魔法少女リリカルなのは〜第二の人生を受けた者〜   作:ヤンデレ好きの変態

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決着と問題

「助けに来たぜ!」

「お前……」

 

その男は、かつて猫シード事件の時に戦った相手だ。

 

「ちょいと、お前の勇姿に痺れたぜ」

「なに……?」

「お前、フェイトのことが好きなんだろ? だからそんなにもなってでも戦ってる」

「……ああ」

 

カートリッジシステムの乱用で、俺の体はもうボロボロだろう。

だが、倒れちゃいけない。

 

「俺も、なのはのことが好きなんだ。だからここに俺もいる」

 

こいつの言う通り、なのははフェイトのところに行き掩護している。

 

「仲間、だな。お前は」

 

俺はそう言うと、

 

「ああ、道は違えど、同じゴールを目指す同志だ」

 

そう答えた。

俺たちは同時に後ろに向き、背中合わせになる。

 

「後ろは任せたぜ」

「ああ。俺達の力を見せてやろうぜ」

 

俺は別に、こいつのことを知っているわけでもない。

身長も体重も、基本的なことさえ知らない。

けど、同じ好きな人を護ろうとするその気持ちだけで、十分なんだ。

竜巻が襲ってくる。

 

「消えろ」

 

タイミングを合わせ、左手の剣を振るう。

竜巻を切ることは出来ない。

だが、剣で受け止めている間に、銃の引き金を引く。

ファントム、堪えてくれ。

 

「トレースオン」

 

俺の銃弾で切り裂かれた竜巻が、どこからか飛んできた剣によって更なる追い打ちがかかる。

その光景を見た俺は、思わず口角が上がってしまう。

 

「終わらせてやる」

「サンダーレイジ!!」

「ディバインバスター!!」

 

いきなり、俺の眼前を雷が過ぎ去り、その後空にピンクの光が走っていった。

 

「……」

 

いきなりのこと過ぎてついていけない。

だが、ここは戦場で、突っ立っていたらただの的だ。

頭を早く切り返え、速度を一気に上げて残りのジュエルシードの所に向かう。

先ほどの攻撃で、ジュエルシードは一つとなった。

 

「これで終わらせる……!」

 

竜巻の中に入り、体に切り傷などを作りながらジュエルシードのある根本に向かって飛ぶ。

今残っているカートリッジを使い、更に倉庫から一つ弾倉を取り出しそれも全弾使う。

何かに罅が入る音が聞こえてくるが、今はそれに気にする時間はない。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

ジュエルシードの周りある竜巻を斬っていく。

そして、

 

「結束魔法──シールド」

【シールド】

 

目の前に小さな四角いものを作り、それをジュエルシードに直撃させる。

すると、竜巻は消え去り海上に害を成すものはいなくなった。

 

「はぁ、はぁ……終わったな」

 

空が晴れていて、朝の光を浴びているような感覚になる。

清々しい。その言葉が似合っていると思う。

 

「リュウ!」

 

俺の元に飛んできてくれたフェイト。

 

「よおフェイト。お互い、何とかなったな」

「なんであんな無茶したの!」

「え?」

 

いつもみたいにおちゃらけて話したのに、なんか怒られた。

 

「一人でツッコまないでよ……バカ」

 

そう言うと、フェイトは俺の胸に顔を預けてきた。

 

「リュウが一人で突っ込んだ時、すごく怖くなった。どこかに行っちゃうんじゃないかって……」

「バカだなぁ。俺がフェイトを置いてどこに行くって言うんだ」

「でも……ジュエルシードはエネルギーの塊。変に傷付けたら次元流が発生して……」

 

まあ言いたいことは分かる。

俺は優しくフェイトの頭を撫で、出来る限り柔らかい口調で言う。

 

「俺の帰ってくる場所は、フェイトの隣だよ。フェイトがいるところが、俺の所だ。だから、例えどっかに飛ばされても、全力を尽くしてでもフェイトの隣に帰ってくる」

 

フェイトを強く抱き締める。

魔力を使い全力で戦ったからだろう、汗をかいていた。

汗の匂いを嗅いでいい匂いと思っちゃう俺は、末期だろうか。

取り敢えずあと汗を舐めたい。

 

「はぅ……」

 

かわいい声を出すと、大人しくなった。

 

「さて、これでジュエルシードは全部手に入ったわけか……あとは」

 

俺はなのはの方を向く。

 

「リュウくん……リュウくんも、魔導師だったんだね」

「ああ、そうだよ」

 

現段階でなのはと戦い、あの赤いビーズを力尽くで奪ったとしても、背後には管理局がいる。

今交戦するわけにはいかない。

ここは、大人しく引き下がるしかないな。

 

「話なら、あとで全部聞いてやる。だから今は、ここを逃がしてくれ」

「ダメ! こんなにも危ないことをするなんて、小さなことでやるとは思えない! 話してよリュウくん!」

「……今はまだ無理だ。あとで、全部話すから」

 

その時、頭上から紫の雷が現れた。

まだ次元跳躍魔法を撃つ魔力を残していたのか。

俺は倉庫から弾倉を引き抜き、リロードして一発使う。

 

「ごめんな……なのは」

 

刹那、なのはと男に雷が落ちた。

そして俺は、その動きに合わせていまさっき戦った竜巻のジュエルシードを全部奪い、転移魔法を使い姿を暗ませた。

 

☆☆☆☆

 

「はぁ、はぁ……」

 

カートリッジシステムがなかったら、今頃俺は死んでいただろう。

転移魔法も、使えなかったに違いない。

 

「フェイト! リュウ!」

 

俺たちが帰還すると、狼──アルフが俺たちの元に駆けつけてくれた。

 

「傷は……!? こんなにも……ッ!」

「取り敢えず今は、フェイトの治療に専念しよう。アルフ、フェイトを運んでくれ」

「ああ、当たり前だ」

 

アルフは人型になると、フェイトをお姫様抱っこして奥の方に走って行った。

それを見送った俺は、力が抜けて後ろに倒れる。

 

「……え?」

 

しかし、地面に当たることは無かった。

誰かに受け止められた感覚になり、上を向くと、

 

「プレシア……」

「よく頑張ったわね……アナタが一人でジュエルシードに突っ込んだ時は、心から心配したのよ」

「はははっ……これ以上、フェイトに負担は掛けられないと思ってな……俺にはカートリッジシステムがあったから、俺が無茶をすれば何とかなると思ったんだ」

「本当にもう……まあ無事帰ってきたし、今日は休みなさい」

「うん……そうするよ」

 

瞼は重くなり、俺は一気に意識を落とすことになった。

 

☆☆☆☆

 

鳥のせせらぎが聞こえる。

自分は雲の上にいて、プカプカと浮んでいるような錯覚だ。

だが、突然に落ちていくような感覚になり、気付くと草原にいた。

 

「なんだ、ここ……」

 

すごく静かな場所だ。

闇に呑まれた心が、少しずつ浄化されていく、そんな風に思えてくる。

 

「よく来てくれたね、リュウ」

「ッ!?」

 

いきなり名を呼ばれ、そっちの方を振り向くと、フェイトに似たフェイトがいた。

 

「……まさか、アリシア……?」

 

一度だけ、蘇生装置を作るときにアリシアを見せてもらったことがある。

その時に見たアリシアに似ていた。

……いや、フェイトに似ている時点で、アリシアと思っていいだろう。

 

「そうだよ。私の名前はアリシア。フェイトのオリジナル」

 

夢、なんだろうか。

なぜ俺がアリシアとこうやって会話しているのか。

 

「時間がないから、本題に入るね」

 

動揺している俺に対して、アリシアはマイペースに話を続けてくる。

 

「私を生き返らせちゃダメだよ。生き返らせてくれるのは嬉しい。けど、ジュエルシードは使っちゃダメだよ」

「え?」

 

なぜだ……?

ジュエルシードを使うのが、一番の近道なのに……。

 

「アレはエネルギーを何よりも多く所持しているロストロギア。一つでも暴走させると、その星は吹き飛ぶ程の威力なの」

 

なるほど。

つまりどっかの星で行えばいいか。

あと、エネルギーに耐えられるようにある程度強度のある盾と、防壁張って凌ぐしかないな。

 

「……分かったよ。ジュエルシードは使わない。これでいいか?」

「うん。ありがとうね。お母さんとまた話したり笑いあったりしたいけど、私のせいでお母さんに死んでほしくない。もちろん、フェイトにも」

 

家族思いや……。

前世ではどんな人生だったか、とか、現世では家族はいなかったから、その気持ちは理解できない。

けど、フェイトに死んでほしくない。

これだけは理解できる。

 

「それじゃ、母さんやフェイトのこと……家族たちをお願いしていいかな?」

「ああ、任せろ。お前を生き返らせてから、今度はお前が護ってやれよ。フェイト以外を」

「任せなさい」

 

アリシアの笑顔を最後に、俺の意識は消えた。

 

☆☆☆☆

 

「ッ!?」

 

目が覚めると、俺は反射的に上体を起こした。

すると、右手にはフェイトが俺の手を握りながら一緒に寝ていた。

 

「ああ、だからか」

 

なぜアリシアと話したのか。

恐らく、ジュエルシードの魔力を大量に浴び、クローンであるフェイトと肌で感じていたからだろう。

 

「……さて、最後の一仕事しますか」

 

取り敢えずファントムとシルヴァーを直して、そのあとなのは達からジュエルシードを奪って、それから蘇生だな。

いや、防壁用のデバイスを作るのが先か。

脳内でこれからのことを決める。

 

「取り敢えず、プレシアには無人の星を探してもらうか」

 

俺はそう思ってから、フェイトから離れるのを決死の覚悟で決断し、プレシアのいる場所に足を運んだ。

 

☆☆☆☆

 

「……そういえばそうだったわね……」

 

事を話すと、プレシアは気付いたようだ。

 

「分かったわ。大きな無人星を探しておくから、アナタはデバイスを作ってちょうだい」

「ああ、任せろ」

 

アリシアから使うなと言われたが、そんなもの関係ないわ。

俺たちは俺達のやり方でやる。

 

「それじゃあ、また後で」

 

こうして、俺とプレシアは互いの仕事をするために持ち場に向かった。




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