ガルパン×ゲート・シリーズ外伝 黒き小船の物語 CODE1903-1940   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ~。
今回のエピソードは……久しぶりに女の子の匂いが(笑)
でも、やっぱりメインはマルタ島を巡る戦いだったりします。




第09話 ”マルタ島=撒き餌? CODE1940”

 

 

 

さて、舞台はひとまず1940年11月中旬のリビア、アンツィオ遊撃旅団の本拠地とも言えるアルベイダ基地の旅団司令部に戻る。

 

「まさか、ここで4ヶ月前の話をすることになるなんて思わなかったわよ」

 

そう苦笑するのは、『アンツィオ遊撃旅団』というより【Nastro Nero Ragazza Corpo(黒リボン少女軍団)】全体の航空部隊の中でも飛行部隊(チーム)としてはトップクラスの実力を誇るイタリア娘で編成された少女戦闘機隊、”パンタローニ・ロッシ(赤パンツ隊)”の隊長”フェルナンディア・マルヴェッツィ”だった。

 

彼女達(アンツィオ)がリビアに着任してから早1ヶ月、第05話で語られたように「ゆるふわイタリア軍」を演出しているというのに、英軍は中々誘いに乗ってこない。

 

『早く()()()()()()()相手にトブルクに攻め込んできてくれればいいのに……』

 

少女達は誰もがそう思っていた。

英国挙国一致内閣首相”ウェリントン・チャーチル”から在エジプト英軍総司令官”アーチボルト・パーシィヴァル”将軍に矢のような在リビア伊軍攻略の催促が飛んでいるのは、誰もが知っていた。

しかし、リビア油田の利権を守るためにイタリアは20万以上の陸海空軍を貼り付けている上に、今は総員から考えれば師団規模のアンツィオ遊撃旅団まで到着している。

その合計戦力は25万人規模に達するだろう。

 

アンツィオは言うに及ばずだが、在リビア正規イタリア軍も特に陸軍と空軍は本国でもまだ全部隊に行き渡ってないような最新鋭装備を潤沢に揃えた、十分な戦闘力を備えた部隊だ。

少なくとも史実の北アフリカにおけるイタリア惨敗の要因の一つである「劣悪な装備による士気の低さ」は、”この世界”では払拭されている。

 

それにあわせるように在エジプト英軍は戦力を強化されており、在エジプト英軍の英国正規兵は史実より9000人多い45000人。

また、英国の国境主戦力であるリッチモンド・オコーナー中将率いる「西方(W)砂漠(D)(F)」の戦力は、史実の1.5倍増しである15000名が集結していた。

もっともこの程度じゃ焼け石に水程度なのは明白であり、普通なら攻めたくても攻められない圧倒的な戦力差だ。

これだけの戦力差があり大敗、なおかつ11万人以上の捕虜を出した史実のイタリア軍とは本当に軍隊として機能していたのか疑わしい限りだ。

 

 

 

***

 

 

 

それはともかく……

今回の会議の議題は、最初は「英国軍をどうやってリビアに攻め込ませるか?」に始まり、次にその根本を再検証するために「英国軍がリビアに攻め込まない理由」が議題になった。

圧倒的な戦力差はもちろんだが、この時の北アフリカには正真正銘のイタリア最高の将軍達が揃っていた。

筆頭なのは在リビア伊軍総司令官の”イタル・バルボア”空軍元帥。ケッタの盟友でもありイタリア最年少の元帥の実力は伊達ではない。

空軍大臣時代にケッタと二人三脚でイタリア空軍に限らずイタリア航空兵力の近代化に大きな役割と功績を果し”イタリア空軍の父”とまで言われてる傑物だ。

確かに現時点ですら1000機以上の巨大な航空部隊を含む、総勢25万の兵力を率いて英軍とガチの戦争をするなら彼しかいないだろうと思わせる納得の人事だった。

 

次いでリビア総督を務めるのは、”ルドルフ・グラツィアーニ”大将。元伊領ソマリランド総督で、治安に関してはきらりと光る手腕を持つ。史実ではこの時期、総司令と総督は兼任だったが互いの職務に集中できるように機能分与はきっちされているらしい。

 

後方を支える補給部門のトップは老獪な手腕を見せる”イタロ・ガルバディ”中将。

フランスが降伏する前まではチェニジア方面軍の司令官として部隊を支えた実績を持つ。

堅実な手腕の持ち主で、様々な物事のまとめ役としての風格を感じさせる男だった。

 

そしてトブルク前線司令官は、”ジョゼッペ・テノール”中将。間違いなく豪傑の一人であり、佐官時代からリビア各地での小規模戦闘に奔走して経験を積み、イタリアでも屈指の砂漠戦のエキスパートだった。

少なくとも彼の辞書に”戦意不足”という言葉はない。

 

そしてトドメは、在リビア伊軍機甲総監にして自ら独立増強機甲師団を率いる師団長でもある”ジョルジオ・メッセ”中将。

バルボアがイタリア空軍の父ならば、彼は”イタリア機甲戦力の父”と呼んでいい人物だ。

第一次世界大戦で見た戦車を次世代陸戦主力兵器になるといち早く見抜き、その国有戦力化を牽引した人物である。

史実と違ってギリシャやロシアで余計な戦争をしていないので、早い段階で優秀な将軍を北アフリカに集中投入できたのは、”この世界”のイタリアの大きな強みだろう。

まさに鉄板にして鉄壁、鉄血の布陣だった。

 

今やもう一つの戦場となっているエチオピア方面にも、ギムレット・アメデオ将軍やグリモア・ナージ参謀長、ガブリエル・ナスカ将軍やフィリオ・マルティナ将軍など優秀な人材がそろっているのだが、いかんせん司令官の評判が今一つ以下だったのが気にかかるところだったが……

 

 

 

***

 

 

 

「そういえば、”ディア”ってあの頃まだ急降下爆撃機(スツーカ)乗りだったっけ?」

 

原作でも”この世界”でも、ハルトマンはケッタを筆頭に愛称で呼ぶのを好んでいるようである。

彼女なりの親愛の証なのだろう。

 

「そうよ。そういえばハルトマンもあの時は同じ基地だったわね? 一人だけBf109E(エミール)に乗ってたからやけに目立ってたわ」

 

「そうだっけ?」

 

さて今の話題は、「英軍がリビアに攻め込めない理由 根本編」とでも呼ぼうか?

宣戦布告から現在に至るおさらいのような話題らしい。

人数の多い陸戦部隊がアンツィオで編成され砂漠対応の訓練を始めていた頃、航空部隊の名だたる面々は【第二次マルタ包囲戦】に参加していた。

 

「イタリアでは、メッサーシュミットはただでさえ珍しいからね。空母(艦上)機は基本的にハインケルだし。オマケにイタリア迷彩でイタリア王国の識別マークと”黒き小船”の部隊章、トドメにダックスフントのパーソナルマークまで描いてるんだからこれで目立たないほうがどうかしてるんじゃない?」

 

「ああっ、そっか。だからワタシがMC.202(ファルゴーレ)乗ってると、みんな『エミールはどうした?』って聞いてくるのか」

 

1ヶ月前の疑問(第01話参照)がようやく解けたという顔をするハルトマンだったが、

 

「ワタシ、別にメッサーシュミットじゃないと乗れないわけじゃないんだけどなー。ファルゴーレも運動性いいから好きだし、D520(ドボワチーヌ)とかも興味あるし」

 

「ああ、ハルトマン。それなら朗報があるぞ? イタリア空軍仕様のフランス機の量産が始まるらしいからな。調整が終わり次第、我々(アンツィオ)にも届くようだぞ?」

 

と言葉を挟んだのはアンツィオ遊撃旅団の旅団長、我らが首領(ドゥーチェ)のアンチョビだ。

 

「らっきー♪」

 

と嬉しそうに微笑むハルトマンだが、ちょっと難しい顔をするのは航空隊司令官のフェデリカ・ドッリオで、

 

「アンチョビ、増援が来るのはありがたいが整備とか機材は問題ないのか? エンジンはイタリア系ではなくイスパノ・スイザのままだろう?」

 

「それについては”殿下”が手を打ってるようだから問題ないようだぞ? なんでもフランスでいろいろ契約した折、ドボワチーヌやイスパノ・スイザの技師を借り受けてきてウチの整備娘達に技術指導してるようだ。それに殿下の受け売りだが……我が国のイソッタ・フラスキーニ社は結構最近までイスパノ・スイザの12系エンジンのノックダウン生産を行っていたこともあるそうだからな。治具(ジグ)や技術的蓄積はあるのだろう」

 

アンチョビは一度言葉を切り、

 

「パイロットの養成も正規軍のパイロットではないが、ドボワチーヌの実質的な大株主(オーナー)……元貴族の大富豪御令嬢なんだが、直々に指導教官を買って出て、本国黒リボンを鍛えてるようだからな。どういうわけかそのお嬢様は、D520のテストパイロットまで務めたって妙な経歴があってな」

 

「あっ、それ大体誰だかわかったかも……」

 

と呟くのはハルトマンだ。

 

「きっと”雷撃の魔女(ブリッツ・ヘクセン)”だ」

 

「ん? 誰だそれは?」

 

疑問系の表情をするアンチョビに、

 

「イタリアじゃあ有名じゃないのかな? まだフランスが降伏する前に、自分の領地の上空を許可なく横切ったっていうんで『この無礼者!』って大激怒。庭に駐機してたD520に飛び乗って追いかけ、単機でBf109の2機編隊(ロッテ)を瞬殺したって女の子がいるんだよ」

 

「ハルトマン、その話は続きがあるぞ? 落した2機のパイロットはその娘が手加減したせいもありパラシュートで脱出、その富豪の屋敷の庭に降り立ったが彼女はフランス軍に捕虜として突き出さず、丁重に客人としてフランスの降伏でドイツ軍の使者が来るまでもてなしたそうだ。『わたくし、軍人として敵を討ったのではなく、無礼者を成敗しただけですわ。であるのなら、きちんと謝罪していただいたのなら客人としてもてなすのは当然でしょう?』ってな」

 

そう補足するのはフェデリカだ。どうやら少女パイロットの間では有名な話らしい。

 

「しかもその時に落された片割れに乗っていたのが、”メルダース”大尉。あっ、今は少佐に昇進したんだったかな? って言うんだから驚きだよねー」

 

「ちょっと待て……メルダース大尉って、あの『スペイン内乱のトップエース』の”ヴィルヘルム・メルダース”のことかっ!?」

 

驚くアンチョビにハルトマンはあっさり頷き、

 

「うん」

 

「空には疎い私でも知ってる名だぞ……フランスで撃墜されて無事に生還されたという話は聞いていたが、まさかここでその話の真相を聞くとは思わなかった」

 

「油断してたかもしれないけど、メルダースの兄ちゃん落すかぁー」

 

基本的にマイペースで、他人には基本的に淡白なハルトマンにしては珍しく興味ありげな顔で、

 

「ちょっとだけ会ってみたいかも」

 

 

 

 

***

 

 

 

なにやら新たな少女パイロット(ウィッチ)の登場フラグが立ったような気もするが……どうやら会議は元の路線に戻ったようで、

 

「言われてみれば、パンタローニ・ロッシもハルトマンもフェデリカも、”あの海戦”には参加してたんだったな? 私の見立てでは、あの【カラブリア沖海戦】で大きな損害を出したからこそ、在エジプト英軍は今の及び腰に繋がってると思うのだが……どうだろう?」

 

「んー……そうかもしんない。ディア、あの時にアレキサンドリアから出てきた艦隊ってどのくらいやっつけたっけ?」

 

「実質的に全滅よ。イーグルは沈めたし、戦艦はトドメ刺されたし」

 

「ジブラルタルから出てきた陽動艦隊も、基地航空隊が返り討ちにして空母機動部隊が痛打を与えたようだしね」

 

と付け加えるフェデリカ。

基本的に私兵、局地戦兵力である黒リボンには海上兵力はない。

なので自分達が経験することのない戦いに、アンチョビをはじめ陸上部隊の面々は興味津々のようだった。

 

なのであの作戦……マルタ島救援の為に駆けつけた英国艦隊の悲劇的な戦いを知る面々は、当時を思い出すように話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

 

 

 

先ずは舞台となるカラブリア半島の場所を確認しよう。

イタリア本国がロングブーツの形をした国だというのは、多くの人が御存知のとおりだと思う。

そのつま先に当たる部分がカラブリア半島だ。

 

さて1940年7月9日に生起した史実のカラブリア沖海戦を紐解いてみると……

 

英国側はイタリア軍の攻撃から非戦闘員とイタリアの宣戦布告によりマルタ島に足止めされた商船となどを守るため、アレキサンドリアから出撃させた艦隊で二つの船団を護衛し、マルタ島からアレキサンドリアに脱出させようとする”MA5作戦”を発動させていた。

 

イタリアはその作戦の情報を掴み、迎撃しようとして艦隊を展開し発生した海戦……というのが、簡単すぎるが概要だった。

 

 

 

だが、”この世界”では大分様相が違っていた。

7月7日の午前零時に宣戦布告され、その日の朝から行われたマルタ島への従来のイタリア軍から考えられないほどの大規模な集中爆撃と港湾部の機雷封鎖、そして戦艦2隻を中核とした水上砲戦部隊による執拗な艦砲射撃……

 

ただ一日の攻撃でマルタ島はその駐留艦隊を含め戦力としては壊滅した。

急な開戦により足止めを喰らっていた商船の多くは、燃料タンクが破壊され漏れでた重油に引火し、港湾全体に延焼した港湾火災により無残に焼け焦げた姿を晒していた。

 

出港しようとした軍艦は蝕雷や砲弾により更に激しく損傷し、もはや元が船だったのか元々スクラップだったのかわからないような姿に成っていた。

 

しかし、この午前/午後の二度行われた大空襲と艦砲射撃以外にも、イタリアは様々な手を使いこの小さな島のあらゆる物を破壊した。

 

例えば詰めの役割を負った嚮導型軽巡洋艦を最大とする水雷戦隊は島をぐるりと回って、港という港の民間船舶……輸送船から漁船まで、目に付くものに片っ端から砲弾や機銃弾を撃ち込み廃船にしていった。

小~中口径の艦砲で沈められないような大型船には贅沢にも魚雷が使われる。

無論、修理用のドックや燃料タンク、港に立ち並ぶ倉庫にも砲弾を叩き込むのも忘れていない。

 

更に邪魔者がいなくなったことを幸いにイタリアの機雷敷設艦が嬉々として島の港や水路に機雷を仕掛け、軍港としての機能を持ったグランドハーバーのみ暫定的機雷敷設じゃなく名実共にこのさして大きくない島を機雷封鎖してしまったのだ。

 

 

 

その意図は明らかにマルタ島の兵糧攻めを狙ったものであり、よほど大規模な輸送がない限り遠からず島民が干乾になるのは明白だった。

実際、島民の心を折れかけていた。

 

にもかかわらずイタリアは一度たりともマルタ島に対して降伏勧告を呼びかけてはいない。

それどころか最高戦争指導者(コンドティエーロ)、バルケッタ・ムッソリーニはマルタ島の軍民一丸となった()()を過剰なまでに褒め称えもした。

 

これは明らかに英国の救援部隊を誘い込む罠だったが……

 

 

 

***

 

 

 

だが、完全に音信不通と成ったマルタ島に対し、英国の持つ判断材料はあまりに少なかった。

だからこそ現状確認も兼ねて、大規模な救援作戦を敢行するしかなかったのだ。

英国の決断は素早かった。

ケッタが後に「あの決断と実効の速さは心底羨ましい」と呟くほどに。

 

イタリアの素早い動きと予想外のイタリア軍の果敢な戦闘にに驚きながらも、英国挙国一致内閣でマルタ島救援の閣議決定が為され、英国の地中海二大拠点であるジブラルタルとアレクサンドリアの駐留艦隊に、救援艦隊編成と物質見込みの命令が出たのは7月8日のことだった。

 

翌7月9日には慌しく英国艦隊が出港した。

ジブラルタルからもアレクサンドリアからもマルタ島は1600km以上彼方にある。

艦隊速度20ノット平均で昼夜問わず飛ばしても二日はかかる距離だ。

航続距離の短いイタリア艦がこの速度で走り続ければ、すぐに燃料切れを起こしそうだがさすがは七つの海を支配すると豪語する英国海軍、その植民地の多さゆえに航続性能は折り紙つきだった。

さて、この時の陣容を見てみよう。

 

アレクサンドリア駐留艦隊

司令官:アンドリュース・カニンガム中将

戦艦:ウォースパイト、マレーヤ

空母:イーグル

軽巡洋艦5隻+駆逐艦16隻

 

ジブラルタル駐留艦隊(H部隊)

司令官:ジャック・サマーヴィル中将

戦艦ヴァリアント、レゾリューション

巡洋戦艦フッド

空母アーク・ロイヤル

重巡洋艦2隻+駆逐艦11隻

 

堂々たる陣容であった。

史実より戦艦が1隻足りないが、これはロイヤル・ソブリンが僚艦リヴェンジと共にマルタ島のグランドハーバー港湾内で大破着底しているのだからいたし方のないところだろう。

対してイタリア軍は、イオニア・カンピオーニ中将が率いる迎撃艦隊が存在していた。

その陣容は……

 

戦艦:ヴィットリオ・ヴェネト級3番艦”インペロ”、4番艦”ローマ”

重巡洋艦:ボルツァーノ級2隻(ロンバルディア、カラブリア)、ザラ級2隻(ファウメ、ポーラ)

エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ級軽巡洋艦2隻+カピターニ・ロマーニ級軽巡洋艦4隻、駆逐艦10隻、フリゲート+コルベット+水雷艇/魚雷艇40隻以上、潜水艦30隻以上?

 

そう先日の「グランドハーバー砲撃作戦」に参加しなかった温存兵力のほぼ全力を投入しての作戦だったのだ。

だが、言うまでもなく明らかに劣勢であった。

もっともイタリア近海での防衛戦を想定して、航続距離の短い駆逐艦以下の魚雷艇や水雷艇のような小型戦闘艦艇群や近海防衛型や沿岸防衛型の潜水艦を投入できる点はありがたい。

 

性能はともかく技量の上でも英艦隊の方が上だろう。

いくら史実よりも石油が比べ物にならないほど潤沢で資金豊富とはいえ、イタリア海軍が心血注いで艦艇の整備と訓練を始めたのは30年代に入ってからだ。

新型艦そろい踏みと言えば聞こえはいいが、逆に言えば技術の蓄積が足りてない船ばかりともいえる。

 

 

 

だが、ここである幸運がイタリア艦隊に作用する。

それはH部隊が史実同様に陽動部隊であり、マルタ島にはやってこないことだ。

彼らは史実通りにサルデーニャ島のカリャリ基地を空襲する予定だったのだ。

ただ、かれらはこの近海に史実では存在しなかったはずの”予想外の艦隊”がいることにまだ気付いてはいなかった……

 

自分の艦隊はアレクサンドリア艦隊だけに専念すればいい……そう判断したカンピオーニは、空母のない自分の艦隊を鑑みてシチリアやカラブリアからの航空支援を受け易いイタリア本土ギリギリでの水際海戦を提案し、ケッタはそれを了承した。

彼がただ一言言ったのは、

 

『王国の存亡はこの一戦にかかっている。かつてのレパントの栄華と勝利を取り戻してきてくれ』

 

と告げた。

 

 

 

 

 

多くのイタリア人が固唾を飲んで見守る中……1940年7月11日、マルタ島を巡る戦いの第二ラウンドのゴングが鳴った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、御愛読ありがとうございました。
なんかひどく久しぶりにアンチョビたちが出てきたエピソードはいかがでしたか?

それにしても……不意を突いたとはいえメルダース兄を落すとは、雷撃娘強し!
しかもちゃっかりフランス戦闘機売り込んでるし(笑)

そして北アフリカのイタリア軍はどうやらガチ編成のようです。
そりゃあ英軍だってただでさえ数で圧倒的に負けてるのに、迂闊に手は出せませんって(^^

そして英軍が史実以上に対伊戦で慎重にならざるえない大きなきっかけである”カラブリア沖海戦”がいよいよ開幕です♪
果たしてイタリア軍はどこまで戦えるのか?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!



***



設定資料



ボルツァーノ級重巡洋艦

全長:203m
基準排水量:12885t
最大出力:150000馬力(ヤーロー式重油専焼水管缶10基+パーソンズ式ギヤードタービン4基4軸推進)
最大速力:35ノット
航続距離:20ノットで4500海里
武装:アンサルドM1929/20.3cm52口径長砲三連装×3=合計9門
   アンサルドM1935/9cm50口径長高角砲単装×12
   ブレダM32/37mm54口径長機関砲連装×8
   ブレダM35/20mm65口径長機関砲連装×8
   533mm4連装魚雷発射管×2
搭載航空機数:水上機×3
装甲防御:舷側150mm、甲板70mm、バーベット部150mm、司令塔150mm
船体装備:バルバス・バウ、電気溶接工法の一部、導入シフト配置機関、多重水密区画外殻式分散防御構造船体、回転式カタパルト×1

同級艦:、1番艦”ボルツァーノ”、2番艦”ボローニャ”、3番艦”ロンバルディア”、4番艦”カラブリア”

備考
史実のボルツァーノとは大幅に開発条件が異なるため、その陣容も大きく異なる重巡洋艦。
建造時期もオリジナルと違いザラ級とヴェネツィア級軽巡洋艦のちょうど間で、ヴィットリオ・ヴェネトの建造時期と一致する。特に対空兵装が似通ってるのはそのためだ。
設計基礎は魚雷こそ搭載してないものの良好な性能として知られているザラ級であるが、高い装甲防御力はそのままに最新工法を部分的に取り入れ、主砲配置を連装4基8門から三連装3基9門に改められている。
またその段階でザラ級までイタリア重巡洋艦の特徴だった『左右の砲身を同一の砲架に据えつける形式』を改め、1門1門を独立した砲架に収める他国と同じ方式にしている。
実は前者の方式は砲身の間を狭め砲塔の小型化と機構の簡略化を狙える反面、斉射時に左右の砲弾の衝撃波が相互に干渉しあって散布界が広がる弱点があったのだ。
これを三連砲にすると更に深刻な散布となるためオーソドックスな形式にしたようだ。

そもそも三連装の採用は、実はドイツの重巡洋艦”アドミラル・ヒッパー”級の影響を受けていて、同級は意図的にビスマルク級戦艦と似たシルエットを持たされ敵国に誤認されやすくしている。
ボルツァーノ級も同じ効果を狙ってヴィットリオ・ヴェネト級戦艦と似通ったシルエットを持つように三連装3基の主砲編成を持つようにされた。

史実では単艦のみの建造で同級はいなかったが、”この世界”ではリビアのオイルマネーの影響もあり、また排水量が完全に条約型重巡洋艦の規定を超えることが明らかになった為に海軍軍縮条約が事実上有名無実化しようとしていた30年代中期から2隻が、加えてアビシニア危機で英仏が明確な敵国と認識されたために追加予算が認められさらに2隻が建造され、40年には全て戦列艦になっているようだ。
元々はフランスのアルジェリー級への対抗としていたためもあり、全体としてバランスがよく従来型イタリア重巡洋艦の完成形と言えるかもしれない。







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