魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】   作:月乃杜

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第8話:懇願 クロノの修練

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 『僕は強く成りたい』と言うクロノ・ハラオウンに対してユートは可能だと答える。

 

「出来なくはないのか?」

 

「一応はな」

 

 とはいえ、ユートがクロノを鍛える名目というか大義名分が全く無い。

 

 ユートの【閃姫】なら或いは力を与えるに充分な大義名分だが、男であるクロノ・ハラオウンにそんな大義名分は無かった。

 

 ユートに対価を取らない選択肢は存在しない。

 

 元からユートはそうだっただけだが、それでいて更に某・次元の魔女の薫陶も有ってから余計にとまではいかないものの、決して多過ぎず少な過ぎない程度には対価の頂戴をしていた。

 

 【閃姫】は即ち【閃姫】である事こそ対価と成る為に、改めて対価の徴収をするのは余程に大きな願いを叶えて貰いたいと言ってきた場合だ。

 

 とはいえ、ミッドチルダのお金で支払うにしても矢張りそれは大金となるであろうし、だからといってまさかエイミィを抱かせるなんて有り得ない選択肢となる。

 

 かといって、古代遺失物を横流しなんて真似も管理局員としてのプライドに懸けて出来ない。

 

「修業の場所や内容の提供くらいなら大した対価は取らんが、それだと一番の懸念となってくるのが『そんな時間を取れるのか?』だろうな」

 

「確かにね。現在の僕は時空管理局の局員としては三佐相当のL級艦船八番艦アースラの艦長だ。当然ながら立場に付随する責任も在るからな」

 

 上に立つ人間は相応の責を背負う、出会った頃の執務官でさえ大きな責任が有ったのだから。

 

「それも含めて対価は大きい」

 

「うぐっ!」

 

奥さん(エイミィ)を一晩貸してくれたら金銭的対価は無くても構わないぞ?」

 

「彼女は未だ奥さんじゃないし、そんな事に使わせる訳が無いだろう!」

 

「そりゃ、そうだな」

 

 ユートもまさか本気で言った訳は無かったし、これで頷いたらソッコーで連絡案件だったろう。

 

「取り敢えず、聖域ミッドチルダ支部の創設を手伝って貰おうか。金銭的対価も当然ながら必要だけどそれで少しは安くしてやる」

 

「……了解した」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「この部屋は?」

 

 ユートの【神魔因子保有艦】或いは【機動砲撃戦闘母艦】シャブラニグドゥ……若しくは【機動光覇艦】アウローラ、それはロスト・シップの技術を用いて建造されたユートの艦。

 

 ユートが脚として使う次元航行艦、勿論ながらアースラが宇宙を行ける様にユートの艦も次元空間だけでなく、宇宙空間を普通に動ける宇宙艦でもあるから使うに易い。

 

 まぁ、現在は改修中の【戦闘封印艦】ヴォルフィードの改修が完了をしたら、基本的な脚としてはヴォルフィード――ソードブレイカーが担う事になるであろう。

 

 正確には【戦闘封印艦】では無くなる訳だが、どうせ既に敵対する闇側のロスト・シップは全てが片付き、彼方は彼方で改修を施して赤の竜神スィーフィードの分体でもある四大竜王の名前へと艦名も変える事にしていた。

 

 つまりヴォルフィードは最早、建造をされた遥か昔たる先史文明時代の役割に拘る必要性自体が無くなっている。

 

 其処で、一九五m級という小型艦であるのを利用して脚として使おうと考えた訳だ。

 

 ガワとしてソードブレイカーにするのも既に決めており、二一〇m級戦闘艦ソードブレイカーとして活用の予定をしている。

 

 ヴォルフィード自体はバランス型で、ラグドメゼギスには劣るがネザードよりは疾いスピードを誇り、単純な攻撃力もゴルン・ノヴァ程では無いけど主砲プラズマブラストの一撃はエグい。

 

 防御は装甲板が最新だからロスト・シップの中でも硬いけど、これに関しては【機動戦士ガンダムSEED】のPS装甲で物理的な防御を上げる。

 

 その他の攻撃からはバリアやフィールドで防ぐなり躱すなり、どちらにしても対艦防御を装甲板でのみ受けるのは現実的ではあるまい。

 

 事実としてソードブレイカーには複数のバリアが同時多発形成される予定で、ヴォルフィードが本来持っていたサイ・バリアを最外郭に発生し、後付けされたテスラ・ドライブによって発生されたエネルギーで障壁の形成をするEフィールド、グラビコン・システムにより重力場々で形成するグラビティ・テリトリーという三重層の防御は、あらゆるとまではいかないが可成りの攻撃を減衰させて防いで見せるであろう。

 

 糅てて加えて、ユート本人が発生させる事が出来る三枚の光鷹翼を更に使えるから防御力に不安は先ず無くて、攻撃も光鷹翼で行えるから元より装備をされていたリープ・レールガン、サイ・ブラスター、プラズマ・ブラストとは別に強力無比な武装を持っている様なもので、ソードブレイカーとしてガワを装備した状態で扱える近代兵装は矢張り、ヴォルフィードの人格であるキャナルの趣味以外の何物でも無かった。

 

 防御を充実化、機動力も光鷹翼を使えば大きく高まる上にクロックアップ・システムによって、時間流の外側から通常機動をしながら周囲からは見えないレベルの速度を出せて、攻撃力にしても最大級の兵装ならば惑星処か恒星でさえも破壊をしてしまう事が可能。

 

 それは元々のヴォルフィードよりも遥かに強い訳だけど、ソードブレイカーの状態では可成りの制限が成されてしまうから謂わばキャストオフをしないと其処までの強さは発揮が出来ない。

 

 云ってみれば、“ソードブレイカー”というのは一種のギプスである。

 

 それは扨置き、シャブラニグドゥには母艦としての機能を持たせている訳だけど、内部は空間湾曲技術を用いて四〇〇mにも及ばないとは思えないくらいに広大であり、その気になればハンガーに機動兵器は於ろか二〇〇m級の戦艦程度ならば収納が可能だし、ちょっとした秘境が展開されていてまるで天然温泉が湧き出したみたいな秘湯が存在し、幾つもの個室にPX――ポスト・エクスチェンジまでもを設えていた。

 

 実際に、シャブラニグドゥ内に於ける格納庫にはエルドラン系の機体のレプリカやドラゴンアストレイやジェミニ・ナイト・スレイヤーなどが、割と所狭しと云わんばかりに並んでいたりする。

 

 他にもユートの邸としての機能も付けてあり、それこそ【ハイスクールD×D】の世界に於いては駒王町の一角で邸……家の役割を果たす。

 

 当然、訓練室みたいな場所も用意が成されているから其処を使って修業をするのだ。

 

 そんな中には時間と空間に干渉をする修業地、ダイオラマ魔法球や精神と時の部屋も在った。

 

 勿論だけれどダイオラマ魔法球は再誕世界にて購入した物や、それを基にユート自身が造り上げた物が存在している訳だが、精神と時の部屋に関しては【ドラゴンボール】の世界で使った為に、それを視たユートが創った空間と成っている。

 

「此処は精神と時の部屋。この部屋で一年間を過ごしても外部時間では一日しか過ぎていない」

 

「ハァ? 意味が解らない」

 

 ミッドチルダ系の魔法に時間干渉の魔法は無いとされている為、こんな部屋を用意するなんてのは発想からして埒外で存在していない。

 

「僅か一日程度で一年分の修業が出来るんだ。時間が余り取れないアースラの艦長殿には一番欲しい物だろうに」

 

「そ、それはそうだが……」

 

「先ずはこの出入口となる建物以外には真っ白な空間が在るだけで他は何も無い。広さはだいたい地球の直径を平面にした程度かな? 建物内には風呂と厠とベッドと食料庫、食料庫には人体には必要不可欠となる栄養素で構成された白い粉と水が貯蔵されている。建物内では判らないだろうけど外部は地球の重力の約一〇倍の重力負荷が掛かっていて、空気も約四分の一くらいしか無いから気を付けないといけない。それに気温も五〇℃~マイナス四〇℃まで急激に変化をする。修業では確りと適応をしてくれ(たま)え」

 

「君は僕を殺す気か!?」

 

 真っ青になりながら文句タラタラなクロノではあるが一応云っておくと、この環境に子供の頃の孫悟空は耐えられなかったそうだけど、大人に成ってからは使用限界時間までは使わなかったが、それでも外部時間で一日は入っていた。

 

「少なくともフィジカル面では並ぶ者も無い程に鍛えられるし、何ならDSAAに所属でもして格闘大会なんかに出ても良いんじゃないか?」

 

「僕は時空管理局の執務官資格持ちなL級次元航行艦船アースラの艦長だぞ? そんな大会に出場をする時間なぞ捻出が出来る訳が無いだろうに。こうして自身の強化訓練の為に君と会う時間だって何とか捻出したんだぞ!」

 

 叫ぶクロノ、ユートもそれは確かにそうなのだと理解はしているのだが、元よりミッドチルダだの時空管理局だのには興味が薄かったのだ。

 

 だけど過去に跳ばされてしまい、古代ベルカの国々に関わりを持って聖王連合国のオリヴィエ・ゼーゲブレヒト、後に覇王国とユートが認知をするシュトゥラ王国の王子クラウス・G・S・イングヴァルト、当代“黒のエレミア”たるヴィルフリッド・エレミアとの出逢い、そして嘗ての約定にてアシュリアーナ公国が公女リルベルト・ル・ビジュー・アシュリアーナとの再会から彼女を娶って公王として立ち、当時のアシュリアーナ公国を庇護? していた国を潰して次第に“真王”という称号が蔓延していき、アシュリアーナ真王国としての体面を取り繕ったらがっつりと関わらざるを得なくなってしまう。

 

 真都ジュリアネスは何度か遷都をしているが、現在の位置は神造惑星ユニクロンに存在する。

 

 それは兎も角、ユートも最早ミッドチルダに関わらないというスタンスは取れない。

 

(本当に厄介な事極まりない。まさか、この世界のミッドチルダの創設に僕が関わったとはな)

 

 ユートが加わっていたからか、ミッドチルダを創設するには莫大な資金力を要した上に力尽くで事を収める事も多々有り、ユートの助力無しではとても新暦を迎える事は叶わなかったであろう。

 

 古代ベルカの時代より六〇〇年もの時が過ぎてミッドチルダの時代、そして時空管理局が創設されて新暦の時代が来て半世紀が過ぎた。

 

 それでやっと自分の時代に戻れたのだと安堵をしたのも今や懐かしい。

 

「それで、僕は何をすれば良いんだ? 君に何かしらプランは有るのだろう?」

 

「取り敢えず建物から出たら走り回って環境に慣れろ。重力も地球の一〇倍だって言ったろう? 今のクロノでは潰れるだろうからな」

 

「む、確かに……」

 

 クロノの体重が六〇Kgなら脅威の六〇〇Kgにも成る訳で、通常ならば六〇Kgの荷物を持たされたらそれだけでも潰れかねないのだし、一〇倍の重力が突然掛かればクロノは比喩無しに死ぬ。

 

「一応、建物の周辺は三倍程度に調節してある。すぐに一〇倍は無理でも慣らしには成るだろう」

 

「了解した」

 

 約一時間後、クロノは肩でゼーゼーと息をしながら建物内のベッドへとダイビング。

 

「どうした? せめて飯時くらいまでは保たせて欲しかったんだけどな」

 

「む、無茶を言うな……一五〇Kg以上の体重で動き回るんだぞ?」

 

 クロノは流石に現在の体重が六〇Kgも無かったらしいが、確かユートが識るクロノ・ハラオウンの成人時の体重が六〇Kgだと聴いた覚えがある。

 

 公式かどうかは知らない。

 

「だらしないとか女々しいとか言わないけどな、せめて三時間くらいは保たせて見せろよ」

 

「初日なんだから手加減をしてくれ! 僕は魔法が使えるだけの一般的な一六歳だぞ!?」

 

「一六歳……StrikerSから八年前、あ! だとしたらゼスト隊がヤバいか?」

 

「ゼスト隊?」

 

「時空管理局の地上本部所属の首都防衛隊の一つであるゼスト隊。隊長はS+ランクの騎士ゼスト・グランガイツ、八年後に起きる予定の事件でも動き回っていたけどな。現在は五つ在る機動課だが新たに機動六課を本局の肝入りで設立、二等陸佐と成ったはやてが課長と成って、一等空尉であるなのはと執務官のフェイトをスターズとライトニングの部隊長に一時的な出向。ヴォルケンリッターからはヴィータとシグナムが副隊長、医務官にシャマル、ペット枠でザファーラを所属させた。此処等はランク保有制限が有るからだな。ゼストは殺されて以降、ジェイル・スカリエッティから蘇生させられ、嘗ての部下の娘とユニゾンデバイスの少女を連れて機動六課ともぶつかった」

 

「……機動六課とやらを君は設立させる心算が無いみたいだがな」

 

「当然だろ」

 

 恐らくは時空管理局の本局に黄金聖衣持ちが居ると思われる。最悪では地上本部やスカリエッティ側にも所属している可能性が有るのだ。

 

 目的がミッドチルダの愛と平和を女神アテナの名の許に護りたい……ならば良いが、十中八九で間違い無く自分好みのヒロイン欲しさにだろう。それは理解も出来てしまうから構わないのだが、詰まりはユートと確実に利害関係からぶつかり合うのだと判る話。

 

 相生璃亜みたいな性別が女ならば単なる友人枠だろうから問題も無いが、基本的には相生呂守みたいな男でなのはやフェイトやはやて、ヴォルケンリッターやアリサやすずか、機動六課部隊員、スカリエッティの数の子達、何なら今年に殺害されたゼスト隊の隊員であるクイント・ナカジマやメガーヌ・アルピーノ、それこそVividやForceの娘達まで幅広いのだから闇深い。

 

 そういう意味ではユートも同じ穴の貉、連中を非難する権利など有りはしないであろうが……

 

 事実として、なのはやフェイトやはやてやすずかやアリサとは非常に仲が好くなっている上に、ヴォルケンリッターとも雄であるザフィーラは兎も角として、シグナムとヴィータとシャマルとは気の措けない仲と成っていた。

 

 そればかりか【とらいあんぐるハート】に於けるヒロイン達も何人か堕ちており、仁村知佳にしてもあの幼い肢体――成人年齢だけど――を姉と共に姉妹丼で『戴きます』をしてしまっている。

 

 充分に連中と同じだが、其れだけに利害の一致などは有り得ないと考えている。

 

 ユートは“七つの大罪”の全てが当て嵌まるくらいには欲深い故に、どうせぶつかり合うと理解をしている連中と彼女達を分け分けする気はこれっぽっちも無いのである。

 

 クロノの修業はフィジカル面の鍛練に三ヶ月を要したが上手くいき、次の修業は氣力の扱いに於ける鍛練をさせてやる事に。

 

 氣力と魔力の融合である“咸卦法”を扱える様に成れば、それだけでも充分に過ぎるくらいの実力を獲られる筈なのだから。

 

 勿論だけど咸卦法だけで済ます気などは無く、更には“念能力”を修得する為の修業へと移行。

 

 念能力由来のオーラや魔力では無く咸卦の氣を使った四大行をやらせた。

 

 咸卦法を発動すれば明日菜がやったみたいな感じに迸る咸卦の氣でガス欠に成るが、それは正に初めて精口を開いたゴンやキルアみたいな状態。

 

 それを“纏”で留めさせる。

 

 実戦ともなれば“練”は必須事項、後は基本となる四大行に応用への速やかな移行などが出来るか否かは重要、因みに云うと戦闘にて“絶”は当然として“発”に関しては魔導師であるが故に魔法こそがクロノの“発”だと考えても良い。

 

 恐らくはクロノの六相図は“放出系”だろうし、魔法を念能力の“発”扱いで問題も無かった。

 

 どうでも良いが、ユートは具現化系が一二〇%で強化系や変化系や放出系や操作系が一〇〇%を示す“特質系”であり、正しく『ぼくのかんがえたさいきょうのねんのうりょく』も甚だしい。

 

 クロノが放出系なら、その両隣になる強化系と操作系にもそれなり……八〇%の適性が在る筈であり、それを鑑みれば身体強化をしつつ魔力操作に長けるAAA+ランク魔導師なのも頷ける。

 

 修業開始から半年後、咸卦法を何とかモノにしたクロノは念能力系の修業を開始して、四大行の内の“纏”と“絶”と“練”までを体得してから行われた属性の試し――水見式をやらせた。

 

「透明度の高い水の色が黒色に変わったのか? 確か水の色が変わるのは放出系だったよな」

 

「正解だ、クロノ。君は放出系の念能力者という事に成るな。魔導師なんだから丁度良いと云えば丁度良いんじゃないか?」

 

「魔法が“発”か」

 

 予めユートはクロノにも言っておいた、若しも放出系ならば魔法その物を“発”とするのが吉で、修業の短縮化にも繋がるのだ……と。

 

「君みたいには成らなかった」

 

「僕は“特質系”だし、六相図の属性として視たなら“具現化系”が一番相性が良い上で、他の属性も非常に高い適性を持っている訳だからな」

 

 本来なら一番高い適性を中央に、その属性から離れれば離れるだけ適性は低くなるのだから。

 

 そして約一年間を鍛え上げたクロノは、魔導師ランクが暫定SS+を記録したのであったという。

 

 

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 そろそろゼスト隊の噺かな~。


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