日常回がかける展開じゃないので番外編の形で投稿できるように作成中です。2、3日程度待ってもらえれば一緒に投稿できると思います
「通常、風早荒野にいく場合、ナナンカ防衛要塞線からデットヘッド監視砦を避けるように大きく迂回して行きます」
ナナンカ防衛要塞線に向かう馬車の中で地図を中心に円陣を組んだ私達にアダチが言った。レンジ達は1度風早荒野に訪れたことがあると聞いた。
私のパーティーはオルタナ周辺から出たことはないので1度でも風早荒野に行ったことのあるレンジ達の存在は心強い。
「もちろんオーク達もそれは折り込み済みで警戒はされています」
ナナンカ防衛要塞線から風早荒野に向かう道を指で指し示しながら幾つかの場所で円を描く。おそらくその円周辺で戦闘または遭遇の危険があるということだろう。
「風早荒野でならいざ知らず、道中で戦闘を行えば休戦状態は解除されるのは明白なので一部ルートを変更します」
もう1度風早荒野への道順をなぞる。しかし、先程と違い円を描いた部分を避けるようになぞっている。
「その情報は確かか?」
レンジがアダチの言葉を遮るように言った。
「地図を受けとる際にブリちゃんが教えてくれたのでかなり固いかと」
「あの。今はオークも厳戒体制なのであまり情報が役に立たない可能性が」
城壁前に形成されている敵陣地。もう拡大はしていないだろうけど物資のやり取りや奇襲対策のための巡回は頻繁にやっているはずだ。
「移動の時はサッサが先行して索敵しながら行くのでその心配は大丈夫です」
サッサが緊張した面持ちで頷く。サッサのミスで取り返しのつかないことになるのでプレッシャーを感じているのだろう。
しまったな。こういうのは十分想定できたし、ダイさんかステラさんに一時的にパーティーに入ってもらうことを思いついておくべきだった。そう思うが2人はフリーで色々なパーティーを渡り歩いているのでこの急な依頼に反応してもらえるか微妙だが・・・
馬車での作戦会議が終わった位にナナンカ防衛要塞線に到着する。最後に見たときより人が多いし、ちらほらとエルフやドワーフの姿が見える。同盟国家の協力が決定して先見部隊として派遣されたのだろう。
警備の責任者に依頼内容を告げて通してもらう。迂回の道は完全に壁となっていて梯子を下ろしてもらって移動する。降りた直後からつけられて見えない所に行った瞬間襲われる危険があるのでサッサはこの時点でせわしなく動き辺りを警戒してくれている。
風早荒野への道は私達が警戒していたよりもオークの警備は緩かった。これはデットヘッド監視砦がそこまで大きな砦ではないことが理由だと思う。出世できるオークはリバーサイド鉄骨要塞に赴任するようになっているのか遠目から見えたオークはやる気がないのか座り込み欠伸をしている。
「この様子なら問題なく行けそうですね。ソウマクランもワンダーホールからこちらに戻ってきている様子もないですし」
休憩中にアダチが普通の声の大きさで言った。隠密行動中なのでみんな話す時は小声だ。ロンでさえ一言も喋らない。そんな中で普通のトーンで喋ったアダチを何人かが責めるような目で見た。
「そういうのがフラグって言うのよ」
メリイがアダチに注意する。もちろん小声で。アダチは自分が気を抜いてしまったことに気づいたことに謝罪をするがロンの視線がかなり厳しい。ロンも自分の声が大きいと自覚しているし、自分が頑張っているのに何で1番守りそうなお前が破るんだと非難しているのだろう。
そういったアダチのフラグ発言は折れてくれたみたいで私達は1度も接敵しないで風早荒野に到着した。
ナナンカ防衛要塞線から続いていた鬱蒼とした森は風早荒野に踏みいると開けた。荒野と言われているが草原でちゃんと背の高い木々があちらこちらで見える。そして風が強いこれのおかげで風早なんだと思う。
「すごいわね。地平の向こうまでずっと草原?」
アディさんが額に手を当て遠くの方を見渡している。草原は見渡す限り切れ目はなく。視界はかなり良好だ。
「これだけ解放感があると寝転ぶと気持ち良さそうですね」
「ここは危険なモンスターがいますから寝転ぶと危険ですよ」
辺りを見渡しながら言ったヒロトにアダチが注釈する。オルタナ周辺は辺境軍が危険なモンスターを駆逐しているので穴熊や狼犬がいる程度だが人間族や同盟国家の影響力が届かない場所は危険なモンスターが徘徊している。
「でもこれだけ視界が開けているのならすれ違っても気づけますね」
「ええ、まずはセントール族の集落に行きましょう。おそらくソウマ達はそこでキャンプをしています」
アダチの号令で移動を始める。途中狼の群れが木の影で休んでいたり、大きな鶏がこちらの様子を伺っているのが見えた。大きな鶏はこちらの数が多いので諦めたのかさっさと移動していった。狼はオルタナでも狼犬がいるからそうでもないけどあの大きな鶏はモンスターだろう。オルタナ周辺とは違った環境。その珍しさに辺りを見渡している内にセントール族の集落に到着した。
ぽつんと小さな塔が見えてしばらく歩くと坂が見えた。この周辺は大きな盆地になっており、下には幾つかの泉を中心にした村が、全体を合計すると十分街として言い張れるまでの規模の街があった。普通にこの規模の街を作ると周りから丸見えだから盆地に作ったのだろう。だとしたら最初に見た塔は見張り台ということか。
盆地の坂を下って街に近づく。街はかなり防御力が高く、2メートル位の水掘り、モグゾーより高い土壁、そして土壁の上には柵がある。危険なモンスターが相手には過剰だがおそらくオーク等の襲撃もあるのだろう。
水掘りに沿って歩くと橋が見えてきた。そして橋の先にセントール族がいた。セントール族は私達を見ると身構えたが団章を見せて義勇兵ということを知らせると片手を街の方に向け出迎えてくれた。
「ようこそ。ビンセントヘ」
このセントール族の街はビンセントという街なのか。
「すみません。お尋ねしたいことが・・・」
アダチが門番のセントール族にソウマクランがまだここにいるか聞く。今ビンセントにいる義勇兵はソウマクランしかおらず所在はすぐにわかった。ソウマ達はビンセントに少しの人員を残してワンダーホールに向かっているらしい。
私達は門番に礼を言ってビンセントの中に入る。ビンセントの中は当然というかセントール族がたくさんいた。上半分は人間なのに下半身が馬。こんなにたくさんいると自分が別世界に来てしまったかと錯覚する。
「セントール族って下半身馬ですよね?私達乗れません?」
「失礼よ」
メリイにたしなめられる。セントール族は誇り高い種族。ただの馬扱いは失礼に当たる。幸い周りのセントール族には聞かれていないので助かった。
そうこう言っている内にソウマクランが滞在しているという建物の前に到着した。ビンセントにくる人はほぼいないため宿屋はない。外から来た人は希望すると規模によってこういった建物を貸してくれるのだ。私達が建物の中に入ると何人かが集まって酒を飲んでいた。私達を見つけるとジロジロ見てきた。
レッドムーン事務所からの使いであることと現在の状況を説明するとソウマ達はつい数日前にワンダーホールに向かって戻ってくるまでしばらくかかると言われた。
滞在して待つかワンダーホールに向かうにしても今日の寝る場所を確保しなければならないので私達が泊まる用の宿を借りた。風呂はない。お湯で体を拭けるだけありがたいか。
「やはり急ぎの内容ですし、ソウマ達に会いに行く班とセントール族に書状を渡す班に別れましょう」
「その方が良さそうですね」
宿を借りる際、書状を渡そうとしたが、後日代表の元に渡しに行くように言われたのでアポイトメントを取って引き下がった。
「セントール族とのやり取りは私がやりましょう」
アダチがやってくれるのなら安心だ。相談の結果、街に残るのはアダチとアオイちゃんになった。アダチは1人でも大丈夫と言ったが助手が1人でも必要だろうということでアオイちゃんが残ることになった。簡単な掃除のあとセントール族が経営する酒場で食事を行い、明日に備えて休む。
「行きましょうか」
早朝、準備も終わらせワンダーホールへの道順も教えてもらい私達はワンダーホールに出発する