魔法少女リリカルなのは〜第二の人生を受けた者〜 作:ヤンデレ好きの変態
さて、あの話から一年が経ったある日。
俺はデバイスの試作運転をしていた。
「これがこうなってるわけだから……これがこうでこれがこう……と!」
ディスプレイは五つほどあり、キーボードは二つ。
ブラインドタッチをしながら、五つの画面を見る。
「よし……七割は終了か……」
あと一年もすれば、なのははジュエルシードに巻き込まれる。
俺も動けるようにと、自作デバイスを作ろうとしていた。
しかし、問題が発生する。
「やっべ、部品足りねえ」
流石にいきあたりばったり過ぎたか……。
まあデバイスの調整とかではなく、制作なので、途中で一度止めても大丈夫なので、こういう事態に陥るわけだが。
問題はそこじゃない。
「しかも必要としてるの、カートリッジシステムやん……」
ネット通販とかで手に入らないかな……。
なんて願いは虚しく散り、一応ネットで検索したが出てこなかった。
「……ミッドまで行くか」
座標を脳内でサーチし、俺は一気に飛んだ。
★★★★
「おぇっ……!!」
転移魔法を使いやって来たが、初めて使ったので、三半規管がやられて吐いた。
胃の中には何もないので、胃酸だけである。
喉に焼けるような痛みが走る。
「あんまりだ……てかここどこだ……」
ミッドだからやって来たが、右も左も分からずにやってきたので、何も分からない。
とそこで、老人が歩道を渡ろうとしており、荷物が多そうなのでその人の所まで向かう。
「よろしければ、お持ちしましょうか?」
「え? あら、ありがとう。お願いするわね」
「いえいえ」
身体強化をやり、荷物を担ぐ。
それでお婆さんのことを見ると、一瞬だけ何かを睨みつけるよう目つきになった。
だが、直ぐに優しい目つきに変わり、俺に話しかけてくる。
「ありがとうね坊や。何かお礼をしたいのだけど……」
「ああ、大丈夫ですよ。善意でやってることなので」
横断歩道を渡りながら、そんな会話をしていると、
「逃げろぉぉ!!」
どこからか聞こえた叫び声。
その方を向くと、逃亡車だろうか、猛スピードでこちらの方に突っ込んで来る。
デバイスもなく、人の力で魔法を使うとなると、かなりの時間を必要とされる。
一応、トレーニングでは体だけではなく、魔法を単体で使えるようにして来たが、猛スピードの車を止める術はない。
「お婆さん下がって!」
俺は瞬時にお婆さんの前に出た。
どうする?
俺が使える魔法で、何ができる?
逃亡車を止めること? いや、今の俺には無理だ。
俺が今やらなければならないことは、お婆さんをこの場から逃がすこと。
だが……
(こんな公衆の門前で、レアスキルを……? だけど……!)
後ろにいるお婆さんを見ると、どこか余裕そうな顔を見せてはいるが、不安そうな顔もしている。
恐らく、俺を安心させるために不安の表情を見せないためだろう。
……やるしかない。
俺は無言でお婆さんの荷物を地面に置く。
「アップ」
「えっ……?」
俺の独り言が聞こえたのか、お婆さんは声をあげる。
しかし、それに構ってられるほど、今は余裕なんてない。
右手に魔力を貯め、一歩前に出る。
車が来るまでに、今の魔法を創り上げることが出来るかどうかは怪しいが、やるしかない。
ギリギリまで堪えて、魔法が完成した。
周りの動きは遅くなっており、俺は右手を車に当てた。
──刹那
大きな爆発音が辺りに鳴り響き、中にいたドライバーが飛び出てきた。
まだレアスキルは扱っているので、ギリギリかわせる。
しかし、後ろにお婆さんがいるため、俺は前に回転し、かかと落としを決めた。
「ぐぁっ!!」
中から出てきたのは男だった。
俺はそのままバインドを使い、男を拘束。
「デフォルト」
そう言うと、世界の流れが元に戻る。
取り敢えずバインドはしておいたので、後ろからやって来る管理局に任せるとしよう。
「……任せたかったなぁ……」
「失礼。先ほどの動きは素晴らしくて。ぜひ話をお伺いしたいのだが……」
「嫌です。私はこれから部品を買いに行くんです。買い物が終わってもまだ関わりは持ちたくありません」
「そうか……分かりました。では、私達管理局は君が来ることを切に願おう」
どうせ一年もしたら管理局との縁ができるし、別に今関わろうとは思わない。
そんな事よりも、なのはがジュエルシードに突っ込むし、今は出来るだけ早くデバイスを作り上げて調整などをしていきたい。
「では、協力感謝する」
管理局の人はそれだけを言うと、俺達の元から去っていった。
俺はお婆さんの所に戻り、荷物を持ち上げてから言う。
「さて、早く渡りましょうか」
「ええ、そうね。それにしても、見事な魔法だったわ」
「そんな、褒められたものではありませんよ」
「いいえ、その年でその技術。ふふっ、確かに、管理局からしたら喉から手が出る程の逸材」
「止めてください。私はそんな御大層な名で呼ばれるほど凄くありません」
「そう……まあいいわ、お手伝いありがとうね」
「あ、いえ」
お婆さんと話していると、いつの間にか歩道を渡りきっていた。
「それと、一つだけいい?」
荷物を降ろすと、お婆さんから質問される。
「どうかしましたか?」
「坊やの名前はなんて言うの?」
「雷門リュウです」
「ありがとう。覚えておくわね」
「いえいえ」
俺は最後にそう言ってから、その場から立ち去った。
★★★★
あれから、道の人に聞いたりして、デバイスの部品が売っているスーパーまでやって来た。
時刻は既に夕方である。
「まったく、変な事件に巻き込まれるわで、大変な一日だったぜ……」
今日は学校が休みだったので、昼ごろ部品が足りないことに気が付いた。
どんだけ迷子になったりしたのか。
デバイスができた時は絶対に地図機能を入れてやる。
そう確信した瞬間である。
「さて、さっさと買って帰るか……」
なんだか濃い一日だったな、と思い、部品を買って家に帰宅した。
「おぇっ……!!」
なお、帰りの転移でも吐いた。