やらない夫のMMスレ読んでたら、三日くらい時間が飛んで(キンクリして)た。
まあ気を取り直して、今回は新キャラ登場。
因みに今後のレギュラーキャラです。
死の臭い。
濃密で、どれほど遠くにいても一度気づいてしまえば嗅ぎ取ってしまうソレ。
その臭いが漂う時、必ず二十四時間以内に命が散ることとなる。
臭いと言う表現はしたが、嗅覚でなく六感で感じ取るソレを。
アリスと言う悪魔は如実に感じ取れる。
「こっち」
アリスの先導で俺と朔良は夜の街を走る。
こういう時、見かけは人間にしか見えないこいつの姿は便利だ。人に見られてもそれが悪魔だ、なんてことが普通の人間に分かるはずも無い。
だから悪魔の存在がバレると言う心配をすることも無く全力で疾走できる……………………急がなければ今日、人が一人死ぬこととなる。
「っく、どうだ、アリス?」
「だんだんつよくなってる…………ちかいよ」
アリスの言に状況の悪さを感じ取り、ギリ、と歯を噛み締める。
近い、と言うのが距離の話なら良かった…………だが、時間だ。
死が近づいている。あの写真の残った四人のうちの誰かに。否、日付的に見て××と言う生徒なのは間違いない。
問題はその××と言う生徒が家にいなかったことだ。
これは理事長にわざわざ連絡させた故に間違いない。親も知らないうちにいなくなった、と慌てていたらしい。
かなり体調は悪いはずなのにどこに行っているのか。
最悪の可能性。既に呪いに襲われていて、逃げ出した故に家にいない、と言う可能性。
だとするなら急がないと間に合わないかもしれない。
「さまなー…………たぶんもうすぐ」
アリスの言葉に朔良と顔を見合わせ、頷く。
「頼むから間に合ってくれよ…………?」
祈るような気持ちで、俺たちは夜の街を駆けていった。
* * *
少年は逃げていた。
迫り来る化け物から逃げていた。
自身を殺そうとするその化け物から。
けれど、走れど走れど化け物は追いついてくる。
けれど、足を止めることは出来ない。
アシヲトメレバ、アレハオレヲコロス。
恐怖観念。
そして生存本能。
殺される、と言う思いが生きたいという願いを増幅させ、少年の体はいつも以上の全力を振り絞る。
まさしく火事場の馬鹿力、と言ったところか…………。
けれど、そんなものがいつまでも続くはずも無く。
「う…………あぁ…………」
廃棄されたビルの中。少年はそこに隠れていた。ここは滅多に人など通らず隠れる場所も多いことを知っていた。それで逃げれると思った…………逃げれる、はずだった。
だが。
ォォォォォォォォォォォォォォォォ
それは
「うわあああああああああああああああああ」
絶叫。あり得ないと心が叫ぶ。なんだそれはと感情が爆発し。
「………………あ」
もう目の前まで、化け物は迫っていて。
死んだ。
そう思って…………。
少年の意識は闇に飲まれ…………。
「あらあら……」
ダァァン
直後、爆発音のようなものがした、と同時に少年に襲いかかっていたソレの体が弾け飛ぶ。
「ちょっとばかりおイタが過ぎるわよ、あなた」
ダァァン、ダァァン、ダダダァァァン
一度爆発音のようなものが聞こえる度に化け物の体が弾け、砕け、千切れていく。
血と肉塊を撒き散らしながら、満身創痍になった化け物の元にコツコツと音を立て、一人の少女が歩いてい来る。
白い。
言葉にするならそれに尽きる。
雪のような白い髪と肌。そして白いワンピース。
けれど。
その瞳だけは煌々と紅く輝いている。
吸血鬼。
ニィ、と笑うその口元から見える犬歯は長く、鋭い。
「持って帰るには、あなた少し大きいわね…………削りましょうか」
笑い、哂い、嗤い、そして両手に持った巨大な拳銃を構える。
ダァァン
爆発音。それが少女の持つ拳銃から発せられていた。
音、そして一撃で弾け飛ぶ化け物の体からして、その威力の凄まじさたるや察することができる。
それをこんな小柄な少女が撃てばどうなるのか…………だと言うのに。
ダァァン、ダダァァン
少女はその巨大な銃を両手に一つずつ持って撃って、尚且つその体はびくともしない。
大の大男でも肩が外れそうなその反動に、けれどその小柄な体は何事も無いかのように正確無比に引き金を引き、化け物を文字通り
ォォォォォォォォ
化け物が苦し紛れに放った何か。黒い靄のようなものが少女へと取り憑き…………。
「残念、私に呪殺属性は効かないわよ」
くすくす、と少女が笑う。靄は少女を離れ、そのまま化け物の元へと帰っていく。
「反射属性…………って言っても貴方も呪殺なんてできそうにないから意味ないのよね」
苦笑いしながら少女がその両手の銃を降ろす。
残ったのは当初の十分の一近くまで体積を減らした化け物。
けれど化け物はそれでも抵抗しようと浮き上がり…………。
「そう、まだ抵抗するのね…………じゃあ、これで終わらせましょう」
そうして、少女の唇がその言葉を紡ぐ。
ペ ル ソ ナ
* * *
ズドォォォォォン
すぐ近くから聞こえた爆音に思わず視線をやる。
見えたのは廃墟のようなビルの一部が土煙を上げて吹き飛ぶ光景。
そこで何かあった、と言うのは明白で…………。
「朔良」
「分かってる」
朔良と二人、並んで走り出す、と同時にアリスをCOMPに帰還させる。
アリス連れてちゃ全力で走れないからな。
出来なくも無いのだが、こっちのほうが手っ取り早い。
急がなくてはいけないこの状況ではこれが最善だろう。
そうこうしているうちにビルの前までやってくる。
と、そこで互いに気づく。
ズズ…………ズズズ…………
何かを引きずる音が聴こえる。
その音に嫌な予感がして、咄嗟に銃に手をかけ…………。
出てきた人物と目が合う。
相手の紅い目が大きく開かれて…………。
「あ、あああ、あああああ、有栖君?!」
ドサッ、と音を立てて少女が掴んでいた動かない少年の体がドサリ、と床に激突した。
「て、わ、わわわ…………いけない、えっとホ○ミ、ケ○ル!」
「それ別のゲームの回復呪文だぞ」
「あ、わわ、そ、そうだった、メディア!」
突き出した指から零れた光が少年へと吸い込まれていき、少女がほっと胸を撫で下ろした。
それから、しまった、と言う顔をしてこちらを見てくる。
「えっと、あの、その、ね。有栖君。これは……違うの、誤解なのよ?」
「…………誤解でも何でも良いが、何してんだ? 和泉」
やや呆れた声で俺はそう問いかけた。
「へ? え、あ、ああ、その…………そう、この人が悪魔に追いかけられてたから、助けたてたのよ!」
捲くし立てるようにそう言って右手に掴んだ少年をぐい、と俺たちのほうに差し出す。
「そ、それより、有栖君こそこんなところに何しに来たのかしら?」
訝しげな俺たちの視線に分が悪いと思ったのか、俺たちが口を開くより先に和泉が問う。
「……………………俺たちはお前の持ってるそいつの回収だ」
右手に掴んだ少年を指差すと、和泉がなるほど、と頷き。
「ならこの子は有栖君に預けるわね…………じゃ、私はこれでね」
掴んだ少年を俺のほうに渡し、そのまま足早に場を去ろうとして…………。
「その前に、ここにいた悪魔はどうしたのかしら?」
朔良の声に和泉が足を止める。
「……………………倒したわ」
数秒の沈黙の後、和泉がぼそっとした声で答える。
「そう…………けど不思議ね。どうして貴女の懐から私たちが追って来た同じ魔力がするのかしら?」
「気のせいでしょ。今の今までその悪魔と戦ってたんだからそのくらい不思議でも無いわよ」
少しずつ、周囲に威圧的な力が満ちていく。それは朔良と和泉、両者が発する感情にマグネタイトが活性化している証拠だ。
それはつまり。
「と言うか…………」
二人が。
「貴女誰?」
バァァン
パン
既に臨戦態勢だと言う証拠。
二つの銃声が夜の街に響く。撃ったのは和泉…………と朔良。
幸いこの周囲は人気も無いので少々の音なら問題無い…………だろうが。
「そう、なら覚えておきなさい…………
ピシリ、と何かが割れるような音がして。
「ならこちらも自己紹介させてもらいましょうか…………昔
プチン…………その瞬間、何かが切れたような音がし。
「葛葉? ああ、守役なのね……………………こんなのが、守役だなんて葛葉も大したこと無いわね」
「は? 何言ってくれてるのかしら? それとも実力分からせて欲しい?」
「私がいなかったら、あの子は死んでたわよ? 肝心な時に間に合わないような守役だなんて、必要無いわ」
「そうね、それは私の不徳の致す所…………けれどそれと葛葉は関係無い。少なくとも貴女程度には」
「言ってくれるわね」
「そもそも貴女そのマグネタイトの感じ…………悪魔でしょ」
あ、馬鹿。それは…………。
「……………………ハァ?」
瞬間、和泉が目を丸くする。紡がれた声音は先ほどとは全く違う、敵意の欠片も無い声。
「私ガ? 悪魔? 悪イ冗談ダワ?」
そして場を満たすのは背筋が凍りつくほどの殺気。
「クスクス…………アハハハハハハハ」
敵意が無いのに殺意がある。そんな矛盾しているようで、矛盾していないその存在に、朔良が目を見開き…………。
ふっ、と一瞬の意識の空白。そのほんの一瞬で和泉が彼我の距離を埋め、朔良に肉薄し…………。
「止まれ、アホ」
その頭を俺が掴む。
「朔良。お前あいつ連れて先に帰ってろ」
「………………本気?」
「ああ、本気も本気だ。お前が先に帰っちまうのが一番手っ取り早い」
数秒、朔良が悩む気配を見せる…………が、どう思ったかは分からないが、すぐに頷き地面に転がされていた少年を見て…………。
「…………出てきなさい、ツチグモ」
懐から出した管を地面に向ける…………と管から光が溢れ出し、朔良の仲魔が召喚される。
現れたのはツチグモと言う悪魔。全長二メートル半ほどのその巨体に少年を乗せて。
「後で色々教えてもらうわよ?」
そう言い残し、帰っていく。
後に残されたのは俺と俺の手で頭を掴まれた和泉の二人。
「…………頭は冷えたか?」
「…………ええ、十分過ぎるくらい」
「反省は?」
「してるわ」
数秒の沈黙の後、大人しくしい様子の和泉といくつかのやり取りをする。
「…………大丈夫みたいだな」
そう呟き手を離すと、渋面を作った和泉。
「厄介なもんだな…………多重人格障害ってのも」
そうなってしまった過程をなまじ知っているだけに、目の前の少女に怒りを抱くことも無かった。
「反省しているわ…………アレはもう私には必要無いと分かっているのに」
「そうなっちまった原因が原因だけにな…………俺にはこれくらいしかしてやれないが」
ポン、ポン、と軽く頭が叩いてやると、和泉が笑う。
「…………もう、私は有栖君より年上なのだけれど?」
「嫌か?」
そう尋ねると、少しだけ頬を膨らせ。
「意地悪な質問ね…………」
そう答えてそっぽと向く、が照れた様子の赤い頬は隠せていなかった。
それが面白くて…………あの日から変わってないことが嬉しくて。
「…………もう少しだけ、こうさせてくれ」
「…………勝手になさいな」
もう少しの間だけ、和泉の初雪のような白い髪に触れていた。
ただ、一つだけ疑問だったのは。
「それはそうと何で朔良とあんなに仲が悪かったんだ?」
こいつがメシア教を憎悪しているのは知っているが、朔良は葛葉だ。少なくとも初見でいきなり険悪になる要素は無い…………と、思うのだが。
「……………………それは……………………」
戸惑ったような表情で、言葉を濁す和泉。
これまでとは違う困惑した表情に、こちらも何か聞いてはいけないことだったか、と困惑してしまう。
さまなーのぼくねんじん。
「は?」
アリスがぽつりと何かを呟いたが…………俺には聞こえなかった。
感想で朔良の運高すぎるだろ、と言われたんですけど。逆に言わせて貰うとゲームならバランスの問題でそうなのかもしれないけれど、現実に人間全員の運が平等なんてことがあるはずが無い…………と思う。
まあそれにしても朔良は飛びぬけてますけど、それにはちゃんと理由あります。
まあ壮大なネタばらしになるので言いませんが、軽いネタバレをすると、朔良は【自身のこと限定で最良の選択肢を見抜く】ことが偶にあります。
まあ無意識的なものなので、自覚して使うことはできませんが。
さて、今回新キャラ出しました。メガテンぽく将来3ルート作ろうかと思ってますが(実際やるかは気力次第だが)、朔良をNルートのヒロインとすると、和泉はCルートのヒロインになります。
後特に重要でも無いのでネタバレすると、ガイア教です。ただし、良い意味で自由を理念としている基本的には善人です。
あとペルソナ使いです。3,4じゃなくて1,2の降霊のほうのペルソナ。
自由に付け替えはできるけど、ベルベットルームが無いので、結局無理、と言う落ち。
まあこの世界におけるペルソナは場合によっては原作と微妙に仕様が違ったりするかもしれませんが。
後しばらくは更新止まらないと思います。
予告編するほど考えがまとまってないので、キーワードだけぽつりと言うと。
【海底神社】【水難事故】【荒御霊】
これが呪編の後にやろうかと。まあだいたい話の予想はつくかもしれませんが、お楽しみに?
じゃ、最後に新キャラデータ出して終了で。
?? イズミ
LV57 HP770/770 MP250/250
力69 魔51 体27 速61 運46
弱点:破魔
耐性:火炎、氷結
反射:破魔、呪殺
スキル不明
特徴
ドラクリア
夜の間、全ステータスが上昇する。満月だと全てのステータスが倍加する。ただし日が出ている間は全ステータスが降下し、新月の日は全ステータスが半減する。
ペルソナ
悪魔の分霊をその身に宿している。宿した悪魔の識能を使用することができ、耐性なども変化する。
因みにだ、けど。
参考程度のものであって、このキャラデータが本編に影響するか、といわれるとそうでも無い。
なので実際は運値100超えてても200超えてても、300超えてても小説内では全部「運が良い」の一言で片付けられるし、実際に運が良かろうと悪かろうと話の展開にはほとんど影響は無い。レベルが高いから勝つか、と言われるとそうでも無い。
じゃあ、何で作ったと言われると、強さが見て分かりやすいから?
後は気分とノリ。