幻次元ゲイム ネプテューヌ -少女達の非日常な日常-   作:橘 雪華

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数日遅れのバレンタイン小話です!
遅れすぎですけどもねー…




季節の頁
三人少女の小さなチョコレートパーティー


2月14日。

 

世間はバレンタインデーなんていう行事で、ある人は想い人の男性にチョコレートを渡していたり、ある人は「リア充爆ぜろ」などと世間のカップルを恨む日。

それはルウィーも例外じゃなくて、バレンタインデー前日の今日も何だか賑わっている気がした。

 

「まぁ、わたしは特に好きな異性なんていないからどうでもいいけど…」

 

そもそも男の人なんて敵かモブにしk「グリモちゃん!」

「うわっ! び、びっくりした…」

 

地の分に割り込みながらバァン!と勢いよくドアを開けてきたのは、我らがルウィーの女神…候補生、ラムちゃんだ。

あの様子だとわたしに何か用があるんだろうけど…まぁ、今日やることと言えばね。

 

「グリモちゃん、今暇ー?」

「もう、そんな乱暴にドア開けないでよ、壊れたらどうするの」

「あ、うん、ごめん……じゃなくて! 暇かって聞いてるの!」

 

それとなく話を逸らそうとしたけど失敗したようだ。チッ

 

「ねぇ、今心の中で舌打ちしなかった?」

「気のせいじゃない? それより、何の用事?」

「あ、そうだった。チョコ作るわよ、チョコ!」

 

案の定、ラムちゃんはわたしをチョコ作りに呼びに来たみたい。

わかりやすいなぁ。

 

「えー。面倒…」

「面倒って…そんな事言わないで作ろーよー! ロムちゃんも一緒だから!」

「えーー…っていうか渡す人とかいないし…」

「わたし達にくれたらいいのよ!」

「…いや、バレンタインデーだよね? 普通男の人に渡すものなんじゃ」

 

そう言うと「えー、グリモちゃんてば知らないのー?」とか言いながらにやにやとしてきた。

うわぁ…うざい…

 

「…ねぇ、グリモちゃんさっきから心の中で悪口言ってない?」

「気のせい気のせい。…で? 得意げに何言おうとしてたの?」

「あ、そうそう。最近のバレンタインデーってね、同性のお友達にあげたりもするんだよ! だから問題ないの!」

「へぇ…」

 

でもラムちゃんの言った事は本当に知らない事だった。

最近はそんな風になってるんだね…

 

「とにかくグリモちゃんも一緒に作るったら作るの!」

 

と、言いながらラムちゃんに腕を掴まれ、無理矢理引っ張りだされてしまった。

こうなるという事聞かないんだよね…はぁ、面倒な…

 

「もー、そんなに面倒そうな顔しないのー! ロムちゃーん! グリモちゃん連れてきたよ!」

「あ、ラムちゃん、グリモちゃんも…えへへ」

 

ラムちゃんに連れられて向かった先にはロムちゃんが。

多分、ラムちゃんが「グリモちゃんのせっとくはわたしにまかせて!」とか言って待たせてたんだろうね。

 

「よーっし、メンバーはそろったし、行くわよ!」

「行くって…でかけるの? 台所じゃなくて?」

「だって、材料まだ買ってないもん」

 

そこからか…

 

「はい、グリモちゃんの分のお小遣い…」

「あ、うん。ありがと…」

「ほら、はやくいこー!」

 

ロムちゃんからクレジットを受け取るとラムちゃんが急かしてくる。

うーん、厄介な事になった…

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「えへへ、どんな形にしよっかー」

「うぅん…はーと?」

「星とかもいいかも!」

 

きゃっきゃと楽しげにチョコの話をするふたり。

チョコ作りと言っても溶かして好きな形に固めるだけらしい。凝った物はまだ危ないからとフィナンシェさんに止められたとかなんとか。

 

「…グリモちゃん、歩きながらそーゆーの危ないからやめなよー」

「ぶつかっちゃうよ…?(しんぱい)」

 

と、いつの間にやらふたりがこっちを見て注意してきた。

まぁ、歩きながら携帯端末を開いてたわたしが悪いのはわかってるけど。

 

「…ちゃんと前も見てるから、平気だよ」

「そう言う問題じゃないの! 取り上げちゃうよ!」

「……わかったよ」

 

腰に手を当てて怒るラムちゃんの言葉に渋々従う。

…まぁ、また後でで良いか。

 

「もーグリモちゃんは…っと、あったあった、チョコ売り場!」

 

と、いつの間にやら目的の場所についてたみたいで。

少ししたらここに集合ね、と言ってふたりとも自分の好きなものを買いに行ってしまった。

 

「…ま、この方がやりやすいか」

 

 

……………

 

 

「グリモちゃんおそーい!」

「ごめん、道に迷っちゃって…」

 

暫くして元の場所に戻ると、既に二人とも戻ってきていた。

 

「グリモちゃん、何買うの…?」

「ただの板チョコ。どうせ溶かして固めるだけだし、これだけでいいでしょ」

「むぅ、つまんないわねー。わたしとロムちゃんは他にも買うのに」

「他?」

「うん。マシュマロとか、いちごとか…。最初はかわいい形にしようとしたんだけど、そっちも面白そうって、ラムちゃんが」

 

はぁ、なるほど。ただ溶かすだけじゃなくて溶かしたチョコを何かにつけて固めるっていうのもあるのね。

 

「…ラムちゃんにしては良い考えだね」

「ねぇ、グリモちゃんさっきからわたしの扱い悪くない?」

「きのせいきのせい」

「ふたりとも、はやく買っちゃおう…?」

 

そんなこんなで、暫くラムちゃんにじとーっとした視線を向けられながらも材料を購入。

 

「後は帰って作るだけだね!」

「うんっ、がんばる…(ぐっ)」

「…あー、ごめん。ちょっとトイレ行ってくるね」

「えー。もう、グリモちゃんは…早く行ってきてよね!」

「トイレくらいゆっくりさせてよ…」

「わ、わたし達待ってるから、ゆっくりでいいからね…?」

 

不機嫌そうなラムちゃんをロムちゃんに任せて。

……さて、と。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

それから教会に戻ったわたし達は、フィナンシェさんに見てもらいながらチョコ作り始めて…

と言っても本当に溶かして付けて固めるだけだったからその辺は割合。

 

そして次の日…バレンタイン当日。

 

「さってさってとー! チョコ綺麗に固まってるかなー!」

「(わくわく どきどき)」

「眠い…」

 

気持ちよくお昼寝しているところを叩き起こされて、台所。

欠伸をしながらわくわくと冷蔵庫を開ける二人を見守る。

それよりも眠い…寝直したい…

 

「…うん! うまく固まってるね!」

「おいしそう…♪」

 

二人の反応を見るに上手くできたみたいだ。

まぁ、ちょこちょこフィナンシェさんが手伝ってたしね。

 

「グリモちゃんのも綺麗に固まってるよ…♪」

「んー…? おー、ほんとだ」

 

眠さで目を擦りながら二人の脇から覗き込めば、わたしの超手抜きチョコもしっかりと固まっていた。

まぁ、適当にあった型に流し込んだだけのチョコだけど。

 

「…ん? まだ奥になにか…」

「さて、それじゃふたりとも、早速食べよう?」

「わ、わっ…ちょっとー!」

 

冷蔵庫からラムちゃんを引っぺがしながらそう言う。

冷えちゃうからね、うん…うん?

 

「これ…誰のだろ…?」

「あっ、ちょっ!」

「あ、わわっ…!」

 

今度は冷蔵庫の奥を覗きこみながら首を傾げるロムちゃんを引っぺがす。

…さ、流石に苦しいか…

 

「もうっ! グリモちゃん! なんなのよ!」

「あー、うん…とりあえず、ふたりだけ先にテーブルに行っててくれる?」

「なんでよーっ?」

「…うん、わかった(くす)」

 

若干焦りつつもそう言うと、むすっとしたラムちゃんに反してすぐに言う事を聞いてくれるロムちゃん。

…あの笑い、絶対もうわかってるでしょ…うぅ

 

「え? ロムちゃん?」

「いいから。ラムちゃん、行こ…?」

「え? え? ちょ、ちょっとー!」

「あっと、これふたりのチョコね」

 

ラムちゃんを引きずりながらテーブルの方に向かうロムちゃんに、二人が作ったチョコとわたしの適当チョコを乗せたお盆を渡す。

それを意味あり気な笑みを浮かべながらロムちゃんは受け取って、テーブルの方に向かっていった。

 

「…ふぅ、最後の最後で…」

 

…まぁ、いいか。

 

 

……………

 

 

「……はい、これ」

 

暫くしてわたしは、ふたりの前に白と茶の球型のチョコを持ってくる。

 

「わぁ…」

「え? これ、もしかしてグリモちゃんが?」

 

きらきらとした目でチョコを見るロムちゃんと、驚いたようにそう聞いてくるラムちゃん。

うー、なんか恥ずかしくなってきた

 

「ふふっ…お二人を驚かそうって、寝た後に起きてこっそり作っていたんですよ」

「ちょっ、フィナンシェさん!?」

「ふーん、へー…こっそりねー…」

「に、にやにやしないでよっ!」

 

ひょっこりといつの間にやらいたフィナンシェさんのネタばらしを聞いて、にやにやとしながらこっちを見てくるラムちゃん。

あー、うー、なんかもう、顔が熱いっ!

 

「これ、なんていうの…?」

「え、えっと…チョコトリュフ、だったかな? ネットで作り方見ながらにしては上手く出来たとは思いたいんだけど」

 

頬を掻きながらチョコについて説明する。

まぁ、適当にネットでわたしにも簡単に作れそうなのを選んだだけなんだけどね。

 

「でも、材料とかいつの間にー?」

「それはほら、昨日帰りにトイレ行ったでしょ? あの時」

 

質問に答えながら、お皿にそれぞれ白色三つと茶色三つを移して二人の前に置く。

 

「白はロムちゃんに、茶はラムちゃんに」

「えへへ…食べてみていい?」

「うん。良いよ。ラムちゃんも食べてみて?」

「う、うんっ」

 

自分も席に座りながらそう言うと、二人ともチョコを食べ始める。

さて、味って見た目以上に大事だよね。…どきどき。

 

「ど、どう、かな…?」

 

恐る恐る感想を聞いてみる。

二人の答えは…

 

「…美味しいっ!」

「うん、甘くて、美味しい…♪」

「よ、よかった…」

 

二人のその言葉にほっと胸をなでおろす。

お菓子作りなんてしたことがなかったから不安だったけど…本当によかった。

 

「それにしても、興味なさそうな感じだったのにこんなの作ってたなんてねー」

「う、それは、その……元々作る気はあったんだよ? でも、このチョコレートで二人を驚かせたくって…そう思ってたら二人にチョコ作り誘われちゃって、ばれないようにって思ってたらあんな態度に…」

 

気恥ずかしさやらなにやらが色々合わさってよくわかんない気持ちになって、目も合わせられずに右手で横髪をくるくる弄りながらそんな事を言う。

あぁ、誰かわたしに混乱解除の薬を…

 

「…グリモちゃんって、けっこうぶきよう?」

「うぐっ」

 

なんて自分でもよくわからない事を言っていたら、ロムちゃんの言葉がぐっさりと刺さった。

そう言われると何も言い返せない…

 

「ねぇねぇロムちゃん! そっちの白いの一個ちょーだい! わたしのも一個あげるから!」

「うんっ、いいよ…?」

「あ、それ、色違いなだけで味は変わんないと思うよ?」

 

チョコの交換をしようとしているラムちゃんにそう言うと「それでもいーの!」と言って二人で交換して食べていた。

…まぁ、本人達が良いならそれでいっか。

 

「そうだ。グリモちゃんのチョコのお礼に、わたしが作ったチョコ食べさせてあげる…」

「え? いいよ、わたしはラムちゃん達と作った方の手抜きチョコ食べてるから」

「わたしのチョコ、食べたくない…?」

「いやそういう訳じゃ……ん、じゃあ、貰うよ」

 

自作手抜きチョコをひっそりと食べているとそんな提案をされ、断ろうにも断れ無い雰囲気になって結局貰う事に。

ロムちゃんが作ってたのはマシュマロチョコだったかな、確か。

 

「はいっ、あーん…」

「……え?」

 

なんて昨日のチョコ作りを思い出していると、にこにこと笑みを浮かべながらわたしの顔の前にチョコを持ってくるロムちゃん。

…食べさせるって、そう言う意味!? しかも素手だし!

 

「え、あ…いや…」

「…やっぱり、食べたくない?(うるうる)」

「う、うぅ…」

 

このっ…ロムちゃんって時々卑怯だって感じる事がある…

 

「……あ、あーん…」

「…えへへ、はいっ」

 

結局折れて、口を開けてロムちゃんが持ってきたチョコをぱくり。

……うん、美味しい。美味しいけど、なんかもう恥ずかしさとかのせいでちょっとよく分かんなくなってきてる…

 

「じゃー次はわたしのね!」

「ラムちゃんもやるの!?」

 

羞恥に押しつぶされそうになりながらもなんとか乗り越えたと思ったら、さらに次がありました。

…わたしもうバレンタインデーが苦手になりそう…

 

「なによー、ロムちゃんのは食べれて、わたしのは食べられないっていうの!?」

「うぅ…わ、わかった、わかったよ! 食べるから!」

「最初からそう言えばいいのよっ。はいっ、あーん♪」

 

こうなったら自棄だ、とことん二人に付き合ってやるっ…!

ロムちゃんに続いてわたしの顔の前にを持ってきたラムちゃんのチョコイチゴ(ピンク色のチョコじゃなくてチョコに付けたイチゴ)をぱくり。

 

「んー! んーーっ!!?」

「ふーんだ、素直じゃないグリモちゃんへのおしおきよっ! うりうりー!」

 

始めはイチゴの甘酸っぱさとチョコ甘さが丁度いいなと思っていたら、なんとラムちゃんの指がそのままわたしの口の中に。

そしてラムちゃんはそんな事を言いながらわたしの口の中をかき回すかのように指を動かし始めた。

 

「んっ、ぷぁっ、らむ、ひゃ…っ!」

「…あ、これ、ちょっと楽しいかも…」

「はわわわ…」

 

流石に指に噛みつく訳にはいかないし、でも、でも…!

だ、誰か、助けて…

 

 

……………

 

 

「あぅ、ぅ…」

「ふふん、ちゃんと最初から素直に食べるって言わないのが悪いんだもんねー」

 

お仕置きなのか好奇心なのか分からないけど暫くわたしの口を指で弄り倒したラムちゃんは、自分の指を拭きながら悪戯っ子の笑みを浮かべてそう言う。

絶対楽しんでたよこの子。うー…

 

「さてと。グリモちゃん弄り「やっぱり弄ってたんだぁ…」…もとい、おしおきも済んだし! チョコパーティーを再開しよっ!」

「う、うん」

「まだまだチョコはたくさんあるからね!」

 

ラムちゃんに恨めしげな視線を送るもスルーされながら、再び二人は元いた席に。わたしも口を拭きながら戻る。

机にはまだチョコレートが残っていて、二人ともまだ食べる気らしい。

わたしは色んな意味でお腹いっぱいだけどね…

 

「三人とも、あんまり食べすぎないように、ですよ。虫歯になって歯医者さんに行くことになっても知りませんよ?」

「うっ、それは確かに…」

「歯医者さん、いやっ…」

 

歯医者という言葉にあからさまな嫌悪を示す二人。

まぁ歯医者が好きな人なんてそうそういないか、あのドリルで削る音が…

……歯医者として削る側になったら案外面白かったりするのかな、痛がる様子とか…いやいやいや

 

「…それが嫌なら、程々にして歯磨きしないとね」

「(こくこく)」

「そ、そうね…」

 

余程歯医者が嫌なのか、わたしがそう言うと二人とも頷いていた。

 

「では、チョコレートとお皿は私が片付けておきますから、しっかり歯を磨いて寝るんですよ?」

「「はーい」」

「…はい」

 

フィナンシェさんに見送られながら、わたし達は洗面所へと向かった。

 

 

……こうして、わたし達三人の小さなバレンタインは終わりを告げた。

 

…今度またやる時は、ブランさんとも一緒にできたらいいな、と願いながら…

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