灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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20話

翌朝私とアオイちゃんはレッドムーン事務所に詐欺に合ったことを報告しに行った

 

「なかなかゲスイことしてくれるじゃない。でも、騙されたのはそっちの責任よ、自分で何とかしなさい」

 

「お金は無理だと思いますけど捕まえることはできないのですか?」

 

「無理、無理。いちいちそんなことに人を使ってたらキリがないわ。それにあたし達義勇兵は信用が大事よ、そういう問題行動を起こす人間は長続きしないから勝手に痛い目見る。ほおっておきなさい」

 

「せめて注意喚起とか」

 

「その子酒場で拾ったのでしょ?物好きが勝手に調べて広めるから何も言う必要はないわ」

 

他の義勇兵が調べてくれて、アオイちゃんを捨てた犯人も制裁を加えてくれるらしい

 

「すごいですね。義勇兵同士の情報網」

 

「あたし達は何もないからね。人一倍繋がりは大切にするのよ」

 

所長はアオイちゃんに笑顔で

 

「あなたよかったじゃない。ヘマしたけど最終的に彼女を見つけて助かった。いい勉強になったでしょ?」

 

「そんな・・・」

 

「抜けてるけどツキは持ってる。今回のことはさっさと忘れて、今度は捨てられないようにしなさい」

 

所長なりに励ましてる?

私達は事務所から出て北門周辺に向かって歩く。やっぱりアオイちゃんの顔は暗い

 

「所長もああ言ってるし。過ぎたことより今を頑張ろう」

 

「でも・・・すいません。私ドジだから・・・」

 

「そんなことないよ。だってこんな広い街の中で私を見つけたんだから。私だったら見つけられずにそのまま終わってた。アオイちゃんがドジなんかじゃない。これから頑張ろ」

 

「はい・・・」

 

「よし。じゃあまずは戻りながら私達が普段使う店を教えてあげる。それからヒロトが泊まっている宿についたらクラスとギルドについてね」

 

励ましが通じてくれたのかアオイちゃんは元気を取り戻してくれたみたいだ。その後、午前中はアオイちゃんの案内とクラスとギルドの説明、昼からはギルドの訓練を完了してからの住む所を探した。

 

「結局、義勇兵宿舎が見習いにとって1番リーズナブルみたいね」

 

街の借宿は見習い章による割引が効かないので泊まろうとすると1日最低50カパーかかる。そこに食事代を加えると3日住めたらいい方だ。その点義勇兵宿舎は見習い章でも割引が効き1日10カパー、団章だとなんと無料になる。マナト達そんな激安物件に住んでいたのね。住む所も決まり、希望するギルドの案内を行った。2人が戻ってくるのは7日後、それまではゆっくりと過ごそう

 

 

 

 

 

ハルヒロside

 

夜、変な時間に起きてしまい寝直すことができなくなった俺は部屋から出てそのまま外に出た。ここは盗賊ギルドの宿舎。今俺は新しいスキルを覚えるためにここに来ている。コボルトとオークの拠点討伐の報酬と戦利品で俺は4つもスキルを覚えて、残ったお金で中古の防具を買う予定だ。武器に関しては今の所研ぎに出せば切れ味がちゃんと出るので購入する事は考えていない。みんなも俺と同じようにスキルや武器、防具を買うために別行動をしている。

これが終わればダムローでゴブリンを狩って上位ゴブリンを倒す・・・

物思いに耽っていたら足音がしてきた。こんな遅くに俺みたいに寝れないやつがいたみたいだ

そいつは月明かりに照らされて姿を見せた。女の子だ。服装がここら辺で売ってない服・・・俺達がここに来たときに着てたような服・・・

 

「ってことは新人か・・・」

 

訓練の時、バルバラ先生が新人が何人か入って来たっていってたっけ。あの後「早く義勇兵になりな。恥ずかしい」ってしごかれたっけ・・・

女の子は先客がいたことにビックリしたのか足を止めている。俺は女の子を改めて見る。その子は髪はボブカットで顔は目が大きい寝不足がどうか知らないが目の下に隈ができている。拗ねたような唇が気難しそうで、近寄りがたい印象を受ける。でもなんだか妙に気になる・・・

女の子も大きな目で俺を見ている。初対面の人をじっと見ちゃって不味いよな・・・

 

「あ、ごめん。じっと見ちゃって」

 

「いえ・・・何かご用ですか?」

 

ぶっきらぼうに返される

 

「いや・・・用っていうか」

 

「特にないのであれば、失礼します」

 

女の子は踵を返すと立ち去った。途中、彼女は振り返り

 

「あの・・・名前は?」

 

「えっ?ハルヒロだけど」

 

俺の名前に反応した。もしかして担当教官に変な人がいましたと通報するつもりじゃ・・・

 

「・・・チョコです」

 

名前を言うと前に向き直り立ち去って行った。

 

チョコ

 

その名前に引っかかる。グリムガルにくる前のことは忘れているはずなのにその名前に覚えがあるように感じる

 

「・・・チョコ」

 

あのチョコなのか?いや、何があのとかはわからないけど・・・

 

「何かの偶然なんだよな・・・これ」

 

ハルヒロside end

 

 

 

 

 

 

「あれ?いるのはマナトとモグゾーだけ?」

 

マナト達に用事があったのだけれど宿舎にいたのはマナトとモグゾーだけだった

 

「残りは街って訳じゃなさそうですね」

 

「他のみんなはギルドでスキルの訓練中。俺とモグゾーは教えてもらったスキルが少なかったからね。」

 

「ああ、そうなんですか」

 

今回の報酬と戦利品でマナト達のパーティーはかなり強くなった

マナトはヒールをこれで離れていても傷を直すことができるようになったし、あの時のような悲劇は起きなくなっただろう。

ハルヒロは忍び歩き〈スニーキング〉、蠅叩〈スラップ〉、敵感知、罠解除の盗賊基本スキル4つと中古だが手甲、足甲などの全身防具を購入

ランタは排出系〈イグゾースト〉、忌避突〈アヴォイド〉強斬り〈ハードショット〉、使い魔防御〈シャドウスキン〉の4つとヘッドギアを購入

モグゾーは咆哮〈ウォークライ〉の1つだけだが、オークが身に付けていた鎧を自分が着れるように打ち直してもらい、余った鉄片をいつも被っている厚手の帽子に縫い付け鉄の額当てにした

ユメは早目、穴ネズミ 、静者、下がり打ち〈ダウンストリング〉の4つとなめし革の上着とズボン

シホルは睡魔の幻影〈スリーピングシャドウ〉と氷結の茨〈フリージングスオン〉、闇の衣〈ダークトーガ〉の3つと防具の購入

 

「シオリさんは今回の報酬で何か覚えたり購入したりしないの?」

 

「覚えたいとは思いますけど教えに乞いに行くのにも日数がかかりますし、いい防具なんてオルタナには少なくて値段が張りますもの」

 

「そっかここにはギルドがないもんね。ところで何か用事があって来たんじゃないの?」

 

「ええ、パーティー新しく入った新人2人がここに住むことになるんでよろしくってのと、暫くは一緒に狩りをさせてもらおうかと」

 

私は義勇兵見習い期間がなく、メリイやアディさんは義勇兵になってそれなりに時間が経っている。私達のペースで動くよりは義勇兵見習いであるマナト達のペースで動いた方が2人のためになるだろう

 

「新人?俺達みたいな?」

 

「ええ、それと所長が早く団章を買いに来ないと売らないって言ってましたよ」

 

「急がないとね。でも俺達と一緒に行動するってことは早い内にゴブリンの集団との戦いになるしその2人は大丈夫?」

 

「私達もフォロー入れますし、大丈夫ですよ」

 

「わかった」

 

その日は義勇兵宿舎で夕御飯をごちそうになった

 

 

 

 

 

 

 

 

「シオリさん!」

 

待ち合わせの広場で待っていると私を呼んで駆け寄ってくる人がいた。白に青いラインの入った鎧で盾を背負い、腰に剣を差している

 

「すいません。待たせちゃいました?」

 

「いえ、全然待ってませんよ」

 

「アオイさんは?」

 

「まだ来てないですねぇ」

 

私とヒロトは周囲を見渡す。少しだが人が増えてきている。早く見つけてあげないと

 

「あ、あそこにいます」

 

ヒロトが見つけてくれたようだ。目を向けると白地にに青いラインの入ったフード付きの服、腰にはマナトと同じ伸縮できる杖を差したアオイちゃんが見えた。私かヒロトを探しているのか周囲をキョロキョロしている

 

「お~い、アオイちゃん。こっち~」

 

私が声をかけると気づいて走ってくる

 

「ごめんなさい。全然見つからなくて」

 

「大丈夫、俺もついさっき合流したばかりだから」

 

パラディンのヒロト、神官のアオイちゃん。2人はちゃんと希望したクラスになれて良かった。

私達3人は義勇兵宿舎に移動してマナト達に2人を紹介した

 

「マナトこの2人が前に言っていた新人。ヒロト、アオイちゃんこの人がマナトって言ってそこにいる5人とパーティーを組んでいるリーダー」

 

「ヒロトです。よろしくお願いします」

 

「アオイです。よろしく・・・」

 

「そんなに緊張しなくていいよ。君たちと一緒でまだ見習いだから。俺はマナト。ってさっき紹介されたね」

 

「うちユメ。狩人やってんねん。2人のクラスは?」

 

ユメが先頭になって2人にうまく絡んで打ち解けてくれている。その後、ゴブリン狩りのためにダムローで活動することや宿舎の説明で時間が過ぎていった

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