灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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2016.03.13 22話修正
チョコ達のパーティーにクザクがいたことを忘れていました。クザクファンの人すいませんm(_ _)m
背の高い人=シュウ クラス戦士 から
背の高い人=クザク クラスパラディン に修正


23話

ハルヒロside

 

・・・むに

 

何かが俺の頬を触る。虫が張り付いたかな?

 

「ん、う~ん」

 

頬を払い再び眠りの世界へ・・・

 

・・・むにむに

 

また俺の頬に何かが触れる。・・・しつこい虫だなぁ。ランタか?全く、テントの入り口をちゃんと閉めないと虫が入って鬱陶しいって言ってるのに。目を薄く開けると誰かが顔を覗いている。ランタか?・・・ってチョコ!?

 

「うわ!」

 

声を出すととチョコも驚いて身を引く。状況を確認しようと辺りを見渡す・・・外にいる・・・ああ、そうだ新しくチョコ達のパーティーと一緒になってゴブリン狩りをしてたんだっけ。それで夜に交代で何人かと番をしていたんだけど途中で寝ちゃったんだ・・・そして交代のチョコが来て起こしてくれた・・・

 

「ごめん、寝ちゃってた。もう交代の時間?」

 

「まだ時間じゃない」

 

交代の時間じゃないのにいったいどうしたんだ・・・。チョコは俺がもたれていた倒木に座る。俺もそこに座る。お互い何も話さずに時間が過ぎてゆく。気まずい・・・何か話そうかと思うけど何も思い浮かばない。チョコの顔を見る。隈がある大きい目は前の暗闇を見つめている。やっぱり何かが引っかかる気がする・・・

 

「・・・何?」

 

チョコが俺の視線に気づく。どうしよう・・・君の顔が気になるんだって言っちゃうと引かれるなぁ

 

「いや・・・別に・・・ないというか・・・うん、なんでもない・・・よ?」

 

「そう」

 

「う、うん」

 

良かった。何とか切り抜けれた・・・

 

「見張り・・・寝てた。先輩なのに・・・」

 

「う・・・いや、あれは・・・ちょっと・・・」

 

「フフ・・・」

 

見張り中の居眠りを指摘されしもどろしているとチョコは袖で口元を抑え笑う

 

「笑うことないと思うけど・・・」

 

「フフ、ごめん」

 

「チョコは」

 

「・・・呼び捨て?」

 

「ご、ごめん。何かそっちの方がいいかなって・・・」

 

「意外・・・女慣れしてる・・・パーティーに女の子が多いから?」

 

変な勘繰りをしてる?いや、俺全然だから・・・

 

「あ、いや。女慣れしてない。見た目通りだよ。全然・・・チョコ・・・ちゃん?さん?」

 

「・・・呼び捨てでいい」

 

「う、うん。ごめん」

 

「で、何?」

 

「えっ、あ、いや・・・やっぱりいい」

 

「言ってよ。気になるし」

 

「言わないよ」

 

「・・・ふ~ん」

 

チョコは詰まらなそうに足を振る

 

「・・・へたれんぼう」

 

「えっ」

 

へたれんぼう

 

聞き覚えがある・・・。これは気のせいじゃない。聞いた瞬間心臓がドキッてした。でも、へたれんぼうって一般的じゃないよなぁ。今まで聞いたことないし、言ったことも思ったこともない

 

「あの・・・チョコ。ここに来たときの記憶はないよね?」

 

「うん。ない」

 

「俺もなんだよ。いや、当たり前なんだけど・・・家族とか友達とか全然覚えてないんだ」

 

「・・・うん」

 

「でも、もしかしたら・・・例えばなんだけど・・・パーティーのみんなとは初めてなんだけど、そうじゃないこともある・・・よね?」

 

「・・・前から、知り合いとか?」

 

「そういう可能性があるって・・・話」

 

「・・・そうかもね」

 

「うん」

 

「でも、覚えてなきゃ意味がない」

 

再び沈黙が支配する・・・

 

「・・・ヒロ」

 

「えっ?」

 

また心臓が鳴る

 

「先輩・・・ハルヒロだからヒロ・・・いい?」

 

「いいよ」

 

なんだろう。目の奥が熱くなって、心臓の鼓動がおかしい・・・。多分そんな呼ばれ方しても何でもないはずなのに・・・。誰かにそう呼ばれていたはず・・・誰に?チョコに?

 

「いいよ。もちろん」

 

「ほんとに」

 

チョコが俺の顔を見てくる。心なしか力が入っているような気がする・・・もしかしてチョコもヒロって読んでたやつがいた・・・?俺?もしかして俺とチョコは・・・

 

「あの・・・チョコ・・・もしかして俺達・・・」

 

「・・・ハルヒロ?もう交代の時間過ぎとるよ」

 

言葉が遮られる。交代の時間になっても戻ってこない俺を心配してユメが見に来たようだ

 

「・・・じゃあ。チョコあとよろしく」

 

「・・・うん」

 

タイミングを逃した俺は立ち上がりチョコに後を任せてキャンプに戻る

 

「・・・いい雰囲気やったなぁ」

 

「えっ?」

 

キャンプに戻る途中、ユメが歩くペースを遅くして呟く

 

「あの子と」

 

「あ、ああ、盗賊ギルドで会ってその辺りのこと話してた」

 

「とてもそんな風に見えんかったけどなぁ」

 

ユメは疑いの目を向けてくる

 

「・・・へたれんぼう」

 

「えっ」

 

「覗き見しとうなかったけど。なかなか声かけれんかったから難儀したわぁ」

 

あの辺りからずっと見られてた?そう思うと顔が赤くなる

 

「知らん間に他のパーティーの子口説いて何しとんの?」

 

ユメが不機嫌だ。そう言えばユメが不機嫌になるのを見るの初めてかも。ランタに怒った時はブワーとなってすぐに収まっていて貯めるってことはなかったし。覗きの時も不機嫌だってこっちが勝手に思ってた・・・よね?何でチョコと話してて不機嫌になるんだ?

 

「聞いとんの?」

 

「うん。聞いてる。別に口説いてたわけじゃ・・・」

 

「名前・・・渾名決めてた」

 

渾名?ヒロのこと?もしかして渾名で呼びたいのか?

 

「別にユメも好きに呼んでもいいよ」

 

「えっ」

 

ユメが驚いた顔をしたら急に悩み出した。おいおい、変な渾名つけないでくれよ・・・

 

「・・・ハル・・・じゃなくて、ハル・・・くん?」

 

「ん?ハルくん?それでいいよ」

 

悩んでた割りに普通だな

 

「ハルくん♪」

 

「何?」

 

「~♪」

 

ユメが笑う。何だ?何が面白いんだ?

 

「ハルくん。早よ戻ろ。うちめっちゃ眠いわ」

 

ユメが上機嫌で歩くペースを上げる。何だ?急に機嫌が直って。それにそっちがペースを落としたんじゃないか。ユメの不可解な行動に疑問を浮かべながらキャンプに戻った

 

ハルヒロside end

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はいつものように建物の影に隠れてゴブリン発見の連絡を待つ。そこにハルヒロ、ユメ、チョコの3人が戻ってくる

 

「変なゴブリンがいた」

 

3人の話によるとゴブリン達の集団の中に2倍位体が大きいゴブリンがいたとのこと

 

「ホブゴブリンね」

 

3人の報告を聞いてメリイが答える

 

「ホブゴブリン?」

 

「ゴブリンより体が大きくて力が強い、でも知能は高くないから奴隷戦士として飼われていることが多いわ」

 

「でも俺達がここに来てホブゴブリンなんて見たことも聞いたこともないぞ」

 

外を見ていたランタがこちらに近づきながら言う

 

「殆どの場合、上位ゴブリンが従えてるもの見ないのも当然よ」

 

「と、いうことは!」

 

ホブゴブリンを従える上位ゴブリンがここに来ているということだ

 

「自分達の最大攻撃力であるホブゴブリンを遠くに配置しないはずだから上位ゴブリンも近くにいるわ」

 

「パーティー毎に別れて上位ゴブリンのいそうな場所を探そう。ユメはシオリさんのパーティーに入ってあげて。みんなゴブリンとの戦いは絶対にしないように。そして無理は絶対にしないでくれ」

 

マナトはメリイの発言に頷きゴブリン狩りから上位ゴブリン探索にシフトするように指示する。各班ゴブリンに見つからないように行動し、上位ゴブリンがいそうな場所を探す。ホブゴブリンが発見された周辺はゴブリンが多く物々しい雰囲気を感じた。そして・・・

 

「あの建物絶対怪しいやん」

 

私とユメは遠くに見える建物を見ていた。その建物の屋根にはボウガンを持ったゴブリンが2匹おり、入り口には門番か何かなのかゴブリンが4匹立っている。どのゴブリンも装備が明らかにいい。それにユメの早目を使った遠目では窓から2、3匹のゴブリンが歩いているのが見えるらしい

 

「ユメのいう通り多分あそこにいますね」

 

「じゃあ、さっさと戻ろう」

 

辺りを警戒しているアディさんが合流を促す。できれば上位ゴブリンの姿を確認したかったが長居するのは危険だ。私達は合流地点であるダムロー外に移動する

 

「多分そこにいるね」

 

他の班と合流し、キャンプ地に戻る。そこで各班が持ち寄った情報を交換する。私達が持ってきた建物の情報が当たりの可能性が高いことがわかった

 

「あの時のようにゴブリンの数が多いと思っていたけど予想以上に多いね」

 

みんなの情報から外で哨戒しているゴブリンは40匹以上、建物には上位ゴブリンが1匹だとしても9匹いる

 

「みんな。上位ゴブリンへの攻撃は明日行う。かなり危険な作戦になる。はっきり言ってこの攻撃は俺達のパーティーの自己満足みないなものなんだ。もしやめたいなら遠慮なく言ってくれ」

 

マナトがみんなの前に出る。誰も反対意見を言わない

 

「ありがとう。実は作戦は何人かで相談していたんだ。今晩それを煮詰めるから朝に伝えるから待っていてくれ」

 

みんな頷く。いよいよマナト達の雪辱戦が始まる・・・

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