灰と幻想のグリムガル~死霊術師の物語~   作:arc00

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更新遅くなって本当にすいません。

地震やらなんやらで研究がおじゃんになり、復旧に時間がかかりました。
そのせいでゴールデンウィークほとんど休めてない・・・(;´д`)
しばらくは更新速度が低下しますがちゃんと投稿しますので気楽にお待ちください。


41話 撤退じゃなくて撤収 そして・・・

『退却します。殿へのフォローを忘れずにいきましょう』

 

「勘違いしない。逃げるんじゃなくて撤収」

「あ・・・はい、すいません」

 

ブリちゃんがギロリと睨む。司令部が逃げると言ってしまえば、その瞬間、部隊が瓦解してしまう。今回は城壁まで撤収することは折り込み済みなので問題がないのだが。

 

「突撃!」

 

そこかしこで剣を掲げて敵の一団に突撃していくのが見える。

 

「フフ・・・私達も続くわよ」

 

ブリちゃんはあまり熱のない様子で剣を掲げ

 

「突撃」

 

降り下ろした。

護衛として2つのパーティーの前衛が露払いとして前に出る。そしてそのまま私達18人は突撃する。

本隊と奇襲隊との敵は挟み撃ちの形で攻撃していたので壁は薄いがこちらの人数以上の敵がいるが倒す必要はない。

 

「足を止めない!敵を倒す必要はないの。駆け抜けろ!駆け抜けろ!」

 

いつの間にかブリちゃんが先頭に縦陣となって目の前の敵を切って駆ける。ブリちゃんの気迫のお陰か私達の前に立つ敵はいない。もっとも立ち塞がらずとも横切る際に刺したりして倒しているのだが。

 

「敵を倒す必要はないと言っておきながら倒して行くんですね」

「色々溜まってるのよ」

 

私の横を走るメリイが苦笑しながら答えた。そんなメリイも手が届きそうな敵がいると杖で突き飛ばしたり、叩き倒したりしている。

ともかく、各所で突撃が行われ、敵の塊は大きく割られてしまってもう統制がとれなくなってしまっている。そうなってくると我こそはと立ち塞がる者がいなくなり、自ら道を譲ったりと無茶苦茶な状態だ。

突撃した私達18人はあっさりと敵陣を突破して本隊の前へと駆け抜けた。

本隊はもう撤収をほぼ完了しており、奇襲隊の撤収の援護のため数パーティーが残っている程度だ。そのパーティーもこの状況下でやることがないと判断し、さっさと去っていった。

最後尾にいた狩人が後方で散発的に矢を射ってきている敵を打ち返して倒すと周りにはもう私達を狙う敵はいなかった。

あんなにも目の上のたんこぶ状態だった敵陣は散り散りのバラバラになり、部隊としての機能を失ったのだ。

 

「みんな!一時停止。周りを警戒」

 

返り血で鎧を染めたブリちゃんは片手を頭にかざして印を結びながらみんなに声をかける。すると護衛の2パーティーは私達を中心にして周囲の警戒をする。

ブリちゃんは私達より後に突破していくパーティーを確認していく。みんな疲労の色は濃いがまだ大丈夫そうだ。

 

「このまま城壁まで駆けるわよ」

 

追撃が来ないことをいいことにたっぷり時間をかけて撤収する仲間達を確認した私達は城壁に向かって駆ける。悠長にしすぎていたためにかなり後方になったが敵の追撃は一切なく私達は速度を緩めることもなくナナンカ防衛要塞線まで戻ることができた。

 

「お疲れ様です。ブリトニー殿」

 

城壁内に入ってすぐに兵士が近づいてきてブリちゃんに声をかけてくる。

 

「そちらもご苦労様。どう?」

「今のところ1人も」

「そう。こっちも見てた限り大丈夫そうよ」

 

ブリちゃんの言葉に兵士は笑顔になる。その後、「指令部へ」と伝えるとそそくさと離れていった。

 

「あの・・・私達は?」

「呼ばれたのは私だからあなた達は戻ってなさい。多分すぐに帰れると思うから帰る準備でもしておきなさい」

「え?でもまだ何も・・・」

「あんた達は功労者。1番に帰すことなんて造作もないわ」

 

ブリちゃんはさっさと指令部の方へ歩いていってしまった。

その後の発表で攻撃は大成功。重傷者、死者はなし。軽傷者は出ているがこれは撤収の際に手間を惜しんだためのもので実質的には負傷者なしだ。敵陣も再構築されている様子もなく。襲撃される前の状況に戻りつつある。

私達は作戦終了の翌日に帰ることを許された。その時はまだ、敵陣の再構築がないか偵察を送っている最中で大丈夫なのか?と思ったが指令部とブリちゃんとのやり取りには参加していないため、どういった展望を描いているかわからない。

まあ、大量の報酬を貰い、帰っていいと言われたら私達の役目は終わったということなので素直に従おう。

 

 

 

 

 

オルタナに帰って約3週間位過ぎた早朝、1回目の鐘が鳴ってしばらくたった時間に私はレッドムーン事務所に入る。事務所に入って奥のカウンターにはブリちゃんはいない。

 

「シオリンおはよー。待ってたよー」

「ひよむーおはようございます」

 

ブリちゃんの代わりにひよむーが座っている。ブリちゃんはナナンカ防衛要塞線から帰って来たと思ったらこうして事務所を空ける時が増えた。そういう時はひよむーが代理としてカウンターに座る。

私はひよむーに挨拶をしてカウンターの中に入り、そのまま奥の部屋に入った。

その部屋には小さい窓が1個だけで薄暗い。。私はドア近くに置かれたランプに火をつけて中心の引っかけに吊るす。ランプの光に照らされた部屋は壁1面に書棚。書棚には分厚い紙が隙間なく詰まっている。それだけではなく書棚に入りきらなかった紙が床に置かれたりしている。そして部屋の奥に小さい机がある。私はその机まで歩く。

机の上には書類の束が大量に積まれており、それを確認して私はため息を吐いた。

 

「たった2日でこんなに溜まってる」

 

本来ならひよむーの仕事なのだけど最近私が来るようになって書類仕事をしなくなった。

 

「ブリちゃんに言いつけてやろうか・・・」

 

ブリちゃんに言っても「適当にやるひよむーより、あんたにしてもらった方がいいわ。なんなら毎日来てもいいわよ」って言われる気がしてまたため息を吐いた。

大量の報酬を貰ったから長期休養と決めていたが、ある日ブリちゃんが私の部屋に入ってきてレッドムーン事務所まで連行された。そして教えられる庶務としての仕事。パーティーとして活動しているので毎日来なくてもいいが来なかったら怒られる。暗くなってきた気分を頭を振ることで切り替えた私は椅子に座る。

今日はメリイの手伝いがないから夕方までかかるな。そんなことを考えながら目の前の書類を手に取り内容を確認する。

 

「まぁ、今までが頑張り過ぎましたし少し休憩ってことで・・・」

 

そんな独り言を呟いて私は目の前の仕事に取りかかった。




終わりっぽい感じですけどじゃないですよ
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