目を覚ました。目に入るのは外の景色でもテント内でもなく、木の天井だった。周りを見渡すと石材をきれいに並べた壁で囲まれた部屋。明かりは松明が等間隔で掲げられている。
私はダムローでメリイに休むことを言って寝たはずだ。もしかしてそのまま起きずにオルタナまで運ばれた?
「みんなは・・・いない。それにここルミアリス教会じゃ・・・ないですよね」
私が知っている石でできている建物と比較するが明らかに違いすぎる。ルミアリス協会では患者は普通中央の台に寝かされるが、ここにはそんな台はないし、汚く、そして
「・・・臭い」
何だろう・・・何の臭いか分からないが臭い。ルミアリス協会は血の臭いはしてもこんな何の臭いか分からない臭いはしない。
「誰もいないし・・・」
部屋から顔を出す。廊下も部屋と同様薄暗くどっちの方向も奥は真っ暗だった。
暫く待ってみても誰も来る様子がなかったため意を決して廊下に出て歩き出した。長い廊下の割に部屋数は少ない。部屋の中を確認しようにも鍵がかかっているので確認はできなかった。
暫く歩くと曲がり角が見え、曲がろうとしたとき人影と出くわした。その人影は鎧を着ていたが露出している肌は緑色だ。そのまま見上げ顔を見ると鼻が潰れ、耳が小さくて尖っていて、口は大きく両端から大きな牙が生えている
「オ、オ、オーク!?」
何でこんなところに?えっ?何で?まずいこんな至近距離じゃ・・・。
オークはあたふたしている私を通りすぎていく
「へっ?」
オークは私達人間族や同盟国家と対立している。さっきみたいに対面すれば問答無用で襲ってくるはずだ。
「と、とりあえず隠れないと」
曲がり角に身を隠し様子を伺う。オークはこちらをうかがうこともなく去って行く。
「みんなは見当たらないし、オークも出てくる。どういうことなの?」
考えられるのはオークに誘拐された可能性。じゃあ他のみんなは?わからない・・・
「先ずはこの建物から出よう」
私は歩き出す。あれから何度かオークと鉢合わせになったり、視界に入ったりしたが、どうもここにいるオーク達は私の姿が見えないようだ。それにここは何かの軍事拠点らしき施設だと私は感じた
「それよりも出口は・・・」
結構な距離を歩いたが出口らしきものは全く見当たらない
「姿が見えないからオークについていく?」
ただ闇雲に歩くよりはオークについていけば何か外に出るヒントがあるかもしれないと思い。すれ違ったオークの後ろを付いていった。オークは私に気づかないまま歩きとある扉に入ろうとした、オークが入った後体を滑り混ませて部屋に入る。
その部屋は何かの儀式をするためか祭壇と床に魔方陣らしき物が描いてあり、その魔方陣の中心にはオークがこちらに背を向けて座っていた。
部屋を見渡していると後ろを付けていたオークはさっさと出ていってしまい、背を向けているオークと2人きりになってしまった。
「しまった。さすがに扉を開けちゃうと見つかるよね・・・」
ここから出るにはまたここにくるオークを待つかこのオークが出ていくまで待つしかない。私は扉の横で待つ・・・
「(?/'/#/0241!/3#/0…….#/06'!5」
オークはよくわからない言葉を喋りながら座っている。プギャとか片言の言葉しか聞いたことがないけどこの言葉はえらく悠長に聞こえる。オークは呟くのをやめ、後ろの扉を見る。顔にはあまり派手ではないイレズミ、牙には何かの紋様が彫ってある。そして首には何かの動物の骨で作った首飾りをしている。上位オークだ。ずいぶん長く見ているなぁと思い私も扉を見る・・・何もない・・・違う。もしかして私を見てる!?私はオークの方に振り向く。その時、オークと目が合った。目が合ったオークは笑った
「はっ!」
目が覚める。私の目に入るのはテントの天井。周りを見る焚き火と何人かが集まっている影が見える。
良かった戻ってこれた・・・
いや、目が覚めたから夢だったのだろう。ゴブリンと戦っていたのにオークの夢を見るのも不思議だ。それにあの臭い・・・夢なのに臭いって感じるものなの?それに最後のオーク・・・他のオークと違って私を見つけて笑った・・・
「起きた?」
「・・・あ、うん」
「何か食べれる?」
メリイが様子を見にきてくれた。「食べる」と言うと「暖めてくるから」と言って焚き火に戻っていく。入れ替わるようにマナトが声をかけてくる
「今、大丈夫?」
「大丈夫」と言うと「ちょっと入るよ」と言ってテントに入ってくる
「すごい無茶をしたって聞いたけど大丈夫?」
「まだダルいですけど何とか」
「メリイが凄く怒ってたからちょっと心配したよ」
「ははは・・・」
そういえば「終わったら説教」って言ってたなぁ・・・
「そういえばマナト達は大丈夫だった?」
「大丈夫だった・・・って言いたかったけど最後の最後でヘマしちゃって俺が大怪我した」
「大怪我って大丈夫だったの?」
「今度は自分で治療できたよ」
メリイがパンとスープを持って戻ってきた。マナトは「それじゃ、また」と去って行く。
「ありがとうメリイ」
パンとスープを受け取ろうとてを伸ばすが、避けられる。
「あ、あれ?」
「何か言うことない?」
「・・・えっと、ごめんなさい」
「全く、何で私達に相談せずに行動するの・・・」
食事を食べながらメリイの説教(小言)を聞く。お腹がいっぱいになると眠気が襲ってくる。「メリイごめん。もう寝る」と言って食器を渡す。メリイは食器を受けとるとすぐに出ていき、戻ってきて横になり抱きついてくる
「わ、私ももう寝るわ」
メリイは少し赤い顔で言ってきた。私はうなずいてそのまま目を閉じる。
「・・・ごめんね。メリイ」
「・・・うん」
これからは無茶はやめよう・・・
翌朝、一部メンバーを残し、倒したゴブリンの身ぐるみを運べなかった分の回収作業を行った。シュウの盾は倒したゴブリンが持っていて取り返せたことを喜んでいた。
ハルヒロside
オルタナに戻り、戦利品の換金をしたところ、かなりの大金になった。そのお陰かヒロト達新人も団章を買うみたいだ。
「あら、こんな大人数でどうしたの?」
所長は奥のカウンターに座っている
「団章を買いに来ました」
「やっと買いにきたの?」
「遅くなってすいません」
「まぁいいわ。そっちの子も?」
「あっ、はい」
20シルバーを出し団章を受けとる。みんな団章を受けとると所長は笑い
「おめでとう。あなたは義勇兵見習いから正式な義勇兵になったわ。私達はあなたを歓迎するわ」
手に持った団章を見る。これを手にいれるのにすごい苦労をした・・・やっと手にいれることができたんだ。俺達はレッドムーン事務所を出る
「よし!俺達の新しい門出を祝おうじゃないか!」
ランタが俺達の前に出て言う
「いいね。シオリさん達も誘って盛大にいこう。場所はシェリーの酒場で」
「いや、俺達の宿舎でだ」
「何でまた?」
「ほらあれだ・・・せっかく俺達だけで祝ってるのにキッカワとか?他のやつに邪魔されたくないっていうか?」
何だか歯切れが悪いなぁ
「とにかく!みんな色々持ち寄って騒ごうぜ!」
その後もランタが必死に抵抗をして 、ランタの希望通り俺達が使用している義勇兵宿舎で行うことが決定した
ハルヒロside end