灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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19話

「ふぅ」

 

私は朝早くにレッドムーン事務所に来て奥のテーブルに座った。メッセージカードを受け取って数日、最初はメリイも付き合ってくれてたけど朝も早く申し訳なかったので私1人で来ている

 

「前兆があるって言ってもいつ来るかわかりませんよね~」

 

「そうだに~」

 

隣のテーブルに座るキッカワが反応する

 

「あれ?キッカワのパーティーも新人の勧誘?」

 

「違うよ~新人の視察~」

 

「視察?」

 

知らなかったのだが、義勇兵間で新人の動向をチェックし合っているらしい。これは右も左も知らない新人に「色々教えてやる」「装備を整えてやる」といった優しい言葉で近づき支度金を巻き上げられるような詐欺行為を防ぐためでもある

 

「なるほど・・・ここにいる人達は勧誘ではなく視察で来ていたのですね」

 

「うちらがここに来たときも奥に沢山いたんだよ~。ち・な・みに~シオリンは詐欺にも遭ってないのにどのギルドにも顔も出さないし~街でも全然見当たらないので捜索隊が組まれてました~」

 

「えっ!?」

 

それは知らなかった。視界にいる義勇兵数人がキッカワの言葉に頷いているので嘘ではないようだ。私は周りに「すいません」と謝った

 

「それはそうと今マナト達と一緒にいるじゃん?彼らまだ見習いだからみんな心配してるよ~」

 

「あ~マナト達はもう義勇兵になれるだけのお金は稼いでいるのですが目標があってそれを達成するまでは団章は買わないそうです」

 

「へぇ、そうなの?」

 

いつの間にか所長が私の後ろにいた

 

「あの子達に伝えときなさい。うちは使えるやつを遊ばせてるほど余裕はないの。さっさと買いに来ないと売らないわよって」

 

「あ~わかりました」

 

「それと、お待ちかねの新人今こっちに来てるわよ」

 

そう伝えると所長は入り口前のカウンターに戻っていった

 

「いよいよですね」

 

「気合い入ってる~」

 

「茶化さないでください」

 

キッカワや周りの人と談笑していると・・・

 

「は~い、ブリちゃん連れてきたよ~」

 

ひよむーの懐かしい声が事務所に響いた。顔を向けるとひよむーの後ろに25人の新人がいた

男性11人に女性14人。私の時は13人だったのに沢山来たな~

新人達は居心地悪そうに周囲を見渡している

 

「それじゃあ、失礼しまーす」

 

所長との引き継ぎが完了してひよむーは事務所から出ていってしまった

 

「ようこそあなた達歓迎するわ。あたしは当オルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーン事務所の所長兼ホストのブリトニーよ。所長と読んでもいいけど、ブリちゃんでもいいわ。ただし、親愛を込めて呼ぶのよ?いいわね」

 

所長が新人達を見渡しながら言った。

私達が初めて来たときもこんな話してたっけな・・・

所長の話は続き、新人は全員見習い章と支度金10シルバーを受け取った

 

「おめでとう・・・これであんた達は今から義勇兵見習いよ。しっかり頑張って、あたしから団章を買って一人前になりなさい。もし困ったことがあったら相談に乗ってあげないこともないわよ。義勇兵限定だけどね」

 

よし、話は終わったようだ。私は立ち上がり新人達の方に行こうと歩きだした

 

「ちょい待ち、嬢ちゃん」

 

「うっ」

 

私の前に足が出されて止められる。足の差し出し先を睨む

 

「まずは新人達の好きにやらしてやりな。勧誘はその後だ」

 

その言葉に従い待つ。新人達は戸惑っていたがチーム、またはペアで事務所を出ていく

 

「そろそろ大丈夫だな。悪かった、もういいぞ」

 

気を取り直し新人達の前に

 

「おはようございま~す」

 

新人達は挨拶をしながら近づいてくる私にびっくりしたのか身構える

 

「身構えなくて大丈夫ですよ~私はパーティーの勧誘をしに来たんですよ。もし来てくれたら色々教えてあげますよ~」

 

奥の方から笑い声がする。変なこと言ってないのに・・・

 

「あんた詐欺師みたいなこと言わないの」

 

所長が呆れ声で突っ込んできた。新人達は「詐欺って・・・」って小声で言ってる

 

「詐欺師じゃないですよ」

 

訂正するが新人の見る目は怪しい人を見る目だ

 

「ハァ、ごめんなさい。詐欺師って言ったのは例えよ。この子はこんなだけど見習い章もらった子達の中で1番最初に団章を買ったし、パーティーリーダーとしても義勇兵としても将来有望な子よ」

 

所長がフォローを入れてくれる。新人達は小声で話し合いをしたりしている。失敗しちゃった~

 

「あの・・・」

 

中肉中背のショートボブ、着ている服も特に特徴のない男の子が前に出た

 

「もしよかったらパーティーに入れてもらえませんか・・・」

 

「喜んで、歓迎しますよ。名前は?」

 

「ヒロトです。名前しか覚えてないのですけど」

 

「初めはみんなそうです」

 

ヒロトは私の横に立つ。1人手を上げれば何人か挙げると思ったがそう上手くいくとは限らないようだ。私とヒロトは念のため新人達が事務所から追い出されるまで待機した

 

「入ってくれたのはヒロトだけでしたね。あ、くん付けの方がいい?」

 

「別に呼び捨てでも大丈夫です」

 

私はヒロトを北門近くの大通りまで案内した

 

「ここが今私達が主な活動拠点にしている北門の大通り、基本的に日々の買い物や装備の購入はこの周辺で行っているわ。それで・・・」

 

手に銀貨と銅貨を持つ

 

「これがお金。あと金貨があるんだけど銅貨100枚で銀貨、銀貨100枚で金貨になるの。だいたい屋台で売っている食べ物は銅貨4枚、4カパーって言うのだけれど・・・それにしては支度金沢山もらってない?」

 

「装備を買うためですか?」

 

「ううん、ギルドに入るためなのギルドの話は長くなるからお昼にしよう。それまではいろんな店を見て回ろう」

 

お昼までかなり時間があったので結構な店を回ることができた

 

「あ、メリイ」

 

行きつけの食事処に行くとメリイが食事を食べていた

 

「新人?」

 

「うん。ヒロト。この人は私のパーティーメンバーの1人でメリイ、後アディさんがいて全員で4人が私達のパーティー」

 

「3人でやっていたのですか?」

 

「仕事の内容で短期で雇ったりしてるから実際は5人位での行動かな?」

 

私達も座り、食事を始め落ち着いた所で

 

「さて、義勇兵は仕事をするにはギルドに所属しないといけないんだ。今オルタナにあるギルドは・・・」

 

ヒロトにクラスとギルドについて説明をする

 

「あの、シオリさんとメリイさんのクラスは・・・」

 

「ああ、私はネクロマンサーでメリイは神官なの」

 

「ネクロマンサー?」

 

「ネクロマンサーのギルドはオルタナにないの」

 

「へ~、俺どんなクラスになればいいんでしょうか?」

 

「それは自分で決めないとダメだよ。ギルドもすぐに決めないといけない訳じゃないしゆっくり決めたらいいよ」

 

「はい」

 

「昼からは案内の続きと今日泊まる宿を探しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

夜、私達パーティー全員で新人歓迎会をしにシェリーの酒場に集まっていた

 

「新しく入ったヒロトです。え~クラスはまだ決めれていません。これからよろしくお願いします」

 

「「「「乾~杯」」」」

 

アディさんはビール、私とメリイはミード、ヒロトはレモネードを飲む

 

「ヒロトは酒行けるの?」

 

「わからないので頼まなかったのですけど。どうでしょう?」

 

「よし、次は頼んでみよう。そこの2人はダメだからなかなか楽しめないんだ」

 

「頑張ります・・・」

 

「シオリ、次のメンバーは酒飲めるやつをお願いね」

 

アディさんはヒロトに絡む。よかったアディさんに絡まれると大変なんだ。ヒロトを隠れ蓑にしてメリイと料理を食べる

 

「ヒロト、私達3人なら誰がいい?」

 

「ええ、誰がって・・・」

 

「もしかしたらヤらしてくれるかもしれないよ。あ、私はダメだから旦那がいるし」

 

アディさんもいい感じに出来上がってヒロトに絡む

 

「あの・・・事務所にいた人ですよね?」

 

私とメリイは振り向く。ショートカットの優しそうな女の子が立っていた。服装を見る限り新人のようだ

 

「私アオイって言います・・・パーティーに入りたいんですけどもう遅いですよね・・・」

 

なんと私のパーティーに入りたいと言ってきた

 

「まだ大丈夫よ。1人?」

 

「はい・・・途中で追い出されちゃって・・・」

 

なんとひどい。何も知らない同士なのによくそんなことができる

 

「まずここに座って、大丈夫だった?何も取られてない?」

 

メリイさんが席に促す

 

「あの・・・お金ないです・・・」

 

アオイちゃんは泣き出す。話を聞くと事務所から出た後、新人何人かで行動していたが、お金だけ取られて追い出されたらしい

 

「胸くそ悪いわねぇ。誰よそんなことするやつ。ビールもう一本」

 

アディさんはビールをイッキ飲みするとテーブルに叩きつけるように置く

 

「アオイちゃん明日事務所に私が伝えておくから、今日の宿・・・私の部屋広いから泊まろっか」

 

「はい」

 

アオイちゃんは何も食べていなかったのか料理を一生懸命食べる。この様子じゃ今後の話は時間を置いてからにした方がいいか・・・

借宿に帰りメリイが泊まるときに使う布団を敷いてアオイちゃんを寝かせる。ちょっとトラブルはあったがパーティーメンバー2人が加入してくれた

 

 

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