このスバラシイ神機使いに祝福を!   作:トメィト

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アニメ基準に描いているのですが、やっぱり原作を読んだほうがいいのかと三話あげた後に悩み始めました。

相変らずの無計画ですみません。


この爆裂魔法師にご注意を!

 

 

 

 

 

 俺は今、なんとも奇妙な状況に陥っていた。色々騒ぎはあったものの何とか冒険者になった俺はここまで散々世話になった兄貴にお礼をするためにも、資金集めとこの世界の敵の戦闘力を把握するために仕事を請けた。そこまでは良かった。普通だった。何の問題もなかった。

 が、その後。見た目魔法使い兼中二病(疑惑)の少女に声をかけられ熊本弁擬きで何かに誘われるという予想していなかった事態が発生。現在は俺と変なポーズを取った中二少女がお互いに向き合ったまま固まるという状態が出来上がったのである。

 

 

 正直、相手にしたくなかった。この少女と話していると昔の傷(中二病)が疼くし、何よりこの子は俺がこの世界に来る前に会ったあの駄女神と同じにおいがする。発言とポーズからあふれ出る残念臭は到底無視できるものではなかった。

 

 

 「結構です」

 

 

 こういう勧誘はちょっと遠慮がちに断るとなかなか引いてくれないことが多い。交渉の余地もないと思わせるくらいきっぱりと断るくらいがちょうどいいのだ。一礼をして少女から視線を外すと仕事に行くために出口へと向かう。すると先程より強い力で服の袖を掴まれた。伸びる伸びる。俺の唯一の服が伸びる。

 

 

 「何ですか?まだ何か用が?」

 

 

 「ま、待って待って、待ってください!」

 

 

 あまりに必死に止めるもんだから思わず足を止める。見た目が中学生のように幼いということも原因の一つかもしれない。え?さっきと言っていることが違うって?少しだけムツミちゃんに重なって見えちゃったんだよ……。そのまま無視できるわけないじゃないですかーやだー。

 

 

 「で、結局なんですか?」

 

 

 「だ、だから……!我と共にこの世界を―――」

 「すみません。どうやら私と貴方では使っている言語が違うようなので……」

 

 

 やっぱり無理だわ……。何言ってるのか分からないからどうして欲しいのかまったく分からないし。彼女が心に重い病(中二病)を患っているのは発言と外見で一目瞭然なんだけど、俺に翻訳機能は付いていないんだ。

 人間、不可能なこともあるよね。うん。

 

 

 「あぁ!待ってください!ちゃんと話す!ちゃんと話しますからぁ!」

 

 

 あぁ、もうなんか本当にめんどくさい。

 ぐいぐいと袖を引っ張る……を遥かに越え、袖を振り回して引きちぎろうかとするような勢いで動かすので俺は観念して適当に空いている席に腰を下ろして話を聞くことにしたのだった。

 

 

 

 

             

            ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 この痛々しい少女、名は先程名乗ったとおりめぐみんというらしい。驚くべきことに本名である。一体何を考えたらこんな名前をつけることになるんだろうか……。本人に名前のことを聞いてみると意外に気にしていないようだった。念のため両親の名前を聞いてみると母親がゆいゆい、父親はひょいざぶろーと言うらしい。それを聞いた段階で俺は考えるのを止めた。

 

 

 さて、そんな少女めぐみんは紅魔族という若干普通の人とは異なる一族の出らしい。なんでもこの紅魔族、生まれつき高い知力と魔力を持っているらしく魔法系統の職業につく人が殆どらしい。で、この少女めぐみんはそんな紅魔族の中でも特に飛びぬけた才能を持って生まれたらしく魔法系統の上級職、アークウィザードについて尚且つ習得が困難といわれている最強の攻撃魔法「爆裂魔法」を使えるらしい。俺を呼び止めたのは一緒にパーティーを組んで欲しいからだそうだ。まぁ後衛なら前衛は必須だよな。

 

 

 話を聞く限り、彼女が物凄い人物だということが分かった。中二病だけど。一族随一の才能を持ち、最強の魔法を習得しているという点からしてそれは間違いないだろう。中二病だけど。しかし、ここで一つ疑問に思うことがある。

 そんなにすごい人物なら他の人は喉から手が出るほど欲しい人材である。日常生活やコミュニケーションが若干……いや、割と残念だがそれを補ってあまりあるものだと思う。なのにどうして話題になっていたとは言え、つい先程冒険者カードを発行してもらった新人の俺をパートナーに指名したのだろうか?

 どうにもおかしいなと思ったので本人に直接尋ねてみる。

 

 

 「貴女が何者なのかはよく分かりました。しかし、どうしてそれが私とパーティーを組むことにつながるのですか?」

 

 

 「……なり立ての冒険者なら簡単にパーティーを組んでくれると思ったからです。今まで何人か頼んでみたのですが、断られてしまったのです」

 

 

 そのキャラで頼みに言ったらそら空振りするだろうよ。俺だってなるべく関わりたくないわ。断りを入れた人たちの気持ちに共感しつつ、これで彼女が俺を頼る理由も分かった。自分の病気を受け入れてくれる人が居なかったんだろう。結構強烈なキャラをしているし、仕方ないとは思う。

 

 

 「それで……汝は我と契約を交わす気になったか?」

 

 

 「あぁ……言葉がまた公用語から外れた……。まぁ、今のは言いたいことがわかったからいいけど」

 

 

 再発した病気(中二病)が原因でまた言語能力に障害が発生したことは無視するとして、この提案を受けようと思う。

 先程は極東支部に居た頃と変わらない感じで仕事を請け負ってしまったが、ここは異世界。ためしに請けた討伐の仕事も俺では歯が立たない可能性も考えられる。その分、この世界で生まれ、この世界の基準で最強の魔法が使える少女めぐみんの力にはその心配はない。もちろん魔法無効といった特殊能力を持った奴も居るかもしれないがそれは俺が最悪素手で殴りに行けばいい。

 彼女が持っているこの世界の知識も大変重要なものだ。例えばお金の単位。仕事を完遂し報酬をもらっても単位が分からなければ色々心配だからな。持病は少々面倒だがメリットのほうが大きい。

 

 

 「分かりました。私は貴方とパーティーを組みます。職業狂戦士の樫原仁慈です、これからよろしく」

 

 

 「今ここに契約はなされた!改めて名乗ろう!我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手であり、爆裂魔法を操る者なり……!」

 

 

 お互いに改めて自己紹介をする。この時をもって、異世界の人間と中二病の珍妙パーティーが誕生した。

 話が纏まったところで、早速俺が受けた仕事について説明をする。

 

 

 「それで、早速仕事の話なのですが……このジャイアント・トードってどんな奴なんですかね?討伐数は十体と書かれていますが」

 

 

 「知らないで受けたんですか……まぁ、いいです」

 

 

 少女めぐみんは呆れたようにジト目を俺に向けてきた。言葉も標準語になっている。

 

 

 ……呆れられても文句は言えないな。でも一応ギルドの職員さんには俺でも出来そうな仕事を紹介してもらったはずなのでそこまでのものが来ることはないと思うよ。

 

 

 「ジャイアント・トードはパッと見ただの大きなカエルですが、繁殖期になると産卵のための体力をつけるために人里まで降りてきて、人とかヤギとかを丸呑みしていくんです。ちなみに、その肉は若干固めですが焼くと結構いけるんですよ」

 

 

 大きなカエルか。

 巨大化したことによって驚異的な脚力を持り、尚且つ伸びる舌によって遠距離からも攻撃が出来るものととりあえず考えて戦闘をしようか。

 

 

 「なるほど。大体分かりました。今からさっそく討伐に向かおうと思うのですがよろしいでしょうか?」

 

 

 「問題ないです。爆裂魔法の威力、とくと見せてあげます」

 

 

 話しをまとめ、今度こそ俺は仕事を完遂するために冒険者ギルドの建物を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 カカッとジャイアント・トードが出現する場所に来てみると、そこは見晴らしのいい草原であった。ざっと見渡す限り遮蔽物は特になく、少しはなれたところに居るジャイアント・トードがよく見える。

 

 

 「私がアレに爆裂魔法をかけますからしばらく足止めをお願いします」

 

 

 「あのジャイアント・トードはこちらに気付いている様子もないですし、今のうちに詠唱でもしてたらどうですか?」

 

 

 「言われずとも……!『黒より黒く闇より暗き漆黒に―――』」

 

 

 少女めぐみんが持っている杖を上に掲げ、詠唱を始めるとその杖にある宝石のような部分に黒い流動が渦巻き始めた。

 彼女の周囲が暗闇を帯び、激しく風が荒れ狂う。素人目から見ても強大な力が渦巻いていることが一目瞭然だった。

 

 

 その変化を感じたのは俺だけではなく、少し遠くに居るジャイアント・トードも同じだったらしい。こちらに顔を向けて俺たちを視界に捉えると、その大きく強靭な足を使ってこちらに一気に接近してきた―――――――ということはなく、普通のカエルのようにぴょこぴょここちらに向かってきた。体の大きさが大きいために効果音はぴょんぴょんではくドスンドスンだったが。その分進む距離は長い。

 

 

 未だに詠唱をしている少女めぐみんを一瞥した後、俺は神機を両手で構えるとそのまま地面を蹴ってジャイアント・トードに肉薄する。

 お互いがお互いのほうに向かっているためすぐに俺とジャイアント・トードの距離はゼロになる。近くで見てみると予想よりも大きいがアラガミもこんな感じだったので気にすることなく神機を水平に薙ぎ払う。しかし、その攻撃はジャイアント・トードがその脚力で体を宙へと躍らせたために不発に終わった。

 今度はジャイアント・トードが先程のお返しだといわんばかりに口から舌を出し、こちらに向けて高速で打ち出した。目にも留まらぬ速さで繰り出される舌を体勢を低くし、低いハードルを潜り抜けるように移動して回避すると舌を仕舞おうとして無防備な姿をさらしているジャイアント・トードに一太刀浴びせようと再び接近……したところで、

 

 

 

 「エクスプロージョン!!」

 

 

 一際大きかった少女めぐみんの声が背後から聞こえてきた。詠唱を終えたのだろう、そうと分かればこいつに用はないと、接近しようとしていた力を全てバックステップにまわした。その直後、

 

 

 ズドォン!!

 

 

 ジャイアント・トードの頭上に渦巻いていたエネルギーが一気にジャイアント・トードに殺到、接触し、巨大な火柱を作り出した。

 その余波に俺は大きく吹き飛ばされ、衣服を若干燃やされたが、空中で二回転ほどして勢いを弱めた後地面に着地した。その後、火柱が立っていた場所に目を向けると、小型の隕石が振ってきたかのような光景が飛び込んできた。これはすごい威力だ。さすが、最強の攻撃魔法といわれるだけのことはある。攻撃のタイミングがいささか早くて俺が少々巻き込まれたりもしたけど。

 それでも、いい仲間に出会えたと、コレを起こした張本人に視線を向ければ、そこには地面に突っ伏している少女めぐみんの姿があった。

 

 

 「なんで!?」

 

 

 まさか爆発の余波で自分がダメージを喰らったとかか!?

 

 

 「ぐ……我が爆裂魔法はその絶大な威力に比例して消費する魔力も絶大なのだ。……要約すると、私の魔力量を超える魔力を使うのでこのように魔法を撃った後は動けなくなります」

 

 

 「ファッ!?」

 

 

 使い勝手悪すぎィ!

 ついでに今の爆発音で起きたのか、そこらへんからジャイアント・トードがぽこぽこわいてきやがった。

 

 

 「あの、この音なんですか?地面から湧いてきたんですか?」

 

 

 「大正解っ!?」

 

 

 「ヤバイです。食べられちゃいます。助けてください。へるぷみー」

 

 

 「ざっと見た感じ6体は軽くいるんですけどぉ!?」

 

 

 ジャイアント・トードが近付いている音が聞こえているにも関わらず動く気配の見せない少女めぐみん。これは本気で動けない奴や……と思った俺は、覚悟を決めて少女めぐみん一番近いところにいるジャイアント・トードに向けて神機を振りかぶった。

 

 

 

 

 

 

 ジャイアント・トード 七匹を討伐  ジャイアント・トード×7=35000エリス

 

 

 

 

              ―――――――――――――――

 

 

 

 

 何とか七体のジャイアント・トードを倒した俺はこれ以上増えないうちに、ぶっ倒れている少女めぐみんを背負って俺が駄女神に落とされた町に帰って来た。どうやら仕事の報酬とは別にモンスターを倒した分もお金がもらえるらしく先に倒した分だけ換金してもらう。

 ついでにもらったお金で宿を取り、ぶっ倒れている少女めぐみんをベットに放り投げた。

 

 

 「へぶっ!?な、なにするんです……病人はもっと丁寧に扱ってください……」

 

 

 「貴女が患っているのは心の病だけでしょうが……」

 

 

 頭を動かすくらいの力は回復したのか、顔だけをこちらに向けて恨めしい視線で俺を射抜いてくる。しかし、そんな事は今はどうでもいい。

 

 

 「爆裂魔法は何時もあんな感じなんですか?」

 

 

 「そうです。強大な威力と引き換えに魔力の消費も多いのです」

 

 

 「えー……じゃあ他に小技として使える魔法は?」

 

 

 「私は爆裂魔法一筋なのです」

 

 

 「じゃあ他の魔法は……」

 

 

 「習得なんてしてませんし、今後一切するつもりはないです」

 

 

 「はぁ……」

 

 

 思わず額に手を当てて、溜息を吐く。

 確かに、爆裂魔法は最強の攻撃魔法と呼ばれるだけの威力だった。ターゲットの頭上に狙いを定めていたことから追尾能力もまぁあるのだろう。……でも、一発撃ったら再起不能は痛い。かなり痛い。戦闘時にこれでは正直話にもならん。

 

 

 「すいません。おなかがすきました。何か食べ物はありませんか?魔法もつかったのでもうおなかペコペコなのです」

 

 

 ……俺は選択を間違えたかもしれない。

 ベットの上を芋虫の如くにょきにょきしながら近付いてくる少女めぐみんを見て俺はしみじみそう思った。

 

 

 

 

 

 

 




めぐみん「パーティーを組んでくれて助かりました。コレで心置きなく爆裂魔法が使えますです」

仁慈「少しはこっちにも配慮してくれませんかねぇ……」
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