.
「それでしたら此処は私達が御相手しましょう!」
空気も読まずアミタとは別の方向から、その明らかに女の子ですみたいな声が響いてくる。
「今度は何なんよ? もう御客さんはお腹一杯や!」
泣きたいレベルで現れたお客さん、声のした方向を向いたらきんきらきんとか目に痛い姿。
「ゴ、黄金聖衣? って事はアイオリアちゃんか?」
同い年な女の子の知り合いに相生璃亜という子が、ユートみたいに聖衣を持っているのは知っていた。
兄の相生呂守も同様。
人影が二人分在るから、アイオロスも居るのか? はやてはそう思った。
然し声が違った気もするから首を傾げる。
「何だかんだと訊かれたら……」
「こ、答えて上げるが世の情け……って、これはやっぱり恥ずかしいですよ?」
「ええ、そうですかぁ?」
何やらネタでもやる気だったらしいが、相方が恥ずかしいと嫌がった様だ。
「まあ、良いです。私の名はヴィヴィオ・ゼーゲブレヒト!」
「ハイディ・E・S・イングヴァルトです」
その名乗りに反応を逸早く返したのはデルタ。
つまりはシュテルだ。
「イングヴァルトですか、貴女はクラウスの子孫なのですね?」
「貴女は……デルタ!? 暁の魔王シュテル!」
「誰がナノハですか?」
アインハルト・ストラトスはクラウスの記憶保持者である為、彼の知り合いのシュテルを知識……記憶の上では知っている。
「えっとシュテルちゃん? 誰が魔王なの!?」
「おや、ナノハも居たのですか?」
口調や声から間違いなくシュテルっぽい感じだし、なのはがそんな仮面ライダーデルタに文句を言った。
「暁の魔王ですか?」
「はい、ヴィヴィオさん。シュテル・スタークス・オガタとホムラ・アケミ・オガタと名乗る真王ユートの二人の妻。とはいっても、実際には結婚をしていた訳ではありませんが」
「ユート兄ちゃんの姓を名乗ってたから?」
「はい、周囲はそう考えていたみたいです」
流石はクラウスの記憶保持者というべきであろう、当時の事もクラウスの視点でよく理解をしている。
「暁の魔王シュテルと黄昏の魔女ホムラ。真王ユートと共にカメンライダーなる姿に変身していました」
「それがあれですか?」
「そうです。カメンライダーデルタと云います」
黄昏の魔女ホムラ。
魔法少女の成れの果てが魔女だけに、知らなかったとはいえ痛烈な皮肉。
「兎に角っ! 黄金星闘士・双子座のヴィヴィオ! ピンクの人に勝負を挑ませて頂きます!」
「同じくっ、黄金星闘士・獅子座のアインハルト! 赤い人、いざ尋常に勝負を願います!」
黄金星闘士として二人はフローリアン姉妹に対し、勝負を仕掛ける事を高らかに宣言をする。
「ちょお、確か未来からの来訪者やな?」
「そうです。八神はやてさんですね?」
「せや! 地球連邦の聖域所属、鋼鉄聖騎士はやて。これからピンクのお姉さん……キリエさんの説得兼、戦闘をしようかと思ってんけど?」
「そうでしたか? 困りましたね……」
アインハルトはちょっと困り顔で言う。
「私が赤い人を相手にするのはオッケーですね?」
ヴィヴィオはシュッシュッ! とシャドーをしながらアミタを見遣った。
殺る気満々である。
「いや、話し合いをな?」
「ユート兄ちゃんは言っていました!」
何故か右腕を上げて人差し指を伸ばした形で語り始めるヴィヴィオ、その様はまるで天の道を往き総べてを司る男の如くだ。
「戦う気満々な相手が中途で話は聞きません。ならば一旦は心をへし折って聞きたくなる様にするべきと」
ユートの経験談だけど、ヴィヴィオに教えていたという事か? 彼女は平然と語ったものだった。
実際にユートも問答無用で殴るばかりではなくて、一応の説得モドキはした事もあるにはある。
勿論、失敗して攻撃してきたからぶん殴った。
というよりもユート的には攻撃されるのを期待してもいて、自分から手は決して出さずに向こうから攻撃させた上で勝つ。
敗ければ兎も角として、勝てば官軍という訳だ。
当たり前だが、未来に於いてユートはそんな理屈はヴィヴィオに教えてなんておらず、飽く迄も取り敢えずやる気の相手を打ち斃して話し合いの席に着かせろ――のレベルであろう。
「という訳で赤い人は私と戦って貰います!」
「え? えっと、私はあのピンクを押さえたいだけですので……」
「多分、もうそんな段階は過ぎちゃってますよ」
「……へ?」
「私が聞いた通りならば、そろそろユート兄ちゃんがエグザミアを解放します」
「「「はぁっ!?」」」
アミタとキリエと闇王が一斉に声を上げる。
「未来からの巻き込まれ組たる私とアインハルトさん……そしてトーマ君達が揃ってマテリアルも揃って、フローリアン姉妹も顕れた頃には、ユート兄ちゃんがエグザミアを……【システムU−D】を解放すると話していました。もう世界の破壊だとかエルトリアの為だとか、それを止めるんだとかなんて段階じゃあ無いんですよ」
「そんな! エグザミアは何処に!」
「ソコまでは知りません。私が知るのは概要だけでしたから。後は関わる人達の名前くらいですね」
「私が兄様から教えて貰ったのも同じく。私達が巻き込まれるのは判っていたからと……」
ヴィヴィオとアインハルトの発言に、キリエからしたら冗談ではない話。
「エルトリアを救う為に、私はエグザミアが! 【砕け得ぬ闇】が必要なのに、何で無関係な誰かに掻き回されなきゃならないの!」
「無関係ちゃうやろうな」
「何ですって!?」
はやての言葉に苛立ちが抑えられないキリエ。
「そもそもが、闇の書から【砕け得ぬ闇】を抜き出したのは優斗君や。シュテルを救い出したのもエグザミアが起こす被害を押さえたんも優斗君。ならお姉さんの方が優斗君からしたら、無関係ちゃうん?」
「なっ!」
確かに確保をしていたのはユートで、エルトリアのギアーズこそ無関係。
ユートからすれば。
とはいえ、ユートはこの事件の原典たるゲームは識っていたし、キリエの想いも当然ながら識っている。
はやてが言う程に冷血な感じでは居なかった。
(恐らく、あの人こそ……この場に居ない“彼女”がその鍵ですね)
アインハルトの知り合いの中に、ピックアップされた女性が居る。
【夜の一族】よりも尚、深き夜に生きる一族。
月の御寵の下に、本来の生きた世界の月を一族の新たな世界とすべく、謂わばテラフォーミングをしたという王女。
本当ならそれで命を落としていたが、ユートが対価と引き換えに記憶を無くした彼女を再構成、転生させて確保をしたのだとか。
ヴァンパイア一族の王女――アーデルハイト。
【腐蝕の月光】の忌み名を持つ女性である。
魔法球で成長を早めて、閃姫契約をしたアーデルハイトは、その特典の一つであるユートが持つ本人が使えない閃姫専用の魔力タンクを使い、恐れられた忌み名から能力の名前になった【腐蝕の月光】で、ユートの再誕世界の火星をテラフォーミングしたらしい。
エルトリアは【死蝕】に蝕まれる世界で、生き残っていた生物も世界に合わせた“進化”をしてしまい、いずれは終わるだけの星。
だけどユートは彼女――アーデルハイトを見遣り、世界の終わりは無いとばかりに笑顔を浮かべていた。
つまりはそういう事。
でもこれは言っても詮無い事、誰が信じると云うのだろうか? 暴走させたら星一つを腐らせる魔力を持つ存在なんて。
きっちりコントロールをしたら、小惑星くらいなら一時間足らずで消し去れる魔力の持ち主なんて話を。
だから戦いである。
基本的にアインハルトは頭は良いが戦闘脳な脳筋、勉強は普通以上に成績を残しているが、拳と拳で解り合うタイプだから。
こうしてグッと拳を握り締め、
だからこそはやてや闇王やフローリアン姉妹など、全員が思ってしまった感想があった。
『この子はバトル脳だ!』
何処ぞのカードゲーマーがデュエルで解り合うのと同じで、戦って拳を合わせれば解り合えると考えてしまうタイプだ……と。
「という訳で、赤い人は私と
ヴィヴィオはヴィヴィオでストライクアーツの構えだろうか? 何らかの構えを執ってアミティエ・フローリアンに向かう。
当然ながらシュテル――仮面ライダーデルタの方はディアーチェへ。
「私に勝てば兄様に進言をしましょう。貴女に【砕け得ぬ闇】を渡す様に」
「本当に?」
「ベルカの覇王クラウス・G・S・イングヴァルトの名前、そして私自身の矜持に懸けても!」
「なら、乗ったわ!」
くるくると二挺拳銃――ヴァリアントザッパーを回しながら言う。
「赤い人も同じですよ? 我を通すなら先ずは私と戦って勝って下さい!」
「それならばエルトリアの【ギアーズ】、アミティエ・フローリアン……推して参ります!」
アミタもヴァリアントザッパーを手に叫んだ。
ヴィヴィオとアミタも、どうやら対戦が決まったという事らしい。
「ディアーチェ、そこら辺は貴女にも云えますよ?」
「良かろう、シュテルよ。ならば我が勝ってお前も、【砕け得ぬ闇】も取り戻して見せようぞ!」
エルシニアクロイツと、紫色の装丁な【紫天の書】を手にして、ディアーチェもシュテルの言葉に頷く。
こうして戦うべくユニゾンまでした八神はやてを置いてきぼりに、六人による対戦カードが決まった。
「私、余った?」
「ゴメンねはやてちゃん」
「なのはちゃん……」
なのはとすずかがはやてに近付いてくる。
「二人がどうしてもって、聞きそうになかったから連れて来ちゃったんだ」
すずかも困り顔だ。
「まあ、しゃあないかな。多分やけどあの二人は彼に色々と聞かされたんやろ」
「うん、そうみたいだよ。私達の事も識っていたし、二人は優斗君を“兄”と呼んで慕ってる。本来の歴史ならなのはちゃんをママって呼んでたらしいのにね、パパじゃないのはちょっと吃驚だよ」
戦い始めた六人を横目に見ながら、三人の鋼鉄魔導騎士は話し合う。
「そこはあれよ、なのはちゃん一九歳より若々しいんにパパ呼びはイヤとか?」
グサッ!
実際にはユートの方が、年齢的には上の筈なのに。
ナニかが突き刺さる。
「その癖、彼氏いない歴が年齢と同じを二五年継続で処女……っと」
「ぐふっ!」
魔法戦記リリカルなのはFORCE――今から一五年後を舞台にした噺であるが、唯一の未婚な幼馴染み枠のユーノ・スクライアとさえ結ばれず、フェイトと共にヴィヴィオのママで在り続けていた。
「まあ、私達もまだ結婚は疎か婚約者……彼氏すらも居なかったっぽいけどね」
すずかが自嘲気味だ。
「存外とアニメとかで描写されとらんだけで、普通にユーノ君を取り合って独身ならまだ救われるんにな。なのは×フェイトが成立をしとる勢いよ?」
「若しかしてすずか×アリサなんてのも?」
「で、私は闇の書関連での生き急ぎから彼氏とか考えてすら無かった……」
互いに見回しそんな未来は嫌だなと思った。
リアルでメタな話では、原作者が恋愛描写嫌いかららしいが……
いずれにしても【嫁かず後家】な御局様コースで、女性エリートに有りがちな感じに四十路を越えていたかも知れない。
「それにしてもシュテルもそうやけど、あの二人は何や可成り強いなぁ」
「黄金星聖衣。騎士カリムが言っていた古代ベルカの聖王が纏った聖衣……か」
はやてのボヤきになのはも思い出す。
「しかも双子座ならマジに聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが使うとった聖衣、つまりヴィヴィオは聖王の子孫……なんかな?」
「アインハルトちゃんのは獅子座、璃亜ちゃんの聖衣に似てるのも頷けるよ」
二人は確実にフローリアン姉妹を追い詰めていた。
璃亜の聖衣は原典と同じ物を、謂わば纏い易くした感じだろうか?
そのスタイルは間違いなく女性だったか。
因みに、二十歳のアイオリアが成り立ての頃と同じ聖衣を違和感無く纏う件、間違いなく使い手に併せて聖衣はサイズを変える。
「カイザーアーツ。覇王の娘はそう言っていたけど、聖王の娘は何だろう?」
「なのはちゃん、多分だけどあれは優斗君の流派だと思うよ」
「すずかちゃん本当に?」
「うん。優斗君が庭に出て一人で格闘の型をやっていたのに動きが似てるもん」
今も一応は月村家に居候な形は変わらず、当然ながら稽古は月村邸で行っていたユートは、すずかに割と稽古中の姿を晒していた。
ヴィヴィオの型は間違いなく我流なんかではなく、誰かから教わったのだろうと解る確りしたもの。
ならば教えたのは?
『ユート兄ちゃん』とか呼び慕う程、ならユートが一番の候補で間違いない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「くっ、何てスピード……パワーも強い!」
キリエはカイザーアーツだと言うアインハルトに、その身体能力の余りの高さから舌打ちしたくなる。
離れてバリアントザッパーを拳銃型に変換。
「ラピッドトリガー・ファイアーッッ!」
右から左から両手の拳銃を高速で撃ち放つも……
ガンガンガン!
それを甲の部分で容易く弾いてしまう。
「ちょっ! それなら! ファイネストカノン!」
高速連弾のラピッドトリガーに比べて出は遅いが、そな威力は普通に高い砲撃をキリエは放った。
「はっ!」
然しそれも蹴りで砕かれてしまう。
「うっそ〜ん!?」
「キリエさん、残念ですがこれまでですね」
「なら、アクセラレイタァァァァーッッ!」
「高速移動? いえこれは……時間にも作用してる。若しや兄様のアクセルフォームみたいな……」
クラウスがファイズとの戦いをした際、アクセルフォームなる姿になった。
一〇秒だけ高速で動けるフォームらしい。
とはいえ、アインハルトは勘違いをしているけど、アクセルフォームは時間に干渉はしていなかったり。
飽く迄も一〇秒間だけ、約一〇〇〇倍の速度を出せるだけのフォームだ。
クロックアップやキリエのアクセラレイターとは異なり、体感時間まで変わらないから高い動体視力がないと動きは制限される。
ユートは聖闘士としての見切りや動体視力が有り、更には視るに特化した魔眼持ちな上、【心眼之法訣】も身に付けているから問題も無く扱えた。
乾 巧や門矢 士の場合、持ち前の動体視力で使い熟していたと思われる。
「ですが無駄です!」
仮にも黄金星聖衣を持ってる身、光速は流石に無理でも普通にこの速度になら付いて往ける。
何よりも……
「兄様から【心眼之法訣】を習った私に、時間干渉をしているとはいえ高速移動で煙には撒けません!」
カイザーアーツだけではなく、ユートの体術だって多少は習っていた。
「普通に付いて来た!?」
「オガタイッシンリュウの奥義が一つ、ソウマトウというそうです!」
「嘘っ!?」
アクセラレイター発動の真っ最中に捉えられる。
「覇王断空拳・
「キャァァァァァァッ!」
けたたましい轟音と共に吹き飛ぶキリエ。
「終わりです!」
押忍! とばかりに腰へ両腕を曲げ拳を据える。
「キリエが? ひょっとして君も似た事が?」
形は違えど同じきんきらきんな鎧だし、下手をしたらキリエの二の舞を演じる羽目になる。
だから確認だ。
「勿論、出来ますよ」
「でぇすよねぇぇぇっ?」
そして現実とは常に残酷であったと云う。
故にアミタは白旗を上げながら……
「降参〜」
するしかなかった。
あれがヴィヴィオに出来るなら、戦闘力が似たり寄ったりなアミタではやはりキリエの二の舞だから。
シュテルなデルタと戦うディアーチェ、魔法を放つもデルタには効果が無いに等しい。
「莫迦な! 我が魔法の悉くが効いておらんだと?」
「元々、古代ベルカで戦うのを前提としたのがデルタ――否、仮面ライダーなのですから当然かと」
「むう……」
「ではそろそろ」
そう言ってデバイスではなく、デルタブラスターを右腰から外す。
バックルからミッションメモリーを外し、そいつをブラスターの上部に装填。
《READY》
音声が響く。
デルタブラスターを口元に持っていくと……
「チェック!」
音声コードを入力。
《EXCEED CHARGE!》
電子音声が鳴り響いて、甲高い音と共にフォトンブラッドの高エネルギーが、デルタブラスターにチャージされていった。
トリガーを引くと銀色の円錐形なエネルギーが放たれて、ディアーチェの動きを束縛してしまう。
「ぬっ、動けん……まさかバインドの効果が?」
それには答えずシュテルは一際高くジャンプ。
「タァァァァッ!」
それは飛び蹴り。
「ルシファーズ・ハンマァァァァァーッ!」
本来のファイズ系なら、特に技の名前は言わないのだろうが、ユートが必殺技の時に名前を叫ぶからか、シュテルもそれに従っての大見得である。
まるで吸い込まれるかの如くデルタが円錐エネルギーに突っ込み、いつの間にかディアーチェの背後にまで移動をした。
「ガハァァァァッ!?」
赤い炎が上がりながら、Δの紋様が浮かんでいる。
24tの凄まじい衝撃がディアーチェを襲った。
「一応、非殺傷設定有りの攻撃ですよディアーチェ」
倒れ伏すディアーチェ、だけど流石に非殺傷設定というだけあり、決して灰になって崩れたりしない。
ユートは基本的に敵へは容赦しないが、空気は読んで地球で殺人を犯さない様に非殺傷設定を付けた。
戦う毎に敵対者を殺害していては、地球の治安的な意味で困るからだ。
「あれ? 終わったか」
折り良く現れるユート、別に見物をしていた訳ではなくて、つい先頃に冥界から此方に出てきたのだ。
「ユート兄ちゃん!」
「兄様!」
「ヴィヴィオにアインハルト……か? 兄呼びって事はやっぱガッツリと関わるって訳だ」
まあ、判ってはいた。
「ああ! 見付けたぞ! 王様と……シュテルん?」
「そうですよ、レヴィ」
シュテルはデルタフォンを外して変身解除。
レヴィに素顔を見せる。
「うわ、ユートさん!」
これまた折り良くか? アリサとフェイトに連れられて、黒騎士姿なトーマ・アヴェニールも現れる。
「ふむ、これは丁度良い。マテリアル三人娘に未来からの来訪者、フローリアンの姉妹まで揃うとはね」
バラバラで居られても困る面子が勢揃い。
「ならばこの場で【砕け得ぬ闇】を解放しようか」
戦うのが前提に集まっていただけに、住宅地などは避けて海上にまで移動している事だし、ユートは懐よりエグザミアを取り出す。
「【砕け得ぬ闇】!」
キリエが反応した。
「マテリアル三人娘!」
「うぬ?」
「ほえ?」
「了解していますユート」
訳が解らないらしくて、ディアーチェとレヴィは首を傾げるが、シュテルだけはそもそも作戦も聞いていたから頷く。
「さあ、【GOD事件】を終わらせよう。顕れ出でよ紫天の盟主……ユーリ・エーベルヴァイン!」
既に解放寸前までいっていた為、ユートの後押しにより顕れた人型。
白を基調とした上着に、ズボンは炎をあしらう紅い色で、長い金髪に金瞳を持つ見た目に幼い少女。
背中からは緋色の翼。
「なっ!? あれが我らの捜した【砕け得ぬ闇】?」
驚愕のディアーチェ。
それは彼女のみに非ず、ユートとシュテルみたいな訳知り以外の全員。
「さあ、始めようか」
いよいよ、ユートの考え通りの終局が訪れる。
.