灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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今週忙しくなっちゃうので投稿ペースちょっと落ちるかもしれません


33話

私達が戦場に到着した時にはすでに大規模な戦いに発展していた。至るところで戦いが起こっているがやはり竜騎兵と戦っているパーティーは苦戦を強いられている。

 

「馬竜ではなく操作しているオークを狙うんだ。もしくは電磁魔法でオークを振り落とすんだ」

 

シノハラさんが戦闘の指揮を取っているのが見える。ハヤシさんがいたから当然か

 

「馬竜にモータルレイを使ってみるので援護お願いできますか?」

 

私のお願いでアディさんとヒロトが近くの馬竜に向かう。既に馬竜と戦っているメンバーには神官がいない!?

 

「メリイあのパーティー神官がいないからプロテクションを」

「大丈夫。神官は後ろに下がってる」

 

馬竜が暴れると軽装の防具じゃ役に立たないので神官や魔法使いは大きく後退している。2人が参加したことにより馬竜の動きが鈍る。

 

「安寧を生きるものに死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」

 

モータルレイは馬竜に向かって飛ぶが避けられる。当てるにはもっと近づかなければならないが危険だ。モータルレイが無理なら・・・

 

「死して我に従う玩具となれ・死体操作〈ゾンビクリエイト〉」

 

その辺に転がっているコボルドの死体を操作して持ってきた槍を持たせて竜騎兵の元に行き槍で突いて援護する。

 

ブォン!

 

馬竜の尻尾の一撃でコボルドが吹き飛ばされる。立ち上がらせようとするが身体中の骨が折れていて動かせない。

 

「たった一撃で!?」

 

なんて力・・・こんなの受けたら2人は・・・

 

「・・・大丈夫」

 

無意識に震えていたのかメリイが支えてくれた。私はメリイとアオイちゃんと一緒に後方に下がる。2人は馬竜の攻撃を上手く避けている。大丈夫なの・・・

 

「2人はちゃんと近接の戦いを学んでいるわ。信じて」

 

心配する私にメリイが答えてくれる。前衛が抑えて矢と魔法でダメージを蓄積させる。馬竜が倒れるのにはそう時間はかからなかった。

 

「ヒロト。次行くよ」

「はい」

「待ってください!」

 

次の獲物に行こうとした2人をアオイちゃんが止める。

 

「プロテクションがもう切れます」

 

その声からちょっとしてから体が重くなる感覚。アオイちゃんのプロテクションが切れた。

 

「光よ、ルミナリスの加護よ、護法〈プロテクション〉」

 

2人が戻ってきてメリイがプロテクションをかけ直す。

 

「ありがとうございます」

「ヒロト行くよ」

 

2人は前衛に戻る。入れ替わるようにシノハラさんが私達の元に走ってくる。

 

「シオリさん。神官2人を負傷者の治療に」

「はい。メリイ、アオイちゃんお願い。アオイちゃんは大丈夫?」

「瞑想すれば・・・」

 

メリイは負傷者の元に走る。アオイちゃんは他の人に守られながら瞑想している。

 

「シオリさんが来てくれて助かったよ」

「みんなが強いだけで私は何もできませんよ」

「リーダーなのだからそんなことは言ってはいけないよ。パーティーの力もまたリーダーの力だ」

 

竜騎兵には苦戦を強いられているけどその他は優勢だ。手が空いた義勇兵は馬竜の方に加勢する。

 

「このまま行けば何とか・・・」

 

このまま行けば敵は竜騎兵だけになる。全員でかかれば竜騎兵も問題なく倒せる。

 

「まずい。竜騎兵が近づいてきてる。数6」

 

木の上に登り、弓を射っていた狩人がこちらに近づく竜騎兵を見つけて私達に知らせてきた。

 

「ここにきて更なる増援か・・・このまま戦うのはまずい。撤退するぞ」

 

撤退の報せが伝わり戦線が下がり始めるが・・・

 

「一部パーティーが撤退できてない?」

 

報せが届いていないかできないのか撤退せずに戦っているパーティーがいくつかいる。

 

「早く下がらせるんだ!」

 

シノハラさんの怒号が飛ぶ。しかし、うまく伝わらないのか撤退する様子がない。このままじゃ囲まれてしまう。ここは・・・使うしかない。

 

「シノハラさん。私が」

「シオリさんが?君は後衛じゃないか。何をするつもりだ」

 

早く撤退してください!このままじゃ囲まれます!

 

「これは・・・声が・・・」

 

何も隠さずにみんなに伝える。撤退していないパーティーは辺りを見渡すと少しづつ後退していく。

 

「まさか直接?それより各パーティーは周りを助けながら後退。城壁まで逃げれれば何とかなる!」

 

シノハラさんの号令で皆下がり始める。敵増援として竜騎兵とそれに乗ってきている敵をいなしながら撤退を行うが竜騎兵がいるので完全には逃げられない。しかし、パーティー間のフォローや地形を頼りに被害を最小限にしながら逃げる。そして城壁まで逃げることができた。城壁の上にいる辺境軍が私達を見つけると後ろにいる敵に向かって矢を射かけてくれる。

 

「何とか逃げ切れましたね」

 

城壁で矢を射ってくれるお陰で竜騎兵も追撃を諦めてくれたようだ。

 

「戦いに参加していないパーティーが襲われるかもしれないから城壁から離れすぎないように巡回だ」

 

追撃を諦めたと言ってもそのままリバーサイド鉄骨要塞に戻るのではなく。逃げ切れなかった仲間やそもそもこの戦いを知らない仲間を襲うために周囲するのでそれから守る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は今、5人パーティーに他のパーティーから魔法使いを入れた6人パーティーでまだ森の中にいるパーティーの救助を行っている。

 

「ジェス・イーン・サルク・カルト・フラム・ダルト!」

 

一緒にきた魔法使いが電磁魔法を放つ。凄まじい閃光と轟音が鳴り響き竜騎兵に命中。あんな一撃を食らっても馬竜は怯む程度だが、搭乗しているオークは馬竜から落馬する。一時的に命令が切れて馬竜の動きが鈍った。

 

「うおぉぉぉ」

 

相対していた戦士が憤怒斬り〈レイジブロー〉で馬竜の顔に攻撃する。

 

「グォォォ」

 

馬竜を倒すまでにはいかなかったが大きな裂傷を追い馬竜がその場から逃げる。搭乗者もいないからあの馬竜はもうこっちに来ないだろう。落馬したオークはアディさんと相対していたが電磁魔法と落馬で怪我しているのか動きが悪く何の苦労もなくアディさんが倒してしまった。

 

「あぐっ!」

 

声の方を向くとリザードマンと戦っていたパラディンが槍で腹部を貫かれている。リザードマンは槍を引き抜き膝をついたパラディンにとどめを刺そうと構える。

 

「グァ!」

 

狩人の矢がリザードマン肩に刺さる。しかし、リザードマンは構わずパラディンに向け槍を降り下ろす。

 

「ぐっ」

 

間一髪コボルドと戦っていたヒロトがいつの間にか間に入り盾で防御して助ける。槍は盾で反らされ地面に突き刺さり大きな隙ができる。ヒロトはその隙を見逃さずヒロト剣をリザードマンに向かって突く。

 

「ああっ!」

 

しかし、リザードマンの腹部の鱗に邪魔され剣が反れる。リザードマンはそのまま倒れこむようにヒロトに覆い被さり首を締める。

 

「んっ!」

 

アオイちゃんが杖を打ち上げるようにして強打〈スマッシュ〉を放ちリザードマンを吹き飛ばした。

 

「安寧を生きるものに死の告知を・死の宣告〈モータルレイ〉」

 

リザードマンの着地に合わせモータルレイを放つ。リザードマンは回避できずに受けてそのまま動かなくなる。

 

「あ、ありがとうアオイさん」

 

起き上がったヒロトの首にはリザードマンの爪で傷つき血が流れているが戦闘に支障はないようだ。

 

「アオイさんはパラディンの治療を」

「うん」

 

ヒロトはそのまま傷ついたパラディンとアオイちゃんの前に立つ。アオイちゃんはパラディンの治療を開始する。残りのゴブリン、コボルドは形勢が不利とみたのか一匹、また一匹と逃げていく。

 

「ほっ、引いてくれた。あの大丈夫ですか?」

「ああ何とかな。しかし・・・」

 

助けた戦士がある一点を見る。そこには無惨に切り裂かれてしまった神官の死体がある。私達が到着する前に馬竜の一撃をくらい死んでしまったのだ。

 

「せめて一撃で逝ったのが救いだな・・・」

 

神官から団章を取り魔法使いが炎熱魔法で灰にしてできるだけかき集める。オルタナに戻った時に共有墓地で埋葬するためだ。

 

「助けてくれた上にこんなことまでしてくれてありがとう」

 

助けたパーティーの人達がお礼を言ってくれる。綺麗な状態なら蘇生できたかもしれないがネクロマンサーの蘇生魔法は万能ではないから仕方がない・・・割りきるしかない。パラディンの治療が完了し、私達は周囲を警戒しながら城壁に戻った。聞いたところによるといくつか戻ってこなかったパーティーがあったみたいだ。

 

「シオリさんちょっといいかい?」

 

部屋に戻ろうとした私をシノハラさんが呼び止める。私はみんなに先に行ってもらうように言ってシノハラさんと向かい合う。

 

「あの時のことなんだが、頭の中に響いたというかあれは何だね?」

「あれはネクロマンサーのアビリティで自分の思っていることを伝えたりできるんです」

「そんな話は聞いたことないのだが?」

「考えが漏れてしまうのであまり言わないんですよ」

 

荒野天使隊〈ワイルドエンジョル〉のカジコさんがアビリティって勘違いしていたから行けると思ったけどシノハラさんには通じなかった。

 

「・・・確かにそうだな。疑ってすまない」

 

次の言い訳を考えている私にシノハラさんが頭を下げる。よかった信じてくれたみたいだ。シノハラさんと別れ部屋に戻り明日に備えて休んだ。竜騎兵の巡回は明日以降もあって、私達を含む全パーティーは城壁近くの森から出るのが難しくなってしまい行動範囲がかなり狭まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、みんな部屋で眠りにつき明日に備えていた。

 

ユサユサ

 

誰かに揺り起こされる。

 

「ん~、どうか・・・した?」

 

私は眠い目を擦りながら起きる。メリイが起こしたみたいだ。奥の方ではアディさんがアオイちゃんを起こしている

 

「城壁の方が騒がしい」

 

耳をすますと微かに城壁の方から音がする。

 

「もしかしたら夜襲をかけられているかも知れないから準備して」

 

ヒロトが寝ている横で私達4人は素早く着替える。全員着替えたらヒロトを起こした。ヒロトは薄く目を開き私達を見て大きく目を開くと飛び起きる。

 

「わっ!すいません。寝坊しましたってあれ?」

「大丈夫。何かおかしいから部屋の外に出て様子を見てるからヒロトも準備が終わったら出てきて」

「あっ、はい」

 

私達はヒロトを残し部屋から出る。部屋の外には他の部屋で休んでいたであろう義勇兵が着の身着のまま周りの様子を伺ったりしている。

 

「ねぇ、どうなってるの?」

「わからねぇ。どうも襲撃されているみたいだ」

 

通路の窓を見ると辺境軍が馬でこちらに駆けてくるのが見えた。

 

「どうやらそうみたいですね。ヒロトが来たら私達は先に行きましょう」

 

ヒロトが部屋から出てきた位に辺境軍の人がこちらに走ってきて夜襲をかけられ城壁内に侵入されていることを伝えられる。既に準備ができている私達は急いで城壁に向かった。

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