魔法少女リリカルなのは〜第二の人生を受けた者〜 作:ヤンデレ好きの変態
転移が終わると、すぐ近くにはプレシアとアリシアがいた。
「プレシア!」
「準備は出来てるわ!」
俺達が住む時の楽園と地球よりも遠い無人星だ。
ジュエルシードの半分をプレシアに渡す。
「管理局が来る前に……!」
プレシアと俺は互いにジュエルシードをはめるようの所にひとつひとつ入れていく。
そして、それが終わったところで、プレシアはボタンの所に手を伸ばす。
「これで……これでアリシアが……」
「感傷に浸ってる場合じゃねえよ! 早く押せよ!」
「え、ええ……そうね」
プレシアがボタンを押す。
俺たちはある程度距離を取り、二人で防壁を貼り二重装甲にする、
「理論は間違ってない。矛盾も無くした。あとは巨大なエネルギーのみ」
プレシアの独り言が聞こえる。
巨大なエネルギーが問題だったんだ。
そこに、ジュエルシードと言う、莫大なエネルギーを持つアイテムがあった。
そして、ここに来て問題が一つある。
「なあプレシア」
「なによ?」
「ジュエルシードによる余波……俺たち、それは推測してないけど、大丈夫なのか?」
「知らないわよ、そんなの。気合いで堪えるのよ」
気合いでだってどうにもならない時があると思うんだ……!
これが失敗したら、プレシアと心中とか嫌だぞ俺。
なんて雑談をしていると、蘇生装置に変化が現れた。
「「来る……!」」
刹那、ビックバンとも言えるような大爆発が起きた。
防壁に全魔力を注ぐ。
爆発も爆風も、かなりの威力を誇り、これが俺一人だったら、簡単に防壁が破られていた。
だけど、
「耐えるわよ、リュウ!」
「分かってる!」
俺の隣には大魔導師がいる。
それに、このデバイスにだってカードリッジシステムも搭載している。
「くっ……!」
プレシアが辛そうな声を出す。
……ジュエルシードを奪うために、次元跳躍魔法を撃ったんだ。直ぐに底をつくとは思ってた。
だけど、こんなにも早く終わるなんて……!
「プレシア! 一度下がれ! 魔力を回復させるんだ!」
「え!? でもアナタ一人でこれを……」
「いいから! 早くするんだ!」
「っ!」
普段ふざけてて、真面目にもならずボケ続けた奴が、必死の表情で叫んでいる。
それはつまり、本当に余裕がないことを表す。
俺はまず一発カードリッジをリロードさせ、魔力を爆発させる。
「っ!? ダメよリュウ! それい以上使ったら……!」
元研究者にして大魔導師だ。これ以上の俺への負担は分かるんだろう。
カードリッジシステムは体に負担を掛けた自爆業。
代償も大きいが、得られる物も大きい。
だからこそ、俺は使う。
「っ゛……!!」
体の穴の幾つから、血が溢れてくる。
骨が軋む。
「ダメよリュウ! 私が変わるから! 止めなさい!」
「止める訳ねえだろ!」
「ッ!?」
俺だって分かってる。
こんなのキャラじゃない。
だけど、俺の夢でもある。
「アリシアと……リニスと……アルフやフェイト……みんなでピクニックすんだろ……! 家族全員で、笑って過ごせる未来が待ってんだよ!」
それを、今頑張れば届くその夢を、諦めてたまるか……!
「二発目をリロード」
【分かりました】
海上で、俺は数十発もののカードリッジを使った。
本当なら、長い日時を得て休養させるのが一番良い。
そのとき、爆風が更に強くなる。
「ッ!? くそ! まだあんのかよ!」
もう一発、カードリッジを使う。
すると、骨が粉々になるような音が鳴り響く。
「ぐあああああ!!!」
襲ってくる激痛。
離れていく骨。
溢れ出る血液。
なんで、こんな事をしているんだろうか……。
こんなの俺じゃない。
──ならなぜ……?
決まってるだろ。
──他人のために戦うなんて、合理的じゃない。
分かってる。けど、やらなきゃダメなんだ。
──死ぬかもしれないんだぞ。
そんなの百も承知だ。だけど、テスタロッサ家には、俺みたいなイレギュラーはいちゃダメだ。
四発目を使う。
そうなるともう、脳は痛覚を遮断して来た。
ボロボロなんてものじゃない。
満身創痍なんてものじゃない。
この身体は、もはや廃人と化す。
「っ!? っ゛あ゛!!」
防壁が崩れ、後方に飛ばされた。
だが、いつの間にかプレシアが防壁を張ったのか、遠くに飛ぶことは無かった。
そこで気付く。
星は無くなっていた。
いつの間にか、俺たちは宇宙空間で戦っていたんだ。
「マジ……かよ……」
一応予測はしていたが、いざそうなると驚きを隠せない。
「娘を護るために、母親としてやるのよ……!」
プレシアも本気だ。
そこからはもう、意識が朦朧として来る。
そして──
爆風も何もかも終わり、装置が開かれた。
蘇生は完成した。
けど、プレシアも俺も動くことができない。
ここまで来て……っ!
アリシアがまだ赤子状態なんだ。だから空気がない宇宙で、生きていけない……!
それを分かったからこそ、爆風や爆発に耐えてきたのに……!!
「アリ……シア……」
プレシアが掠れた声を出しながら装置の方へ行く。
だが、魔力が尽きて倒れているため、動くことができない。
そんな時だ。
俺の前に転移魔法が現れた。
「リュウ! 母さん!」
フェイトだった。
フェイトが、俺達のところにやって来る。
「ユーノくん! 私たちはあの娘を!」
「分かってる!」
確証も何もない。
だけど、これだけは言える。
戦いは終わった。
俺とプレシアの勝利だ、と……。
そこからはもう、覚えていなかった。
フェイトが俺たちを転移させ、なのは達がアリシアを確保。
そんな光景を見た俺とプレシアは、薄く笑い意識を落とした。