俺にだけ「手鏡」のアイテムが配布されなかったんだが   作:杉山杉崎杉田

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20話 新武器が欲しいです

 

 

数日後、ライブを終えて、あたしは少しの間お休みをもらえた。

 

「はぁ……にしても、二重人格ねぇ……」

 

なんというか、二重人格って漫画やアニメの世界だけのアレだと思ってたのに……。でも実感はある。この前、もう一人のあたしと会ったのだから。いや、まぁ外見はあたしと全く同じだったけどね。リアルの身体が出て来なかったのはなんでなんだろ。まぁどうでもいいけど。

 

「久々に攻略でもしようか」

 

着替えてサングラスとヘッドホンと帽子を被って、あたしは家を出た。

 

*

 

最前戦。目の前にはモンスターがザッと5匹。この前、アスナにしごかれたからある程度は戦えるはずだ。片手剣を抜いて、モンスター相手に相対する。

 

「………ッ‼︎」

 

肩慣らしに、ソードスキルを発動。ホリゾンタル・スクエアの一撃目をモンスターに当てた直後、バギンッと嫌な音が響いた。

刀身がなくなっていた。その直後に、青く光って四散する剣。

 

「嘘おおおおおおおおお‼︎」

 

なんで⁉︎なんで⁉︎なん……!そうか!もうしばらく戦ってなかったから武器の耐久値が逝ったんだ。イッケネー☆

 

『グオオオオオ‼︎』

 

「あーーーーーッ‼︎ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

慌てて転がりながら攻撃を回避する。そのままBダッシュで逃げた。

今は街の前の門。………にしても、まさか武器が折れるとは……。全然武器新調してなかったしなぁ……。というかこれ、もう60層辺りから変えてなかった気もする。あれ?これ普通の武器だったら普通にアスナとかと同レベルなんじゃね?

まぁ金ならいくらでもあるし、何の武器買っても問題ないか。せっかくだからエギルの店で。

そう決めると、街に入ってあたしはエギルの店に入った。直後、固まった。中にはキリトとアスナがいたからだ。

 

「あ、カンザキ」

 

「カンザキちゃん」

 

二人してあたしに声を掛けた。にっこりとアスナがあたしに微笑んだ。「お前、今からしごく」という目だ。

そのまま固まること数秒、あたしは無言のまま一歩後ろに退がった。直後、ダッシュで逃げた。

 

「お、おい⁉︎」

 

「何で逃げるのよ!」

 

無視!無視で逃げる。当然追いかけて来るアスナと何故かキリト。

 

「ハッ、ハッ、ハッ……」

 

『おい!』

 

「! え、えっと……お兄ちゃん?」

 

『お兄ちゃんって言うな。そう俺を呼んでいいのは詩乃だけだ』

 

「それで、何?」

 

『こんな逃げ方じゃ追いつかれんぞ。鬼ごっことかやったことねぇのかよ』

 

「あるわけないじゃん!あたしまだ1歳くらいだからね⁉︎」

 

『しゃーねーな。変われ!』

 

「え?うんっ。『お兄ちゃん』」

 

たらららーん

 

「っしゃ、久々に身体動かせる!」

 

そう言うと俺は入り組んだ道を使う。人の家の中に平気で上がり込んでは窓から出たりした。

 

『すごい……!アスナと距離がドンドン離れてく。やるじゃん!』

 

「いやお前より俺の方が人生経験豊富だからね?」

 

そんなことを話しながら俺はフィールドに逃げた。そこでようやく転移結晶を使う。

 

「転移!ここじゃない何処か!」

 

『あほか!そんなことできるわけないでしょ⁉︎かわんなさい!』

 

「カンザキ」

 

たらららーん

 

「転移!リンダース!」

 

あたしは55層に飛んだ。

 

*

 

ふぅ……助かった。エギルの店が使えない今、あたしは結局ここに来るしかない。武器のために。

 

『おい、なんでここに来たんだよ』

 

「もう引っ込んでて」

 

『アッハイ』

 

黙らせると、あたしは一つの水車付きの小屋の中に入った。

 

「リズベッド武具店へ……って、なんだ。カンザキか」

 

「こんにちは。リズさん、変装してるのにあたしだって分かっちゃうんですか?」

 

「そりゃ分かるわよ」

 

『うわっ、お前の擬態パーペキ過ぎwww誰?www』

 

『殴るぞ』

 

『ごめんなさい』

 

「それで、今日はどうしたの?」

 

「ちょっと新しい武器が欲しくて……」

 

「珍しいわね」

 

「まぁ、流石に60層から変えてませんからね……。一応あたし、アイドル兼攻略組ですからっ」

 

「それで、どんなのが欲しいの?」

 

「盾持ち片手剣」

 

『えーたまには斧とかにしようぜ』

 

「だーってろカス」

 

「へっ?」

 

「『なんでもない』」

 

「あれ?今声がブレて聞こえたような……」

 

まぁいいや、とリズは店の奥に剣を取りに行った。ふぅ……危なかった。

 

『てか何なの?さっきから五月蝿いんだけどあたしの中のあたし。殺されたいの?』

 

『やってみろやこら。俺が死んだらお前も道連れだからな?』

 

『は?あんたが死んだらあんたの全てがあたしのものになるだけでしょ』

 

『いいんだな?お前リアル戻ったら股間になんか生えてんの気にならねーんだな?』

 

『上等だよ』

 

『は?』

 

『あ?』

 

「お待たせ〜」

 

「全然待ってませんよ♪」

 

苦労しそうだった。

 

 

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