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正直に云えば胡散臭げな話でしか無いのだが、自分達が謎の敵対勢力にボロ敗けしたのは間違い無いくらいに事実、その敵対勢力というのが抑々にしてDr.ジェイル・スカリエッティが造ったと思しき戦闘機人だったとか。
「ジェイル・スカリエッティ。広域次元犯罪者として全次元世界に指名手配されているくらいよ」
「そうだな。クイントの引き取った戦闘機人の娘が二人で、タイプゼロ・ファーストとタイプゼロ・セカンドはスカリエッティの技術が使われているのは確実、更には見た目から解る通りクイントの遺伝子が使われているな」
クイントが困った顔に成る。
「あの、そんな呼び方はちょっと嬉しく無いわ」
「そうだよな、スカリエッティ・ナンバーズってのが数字を名前にしていたからつい呼んだんだ」
「姉がギンガ、妹がスバル。もう二度とは間違わないで頂戴」
「了解したよ」
プンプンと怒る顔が可愛らしい。
「クイント、何だか若く成っていないかしら?」
「あ、判る~?」
嬉しそうに言うクイント、セカンドバージンを奪われたのはアレだったにしても、若返る事が出来たのは素直に嬉しいのも事実である。
今のクイントは一八歳くらい、元の年齢からするとそれなりの若さを獲ている事に成る訳だが、元々が男は兎も角として女性は余り年齢を感じさせない――五十代のプレシアでさえ下手をすると三十代後半くらいに見える――から、同じ女性であるメガーヌであったからこそ違いに気付いた半面があった。
「羨ましいわね、私も後数年もすれば四十路よ。若く成れるなら成りたいと、そう思うのも人情というものじゃないかしら?」
「代償が大きいわよ?」
「代償というのは?」
ゴニョゴニョと、赤らめながら耳打ちをする。
「え? ゲンヤさんの事は?」
「し、仕方が無かったのよ。そうしないと衣食住のサポートが最低限だったの。仕出し弁当を一個だけなんて地獄でしか無かったわね」
「それは……」
ギンガとスバルの健啖家な処は明らかに遺伝基であるクイント、即ち彼女も可成りな健啖家なのも仕方が無いと云うものであろう。
そして、原典に於いてスバルとギンガは正しく仕出し弁当を二〇はペロリと平らげていた訳で、クイントも当然ながら一個では足りない。
頭があっぱらぱ~に成ってしまった処へ契約を持ち掛けられ、遂には頷いてあれよあれよとばかりに夜の閨でユートを受け容れていた。
とはいえ、死後契約だからその一夜だけの過ちとしてクイントは脳内処理、老衰で逝くまで再びユートに抱かれる事は有り得ないのである。
「え~っと、若しかして私もクイントと同じ感じになるの?」
「そうだな。メガーヌだって生後一年か其処らのルーテシアを連れて、スカリエッティの目から逃れ続けながら、生活費も工面をしていくのなんて不可能に近いだろ?」
「それは……確かに……」
この侭、此処を放り出されたら一年もしない内に飢餓かスカリエッティ一味に捕まるか、いずれにせよ碌でもない未来しか見えない。
「それにメガーヌはシングルだろ?」
「そうだけど……」
「なら、クイントよりは精神的なあれやこれやは少ないと思う。僕を受け容れる前提に成るけど」
メガーヌはユートを見遣る。
顔立ちは悪くない、背丈もゼスト隊長と比べても比肩が出来るくらいであり、人妻なクイントを抱いた事で女好きなのはマイナス評価だが、間違い無く優良物件だった。
それにシングルマザーなのだし、夫が普通に居るクイントに比べれば精神的にも受け容れ易い。
こう見えて自分の審美眼がポンコツでは無い限りだが、一応はそれなりの美女であるという自覚も持っているし、ルーテシアの為にも男の確保が出来るのは有り難かった。
(ルーテシアが育ったら、母娘で面倒を見て貰えるかしらね?)
メガーヌによく似たルーテシアであるが故に、将来は有望視が出来る筈だから父親役から彼氏へクラスチェンジもアリだろうか?
特に魔力資質や魔力量も自分のモノを受け継いでる節があり、魔蟲系との召喚契約を交わす事で今はメガーヌの下に居るガリュー、そして謂わば究極召喚による白天王をも契約可能と思われる。
ガリューとは人型の魔蟲であり、人間の大人くらい背丈のダークヒーローっぽい見た目をしていて器用さもあり、速度に特化をした戦力。
白天王は巨躯で白い体色の魔蟲、アルザスの真竜ともタメを張る程の巨大な能力を持っている。
実力的にも、アルザスの真竜ヴォルテールに優るとも劣らない。
とはいえデジモンで云うならば精々が完全体でしかなく、究極召喚と云ってみても究極体デジモンには全く以て敵わないであろう。
メガーヌ・アルピーノ、果たしてどんな闘い方をするのかを余り見た事が無いだけに愉しみだ。
素っ裸だったから白い患者着に着替えさせて、女医として活躍をしている【閃姫】に診させる。
取り敢えずは健康その物、それは赤ん坊たるルーテシア・アルピーノも同様だったし次の話をしていく、即ちクイントと同じくユートと契約を交わすのか否かという。
「契約って、つまりアレよね? 私がルーテシアを産む為にした行為を貴方とヤれと云う事?」
「有り体に云えばそう。違いが有るとするなら、性行為自体が儀式魔法に成っているって事だな」
「成程……まぁ、私はクイントみたいに夫が居る訳じゃないから契約は構わないわ。貴方は好みから外れてはいないのも好条件だしね」
原典にてメガーヌの夫、詰まりルーテシアの父親に関しては一切合切の情報が無かったけれど、別れたにせよ死別したにせよ、既に心の整理は付けているのかも知れない。
「クイントとの契約は、死後を僕に委ねる死後契約だったが、メガーヌはどうしたいんだ?」
「私はシングルマザーなんだもの、今すぐに貴方のモノに成る契約で良いわ。その方が恐らくだけど手厚いサービスが受けれそうだしね」
「それは確かに正解だ」
我が子のルーテシアと共に、それなりな良い暮らしが出来るなら自身を差し出すのも厭わない。
メガーヌ・アルピーノは自身の容姿にそれなりの自信を持っている、おべんちゃらを聴いてみても整った容姿に綺羅やかな紫紺の髪の毛と、豊満な胸部装甲にスラリとした体型などが有った。
ルーテシアを産んでも変わらなかった体型なんかは密かな自慢、子育て歴がちょっとだけ先輩なクイントと共にあの子を育てる矢先の事件が今、こうして機会が巡って来たからには活かしたい。
前の男には何ら思い入れは無い、感謝をしているとすればルーテシアを仕込んでくれた事のみ。
「とはいえ……」
「どうした?」
数日後、ユートと共に褥で全裸を晒すメガーヌは頬を朱に染めながらも先程の痴態を思い出す。
最初に比べて女子高生の如く若々しい姿だし、白いシーツには紅い染みが点々と付着している。
まるで、前の男に初めてを散らされた時みたいな現状を省りみて、ユートにより二度目となった処女を散らされたのだと思い知った。
きっとクイントも同じであろう事も理解する。
前の男との幾度かに亘る情事は、最早全く思い出せないくらいに刺激的で完全に染め変えられたというか、強引に真っ白なキャンバスにすげ替えられ、改めてユート色に染められたのが正しいのかも知れない。
「いえ、何でも無いわ。もっと愉しみましょう」
「そうだな」
月明かりをバックにして再び重なり合う人影、それを傍で見せ付けられるクイントは寂しく自身の指で慰めており、二人の女の協奏曲が零れ落ちる中で一夜は過ぎ去った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ルーテシア・アルピーノは基本的にメガーヌが育てるが、何しろ母乳が出なくなったから乳母を雇って面倒を見て貰う傍ら、時空管理局とは異なる組織――【
メガーヌは一般的な召喚師な為、自身の魔導を扱いつつ召喚蟲を操作し闘うタイプであるから、フィジカルの面では余り強く無かった。
その召喚師さえ斃せばオッケーな闘い方により戦闘機人に遅れを取り、今回の様な話に成ったのを鑑みればユートからの指示は解る。
解りはするのだが……
「まさか、ユニゾンデバイスみたいな事に成るなんて思わなかったわ」
召喚蟲であるガリューと一体化、メガーヌはまさかの提案に対し驚愕を覚えてしまったと云う。
とはいえ、メガーヌ・アルピーノがガリューと『ユニゾン・イン』をする訳では決して無い。
仮想体としてガリューの躯躰がガバッと開き、メガーヌとインセクト・フォーメーションする。
だけど、彼女が流石にノりにノッて決め科白の如く『メガーヌとガリューが合体したからメガリューと云った処かしら?』とか、ゴジータだとかベジットみたいな科白を吐いたのはズッコケた。
謂わば、主たるメガーヌを頭脳にしてガリューのフィジカルが使える合身形態で、しかもメガーヌ本人はマルチタスクでリソースを残している為にか、他の召喚蟲の召喚をして別の仕事をする余裕すら有る。
それだけでは無く、メガーヌは魔導師としての能力でバッファーやデバッファーを熟せるのだ。
本来は魔導が使えないに等しいガリューだが、その役割をメガーヌが体内で補えるのは大きい。
更には、AMFもガリューの体内には届かないで魔力を散らされずに、魔力を練って完成した魔導をAMFの範囲内でも充分に扱えていた。
尚、合身をしたらガリューの体色が白銀に変化をするから、合身をしているのかどうかは直ぐに判断が出来てしまうのはデメリットか?
それに、メガーヌの長くて美しい紫紺の髪の毛がガリューの頭から生えていて、何故だか自動的にポニーテールに結わい付けられている。
この合身法は、ユートが似た事をして見せてくれている。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「往くぞ、ガジモン!」
「応っ!」
手にしたのはディーアークと呼ばれる電子機器であり、人間と電脳獣たるデジモンを繋げてくれる有り難いシステムであったと云う。
《MATRIX EVOLUTION!》
モニターに示された進化の文字、それに伴って電子音声が流れて……
「マトリックスエボリューション!」
ユートが叫んだ。
胸にディーアークが一体化。
「ガジモン究極進化!」
同時にガジモンがユートを体内へと受け容れ、彼の進化が始まった――デジタルな0と1へ急速な分解、腕が、脚が、腰が、本体が新たに再構築をされていき、頭はガジモン→ドーベルモン→ケルベルモン・ジンロウモードと換わり、最終的にはボディに相応しい精悍な顔付きに変化をした。
「プルートモンッ!」
その名はローマ神話に出てくる冥府を司った神プルートから、そして基本的にローマ神話の神々はギリシア神話のオリンポス神と同じ。
役割も同様、故にデジモンのオリンポス一二神とプルートモンの一三体は、ギリシア神話の神々に其々が名前を置き換えても考えられる。
例えばローマ神話でのウェスタとは炉の女神であり、それに置き換えるとギリシア神話に於いては炉の女神で、孤児達の守護者で処女神でもあるヘスティアという事に成った。
プルートは冥府神、即ちギリシア神話に於いては冥王ハーデスだ。
ユートは神殺しとして、嘗て殺害をした神である冥王ハーデスの権能を幾つか持ち合わせてる。
成程、ユートにとってみればガジモンというかドーベルモンだが、彼との出逢いは正しく運命だと直感をしたからこそだったのだろう。
正確には、殺害したのは地上暦一九九〇年にて遭遇した最初のハーデス、二四三年前に出逢ったハーデスは神氣を掠め盗っただけだ。
特に【聖闘士星矢ND】のハーデスから獲たのは可成り極小、その為に権能も一二時間の甦生をするだけの小さなモノと成っている。
権能名――【
【とある魔術の禁書目録】に登場をしている、生きてさえいれば必ず患者を救うカエル顔の医者の異名――【
この権能自体は、聖闘士に対してハーデスが使って周知されている。
どうでも良いが、【聖闘士星矢LC】に於いてのハーデスから獲た神氣を基に生まれた権能というのは――【
この二つの権能から派生をした権能こそが、【
意志など無い、正しくゾンビみたいな駒を造る悍ましい権能だった。
冥王ハーデスを奴自神の剣で真っ二つに斬殺、その神血をふんだんに浴びて神氣を最大限に吸収して創られた権能こそ【
この創造をされた冥界はユートに紐付けをされており、神々が存在しない世界やしても冥界系の世界が無い世界に自動的に展開された。
更には派生権能として冥王の冥衣を創造されている上に、この権能を昇華する事により本来ならオリンポス一二神では無い冥王ハーデスが持たない可能性がある神衣に神化。
まぁ、設定上はオリンポス一二神のみが纏うとされる神衣だが、冥王ハーデスは三大神の一柱だから持っている可能性も有るのだけれど。
オリンポス一二神に数えられる天帝ゼウスと、海皇ポセイドンは間違い無く持っているのだし。
因みにオリンポス一二神は、天帝ゼウスと海皇ポセイドンの他に狩猟と純潔の女神アルテミス、太陽神アポロン、鍛冶神ヘパイストス、伝令神ヘルメス、豊穣の女神デメテル、婚姻の女神ヘラ、愛と美の女神アフロディーテ、争乱の神アレス、闘いと知恵の女神アテナの一一神に炉の女神であるヘスティアか酩酊神デュオニソスのいずれか。
ヘスティアがオリンポス一二神に成れなかった彼を憐れみ、その座を譲渡してから彼が一二神に列せられたという事らしいが……
それは扨置き、ユートがガジモンと究極進化をしたプルートモンの姿に感銘を受けて修業を重ねて、このメガリュー(笑)の姿を獲得した。
白銀の体色を持ち、紫紺の髪の毛をポニーテールにした魔蟲騎士メガリュー(笑)は、メガーヌとガリューの良い所取りなだけに強い。
フィジカルが強い生身のクイントであるならば一〇〇%勝てる程。
流石に地刃星マンティスの冥衣を纏われては、メガリュー(笑)でも勝率が可成り落ち込むけど。
勿論、地刃星なんて地煞星七二星には存在などしていないし、マンティスの冥衣も普通には存在していないけれど、ユートの権能――【天輪する一〇八の魔星】であるならば創る事が可能だ。
以前に【風の聖痕】の翠鈴の残滓であるラピスへ、天刃星パラドキサの冥衣を与えたみたいに。
ユートの運営する【聖域】の擬似的なトップは嘗て、【カンピオーネ!】の世界に行った際に知り合った“まつろわぬアテナ”が就いた。
闇のアテナではあるが、アテナの聖衣を纏って割と積極的に仕事へと従事をしている辺りから、彼女も可成り暇を持て余してい様だ。
尚、“まつろわぬ”という特性は消失している。
とはいえクイントは冥闘士、メガーヌも一応はユートの個人戦力なだけに、アテナの命令に従わないといけない訳でも無かったりする。
アテナの戦力は聖衣持ちに限られていたから。
「ふむ、中々に良い仕事をするね。流石は
謂わば【聖域】は傭兵業に近い、だけど最も近いのはファンタジーな世界に於ける冒険者だ。
依頼人が居て、【聖域】の依頼票を取って仕事を行うのだから正しく冒険者であったと云う。
それだけに仕事は多岐に亘るし、それに向いた者を着実に就かせないとミスを被る羽目に成る。
仕事のミスは【聖域】の評価に直結するのだ。
そういう意味では、仕事を割り振る事を生業にさせたグィネヴィアは確りと御務めをしていた。
こうして、ゼスト隊の全滅という規定イベントは終わる。
「くっ、殺せ!」
幼児体型に近い銀髪隻眼な少女、何故だか知らないが囚われの女騎士みたいな『くっころ』を。
何も話す気は無く、ドクターや姉妹達の情報を売る気など全く以て無いという意志の表れだ。
「残念ながら君は既に条件を満たしているんだ」
「な、なにぃ!?」
戦闘機人のパワーでも外せないし壊せないだろう青鍛鋼で造られた手錠と鎖に繋がれていては、幾ら彼女――チンクとはいえ逃げられない。
しかも、装備品はスティンガーだけでは無くて着ていたスーツやコートも奪われ、彼女は大事な部位すらも見える素っ裸な状態である。
「条件とは何だ! 私に何をする心算なんだ?」
焦るチンクに近付くユート。
「では、戴きます」
「はぁ? 止せ! やめろっ! ……アッ!」
チンクは初めての痛みを受けて、初めての絶頂に至らせられ快楽の波に押し流されるのだった。
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