灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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17話

「それでは明後日よろしくお願いします」

 

「ああ」

 

今回の遠征では前に出て戦闘を行わければならない。ダイさんも前衛ができなくもないがやはり心もとない。そのため戦士のトウジョウさんにパーティーの参加をお願いしたところだ

 

「それと、もしよければなんですけど今後もパーティーとして参加していただきたいのですけど・・・」

 

「すまないが先約があってね。来月以降はパーティー参加は無理なんだ」

 

「そうですか・・・」

 

「パーティーメンバーなら新人をいれるのはどうだい?」

 

「新人ですか?」

 

「ああ、ブリちゃんに言っておけば新人が来たときは連絡くれるよ。それにここに来たばかりは右も左も分からないだろうし助けにもなる」

 

私もロジェさんがいてくれたから今があるしそれもいいかも。トウジョウさんと別れたあとレッドムーン事務所に行き、新人の話を所長にした

 

「あたしはオススメしないわね。だって使えるかどうかわからないし」

 

「でも色々教えてあげれば・・・」

 

ここオルタナに新人=私達のような記憶のない人達がくるタイミングはランダムだ。しかし、来る前兆は判るらしく、新人が欲しい場合は連絡が行くようになっている

 

「こっちから勧誘するより、入りたいって子を待てばいいのに。ほとんどの場合はそっちの方が使えるし」

 

「でもそこまで私達は有名でもないですし」

 

「今回のことでそこそこ覚えられているわよ」

 

サイリン鉱山周辺の調査で上位オークを倒したことで、新人パーティー内で私はそれなりに株を上げたようだ。中にはレンジ達のパーティーがいたおかげという人もいるので名前を覚えられた程度の認識でいいとのことだが・・・

まぁ実際に上位オークはレンジが1人で倒したのだから本当のことだけどね

 

「まぁ、連絡はルールだからするけどちゃんと見なさいよ」

 

「分かってますよ。ちゃんと教えて、ちゃんと守ります」

 

「それ、赤ちゃんじゃないんだから。何でもやってあげてたら使えない子になるの。パーティーに貢献して欲しい子に育てたいなら厳しく躾ないと」

 

「え~でも・・・」

 

「でもも何でもないの。まあ教え方は人それぞれだからあたしがいうことじゃないわね。まぁ暇だったら躾について相談に乗ってあげるわ」

 

「分からないことがあればお願いします」

 

これで新人が来たら連絡は来るようになった。実際に何人入るかは未定だが、アディさんとメリイに付いてきてもらってちゃんと決めよう

その後は遠征に持ち込む装備や個人用の携帯食料の買い物をした

ダイさん、ステラさんは装備のメンテナンスを中心に

アディさんは剣とシールドの予備をいくつか

メリイは動きに邪魔にならない程度の厚手の服を

私は何も買わなかった。だってほとんど前にいかないし買っても意味がない気がする

 

「そんなんだから同じような服しか買わないのよ」

 

メリイに怒られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠征の朝、マナト達の借宿に集合し市場で2~3日程度の携帯食料を受けとる。残りの日数の食料はガナーロに引かせて運ぶ

 

「これからしばらく携帯食料やと飽きてしまいそうや」

 

「大丈夫ですよ。ガナーロに積んでいる分は私達が持つような物じゃなくて保存の効く根野菜とか燻製肉ですから。それに移動しながら野草や動物を取ったりするので意外に新鮮な物を食べられますよ」

 

「へー。でもうち狩人やのに弓苦手やし手伝えへんかも」

 

「だったら「早目」なんてどうです?」

 

ステラさんが話に入ってくる

 

「早目?」

 

「弓の命中率を上げるスキルなんだけど討伐以外に狩りでも使えるわよ」

 

「へ~」

 

「あとは罠に関するスキルとか。獲物だけじゃなく待ち伏せにも使えるから便利よ」

 

ユメはステラさんの狩人スキル講習に聞き入っている。これじゃあこれ渡せないね

 

「シホル、これシホルとユメの分のドライフルーツ」

 

私はシホルにドライフルーツ詰め合わせの袋を2つ渡す

 

「えっ、どうして」

 

「こういうのを休憩中に食べるといい気晴らしになっていいよ」

 

「ありがとう」

 

「い~な~ユメとシホルだけ」

 

「ランタ達の分もあるよ」

 

「へへっ、やった」

 

ランタ達にもドライフルーツを渡し集合場所であるシェリーの酒場に移動した

シェリーの酒場にはすでにソウマさんのパーティー到着していた。私はビンゴくんと話したかったが、ソウマさんを含む全員が他の義勇兵に囲まれていて近づけない

まぁ、これから一緒ですからチャンスはいくらでもありますから・・・

そうこうしているうちに出発時間になり、サイリン鉱山へ移動を開始した

人数が多いのとガナーロとの随伴で移動速度は前回と比べてかなり遅い。おそらく目的地に着くのは2、3日かかるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルヒロside

 

「どうだい?初めての長期の移動は?」

 

移動を開始して何度目かの休憩の時オリオンの団員の人が話しかけてきた

 

「あ、はい。何か思ってより移動が遅いんですね」

 

「敵に襲われないように警戒しながら移動しているからね」

 

「こんな大人数に襲いかかるやつなんているのかよ。さっさといけばいいんだよ」

 

ランタがいう

 

「襲われるのではなく付きまとわれるにが困るんだ。それに・・・」

 

俺達に行軍について説明しようとしたが、前にいた人が小走りで走って来るのが見えた

 

「この奥にコボルトの集団がいたこちらにはまだ気づいていない」

 

「よし。ハルヒロくんコボルトとは戦ったことがなかったんだよね。いい機会だから戦ってみようか」

 

俺とランタとモグゾーの3人は団員さんと前の方に移動した。物陰から確認すると犬頭で二足歩行する生物が何匹か見える

 

「君たちには1体受け持ってもらうよ。大丈夫、ゴブリンを倒せるならコボルトも簡単だ」

 

各自配置につき掛け声と共に突っ込む。同時に走り出した場合、軽装の俺が1番最初にコボルトの元にたどり着く

 

「ギャン!」

 

急な襲撃で驚いているコボルトの横をすり抜け横腹を切りつける

 

「おらっ!」

 

攻撃を受け怯んでいるところをランタがロングソードで一閃し倒す

 

「よっしゃー」

 

「新人、1匹そっちに行ったぞ」

 

一緒に戦っている誰かの声が聞こえた。声のする方を見るとコボルトが1匹こっちに走ってくる

切りかかってくるコボルトの攻撃を避けダガーで切る

 

「うわっ」

 

コボルトは攻撃を避けて組ついてきた

 

「ハルヒロ!」「ハルヒロくん!?」

 

モグゾーがグレートソードでコボルト吹き飛ばそうとするが後ろに飛んで避けられた

 

「サンキューモグゾー」

 

モグゾーはそのままコボルトに攻撃を仕掛けるが右へ左に飛んで避ける。ゴブリンと違ってコボルトは瞬発力が高い

俺はコボルトの後ろに回り、コボルトが飛んで着地したタイミングで切りつける

 

「どうもー!」

 

モグゾーのレイジブローがコボルトを斬り倒す

 

「ハルヒロくん大丈夫だった?」

 

モグゾーが気遣ってくれる

 

「大丈夫。ちょっとヒヤッてしたけど」

 

俺達は倒したコボルトの死骸の元に膝をつく

 

「こいつの武器とか防具ってボロいなぁ。鼻に付けてるのは銀貨か」

 

「こいつはレッサーコボルトと言ってコボルトの中では最下級なんだ。そしてこの鼻についてるのがタリスマン」

 

団員さんが説明してくれる

 

「ゴブリン袋みたいなのは持っていないのですね」

 

「コボルトだからね。普通のコボルトならもっといいのをつけてるよ。はい」

 

団員さんはコボルトからタリスマンを取ると俺に渡してくる

 

「えっ、こういうのは山分けじゃ?」

 

「んっ?遠征中に倒したモンスターの身ぐるみは倒したパーティーのものだったはずだけど?」

 

「聞いてないです」

 

「多分君たちが無茶をしないようにわざと言っていなかったようだね。教えちゃったけど無茶して死んだら元もこもないから気を付けるように」

 

俺達は残りのコボルトのタリスマンを剥いでみんなの元に戻った。その後もゴブリンやコボルトとの遭遇戦に積極的に参加しつつ3日かけてサイリン鉱山に到着した。

 

ハルヒロside end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中特に大きな問題は発生しなかった。何かあったとすればマナト達のパーティーがゴブリンやコボルトの遭遇戦に積極的に参加していると聞いた程度だ

キャンプ予定地に到着して、シノハラさんの指示の元、周囲の安全確認班、前回見つけた拠点の確認班に別れ調査を開始した

 

「うわ~結構すごいことになっていますね」

 

前回見たときは木の柵で覆っている程度だったが、今は柵が木の板の壁になり、両端に矢倉が立っている

 

「これじゃあ、中の様子はわからないですねぇ」

 

「でも、これだけの物を作れるとなると相当な人数がいることに間違いない」

 

その後も周辺の調査を行い会議の結果、明日攻撃することになった

 

「ビンゴくんちょっといいですか?」

 

夕飯の時、私はビンゴくんに話かけた

 

「・・・」

 

ビンゴくんはこちらを一瞥して食事に戻る

 

「私同じネクロマンサーなんですよ~」

 

「ゼンマイさんを作ったって言ってましたけどネクロマンサーの魔法か何かですか?」

 

私は色々と話しかけたがビンゴくんは無視する

1番最初のメリイみたいだ・・・

 

「え~と、シオリさん?」

 

私が振り向くとソウマさんがいた

 

「ごめんね。ビンゴは誰にでもそんなんなんだ。こらビンゴ。初対面とはいえ無視はよくないぞ」

 

ソウマさんに怒られてしぶしぶといった感じでビンゴくんはこちらを向く

 

「・・・あまり話しかけないで」

 

「こらっ!」

 

ビンゴくんと話すにはもうちょっと仲良くなる必要があるみたい・・・

 

「それじゃあ。ビンゴくんもまたね」

 

「ああ、ちょっと待って」

 

去ろうとしたらソウマさんに呼び止められる

 

「確か君もビンゴと一緒でネクロマンサーなんだよね。ブリちゃんから聞いたけど死者の蘇生ができるみたいだけどどこまでできるんだい?」

 

「えっ?」

 

ソウマさんが質問した時、ビンゴくんや近くにいた同じパーティーの皆が私を見ていたことに気づいた

えっ?どういうこと?死者蘇生にそんな興味あるの?

 

「・・・魂を肉体に戻すまでですけど・・・」

 

「そうか・・・変な質問をしてごめんね」

 

「はぁ・・・」

 

ソウマさんからは落胆を感じた。何で死者蘇生のことを聞きたかったのか聞きたいが聞けるような感じでもない。私は気になりながらも皆の元に戻った。テントにはもうメリイが入っていた

 

「あ、シオリどこ行ってたの」

 

「ビンゴくんの所に行ってた。無視されたけど」

 

「同じネクロマンサーだから?」

 

「ここにきて初めての同業者だからね。でも無視された」

 

「ふうん。明日は忙しくなるし早く寝よ」

 

「うん」

 

明日は拠点攻撃、誰も死にませんように・・・

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