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ヴォルフィードを含めれば七隻もの遺失宇宙船を手に入れたユート、生体殲滅艦デュグラ・ディグドゥは使う予定も無かったから、取り敢えずユニクロン内部の大博物館にでも飾っておくとして、考えていたいた通りにゴルンノヴァを除く四隻は改造し四竜王の名前を与える心算であった。
それに当たって科学者陣の力を借りるのは当然の流れであり、義妹のユーキは勿論の事ながらプレシア・テスタロッサ、マリエル・アテンザというリリカル組だけでなく、篠ノ之 束、 緒方鈴音、葉加瀬聡美に、天樹菜々芭、メルヴィナ・アードヴァニー、大星林檎などの科学や魔法科学へと精通した人材を惜しみ無く注ぎ込んだ。
また、【ハイスクールD×D】世界の魔王の一角であるアジュカ・ベルゼブブを招いたし、契約によって【機動戦士ガンダムSEED】世界のロウ・ギュールなんかも招いている。
「で、君はどうして此処に居るのかな?」
「えっと、マリエル先輩に誘われまして……」
「マリー?」
ユートが管理局に賠償代わりに求めた少女、マリエル・アテンザは時空管理局の技術官であり、現在まで管理局に勤務をしていたら五年目になる筈だった。
愛称はマリー。
勤続三年目に管理局から移る形で【OGATA】に所属となり、二年間という時間をなのは達のデバイス整備しながら、新しい技術の習得に腐心している。
最近、ユートと身体を重ねているけど目的有りで、どうあっても時間という抗えないものに抗えるから。
正に科学に魂を売り渡した女の一人で、基本的には他の者もユートへの好意もあるにはあるが、科学の為に長い時間を欲して身体を重ねている部分もある。
人間であるからには時間はどうしても有限な上に、現役で居られる時期も僅か数十年程度でしかない。
激しく運動をするから肉体的にキツくなってしまうスポーツ選手なんかよりは保つが、老化すればどうしても脳だって衰えてくる。
プレシア・テスタロッサは時間の有限性というのを、深く深く実感してしまった一人であるからには
とはいえ、実年齢がフィフサーなプレシアなだけに若返らないと精神も肉体も付いてこない。
一応、アラサーくらいの見た目になっていたのだけど女の矜持か? 若い自分を魅せたかったとかもあって年齢詐称薬を使い二十代前半の見た目にまで若返って抱かれた。
今のプレシアは二十歳だった頃の肉体な為に、精神まで若返り研究をしながらユートの求めに応じてベッドに向かうとか結構、愉しい第二の人生を歩んでいるみたいである。
メルヴィナ・アードヴァニーはユーキが転生をした世界――【MuvーLuv Alternative】に於いて、豪州海軍の少尉として技術士官をしていたのを見付けてスカウトした少女。
正確には豪州海軍だったが、船を喪ってしまっていたのをユーキが取り込んだのである。
アンリミテッドでも似た境遇だったのを、向こうではJFK艦隊の駆逐艦シドニーに乗っていてBATEにより撃沈、戦死して更には遺体を保存されてしまったという悲劇があった。
技術士官ではあるが大きく特筆したモノは持たない、それでも貴重な人材の一人としてユーキは雇用に踏み切ったのだ。
何しろユーキは個人で戦術機……ってかMSを造っていたからどうしても人手不足は否めない。
それと、ユートを喚んだ際の相手を務めさせる為に女の子であるのは必須事項だった。
一応は婚約者なれど、流石に結婚しないで抱かれる訳にはいかない身だったから。
それなりに開放的な性格でしかも御都合的にも処女、ユーキもそれなりにヤっていると思っていただけにラッキーだと思ったらしい。
手に入れた時期が早かったからか?
特筆してなかっただけに魔導科学を覚えさせるにも丁度良く、ある意味でメルヴィナ・アードヴァニーはユーキの愛弟子となっていた。
天樹菜々芭はユートの再誕世界に生まれていたユーキに近い少女、その頭脳は高い科学力を持つに至りながら魔法という未知をも取り込む事で、特殊な衣服を造り上げた……というのが本来。
【魔法戦士シリーズ】が混じっていると知り、スイートナイツ誕生前にユートをロアという名の異世界へ送り、シリーズが始まる前に全てを終わらせてしまったので天樹菜々芭も魔力こそ持っていたが、残念ながらそれを上手く利用するまでには至れなかったらしい。
本来の流れではロアでメッツァー・ハインケルが提唱する作戦を行い、最初の犠牲者に選ばれたのがアップルナイツの副隊長ココノ・アクア。
メッツァーは元々が組織の最下部だったのを、この作戦が成功した事で異例の出世をした。
ココノ・アクアはメッツァー相手に快楽堕ちをしてしまい、地球に現れた新たな女神騎士団――【スイートナイツ】を倒すべく動いた。
この世界線でも作戦自体は確かに行われたが、ココノ・アクアを連れ去る前にユートと遭遇してしまい討たれ、人生終了の御知らせとなってしまったのはどうでも良い話。
救われたココノはメッツァーではなくユートに惚れ込み、ユート自身はロアのトランシルヴェール女王たるクイーン・グロリアと交渉した。
その後は【魔法戦士シリーズ】そのものが崩壊をしていまい、【魔法戦士スイートナイツ】、【魔法戦士プリンセス・ティア】、【魔法戦士スイートナイツ2】、【魔法戦士シンフォニックナイツ】、【魔法戦士エリクシルナイツ】、【魔法戦士レムティアナイツ】などが喪われている。
勿論、派生作品やそれ以前以後のものも。
そしてそれらの物語で魔法戦士となる筈だった少女達に関しては、ユーキが内容と共に把握していたから鋼鉄聖闘士や次世代の聖闘少女などへと勧誘をしていた。
天樹菜々芭は【魔法戦士シンフォニックナイツ】の一人だった為、今一人の百合瀬莉々奈と共に鋼鉄聖闘士として聖域入りしている。
そして現在の天樹菜々芭はユートのサポートも可能な技術者兼【閃姫】であった。
魔導科学の真髄を極めたいという願いもあり、菜々芭はユートの傍で闘いを続けていたし莉々奈も賛同し、未完成だったM3システムの完成も目指したかったからユートとユーキの二人の傍というのは都合が良い。
本来なら魔力が世界に満ちてM3システムと、それを纏い美しく闘う【ミネルヴァ・ガード】の設立が成されたが、魔力は魔法使いが跋扈する程に在るものの女神騎士団第一三部隊【スイートナイツ】が存在しなかった為、見本が無い状態では流石の菜々芭も苦労してしまったのだ。
尚、本来ならスイートナイツだった少女立ちとティア王女は聖闘少女として活動をしていた。
緒方鈴音――超 鈴音と葉加瀬聡美は麻帆良学園都市にて、教鞭を執っていたユートの教え子という立場に在った少女達である。
財団法人【OGATA】のセクションの一つに有る【
勿論、再誕世界では新たなアテナが誕生する程に時が経過しているからには二百歳を越えている筈の二人だったが、見た目には中学生時代と何ら変わる事もない姿をしているのは【閃姫】契約をしていたからに他ならない。
まぁ、【ハイスクールD×D】世界の転生システムで転生悪魔や転生天使に成っていた場合とかもあるし、必ずしも【閃姫】に成っているとは限らない訳ではあるが……
事実として姫島朱乃や塔城小猫や
それは兎も角、二人はきちんとしてればそれなりに可愛らしい容姿なのに余り頓着しないから、ユートも暫くは契約を持ち掛けていなかったのだけど、『科学に魂を売った女』を自称するだけにユートとユーキの魔導科学は自分達の上位互換と位置付けたらしく、【閃姫】に成りたいと自分達から申し出て来たのである。
はっきり言うと色気もクソもない初夜だったとしか云えないものだった。
裸で寝るのがデフォルトなユートの寝室に裸で押し掛けた二人が……
『さぁ、【閃姫】契約とやらをしましょう』
『私達に永い研究時間を与えるネ』
何て言いながら処女喪失したのだから。
役には立つし、研究の合間にヤる事はヤるからユートも特に文句は無い。
特に超 鈴音はそもそも未来に帰れなくなってしまっており、それはユートが原因だったから未来は変わっただろうから世界線こそ異なるにせよ、歩いて百年後に帰れる様に【閃姫】契約はアリだと考えていた。
魔導科学を修得してしまった二人に死角は最早無くなり、ユートの冥界のエリシオンでは如何無く実力と趣味を発揮しているらしい。
そもそも、【リリカル】主体世界のこの地へと創設した聖域の護りに置く茶々号や田中さん達、その駆体を設計したのはやはりこの二人。
窮めて有機的なアンドロイドとガイノイドは、DB世界の人造人間17号や18号に近い肉体を持って造られており、茶々号達は擬似的にではなく本格的なセ○クスも可能だった。
システム的にヤる動くダッチワイフではなく、自らの駆体が生産する体液を以て様々に応用を熟していき、遂には出産も可能なレベルに持って行く事に成功をする。
ちゃんと月経や空腹などの生理現象も有って、五感や第六感さえも普通に備える超駆体。
それは既に人間と全く変わらない、神の領域に足を踏み入れ踏み抜いた科学者と成った二人は、ユートの助け無しに肉体の用意が出来た。
大星林檎はとある平行異世界の地球で謎? の転移現象で何故かハルケギニアに跳ばされてしまった四人の少女の一人。
超人高校生と呼ばれていたある分野に於いては最高峰に立ち、地球という舞台で所狭しと大暴れをしていたらしいのは聞いている。
七人の超人高校生が居たのだが転移されたのは科学者の大星林檎、忍者、医者、侍の四人だけで男の政治家、商人、手品師は何処を捜しても――ハルケギニア大陸以外にも居なかった。
ユーキが曰く、超人高校生は異世界召喚された筈だから他の三人の男子は本来の行くべき世界へ普通に言ったのでは? とか。
四人の少女達は基本的にバラバラに跳ばされていて、トリステイン王国に大星林檎、ガリア王国に医者、帝政ゲルマニアに侍、アルビオン王国に忍者がそれぞれに点在したのを回収した。
その後は彼女らの面倒を見つつ独立の手助けをしてやる事で好感度も上がり、最終的には好きな男が居たらしい林檎も含めて【閃姫】契約を結んだのである。
元の世界を捜す約束をした上で。
約束は未だに果たされていなかったりするが、四人は別に帰りたかった訳ではないから見付かるのをゆっくり待っている。
林檎だけはもう一度だけでも彼に会いたいとか思っていたし、せめて足跡だけでも何とか知りたいのが本当の処だったけど。
科学の無い世界で科学を成せる林檎なだけに、ユーキからしたら可成り有用な人材。
是非とも欲しくて口八丁を駆使してまで口説き落としてしまい、医者なんて面白そうに見物をしていたくらいだった。
魔導科学を修得してからは更なる高みに至り、ユートの真似事にも近い魔法すら使える。
名前は【金属錬成】といい、ハルケギニア魔法で云えば【錬金】に近い魔法であろう。
金属を汎暗黒物質から錬成する魔法である為、好きに金属を創り出せてしまうのだ。
但し、通常金属と魔法金属までで神秘金属を創るには今を以て至っていないのだが……
尚、通常金属は何ら帯びない普通の金属であり金、銀、銅、錫、タングステンなどを云い、魔法金属は有名な処で
マリーと一緒に居る長い茶髪に眼鏡を掛けている少女の名前はシャリオ・フィニーノ、原典では【魔法少女リリカルなのはStrikerS】でデバイスの製作やメンテナンスを行う為の技術スタッフであり、一級通信士として通信主任もしていた筈であるし本編から二年前には、フェイト・T・ハラオウンの執務官補佐をしている優秀な人材。
マリエル・アテンザの後輩な訳だが、正直な話まさか連れて来ているとは思いもよらず驚いた。
見た目には可成り幼いが一〇年後のStSで一七歳だった筈だから、現在は七歳――小学二年生相当の年齢でしかない筈だ。
「シャリオ・フィニーノです」
「ああ、緒方優斗だ」
ユートは説明しろと目で訴える。
「え~っと、ね? 私が此方に来たでしょう? この子は後輩なんだけど、色々と目を掛けていたから此方で刺激を与えたいなってさ。ユーキちゃんに訊いたら是非連れて来いって言われて」
「ユーキの仕業か……」
「め、迷惑でしたか?」
「いや? 居るからには働いて貰うがね」
「はい!」
シャリオ・フィニーノは元気に返事する。
劇場版は観てないが、白夜からの情報で知る限りはこの年齢より僅かに上で地球の事件に関わったらしいし、普通に優秀な人間だから特に問題がある訳ではない。
よくこの作品の二次では『子供を闘わせるなんて』とか、少年兵的に忌避させるのがトレンドみたいな風潮があったけど、ユートは特に忌避をしたりはしていなかった。
抑々にしてユートは聖闘士をしていたから幼くして――五歳くらいから修業をして一〇歳未満でも闘うのは普通、無理矢理に闘わせるのは問題しか無いが自らの意志ならそれを尊重する。
まぁ、自分の意志という名の強制もあるのだから一概には云えないが……
だが少なくともシャリオ・フィニーノの場合は一〇〇%が自らの意志であろう。
「あ、シャーリーって呼んで下さい」
「判った、シャーリー」
別に困る事もないから普通に呼んだ。
古代遺失物の艦船を調査するとなればやっぱりというか、科学者としてはテンションフォルテッシモでマックスとなる。
マリエルもシャーリーも実物――ヴォルフィードや闇の遺失宇宙船を見て、口を大きく開けながらその船体に感動すらしているらしい。
「マリー先輩、凄い凄いスッゴいです~!」
「う、うん。本当に凄いわね」
はしゃぐシャーリーを抑える事も忘れて呆然としているマリエル、どうやら異様な雰囲気に呑まれてしまっている様である。
遥かな古の先史文明が造り出した艦船であり、単純な機能は明らかに勝っていた。
戦闘には無関係な居住性は勝っていたのだが、それは元々が闇側の遺失宇宙船もヴォルフィードも居住性は求められておらず、寧ろアニメとかでヴォルフィードというかソードブレイカー内にてあんな居住性が有ったのに驚きだ。
恐らくアリスの時代から改修を繰り返していたのだろうと思われる。
実際のヴォルフィードは当たり前だが居住性は皆無に等しく、システム・ダークスターを相手にするのに艦橋が有ったのが意外な程。
とはいえ、ヴォルフィードもラノベ版で普通にアリシアへマスターになるのを頼んでいたから、完全な無人艦として造船されていた訳ではなかったのも確か。
システム・ダークスターは映像越しからであれ機能する為、マスターが艦橋に居たら間違いなく殺られてしまう筈なのに……だ。
まぁ、完全な無人艦だとデュグラディグドゥらの前例から怖かったのかも知れない。
はっきり云ってしまうとデュグラディグドゥらの暴走は原因が不明、負の想念をエネルギー源としたのが抑々の間違いだったとも推測されたからヴォルフィードは、情愛や希望や勇気など謂わば逆に正の想念をエネルギー源にした訳だけれど、だからといってそれで一〇〇%安全だと言い切れなかったのもあり、マスターが乗る艦橋も設置をされたのであろう。
だけどシステム・ダークスター対策が成されていないのは、ケイン・ブルーリバーがマスターをして最終決戦時で明らかになっている。
マスターは下手したら死ぬ。
ケイン・ブルーリバーが死ななかったのは偏に恐怖を――悪夢をバラ撒くデュグラ・ディグドゥが、ヴォルフィードを延いてはケイン・ブルーリバーを恐怖したが故に。
若しもデュグラ・ディグドゥがケイン・ブルーリバーを怖れず、システム・ダークスターを使っていれば間違いなく銀河には悪夢が――闇が撒かれていたであろう。
彼の【ヴォルフィード世界】の魔王の二つ名、【
まさか恐怖を武器にする筈が自らの恐怖に負けて討たれるとは、デュグラ・ディグドゥも何というか皮肉なものであったと云う。
とはいえ、技術は流石に先史文明の遺産というべきであろうか? 何処か有機的なフォルムをしている漆黒の装甲材だけで、時空管理局では再現をする処か碌すっぽ解析すら叶わない。
当然ながらサイ・システムとか、それを流用した兵器だとか、想念をエネルギーに変換をするのだとか、遺失宇宙船を遺失宇宙船足らしめている部分が軒並みにアウト。
時空管理局のL級八番艦アースラもそうだが、現在は何兆も掛けて開発している新型艦となるであろうXV級でさえ、単なる標準的な攻撃艦たるガルヴェイラにも性能が及ばない。
まぁ、流石に主砲アルカンシェルを撃ったなら墜ちるのかも知れないけど、それ以前に当てる当てないではなく撃つ暇も与えられないだろうし、それに何よりもヴォルフィードの主砲ならXV級の新造艦船だろうが何だろうが砕けるし、何なら火力が低いラグド・メゼギスでもイケるだろう。
というよりアニメ版のラグド・メゼギスなら、その火力すらも充分過ぎるくらいに有る。
それにアルカンシェルは未だしも、通常兵器なら遺失宇宙船の装甲で止めてしまえる筈だ。
それこそヴォルフィードのリープ・レールガンやサイ・ブラスターくらいの威力が無いと貫く事も覚束無いし、果ては破壊なんて不可能の領域と云うしかあるまい。
更にその後に現れるメンバー。
「来たよ」
何人も居る【閃姫】な工学系達。
プログラマーなタイプにはAI関連を作って貰っているし、機械に強いタイプなら躯躰を製作して貰っている。
「翔子、解析は頼んだよ」
「フフ、任せて」
プログラマーの増山翔子、ユートの尺度に於いては大した能力とは云えなかったのだが、ユーキに鍛えられたからか既にプログラマーとしての腕はユートを遥かに越えていた。
父親は将棋のプロ棋士、祖父は元政府の内閣府サイバーセキュリティ戦略室の室長で、翔子自身は幼い頃に祖父からプログラムを学んだらしい。
通称『絶世の美少女プログラマー』というのは本人を知らない世間の噂。
元からプログラミングには精通をしている為、更なるスキルアップをした彼女に遺失宇宙船たるゴルン・ノヴァ達の頭脳、AIの解析を任せるのは彼女を於いて他には無いであろう。
ハードもソフトも任せるに足る人材が【閃姫】や【準閃姫】には揃い踏みをしているのだから、【
知識は勉強して補える、技術は実践して研いていける、今のシャーリーにはどちらも足らないからマリーに付いて学ぶ為に来た訳だが、果たして彼女はマリエル・アテンザやその他の【超技術】のスタッフみたいな覚悟は固まるのか?
魔導科学に全てを捧げる覚悟を……
具体的に云えばそれらを吸収していく時間を得る為に若さを保つ術、【閃姫】契約を受け容れるだけの覚悟というやつを持てるか否か。
【閃姫】契約をすれば基本的にユートと同じだけの寿命を、若い侭に得られるからそれこそ幾らでも年月を掛けられる様になる。
科学に魂をも捧げた超 鈴音や葉加瀬聡美みたいに愛情云々より前に、科学の為にこそ女としての自分を捧げるのが大前提となるのだから。
マリーは慣れた様子で空中モニターを見る事も無く、一心不乱に展開されたキーボードを叩いてデータ取りを始めていた。
シャーリーはそのアシスタントだ。
翔子も手慣れた感じにプログラムの構築をしていくし、他のメンバーも遺憾なく実力を発揮している辺り職場としては最高の環境らしい。
〔ユート様〕
「どうした?」
〔時空管理局よりクロノ・ハラオウン艦長がお出でになられています〕
「クロノが? 判った」
事務員からの連絡を受けたユートは仕事現場を後にすると、クロノが通された筈な来客用の部屋へと足早に向かう。
部屋に入るとお茶を啜るクロノの姿が在って、その格好は普段着でバリアジャケットや局員としての制服では無く、単純に仕事関連で来たという感じではどうやら無いらしい。
「一カ月振りだなクロノ」
「ああ。遺失宇宙船の報告書を上げてから漸く得た休暇だよ」
「一カ月間も休暇無しとかとんだブラック企業だよな……時空管理局」
「はは、全くだ」
まだ一六歳の、地球なら高校生でしかない筈のクロノ・ハラオウンだけど、其処に浮かぶのは明らかにアラサーを過ぎた中年男の哀愁感が溢れる表情であったという。
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次はいつになるやら……