくなって、私の頭はことをムツミって」

 

ガタッ!

 

オリオンのメンバーの1人が立ち上がる

 

「すみません・・・」

 

「失礼。彼は元々メリイと同じパーティーだったのですよ。シオリさんあなたはメリイはパーティーの仲間だと思っていますか?」

 

「はい」

 

「本来ならば他人のプライベートを話す訳にいきませんが、あなたはメンバーのことを色々考え行動しているので大丈夫だと信じています」

 

メンバーのこと?アディさんやダイさん達のこと?

 

「ハヤシ。彼はさっき言った通りメリイとパーティーだった男です。不躾で申し訳ありませんがメリイのことよろしくお願いします」

 

ハヤシと呼ばれた男がササハラさんと入れ替わる

 

「ハヤシです。急で申し訳ありませんが、メリイの過去についてです・・・」

 

「えっ!?」

 

急展開で付いていけない。そんな私を無視してハヤシさんはメリイさんの過去を話始めた

 

メリイside

 

「どうする?」

 

オグが声を潜めながら皆に聞く。

 

「どうするって、このまま近づかれたら見つかるし、逃げるにしてもあいつらの前に出ないと・・・」

 

ミチキが外の様子を見ながら言う。今私達はサイリン鉱山の第5層のとある岩影に隠れている。隠れている場所から遠くに大型コボルトと数匹のコボルトが近づいているのが見える

デットスポット。黒白斑の被毛を持つ大型コボルトは多くの義勇兵を手にかけている

 

「デットスポットに出くわしたら、一も二もなく即、逃げろ!やつは時に入口付近にまでやってくる。たとえ浅い場所にいても、要注意だ」

 

ここにくる前に情報をくれたベテラン義勇兵が教えてくれた。恐らく近づいてきている大型コボルトはデットスポットだろう

 

「やるしかない。そして隙を見つけて逃げよう」

 

ミチキが私達に振り返りながら言った。

 

魔法使いのムツミが先制攻撃を仕掛けるために息を潜める

デットスポットは無警戒に私達の隠れている場所に近づく。あと少し・・・

突然デットスポットは飛び上がり私達が隠れていた岩影を砕いた

 

「ギャオオオォォォォォ!!!」

 

デットスポットの雄叫びで私達は身がすくんだ。雄叫び〈ウォークライ〉だ

走り寄ってくるコボルトに手で制し私達の前に出て剣を構えた。私達は体の痺れが引くと急いで武器を構える

私達が準備を終えるのを待っていた・・・?

ミチキが前に出るとデットスポットはミチキを飛び越え、剣を持っていない腕をふるいオグとムツミを吹き飛ばした

 

「オグ!ムツミ!」

 

ハヤシが2人に駆け寄る

デットスポットはそのまま後ろのミチキに剣を振るう。ミチキはグレードソードの腹で防御するが・・・

 

「ぐっ!うううぅぅぅぅ・・・」

 

デットスポットの力を受けきれずに腕の骨を折ってしまった。デットスポットは数歩横に避け剣を構える。デットスポットの目は私を見ているような気がした

 

「メリイ!」

 

ハヤシの声で我に帰る。オグとムツミは!・・・良かった生きている。私は2人とミチキにヒールをする

デットスポットは3人が立ち上がるのを確認するとハヤシ達の所へ

 

「うわああぁぁ」「ぐぁぁぁぁ」「キャァァァ」

 

ハヤシ達3人が吹き飛ばされる。デットスポットは離れて剣を構える・・・顔を私に向けながら・・・

私は分かってしまった。デットスポットに遊ばれていることを

そこからは地獄だった・・・回復しても傷つき倒れる仲間・・・回復しても無意味だがやめることはできなかった。やめると私達は殺される。

途中節約のためキュアに切り替えていたが・・・

 

「あ・・・・・・」

 

治癒魔法が使えない・・・MPが・・・なくなった・・・まだオグとムツミがまだなのに!

 

「ご・・・めん・・・ごめん・・・なさい、わたし・・・魔法が・・・魔法が・・・」

 

私の下で倒れているムツミの顔に涙が落ちる。ムツミは笑った

 

「グォォォォォ!」

 

いつまでたっても立ち上がってくる様子がないため、デットスポットが唸りながら近づく・・・もう終わりみたいだ

 

「ハヤシ!どうにかする!逃げろ!」

 

ミチキが、デットスポットと切り結ぶ。しかし、力に差があるので吹き飛ばされる

 

「いや!逃げるならみんなで!」

 

私は叫ぶ。みんなで生き残らないと意味がない!

 

「いいから、早く!」

 

ハヤシはムツミの団章を引きちぎると私の手を取り走り出した

 

「ミチキ!オグ!ムツミ!離して!一緒に逃げるの!」

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

いつの間にか寝てしまったようだ

寝汗もかいてる・・・気持ち悪い

 

「久しぶりに見たな・・・」

 

多分、あの時のオークのウォークライを聞いたときに記憶のフラッシュバックがあったからだ・・・

最近は見ることもなく落ち着いてきたが、帰ってきた直後は全くダメだった・・・

 

「シオリ・・・」

 

私は所属したパーティーリーダーの名前を呟く。

オリオン鉱山から帰ってきた私の状態を知っている義勇兵は多く、パーティーに入っても腫れ物を扱うようにされ居心地が悪くなり抜けては別のパーティーに入るを繰り返した。最初彼女のパーティーでもそう扱われると思っていたが、全くそんな雰囲気を微塵も感じさせなかった

久しぶりにあの楽しかった時の気持ちを思い出せた気がした

 

「でも・・・」

 

今回のことで私のことを幻滅しただろう

それに私は神官なのに仲間を助けられなかった。見捨てて生き延びてしまった

 

「う、うぅぅぅぅぅ」

 

私はベットで丸くなり静かに泣いた・・・

 

メリイside end

 

 

 

 

 

「シオリ・・・シオリ!」

 

「えっ!?」

 

私を呼ぶ声で意識が呼び戻される

 

「シオリ大丈夫?帰ったばっかで疲れてるんちゃう?」

 

「大丈夫ですよ。ちょっと考え事を」

 

今私は退院したマナト達と買い物に来ている。しかし、私の頭はオリオンで聞いたメリイの過去のことを考えていた

メリイさんにあんな過去があったなんて・・・どうしたらいいでしょうか・・・

 

「おい、また考え込んでるよ。気を付けろよ。財布が財布を落とすと意味ないからな」

 

「ランタ!」

 

買い物は進む。しかし、私は上の空・・・

 

「これ前使ってたけどこっちの方が安いからこっちを買うね」

 

「ええ・・・」

 

「これって他の義勇兵が持っていたけど何に使うの?」

 

「ええ・・・」

 

買い物は続く・・・

 

「ちょっと休憩しようか」

 

マナトの提案で近くのオープンカフェで休憩する。飲み物が行き届きしばらくしてマナトが切り出した

 

「シオリさん悩み事があるなら相談にのるよ」

 

「・・・・・・」

 

相談・・・できない。仕方がないとはいえ仲間を見殺しにしてしまったメリイさんの慰める方法を考えているなんて。これを言ったら無関係なマナト達にメリイさんの過去を教えることになる・・・

 

「俺やみんなはシオリさんのパーティーで仲間だ。悩んでいるのなら助けたい」

 

「俺達に相談できることがあったら・・・」

 

「そやでシオリはうちらに色々してくれるけど私らは何もできてへん」

 

「その・・・もしプライベートなことだったら・・・」

 

「フン、今なら聞いてやらなくもない」

 

「あの・・・無理しないで・・・言えばスッキリするかも・・・」

 

そうだ・・・みんな・・・ごめんなさい。仲間なのに無関係と決めつけて・・・

 

「・・・・・・実は・・・」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。