魔法少女リリカルなのは〜第二の人生を受けた者〜   作:ヤンデレ好きの変態

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護りたい者

「転移魔法って、実際かなり便利だよな」

 

魔法で空を飛びながら、そんなことを呟く。

 

「え? いきなりどうしたの?」

 

これからアリシアの命が掛かった戦いをするのに、緊張感の欠片もなく呟いたからだろう、フェイトが少し驚きながら聞いてくる。

 

「いや、こっちの話。さて、プレシアに言ってくれ」

「うん」

「ファントム、シルヴァー。セットアップ」

【セットアップ】

 

バリアジャケットになり、両手に武器を持ち待機する。

フェイトも、同じくセットアップをし、戦闘態勢に入った。

恐らく、もうプレシアからの魔法が飛んでくるだろう。

 

刹那

 

「来たか」

 

雷が海の中へ落ちた。 

しばらく待つと、魚などが浮き上がってくる。

出てくるのはそれだけで、ジュエルシードなどで異変などは起きてない。

 

「何もない……? どういうことだ」

 

プレシアのことだ。恐らく海中にさえサーチャーとか飛ばしたに違いない。

だからそこを信じてないわけではなく、何かがおかしい。

 

「……なんだこれは」

 

違和感を感じる。

腹の底から、何かが湧き上がってくる。

唾棄すべき感覚に陥った。

 

「気持ちのいいものじゃないな……」

 

気にしてはいけない。

一度そう思い気分を紛らわそうとするが、先ほど以上に気になってしまう。

 

「ッ!? リュウ!」

 

その時だ。

フェイトから強く話しかけられ、意識が現実に引き戻される。

 

「悪い、フェイト。もう大丈夫だ」

 

いつの間にか、水の竜巻が巻き起こっていた。

ジュエルシードの暴走か。

 

「これはヤバイな……」

 

本体であるジュエルシードにダメージを当てないと、この竜巻は収まらないと考えた方がいい。

 

「どうするか」

 

流石にこの状況は予想外だったので、解決策が見付からない。

そんなことを考えていると、フェイトが話しかけてきた。

 

「リュウは竜巻の注意を引いて。その間に私が封印する」

「……ん。仕方ない、それで行くか」

 

右手に持つ銃口を竜巻に向け、トリガーを引く。

銃弾は真っ直ぐに飛び、水の竜巻を切り裂いた。

 

「さて……行きますか!」

 

☆☆☆☆

 

モニタールームで、一人の少女が駄々をこねていた。

 

「私、彼女たちの元に行きます! 助けたいです!」

「ダメに決まってるだろ!」

 

少女のワガママに、黒い服を着た少年は声を荒げながら答える。

かれこれ、このやり取りは数回もしており、少年は嫌気を指していた。

 

(どんなに魔力を持っていても、やはり心はまだ子供か……!)

 

少年は執務官という職種で、数々の現場を合理的・理論的に物事を捉え、優先順位などを決めてきた。

しかし、少女は感情論をぶつけ、ただ一方的に押し付けてる。

 

「なのは、ダメだ。俺たちには、あいつ等が倒れるまで見ることしかできないんだ」

 

ラフな格好をしている少年は、少女の肩に手を置き理解してもらえるよう心掛ける。

そして、少年は黄色の髪をした少年に念話を飛ばす。

 

『ユーノ。頼む』

『任せて。直ぐに用意するよ』

 

黄色の髪をした少年は両手を使い何か記号のような形などを作っていき、口でぶつぶつと呟く。

それを見ていたもう一人の少年は、少女の手を握る。

 

『あと五秒』

「五、四」

「え? え?」

「三、二、一」

 

ゼロ。

そう脳内で叫び、少女の手を握り締めながら走り出した。

 

「きゃぁ!?」

「なっ、おい! どうするつもりだ!」

 

いきなりの行動に、黒い服の少女は多少の動揺を見せ、怒鳴りつける。

 

「俺たち、まだ子供なんですわ。そして、俺はなのはを護るって誓ったんだ。だから、彼女の思いを、願いを。それを叶えるのが俺の仕事だ」

 

少年達が向かう場所は、転移装置がある場所だ。

しかし、今いる場所に、彼女たちの味方はいない。

だから、特に何もない場所なのだ。

 

──そう、黄色い髪をした少年さえいなければ。

 

「準備出来てるよ! なのは!」

「ユーノくん!?」

 

その転移装置は、黄色い髪の少年の手配により、自身が得意とする転移魔法を使い、ゲートを開いたのだ。

 

「お前たち! 命令無視だぞ!」

「うるせえ! こっちは別にあんたらの元についた覚えは無えんだよ!」

 

少年の言葉に少年が返す。

そして二人は、ゲートの中を通り過ぎる直前、少女が小さく呟いた。

 

「ありがとう」

 

その言葉が聞こえた少年たちは、小さく笑ったのだった。

 

☆☆☆☆

 

やべえ……思ってた以上に難易度が高かった。

フェイトがサンダーレイジなどを使い、二つほど封印した。

だが、残りの四つは最初よりも威力を増していた。

……潮時か。

 

「一度、倒れて管理局が来るのを待つしかないか……」

 

フェイトの方を見ると、服は切れていてところどころ血が出ている。

かくいう俺は、既に上半身裸である。

既に満身創痍である。

 

「くそっ……!!」

 

恐らく、この状態ならフェイトと俺をこの事件が終わったあとで捕まえることは容易い。

かと言って、このまま戦っても命を落とす可能性が高い。

どうせなら、無限の魔力でも頼んでおけば良かったぜ……。

 

「たられば話は止めるか」

 

銃の方は既にオーバーヒートを起こしている。

クールダウンしても、使ったら壊れてしまうだろう。

剣の方は、刃が欠けていてこれ以上使ったら折れそうだ。

 

「ハハッ……」

 

思わず笑みが溢れる。

なぜこんなにも必死になって戦っているんだろうか。

俺は別に、アリシアに会いたいとも思わないし、プレシアのために戦おうとも思っていない。

ではなぜ、俺は戦っているのか。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

答えは単純だ。

フェイトがいるからだ。

フェイトが戦うから、俺も戦う。

フェイトの笑顔が見たいから、アリシアの蘇生に全力を出す。

フェイトが好きだから、本気になれる。

 

(ああ、そうだ。いつだってそうじゃないか)

 

誰かのために戦うのは、誰よりも強くなれる。

戦いに情は要らない。

けど、想い人に対する情はあってもいいじゃないか。

想い人がいるから、今だってボロボロでいつ倒れてもおかしくない状況で、立っていられるんだ。

 

「ごめんな、シルヴァー。これが終わったら、修理するからな」

【お気遣いなく。私はアナタの剣となり盾となります。アナタの為ならば、この命、捨てても構いません】

 

その言葉を聞いて、俺は背中を押された気分になる。

俺にはファントムとシルヴァーという、かけがえのない相棒たちがついてる。

俺が死を迎える時も、この二人は俺の所に居てくれる。

プレシアにフェイト……そして未来の家族へとなるアリシア。

みんながいるから、俺は頑張れる。

それはきっと、かけがえのない時間で、俺が生きた証であり、努力の結果だ。

 

ファントムとシルヴァーは俺のために命を捨ててくれる。

俺がどんなに無茶なことをしてと、それを許してくれる。

なら俺は、それに答えるべきだ。

好きな人を──愛する人を護るために。

 

「カートリッジロード」

 

ベルカ式のアームドデバイスと言っても、まだ完成ではない。

点検も調整も、完全じゃない。

けど、今の俺たち三人なら、どんな苦難にだって立ち向かえる気がするんだ。

 

「行くぜ、俺の全力。この命、灯火が消えるその時まで、走り続けてやんよ!」

 

空を飛び宙を駆ける。

速さではフェイトが一位だ。

けど、カートリッジシステムさえ使えば、俺も同等の速さを誇る。

カートリッジの弾は、俺のレアスキルの倉庫の中に入ってる。

イケるはずだ。

 

「うぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

風と同化した。

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