問題児たちが異世界から来るそうですよ? 出来損ないの陰陽師の異世界録   作:カオス隊員

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すみません、少し遅くなりました。


第十五章

 

 

『ギフトゲーム名 “FAIRYTALE in PERSEUS”

 

 ・プレイヤー一覧 神崎 龍騎

          逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

 

 

 ・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

 

 ・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 

 ・敗北条件  プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

        プレイヤー側のゲームマスターの失格。

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 

 ・舞台詳細・ルール

  *ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

  *ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

  *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない(・・・・・・・・・・・)

  *姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う。

  *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行する事ができる。

 

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                                 “ペルセウス”印』

 

 

“契約書類”に承諾した直後、俺達六人は光に呑み込まれ視界が回復し次に瞳の中に移されたのは未知の空域に浮かぶ宮殿であった。此処は白夜叉が出したゲーム盤と同じ原理で出来てある場所だと考察しながらも今回のゲームについて皆と談論する。ちなみにレティシアは本拠の護衛を頼んだので此処にはいない。

 

 

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

 

 

白亜の宮殿を見上げ、胸を躍らせるように呟く十六夜。その呟きにジンが応えた。

 

 

「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。流石にそこまで甘くは無いと思いますが」

 

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません。不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

 

黒ウサギが人差し指を立ててそう説明する。確かに俺も書庫でペルセウスについて調べた結果、今回のギフトゲームは、ギリシャ神話に出てくるペルセウスの伝説の一部を倣ったものだと思われる。俺達は暗殺者として“主催者”側に気付かれずに宮殿の最奥までたどり着かなければならない。もし、見つかりでもしたらそこで失格となりルイオスを打倒する挑戦権を失うことになる。………このギフトゲーム、経験が少ない皆にとって少し厳しいな。

 

 

「見つかった者はゲームマスターへの挑戦資格を失ってしまう。同じく私達のゲームマスター―――ジン君が最奥にたどり着けずに失格の場合、プレイヤー側の敗北。なら大きく分けて三つの役割分担が必要になるわ」

 

 

飛鳥の隣で耀が頷いている。本来はこのギフトゲームは百人、少なくとも十人単位でゲームに挑み、その一握りだけがゲームマスターに辿り着けるというものらしい。そんなゲームを俺達は五人で挑まなければならないのだ。役割分担は必須だ。

 

 

「うん。まず、ジン君と一緒にゲームマスターを倒す役割。次に索敵、見えない敵を感知して撃退する役割。最期に、失格覚悟で囮と露払いをする役割」

 

 

「春日部は鼻が利く。耳も眼もいい。不可視の敵は任せるぜ」

 

 

十六夜の提案に黒ウサギが続く。

 

 

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加することができません。ですからゲームマスターを倒す役割は、十六夜さんにお願いします」

 

 

「あら、じゃあ私は囮と露払い役なのかしら?」

 

 

少し不満そう声を漏らす飛鳥。だが、名前負けのルイオスであるが腐っても“ペルセウス”のリーダーであるのは変わりない。人間の域から超えていない飛鳥ではルイオスに効く可能性が低いのだ。それに今回、飛鳥は水樹を持参してきている。それを最大限に発揮するならば不特定多数を相手にする方がいい。それは飛鳥自身も分かっているはずなんだが不満なのは不満らしい。俺は少し拗ねている飛鳥を説得することにした。

 

 

「まあまあ。前回のギフトゲームでは飛鳥が大活躍だったじゃないか。今回は前回、参加していなかった十六夜に花を持たせてもいいと思うけど?」

 

 

「………分かったわ。今回は譲ってあげる。ただし負けたら承知しないから」

 

 

飛鳥の言葉に飄々と肩を竦める十六夜。これで丸く収まったと内心安堵する俺だが、黒ウサギがやや神妙な表情を浮かべながら不安を口にする。

 

 

「残念ですが、必ず勝てるとは限りません。油断しているうちに倒せねば、非常に厳しい戦いになると思います」

 

 

俺達の視線が一斉に黒ウサギに集中する。その言葉を聞いた飛鳥がやや緊張した面持ちで黒ウサギに問いだす。

 

 

「………あの無能、それほどまで強いの?」

 

 

「いえ、ルイオスさんご自身の力はさほど。問題は彼が所持しているギフトなのです。もし黒ウサギの推測が外れていなければ、彼のギフトは―――」

 

 

「「隷属させた元・魔王様」」

 

 

「そう、元・魔王の………え?」

 

 

俺と十六夜の補足に黒ウサギが一瞬、言葉を失った。だが、俺と十六夜は素知らぬ顔で俺から補足を続ける。

 

 

「もしペルセウスの神話通りなら、ゴーゴンの生首がこの世界にあるはずがないから“ペルセウス”に石化のギフトを持っているのはおかしいんだ。ゴーゴンの生首は戦神に献上されているからな。………なのに奴らは強力な石化のギフトを使用している」

 

 

「だとすると、奴ら“ペルセウス”は星座として招かれたと推測できる。ならさしずめ、奴の首にぶら下がっているのは、アルゴルの悪魔ってところか?」

 

 

「………アルゴルの悪魔?」

 

 

俺達の話が分からないのか飛鳥達は顔を見合わせながら小首を傾げる。しかし黒ウサギだけは驚愕したまま固まっていた。そして黒ウサギは信じられないものを見る目で首を振りながら俺達に問いかけてくる。

 

 

「龍騎さん、十六夜さん………まさか、箱庭の星々の秘密に………?」

 

 

「まあな。この前、星を見上げた時に推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した。後は手が空いた時にアルゴルの星を観測して、答えを固めたってところだ。まあ、機材は白夜叉が貸してくれたし、難なく調べる事が出来たぜ。龍騎はどうなんだ?」

 

 

「俺もほぼ同じ。違いは確信を得た時に書庫で答え合わせしていたってところかな。てか、お前すげえな。俺はこういうの疎いから書庫で調べてでた答えだったんだが………十六夜って意外と頭脳派なんだな?」

 

 

「何を今更。俺は生粋の知能派だぞ。あんなの俺にとっちゃ朝飯前だっての」

 

 

自慢げに笑う十六夜。その余裕そうな俺達に皆も緊張していた表情が和らいできた。………うん、これなら心配する必要はなさそうだ。

 

 

「では、ゲーム開始はこの門を開けてから始まります。ご健闘をお祈りします」

 

 

黒ウサギに声援を受けながら俺達は白亜の宮殿の門を開けにいくので………ん?そういえば、

 

 

「ちょっと待て。俺はどの役割につけばいいんだ?」

 

 

俺の疑問を口にすると、皆が今思い出したのか少し気まずそうに表情を歪める。………まさか忘れられていた?な、ないよね?流石にコミュニティに貢献してきた俺を皆が忘れるはずが、

 

 

 

「………龍騎君はどの役割がいいのかしら?」

 

 

飛鳥の質問に目の汗で視界がぼやけてきそうだ。………俺ってそんなに存在感薄いかな?露骨に肩を落として落ち込むと十六夜以外の全員が慌てて弁解を口にしていく。

 

 

「べ、別に龍騎君を忘れていた訳ではないわ!丁度、役割に適している人材がいただけで龍騎君を蔑ろにしていることなんて!!」

 

 

飛鳥。それって暗に俺は必要ないと言ってないか?

 

 

「そ、そうだよ!それに龍騎は交渉で頑張ってくれたんだから今回は隅でゆっくり休んでもいいと思うよ?」

 

 

耀。それは遠まわしに俺が邪魔だから端にいろと?

 

 

「り、龍騎さんは守る戦いに慣れているそうですし、性格上このような潜入には向いていないかと」

 

 

ジン。何気にお前が一番酷いな。俺はそんなに落ち着きがない人間に見えるのか?

 

 

飛鳥達の弁解という名の追い打ちに心が折れそうだ。陰気な雰囲気が漂いだし、更に落ち込む俺に最後の砦として黒ウサギが弁解を口にする。

 

 

「そ、それに龍騎さんの左手は石化したままです!その状態では」

 

 

「うん?………ああ、それってこれのこと?」

 

 

そう言いながら俺は左手に力を入れ、石化を砕く(・・)。粉々になって地面に落ちていく石だったものを見て驚愕して呆然とする黒ウサギ達。十六夜だけは興味深そうに観察するように見つめているが。皆が言葉を失っているが俺は特に気にせずに左手を広げたり閉じたりする。うん、暫く動かしていなかったが感覚は大丈夫みたいだな。そうやって左手の状態を確認していると黒ウサギが慌てて問いだしてきた。

 

 

「い、いつの間にゴーゴンの石化を解いていたのですか!?それは一応強力なギフトなんですよ!?」

 

 

「何時って今見せたばっかじゃん」

 

 

「そ、それはそうですが………もしかして石化はいつでも解かすことは出来たのですか?」

 

 

「当然だろう?そうじゃなかったら、こんな馬鹿な事はしないって。今までルイオスを脅すために放置していただけでその気になれば喰らった段階でも壊すことは出来たよ。俺ってこういう呪い系は効きにくいしな」

 

 

まあ、それでも左手を動かさないのはかなり辛かったな。苦笑しながら内心愚痴っていると途端に俺の背筋が凍りだした。な、なんだこの寒気は?思わず飛鳥、耀、黒ウサギがいる方向に視線を移す。そこには無表情なのに般若のような表情を浮かべる阿修羅像を背負っている三人がいた。

 

 

「あ、あれ?三人共、どうしたんだ?」

 

 

あまりのプレッシャーに俺は怖気づきながら三人に喋りかけるが三人は無言のまま俺に近づいてくる。え?えっ!?俺なんかした!?てか、いつの間にか十六夜とジンが安全なところまで移動しているんですけど!?俺は十六夜に助けを求めているように視線を向ける。すると、十六夜に届いたのか溜息をつきながらアイコンタクトを送ってきた。えっと、なになに?『骨は拾ってやるから安心して逝け』って、裏切り者ォォォォォォォオオオオオオオッ!?

 

 

「龍騎さん………」

「龍騎君………」

「龍騎………」

 

 

「は、はいっ!」

 

 

少し目線を逸していただけで俺の目の前まで近寄ってきていた三人。黒ウサギは黒い髪が淡い緋色に染まっており、飛鳥は何故かギフトカードを手に何かを発現させようと、耀の周辺では風が吹き荒れている。

 

 

………何でだろう。今、おれの脳内に『BAD END』という単語が浮かび上がったんだが………。そして、耀と黒ウサギが俺の懐まで近づき戦闘態勢に入る。俺は必死に弁明しようとするが聞く耳を持たない二人には無駄となり、耀と黒ウサギの重い一撃が解き放たれる。

 

 

「「そういう話は………っ!」」

 

 

黒ウサギの蹴りと耀の強烈な風のギフトが俺の腹に打ち込まれ、門の方向へと飛ばされていく。一瞬、意識が途切れかけるが歯を食いしばり何とか耐え抜く。だが、飛ばされる途中、飛鳥が水樹を発現させている光景を目にした。………俺、死ぬんじゃね?出来れば手加減してほしいなぁ~、と軽く現実逃避をするが俺の願いは叶うことなく、

 

 

「早く言いなさい、この馬鹿ァッ!!」

 

 

飛鳥の怒号と共に水樹から水の激流を放出し、俺は飲み込まれていくと同時に門を突き破って“ペルセウス”の本拠へと侵入する事なったのである。

 

 

 

 

「し、死ぬかと思った………。あいつらもうちょっと加減しろよ」

 

 

びしょ濡れになった服を御札の力を使って乾かしていく間、先程の手加減無用の一撃に愚痴る。あの後、俺は奇跡的に腹が少し痛い程度で白亜の宮殿の奥まで流されてきたのである。流されている間に悲鳴や助けを求める声が聞こえてきたのだが、おそらく中で待機していた敵が俺と一緒に巻き込まれたのであろう。まあ、多少同情するが、敵だしあまり気にしないことにしておこう。

 

 

それよりかこれからどうしたものか………。確かに奥の方にへと流されてきたのであるが今の俺は現在位置が分かっていない状態なのだ。この状況で取れる手は二つ。一つはこのまま一人でルイオスがいる宮殿の奥に行くこと。これは気配が読めるので敵に見つかることなく、その上ルイオスに勝てる自信もあるのでそこそこ良い手段なのだが、それはあまりにも面白くない。それに俺は十六夜の実力を良く知らないので今回は実力を測らせてもらうため、十六夜にルイオスを当たらせたいのだ。ルイオス自身は期待出来ないがゴーゴンには期待出来そうだしな。

 

 

なら、もう一つの手段………皆と合流する事にしますか。方針を決めた俺は服が乾いたのを確認し、十六夜達の気配を探るために集中して気配頼りに歩んでいく。

 

 

暫く歩いていくと耀の姿を目視することが出来た。ジンと十六夜の姿は見えないが、ジンは適当なところに隠れており、十六夜の気配が耀の傍から感じることから多分ペルセウスの伝説に出てくる防具の一つ『ハデスの隠れ兜』のレプリカを奪取したのであろう。

 

 

とりあえず俺は三人と行動を共にするため声をかけようとする。だが、見えないが妙な気配が耀に向かって駆け寄っている。おそらく本物の『ハデスの隠れ兜』を装着している敵だろう。このままだと耀が吹き飛ばされ壁に叩きつけられるのが容易に予想が出来るので、俺は右腕に淡い紅蓮色の霊力を纏わせながら地面を蹴り込む。そして、妙な気配の眼前まで瞬時に移動し、右腕で力一杯殴りつける。鎧を砕く手応えを感じながら腕を振り切ると壁が何かを叩きつけられた跡が出来上り、その衝撃で兜が外れたのか騎士の姿が現れた。一連の流れに騎士の存在を感知出来なかった耀が驚愕とした表情を浮かべる。姿は見えないが十六夜も同じ表情をしているだろう。

 

 

俺は騎士の傍まで近寄り、落ちている兜を回収する。騎士の顔を一瞥するとその騎士はルイオスの傍にいた側近の男だった。側近は苦痛の声を漏らしながら俺に疑問を問いかけてくる。

 

 

「な、何故バレた………?」

 

 

「例え姿や物音を完全に消したとしても気配はだだ漏れなんだよ。それよりか手加減したとはいえ、よく耐えたな。自慢の鎧もボロボロになっているのに」

 

 

俺が言った通り、騎士の鎧は大破しており原型を留めていないのだ。俺が称賛を口にすると騎士は頬を緩め、

 

 

「………ふん。ならば、我等の鎧が優れていたのだろう」

 

 

遠まわしの称賛が送られたのであった。騎士は更に口を開き、

 

 

「だが、ギフトを真正面から打ち破り、鎧も砕く一撃―――見事だ。お前達には、ルイオス様に挑むだけの資格がある」

 

 

そう言い終わると騎士はガクッと気絶したのだった。俺はそれに気に留めることもなく兜を手に呆然としている耀の下に駆け寄る。耀の傍には十六夜が立っており、面白そうに口を歪めていた。兜を持っていないことから既にジンに渡したんだろう。そう推察しながら目の前まで移動した俺は兜を十六夜に手渡すと耀が話しかけてきた。

 

 

「………凄いね。私、全然気が付かなかった」

 

 

「右に同じだ。ったく、お前いつから此処に来たんだ?」

 

 

「本当につい先程だ。何処かの誰かさんらのおかげでこんな奥まで来ることになったがな」

 

 

そう言いながら耀を軽く睨むと耀は無関心を装いながら視線を逸らす。耀の態度に溜息がつきたくなるが今はそれどころではないので堪えることにする。

 

 

「まあ、詳しい事は後にして………これを持って兜の効果で隠れているジンと一緒にルイオスの下に向かえ」

 

 

「お前はどうすんだ?」

 

 

「俺は此処に残って雑魚退治。一応、保険として隠れながらだけどな」

 

 

無いと思うが万が一、十六夜がクリア不可能となったらこっちに勝ち目がなくなるからな。それだけは避けたい。

 

 

「………分かった。じゃあ、俺は先行っとくわ。御チビ、ついてこい!」

 

 

俺の言葉に少し不機嫌になりながらも十六夜は先を急ぐため宮殿の奥へと進んでいったのであった。ジンの気配も十六夜の後を追いかけていったので此処には俺と耀だけとなった。

 

 

「………それで?何で俺をぶっ飛ばしたんだ、耀?」

 

 

十六夜達がこの場を去ったのを確認すると俺は再度、耀に先程の出来事について追求する。だが、耀は未だに俺から視線を逸らしたまま無関心を装う。

 

 

「………教えるつもりはない」

 

 

どうやら本当に言うつもりはないらしい。なら、こちらも切り札を使って聞き出すことにしよう。

 

 

「ガルドの件」

 

 

「それを使うのは狡いと思う」

 

 

何とでも言うがいい。俺としては今一番気になる事なんだ。それを聞き出すためなら何でもするさ。しばし沈黙が続く中、俺の執念に観念したのか耀は何故か少し頬を赤く染めながら口にするのだった。

 

 

「………心配だったから」

 

 

「へ?」

 

 

「龍騎の左手、石化が悪化して進行する恐れがあるからって黒ウサギが言ってた」

 

 

「………もしかして護衛中にお前らが傍にいたのもそれのせい?」

 

 

俺の問いに耀は僅かに首を縦に振った。………ああ、確かに知らない人からしたら心配だよな。それでいて知らん顔されて無事ですよと言われたらそれは憤るよな………あれ?普通に俺が悪くね?今更湧いてくる罪悪感に俺は苦笑いを浮かべるしか出来なかった。再度沈黙が包み込み、その雰囲気に耐えられなかった俺は少し拗ねている耀の頭に手を乗せ撫で始める。

 

 

「すまん、いらん心配掛けさせた。今度、何か埋め合わせするからさ」

 

 

「………分かればいい。でも、次はちゃんと伝えといてほしい」

 

 

先程より耀の頬が赤く染まっていくのが分かる。………後で飛鳥と黒ウサギにも謝らなくてはな。自分の役割があるのに俺を心配して俺の傍に来てくれたわけだしな。だとすると、もしかしてレティシアもそうなのだろうか?そうなると四人に何か埋め合わせしなくちゃな。内心、心配掛けたことに反省しながら埋め合わせの事を考えると近くで気配を感じた。

 

 

「………どうやらお出ましってとこだな」

 

 

「人数は多くない。二人だけでも十分だと思う」

 

 

耀の頭を撫でていた手を下ろし、その時、耀が少し残念そうにしていたのは何故だろうと思いながらも周囲を警戒する。………数は少ないし、これなら耀だけでもいけるかな?

 

 

「さて、俺は保険の為に隠れながら援護させてもらうけどそれでいいよな?」

 

 

「大丈夫。多分、私だけでも倒せる」

 

 

それは心強いことで。そう思いながら俺達二人でこちらにやって来る敵を撃退するため待ち構えるのであった。

 

 

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