灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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24話

「みんなこれから作戦開始だ。無理は禁物。絶対死なないように」

 

マナトがみんなの顔を見渡して言う

 

「よし。作戦開始だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「光よ、ルミナリスの加護の元に・光の護法〈プロテクション〉」

 

メリイ、アディ、ヒロト、ユート、シュウ、タクマが光に包まれる

 

「始めましょうか・・・」

 

目の前にはゴブリンが5匹。私達はそれぞれ配置につく。

 

「マリク・エム・・・」

 

ゴブリン達の側面に回りアディ、ヒロトに守られたリンがマジックミサイルを唱える

 

「ギー、ギャー」

 

ゴブリン達は詠唱に気づくと1匹は大声で叫び。残りの4匹は走ってくる。予定通り仲間を呼んでくれた

 

「パルク!」

 

リンのマジックミサイルは走ってくるゴブリンの内1匹に当たる。しかし、しかし残り3匹の足は止まらない

 

ザシュ!

 

物陰に隠れていたユート、シュウが剣を突き刺しゴブリン2匹の足を止める。

 

「ぐぅ・・・やぁぁぁぁぁ!」

 

残りのゴブリンはヒロトが盾で受け止める。後ろに飛び退いたゴブリンを追いかけ両手持ちしたロングソードで袈裟斬りにする

 

「よっしゃ~大成功」

 

「シュウ調子に乗るなよ。これからが本番だ」

 

突き刺したゴブリンに止めを刺す2人。ユートの言う通りもうすぐ敵の増援がくる。私達は囮としてここで戦い敵を集める。そして警備の薄くなった所にマナト達が突入して上位ゴブリンを叩く。敵の数も多く無謀かもしれないが私達にはこれしかないと思っている。残りのゴブリン2匹は増援を待っているのかこちらの様子を伺っている

 

「ギャギャ」

 

周りからゴブリンの声が聞こえてきた。メリイ、タクマは私、リン、アオイの周囲を警戒する

 

「みんな矢に気をつけて」

 

遠距離攻撃に乏しい私達には距離を取られて矢で攻撃にされるとかなりきつい。なので遮蔽物が多いこの場所を戦う場所に選んだ

 

「ホブゴブリンが釣れたようね」

 

アディさんの声の方に顔を向けるとホブゴブリンとゴブリンの集団が近づいてきている。ホブゴブリンは3匹。聞いた通りかなり大きい。オーク位あるんじゃないか?

 

「3匹も来ましたか、向こうはかなり楽になりそうですね」

 

「クザクさんを向こうに送らない方がよかったかも・・・」

 

「ヒロト弱音を吐かない」

 

ヒロトのを叱咤するアディ。クザク、チョコはこっちがあまり引き付けられなかった時のためにマナト班に入ってもらっている。前衛が1枚足りないのがどう出るか・・・

 

「ガァ~」

 

ホブゴブリン3匹の内1匹が間延びした声を出してこちらに走ってきた。それを見たゴブリン達は騒いでいる。もしかしてホブゴブリンってあまりいうこと聞かないの?

 

「ラッキー。みんな邪魔しないで」

 

「えっ、アディさんちょっと待って」

 

ヒロトの静止を無視しアディがホブゴブリンの前に出る。ホブゴブリンは手に持ったこん棒を大きく振り上げアディめがけて降り下ろす

 

ドシン!

 

土煙が辺りに舞う。ホブゴブリンの攻撃は空振ったようだ。いや、アディは盾でこん棒を反らして空振らせたんだ

 

「シッ!」

 

その大きな隙をアディは見逃すはずもなく。射居〈ピックショット〉でホブゴブリンの首を突き刺す。これって前にモグゾーにしたことと一緒・・・!

 

「ーーーーッ!!」

 

ホブゴブリンは首を抑え、大きく口を開け叫ぶが剣で貫かれて穴が空いてしまっているので声が出ない。そして首からは勢いよく血が吹き出す

 

「ーーーーッ!!」

 

首を抑えよろけるホブゴブリンはやがて血の勢いがなくなると同時に倒れこむ

 

「うおぉぉぉ。すげえぇぇぇ。アディ姐さん!」

 

巨大なホブゴブリンを一撃で倒したことでテンションがマックスになるシュウ。他の皆も驚いている

 

「あれを動かせたらかなり楽になるわね」

 

後ろに下がってきたアディが私に話しかける

 

「距離があるのでまだ難しいですね。せめてもっと押し込まないと・・・」

 

「もっと引き付ければよかったか」

 

あれぐらい余裕ですか・・・。ホブゴブリンを速攻で1匹失って動揺するかと思ったがそこまで動揺している感じはしない。でも、何か動きがある・・・あの手に持っているのは!

 

「みんな来ました!」

 

ドス!ドス!

 

前方のゴブリン数匹がボウガンで攻撃してきた。私達は壁に隠れてやり過ごす

 

「ギャア、ギャー」

 

ゴブリンの声と小さな足音と大きな足音。よしボウガンなしだとまだいい勝負になる

 

「グォォォ」ドシン!ガラガラ

 

「へっ」

 

ホブゴブリンは壁をこん棒で殴り壁を破壊しながら近づいてくる。壁は壊せるだろうと思っていたけど最初からやるとは

 

「壁を壊されるのを防いでください」

 

アディ、ユート、シュウの3人はホブゴブリンを止めようとするが取り巻きのゴブリンとボウガンに邪魔されて上手くいかない

 

「シオリさん俺、盾になるんでボウガン持っているゴブリンに攻撃できませんか?」

 

石を片手にヒロトが提案してくる

 

「うん。お願い」

 

せめてこっちはボウガン持ちを減らさないと

 

「私も・・・」

 

リンもマジックミサイルで攻撃しようと1歩出る

 

「待ってリンさんのマジックアローじゃ効果が薄いわ。こっちまで来た時用に温存して」

 

メリイが静止する。リンは悔しそうに了承した。私とヒロトは壁の端に構える。ヒロトが石を放り投げる

 

シュ!

 

矢が通り抜ける音がした。それと同時に私とヒロトは壁から出る。

 

「安寧を生きるものに・・・」

 

「うぐぅ!」「ヒロトくん!」

 

「死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」

 

モータルレイを唱え終わると直ぐに壁に戻る

 

「ギャオ!ギャウ!」

 

ゴブリンの声が聞こえてきた。上手くいったみたいだ。しかしヒロトは盾ごと腕を貫かれてしまった。盾と腕の間の木の部分を剣で切って腕に刺さっている矢を抜く

 

「光よ、ルミナリスの加護の元に・癒し手〈キュア〉」

 

すかさずアオイがキュアで治療する

 

「ありがとう。アオイさん。上手くいかなかったですね」

 

「ボウガンの威力を甘く見てました」

 

まさか盾ごと貫かれるとは思わなかった。もし腕ではなく頭とかだと思うとゾッとする。

 

「こっちの方も来たみたいです」

 

タクマが杖を構えながら言った。

 

「ギァオ!」「ギャウ!」

 

ゴブリン2匹が飛び込んでくる

 

「ハッ!」

 

タクマが殴打スマッシュ〉で飛び込んできたゴブリンを叩き落とす。そこにヒロトが剣を突き刺し止めを刺す。もう1匹はメリイが杖で受ける

 

「フッ!」

 

そしてその力を利用してゴブリンに攻撃。突き返し〈セットバック〉だ。メリイのカウンターを受けたゴブリンは吹き飛ぶ

 

「よし!」

 

ヒロトはゴブリンに止めを刺そうと飛び出そうとする。

 

「待って!射線に出ちゃう」

 

「うっ」

 

ヒロトは踏み止まる

 

「死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」

 

倒れたゴブリンにモータルレイを放つ。ゴブリンはこの2匹だけじゃないはず。1度下がる?無理だここから出ると開けた場所に出てしまうのでボウガンに狙い撃ちされる

 

「やっぱりホブゴブリンよりボウガン持ちをどうにかしないと・・・」

 

方法は・・・ある。っていうか思いついた。が、かなり危険だ。だけど前衛もいつまで持つかも分からない・・・。ヒロトに守ってもらいながら・・・無理だ。さっき盾を貫通してしまうのを見たばかりだ。この作戦はみんな絶対反対するけどやるしかない

 

「やっぱり1人でやるしかないか~」

 

「シオリ?」

 

深呼吸

 

「みんな無理します。ダメだったらごめんなさい」

 

そう言って壁から飛び出す

 

「えっ!ちょっと何してるの!」

 

メリイの声が聞こえる。だけど私は止まらない。視界にはボウガンを持ったゴブリン達が私に向けて構えいるのが見えた

 

「ンッ!」

 

肩に鈍い痛み。急所は外れてくれた。姿勢をできるだけ低くして走る。もう少し・・・

 

「ッ!」

 

ゴブリンの第2射。今度は足に刺さってしまいコケてしまう。でも、ホブゴブリンに触れれた

 

「死して我に従う玩具となれ・死体操作〈ゾンビクリエイト〉」

 

ザシュ!

 

「うくぅ・・・ゴホッゴホッ」

 

ゾンビクリエイトの詠唱と共に背中に重みと痛みが襲ってきた。何かが逆流する感覚・・・咳き込むと血を吐いた

 

「ギャン!」

 

ゴブリンが吹き飛ばされる。おそらくリンのマジックミサイルだ。操作したホブゴブリンを使い立ち上がろうとしているゴブリンの足を掴みボウガンを持ったゴブリンの方向に思いっきり投げ走る。ゴブリンは死んだホブゴブリンが急に起き上がりこちらに襲いかかってきたのでこちらに攻撃する余裕はないようだ

 

「おおぉぉぉぉ!」

 

混乱に乗じてユートが乱入。これでボウガンの心配もない。ホブゴブリンの姿も見えない事だからボウガンがなくなってから3人で倒してしまったようだ

 

「シオリ!」「シオリさん」

 

メリイとヒロトの声がする。背中が痛すぎて振り向けない

 

「メリイ、ゴホッ。治療お、んっ」

 

「光よ、ルミナリスの加護の元に・癒し手〈キュア〉」

 

こちらがお願いする前に背中に刺さっている物を抜いてキュアで治療してくれる。背中に心地よい暖かさと痛みが引いていく

 

「あなた!無理だったらごめんなさいってどういうことよ!無理だったら死んじゃうじゃない!って言うか無理な状態だった!」

 

メリイが捲し立てる

 

「メ、メリイさんとりあえず安全な場所に・・・」

 

衣服を引っ張られて壁際まで運ばれる。タクマ達は前衛と合流して残りのゴブリンの掃討にかかっている

 

「とりあえずこっちは上手く行きました。ユート達を援軍に送りましょう。痛い」

 

メリイは乱暴に矢を引き抜く

 

「何で相談しなかったの?」

 

「言ったら絶対反対するし」

 

「当然でしょ!「死なないように」って聞いてた?」

 

「聞いてたよ」

 

メリイは私の治療をしつつ説教をする。説教よりもちょっと休みたい・・・

 

「メリイ、ちょっと休ませて」

 

「わかった。終わってから続きね」

 

「うへぇ」

 

とりあえずこっちは何とか終わった。ゴブリンの数がちょっと少ない気がするがユート達を送るから勘弁してほしい。私は疲れからか急速に意識が落ちていった

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