このスバラシイ神機使いに祝福を!   作:トメィト

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やってしまった。


この素晴らしい世界に祝福を!編
この駄女神様に天罰を!


 

 

 

 

 

 

 「…………死ぬ、マジで死ぬ」

 

 

 ふらふらの足取りで自室へとたどり着いた俺はそんな事を呟きながらゾンビの如く地を這い、自身の寝床に突撃をかました。

 ブラッド隊の隊長となってからしばらくしたけど、俺に回される仕事の量が尋常じゃない。午前中は天井まで届かんばかりの書類の片づけを命じられ、午後には俺宛に届いたアラガミ討伐をこなす毎日。休日なんてものはアラガミの出現と共に姿を消し、俺の癒しはもはやほんの少しの睡眠しかないというひどい状況。ここまできたらボイコット待ったなしである。この前、極東の第一部隊隊長のコウタさんに相談を持ちかけたが、いい笑顔で「コレが普通だ。しばらくすれば慣れる」といわれてしまった。本当に極東は地獄である。

 なけなしの体力を振り絞り、寝巻きへと着替えると俺はそのまま寝床に倒れこみ泥のように眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――のが、俺が覚えている最後の記憶である。

 

 

 あの後、調教された体内時計に従い目を覚ましてみれば、星空のような光景で覆われ、椅子がぽつんと二つあるだけの空間に投げ出されていた。

 このパターンは見覚えがある。俺が始めて神機使いとなった時もこんな感じで急展開だったのを今でも覚えている。人間耐性があると案外動揺しなくなるもので、俺は何気なく用意されていた二つの椅子のうちの一つに座って何らかの変化があるまで待ってみることにした。

 椅子に座ってから一分ほどすると、俺の後方からカツカツという足音と共に澄んだソプラノボイスが聞こえてきた。

 

 

 「樫原仁慈さん、ようこそ死後の世界へ」

 

 

 俺の横を通りすぎていくそのソプラノボイスの持ち主は、はっきり言ってこの世のものとは思えないほど美しかった。水色の髪と瞳をもち、体のバランスは黄金比といっていいほどに均衡がとれている。ここまで来ると作り物のようで気味悪く感じるかもしれないが、彼女から発せられる神々しいオーラがそんな事を感じさせないでいた。

 しかし、俺が注目したのは水色の髪や瞳、黄金比とも呼べる肉体バランスではなく、殆どその役目を果たしていないスカートだった。腰にギリギリ届くくらいの長さで、そこ下は透明な生地がわずかについている程度、下着を着けていないのか半分くらい丸見えだった。

 

 

 「(また痴女か……)」

 

 

 そう思った俺を一体誰が責められるだろうか。

 普段からそれ普段着ですか?と思うような服をきる人やもはやそれ着ている意味あるのか?と思うような服を着ている人を見ている俺からすれば気にするのはそこ一点だけだった。どうしてこう俺の知り合う女性は布面積が少ないのか……。エリナやカノンさん、シエルを見習って欲しい。

 俺の視線に気付いているのかいないのかは分からないが、コツコツと歩いてきた彼女は気にせず言葉を続ける。

 

 

 

 「貴方はつい先程、不幸にも亡くなりました……」

 

 

 

 そこで言葉を一旦切り、予めあったもう一つのほうの椅子に座ると足を組んだ後、こちらをまっすぐと見ながら再び口を開いた。

 

 

 

 「……短い人生でしたが、貴方は死んだのです」

 

 

 「死んだ……ねぇ……」

 

 

 心当たりがない。

 俺の最後の記憶は自室で寝たときのことであり決して任務中ではない。つまり、俺が寝ている間に俺の自室へアラガミがダイレクトアタックをかましたりしない限り俺が死ぬことはないはずである。

 

 

 「信じられませんか?」

 

 

 「まぁ……覚えている限りだと、仕事で疲れて寝たのが最後の記憶なので……そこからどうやって死ぬのかと……」

 

 

 「過労死」

 

 

 「えっ」

 

 

 「死因、過労死です」

 

 

 「えぇー……」

 

 

 確かに普通の人間なら即効で過労死するような仕事量だったけれども、俺半分くらい人間じゃないからなぁ……そんな事はないと思ったんだが……。

 

 

 「……まぁ、いいや。終わったことだし、仕方がない」

 

 

 「あれ、意外。もっとうろたえるかと思ったんだけど」

 

 

 「不測の事態には慣れてますので」

 

 

 本当にね。つい最近は任務を受けるたびにハンニバル神速種が2体ほど、必ず乱入してくるからね!アラガミが結託して俺のこと殺しに来てるのかと思ったぜ……。

 

 

 「ふーん……面白いわね、貴方。まぁ、今はおいときましょう。自己紹介をしていなかったわね」

 

 

 そういえばそうだな。

 ここが死後の世界というのであれば、目の前の彼女は一体何者なのだろうか?天使かなんかかな?翼や輪はつけていないようだけど。

 

 

 「私の名前はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く『女神』よ」

 

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、反射的に体が動き出していた。

 目の前まで歩いてきていたアクアと名乗る自称女神に対して手刀を繰り出し、まっすぐ寸分の狂いもなく首筋を狙う。

 俺の突然の行動に驚いたのか、大きくのけぞりその場に倒れる自称女神。それをチャンスと拳を振り上げ顔面を潰そうとしたところで、待ったがかけられた。

 

 

 

 「ま、待って待って!タンマタンマ!何っ!?死んだことは気にしてないんじゃなかったの!?ナンデ不意打ち!?」

 

 

 「いや、一応生前は神喰らいなるものをやっていたので……神という単語に過剰反応してしまいました」

 

 

 「何その私たちにまったく優しくない職業!というかそれホントに日本の話!?」

 

 

 「え?俺の死因知っているんですから、どんな世界にいたのかも知っているんじゃないんですか?」

 

 

 「若い人には珍しい死因だなーとは思ったけどそれだけよ!詳しいことは面倒くさいからまったく見てないわ!」

 

 

 「そんな堂々と言われても……」

 

 

 職務怠慢を自信満々に自白する自称女神に毒気を抜かれ、振りかぶっていた拳をもとした後、先程まで座っていた椅子に改めて腰を落とす。アルマ・マータとか、ヴィーナスの人間体とか、俺はあったことないけどシオという完全に人型のアラガミがいたくらいだしこの人もそうかと思ったんだけど、違うようだな。

 

 

 「あー……怖かった……。長いことこの仕事をやってきたけど、私に攻撃を仕掛けてきたのは貴方が初めてよ……」

 

 

 「貴重な体験ができてよかったですね」

 

 

 「だまらっしゃい!……で、話を戻すけど、貴方には二つの選択肢があります。ゼロから新たな人生をやり直すか、天国的なところに行っておじいちゃんみたいに暮らすか」

 

 

 「天国的なところって……」

 

 

 それまた適当な……。

 

 

 「だってあそこ、何もないのよ?漫画やゲーム、テレビもついでに肉体もない。永遠に日向ぼっこするくらいしかやることないの」

 

 

 「……それ、ある意味地獄ですよね」

 

 

 「そうそう、そうなのよ!君もそんなところ行きたくないわよね?」

 

 

 「そうですね」

 「かといってまた、ゼロからやり直すというのも、ね?」

 

 

 顔をずずいっと近づけてそんな事を若干食い気味に言ってくる自称女神様。なんか回りくどいな。いいたいことがあるならはっきりさっさと言って欲しい。

 

 

 「そこで!ちょっといい話があるのよ!……先程の動きを見るに貴方、生前は常日ごろから戦いを繰り広げていたのよね?」

 

 

 「えぇ、まぁ」

 

 

 「……その世界は!長く続いた平和が、魔王の軍勢によって脅かされていた!」

 

 

 「(なんか始まったよ……)」

 

 

 この話は微妙に長かったのでカット。要するに、魔王軍が横行するサツバツな世界だから生まれ変わる人がいなくてすごく困っているらしい。で、そのための対応策として別の世界で死んだ人の肉体と記憶をそのままに送ればいいんじゃね?となったらしい。普通なら記憶と肉体をそのままにその世界に送っても開幕早々デットエンド間違いなしなのだが、そこはこれからその世界に行く人は何でも好きなものを持っていける権利を与えているそうだ。それは、伝説の武器だったりとんでもない才能でもいいらしい。用は強くてニューゲームが出来るというわけだ。眠った中二心が刺激されるな……。

 唯一懸念される言語に対する問題も、万能な神々が頭がぱっぱらぱーになる可能性と引き換えに習得させてくれるらしい。ここまで来ると必死すぎて逆に行きたくなくなる人とかいるんじゃないんだろうか。

 

 

 ある程度の説明を終えた自称女神は何故かその場で紙をばら撒きながら回転し、シャフ度でこういった。

 

 

 「さぁ、選びなさい!貴方に一つだけ、何者にも負けない力を授けて挙げましょう」

 

 

 「じゃあ、俺が使ってた神機ください。刀身を自由に変えられる機能をつけて」

 

 

 「えっ?決めるの早くない?もっとこう、すごいものでもいいのよ?星が精錬した聖剣とか何でも跳ね返せる超能力とか」

 

 

 「エクスカリバーもベクトル操作もいりませんから。自分には自分に合った武器とスタイルがありますし」

 

 

 

 「ふーん……さすが、実際に戦ってた人は言うことが違うわね。貴方が初めてよ、そんなこと言ったのは」

 

 

 「そうですか」

 

 

 

 俺が、そう受け応えた後、ばら撒かれた紙はいつの間にか跡形もなく消えていた。そして俺の足元のに魔方陣が出来上がり蒼い光の柱が出現する。それに伴うように俺の体も空中へ浮き上がった。

 

 

 「さぁ、勇者よ。願わくば数多の勇者候補の中から、貴方が魔王を打ち倒すことを願っています。さすれば神々からの送り物として、どんな願いでも叶えてあげましょう」

 

 

 「へぇ、そんなオプションがついているんですか」

 

 

 

 「それじゃ、頑張ってねー」

 

 

 「最後まで真面目モードを保ちましょうよ……」 

 

 

 そんなしまらい女神に見送られ、俺は異世界に旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 「……えっ?今の人唯の臨死体験者だったの!?もう異世界に送っちゃったんですけど!?……まぁ、いいか」

 

 

 

 最後にそんな声が聞こえ、地獄に落ちろベネ〇トと思った俺は悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その恨みが次に来た若者によって晴らされたということを俺はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




番外編第一話にしてこのタイトル詐欺である。
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