灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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32話

朝、早朝準備を終えた私とメリイは部屋から出て辺境軍が待機している部屋に向かっている。ヒロト達3人はヒロトの準備を待っている。男女同時に準備できないしね。

待機室で食料と笛を受けとる。オークの勢力圏である城壁外で戦うことになため、緊急時はこの笛を使い、他の義勇兵に助けを求める。

宿として使用していた砦を出るともうすでに数パーティーが城壁に向かって歩いているのが見える。私はその中にハヤシさんがいたのを見つけた

 

「ハヤシさん!」

 

ハヤシさんは私の声に気づくと仲間に声をかけこちらに近づいてくる

 

「君もこの依頼に?」

「はい」

「ここ最近オークだけじゃなくゴブリンやコボルド、リザードマンの姿が確認されているから気をつけるんだ」

 

リザードマンは旧ナナンカ王国領とリバーサイド鉄骨要塞の間にある噴流大河〈ジェットリバー〉の上流に住んでいる人型種族だ。姿は蜥蜴がそのまま2本の足で立ち上がった出で立ち。造船技術に優れ、主な武器は槍。中には氷魔法や呪いを使う個体がいるという話だ。

 

「体が鱗で覆われていて鎧の役割をしているから剣は効きづらいから気をつけるんだ。メイスなどの打撃武器か神官の護身法なら効率よくダメージを与えられる」

 

ハヤシさんはヒロトとアオイちゃんにリザードマン戦についての簡単なレクチャーをしてくれている。一通り終わるとメリイに声をかける

 

「その・・・メ、メリイ。元気だったか?」

「・・・え、ええ」

 

2人共会話がぎこちない。メリイはハヤシさんを見るとパーティーメンバーのことを思い出す。ハヤシさんはその事でメリイに負い目を感じている。見ていて歯痒い。

 

「あれ~?シオリンも来てたんだ~」

 

声と共に肩に重みを感じた。この声と遠慮のなさは。顔を横に向けるとキッカワがいた。

 

「どうしたのメリメリ?元カレと再開しちゃった?」

「元カレと違います。元パーティーメンバーです」

「あ~あの人が例の」

 

顔が広いキッカワはメリイの過去も当然知っている。

 

「ああゆうのは本人次第じゃないの?シオリンが心配してもどうにもできないよ?」

「それは分かっているのですが・・・」

「シオリン優しい~。あ、レンジも来ているよ」

 

私達に声がかかったのだからレンジパーティーにも声がかかるのも当然か。

 

「レンジ探さないの?」

「友達でもないですし別にいいですよ」

「ふ~ん。レンジはシオリンのこと話してたのに」

 

レンジが私のことを?ちょっと気になる

 

「そんなことより、前に言ってたティーパー紹介するよ」

 

キッカワが私の体を回す。回した先には5人のパーティーが手を挙げていた。

 

「いいですよ。私もパーティーを待っていますから」

「そお?残念。じゃあ先に行ってるね」

 

キッカワは手を挙げていたメンバーの元に走って行くと城壁の方に歩いて行った

 

「シオリお待たせ」

「あ、メリイ、話終わった?」

「うん」

 

顔を見る限り、ハヤシさんとの会話はあまりうまくいかなかったみたいだ。

 

「あのメリイ「シオリさん」」

 

ヒロトの声に邪魔される。私は気にしないでと伝えて振り向きヒロト達3人を迎える。

 

「すみません。準備に手間取って」

「鎧ですから時間がかかるのは仕方がないですよ。じゃあみんな行きましょうか」

 

私達は城壁まで移動し馬車に乗り込む。この馬車で要塞線の向こうに行く。その後はパーティー単位に別れそれぞれ仕事をする。

 

「いつも私達から攻撃できるとは限らないから常にプロテクションをかけて行くよ」

「はい、光よ、ルミナリスの加護の元に、護法〈プロテクション〉」

 

アオイちゃんがプロテクションを唱える。光が私達を包み。それと同時に暖かさと体が軽くなる感覚。

 

「いい、プロテクションを切らさないように気をつけて、戦闘中に切れたらその感覚だけでも隙になるから切れたらすぐに言って」

「はい」

 

プロテクションは他の魔法と違い回数ではなく継続時間での計算だ。ずっと効果が発生している分、気を抜いたり動揺したらプロテクションの効果が消えてしまう。

 

「よし。それじゃあ行きましょうか」

 

私達は森の中に分け入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「光よ、ルミナリスの加護の元に、戒光〈ブレイム〉」

 

アオイちゃんの手から放たれた光はゴブリンに命中し、ゴブリンが激しく痙攣する。

 

「はぁ!」

 

痙攣するゴブリンにヒロトが懲罰の一撃〈パニッシュメント〉を放ち倒す。ヒロトは基本的にスキルを温存する戦い方をするが周りに敵がうじゃうじゃおり、長引けば敵の増援が来る可能性があるため温存せずどんどんスキルを使っている。

 

「こっちもさっさと始末するよ」

 

私の操作するリザードマンとアディさんとでコボルドを始末する。アディさんがタンクで攻撃を受けてもらっている間にリザードマンの槍で攻撃する。剣よりリーチがあり突きの攻撃がやり易いためかなり調子がいい。だけどオークの勢力圏だからオークとその他の種族との戦いだと思っていたがオークの姿はまだ見ていない。私はアディさん達前衛に近づくが、メリイが一緒に来ていないことに気づく。

 

「メリイどうしたの?」

 

メリイが耳に手を当てて「・・・何か足音がする」と音の聞こえる方向に指をさす。耳をすませると足音が確かに聞こえてくる。

 

「こっちに近づいてくる?」

「この足音・・・竜騎兵かもしれないね。隠れるよ。」

 

私達は近くの岩影に隠れる。足音はどんどん大きくなっていき、木々の影から大きな蜥蜴が飛び出してきた。大きな体に大きな足と尻尾。顔は怖そうな目付きに口には鋭い牙が見える。そしてその背中にはオークとリザードマン2匹が乗っていた。アディさんが言っていた通り竜騎兵だ。

 

「グルルル」

 

馬竜は私達が倒したコボルドの前で止まるとリザードマンが降りてコボルドを調べている。

 

「グル、グル」

「プギャ」

 

3匹は辺りを警戒し始めた。コボルドが死んでまだ間もないから近くにいると思ってる?でも、3匹と馬竜なら私達でも何とかなるかも。私はアディさんに心の声で問いかける。アディさんは首を振り地面に指で竜と書く。馬竜が相手だと私達じゃあ荷が重いか・・・。かといって逃げるにしても私達の足では追い付かれてしまう。私は笛を手に取りいつでも吹けるようにスタンバイした。

 

ピュィィィィーーー

 

遠くの方から笛の音が響く。リザードマン達は笛の音を聞くと急いで馬竜に乗る。リザードマンが乗るのと同時に馬竜は音のする方に向かって走り去っていった

 

「何とか見つからずにすんだけど誰か捕まったようね」

 

アディさんはコボルドの方まで歩いて行きタリスマンをもぎ取る。

 

「あれが馬竜ですか・・・想像以上に大きかったですね。さっきシオリさんと話してたのは戦えるかですか?」

「ええ、見た通り力も強いから近接戦じゃあ分が悪いわ。せめて弓か魔法が欲しいところね」

「・・・足音が聞こえなくなりました」

 

馬竜が去った方向に耳をすませながらアオイちゃんが言った。取り敢えずこちらの安全は確保できたみたいですね。

 

「笛が鳴ったとなれば乱戦になりますからかさばる物は捨てて私達も行きましょう」

「竜騎兵のこともあるから大きく迂回して行くよ。シオリ味方が混乱するからそのリザードマンは置いていきなさい」

「わかりました」

 

私はリザードマンの操作を切る。そして槍を拾う。剣などで戦わせるより槍で突いた方がやり易い。向こうに着いてから操作したのに持たせて戦おう。私達は戦利品として持っている剣や鎧といった動きに阻害になるものを捨て音の発信元に向けて駆け出した

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