メタリックガーディアン・プロミス 『桜の舞う島で』   作:戒炎

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連投です。
これで本当に最後です。


エピローグ

 

最終章

 

side-フミカ-

 

 あの決戦から3日が経った。

 イヅモ本土に避難していた住人は全て元の生活に戻っている。

 これも住宅地に被害が出なかったお陰だ。

 いやぁ、良かった良かった。

「良くありません。住宅地は無事でも、繁華街の一部は倒壊。保険に入っていたから良いものの、改修や修理費用はフォーチュン持ち。頭が痛くなりま

すよホント。」

「それはいけませんな司令。こちらにお薬がございます。ご安心を、ちゃんと子供用です。」

「馬鹿なことを言っていないで仕事をしてください。」

 やれやれ。なんだか日常に帰ってきたって感じだ。

 このやり取りが、酒以外でのアタシの癒しだよ。

 医者からはしばらくの飲酒を止められちまった。身体に障るとかで。

 たく、この健康体をどう見たら禁酒になるんだか。だいたい酒は百薬の長と言って。

「フミカさん。出撃が無いんですから、あなたも手伝ってください。学校はあと2日は休みだと聞きましたよ。」

 2日休校って、アンタが言い出したことだろうに。

 まったく、あっちでもこっちでも書類と格闘とは。奈落獣とどっちが楽かね。

「そういえば桜花島沖が奈落汚染海域に指定されたんだってね。グラフスも厄介な置き土産を遺していったものだよ。」

「お陰でこの支部が過剰戦力と言われることは無くなります。上の煩い声も少しは収まるでしょう。」

 そう考えるアンタが恐ろしいよ。

「ジョニーの奴を正式に雇うってのは本当かい?」

「えぇ。さすがにトワイライトは連邦に返しますが、代わりのミーレスがあります。彼の腕なら問題ないでしょう。」

「そうかい。」

 書類にサインする音が響く。

 黙ってるのは性に合わないんだが。

「アバターとイロウションの件。」

「ん?どうした突然。」

「私は、フォーチュンと連邦にこのことを報告するつもりです。」

「・・・そうかい。」

「怒らないんですか?イロウションはともかく、アバターのことまで話すんですよ。おそらく彼女は、ひっそりと存在していたいはずなのに。」

「アンタが決めた事だ。支部長のアンタがね。それに、いずれ知れ渡ることだ。今は与太話と笑われても、いずれ世間はその二つを認識する。」

 それだけ強烈な事実だ。特にイロウションがこのまま黙っているとは思えない。

 近いうち、行動を起こすだろう。それはもしかしたら、アタシ達の手の届かないところでの出来事かもしれない。

 それでも、アタシはこの島を守るだけだ。

「フミカさん。」

 司令が俯きながら名を呼ぶ。

 そして意を決したように顔を上げる。

「私は!」

「伊達ミウコ司令。」

 だがそれを言わせるわけにはいかない。少なくとも今は。

「アンタは立派だ。戦争で父親を亡くし、身勝手な母親に軍の施設に預けられた。そこから、たった一人で頭角を現し、今じゃ一支部を任されるほどに成長した。たった一人でね。アタシは、そんなアンタを尊敬するし、敬愛している。」

 馬鹿だねアタシは。救いようの無い馬鹿だ。

「・・・父は、母は、今の私をどう見ているでしょうね。人を死地に追いやる私を。」

「死人に口なし。父親は知らないけど、母親は・・・。誇りに思ってるだろうさ。一人でも生きて返そうとする姿に。」

 まぁ、アタシにはこんなことしか言えないけどね。

「・・・意地が悪いですね。その母親は。」

「あぁ。意地悪さ。」

 お互いに苦笑する。

「そんな意地悪な母親は、私が結婚する時に豪華な招待状を出してやるとしましょう。来ないと死ぬ、とか。」

「そりゃ良い!きっと涙で化粧がグチャグチャになった顔が見れるだろうよ!」

 一体いつの話しになるのだろうか。

 まだまだ先の未来に想いを馳せ、遠くを見つめる。

 その時まで、せめてその時までこの国が平和でありますように。そう願う。

「・・・私が異動になったら、着いて来て下さいね。」

「何処までも着いていくよ。」

 この娘の成長を、見守りたいから。

 誰よりも近くで見守っていたいから。

 

「ところで、あの時のアイツのことだけど。どうなった?」

「さすが、あんな機体に乗っていただけはあります。普通なら一生動けないはずが、全治3ヶ月だそうですよ。」

「うちの医療スタッフが優秀なのか、アイツが頑丈なのか。」

「多分、両方です。」

 

side-ユラード-

 

 1ヵ月後・・・。

 

「本当に行くのか?」

 俺とジョニーは港、本土との連絡船に来ていた。

 とある人物を送るためなのだが。

「えぇ。もう大分動けるようになったし、ギプスも取れて、松葉杖だけで十分よ。」

 セリーナ・ハッダード。あの爆発の中身体が欠けることなく生還した女。

 普通なら死んでいてもおかしくなかったのに、奇跡のように生きて発見された。

 奇跡。おそらくそうなのだろう。

 オーバーロード級にも《ガイア》が使える。

 メイの、コウジ達の、誰にも死んでほしくないと言う願いが起こした奇跡。俺はそう思っている。

 だがそれでも、全治3ヶ月の怪我を一月でここまで治してしまう回復力は異常だ。

 この女、何か仕込んでいるんじゃないかと思ってカルテを見たが、普通の人間だった。

 コイツの方が化け物なんじゃないか?

「それにしても勿体無いな。白兵戦教官として残ってもらいたかったんだが。」

「今は、そんな気分になれないの。ただ死に損なった命で、やりたいことがあるから。」

「へぇ。姐さんにやりたいことねぇ。聞いてもいいかい?」

「えぇ。この国を、見て回ってみようと思うの。色々危険はあるけど、他の国より平和なこの国で、平和について考えたい。私なりの答えが出た時、ここにまた顔を出すつもり。」

 そうか。それは良いことだな。

 若いうちは旅をするもんだ。そして多くを見てくればいい。

 それが、掛け替えの無い財産になるのだから。

 アナウンスが流れる。そろそろ出航の時間だ。

「それじゃぁあ。元気でな。」

「二人とも元気で。残りの皆にもよろしく。」

 

 船が行っちまう。

 あの女、乗ったきり顔をださねぇでやがんの。

 ジョニーの奴、まだ船を見てる。

「惚れた女との別れは辛いか?何、縁があればすぐ逢える。」

「何でもかんでもそう考えるのは、女とオッサンだけだぜ。」

「俺は立派なオッサンさ。で、ホントのところどうなのよ?」

「(うぜぇ)・・・俺はセリーナに妹を重ね、セリーナは俺にかつての仲間を重ねてた。それだけだ。」

 それだけの割りに、初めて名前で呼んだな。

 まぁ、オジサンは面白ければ何でもいいんだけどね。

「ところで、新しい機体には慣れたか?」

「ミーレスとはいえカバリエだ。操縦方法は変わらないから、もう手足と言っても過言じゃないぜ。」

「早いな。もう少し時間が掛かると思っていたが。なら、帰ってから模擬戦といくか?」

「負けたほうは酒代奢りだからな。」

「ちなみに俺は小隊で挑ませてもらう。」

「手前汚ねぇぞ!?」

 あぁ、いつまでもこの平和が続きますように。

 あーした天気になぁ~れっと。

 投げた靴は、表を向いていた。

 

side-メイ-

 

 あの戦いからすでに一月。

 私たちにとっては一大決戦でも、島の住人にとってはいつものこと。

 ほんの少し、避難の規模が大きかっただけのこと。

 本土に逃れていた人々からは、少し大袈裟だったのでは、と言う声も上がっているようです。

 喉もと過ぎれば熱さも忘れる、ということなのでしょうか。

 それでも、こうして学校に通えることが幸運であり、幸福です。

 私の新しい日常。それを守ることが出来たから。

 秋も深まり、肌寒くなったこの季節。それでも桜は咲き誇る。

 自らの存在を誇示する父親の如く。皆を優しく見守る母親の如く。

 私は、この風景の一員になれたでしょうか。

 雄大で暖かい、この景色の中に、溶け込めているでしょうか。

「うばーーー!もうやだーー!眠いーー!」

「その割には元気じゃない。」

「ほら。午後もあと一時間なんだからしゃきっとする!」

 傍では友人達の賑やかな声。

 私が守りたい、確かな形。

 優しい時間。当たり前の光景。

 私は今、その中にいる。

 この光景を守るためなら、何だってする。確かにそう思える。

 あぁ、そうか。私ももう、桜花島の住人なんだ。

 肩肘を張らずに生きられる。皆が受け入れてくれたから。

 普通の女の子になれる。皆と一緒なら。

「次の現代文、課題あったよね?」

「は、忘れた!?」

「おバカ。」

「メイちゃ~ん。助けて~・・・。」

「え、写す時間も無いですよ?」

「大丈夫!アタシが本気出せば5分で終わる!」

 戦いしかなかった。戦いしか知ろうとしなかった。戦いしか残されていなかった。

 そんな私に愛情を注いでくれた人。

 友情を教えてくれた人。

 そして、恋を教えてくれた人。

 私はこれからも、この身に賭けて、霧咲メイの名に賭けて彼らを守ろう。

 そして、またこの中で生きるんだ。

 さようなら、昔の私。これからは、幸せを探しながら生きていきます。

 お父さん、お母さん。どうか見守っていて。

 貴方達の娘は、もう大丈夫だから。自分の足で歩けるから。

 躓きそうになっても、支えてくれる人がいるから。

「それなら最初から自力で課題をやってきてください。」

 うん。私は、今が一番楽しい。あ、一番は訂正。

 これからもっと、楽しいことを見つけていきます。

 

side-シャナ-

 

「あれから連邦やフォーチュンに動きはありません。あの一件は、結局フォーチュンとディスティニーの戦いとして処理されているもようです。」

「そうですか。報告、ご苦労様です。」

 あの時あんな啖呵を切っておきながら、私はまだ本国に現状を報告している。

 女王陛下に楯突くような発言をしておきながら、桜花島に肩入れすることを宣言しておきながら、なんだか情けない。

 それでも世界が、こんな島国の小さな島のことでも、邪悪が蔓延る事を防ぐのが私の務め。

 どんな些細なことでも報告しなければ。

 私は何処まで行っても騎士なのだから。

「未だ信じきれないのでしょう。ですがいずれかの者達は牙を剥くでしょう。そう遠くない未来に。」

 イロウション。奈落と融合した人間。

 今でも私は信じられない。あの邪悪な力を身に植えつけながら、正気を保っていられるのだろうか。

 あるいは、あのグラフスは狂っていたのかもしれない。奈落を身に宿したその日から。

 だが、彼らが存在しないという事も立証できない。確かに奈落を受け入れた存在を、私達は目にしている。

 それがどれほどの規模の組織なのか。本当に各組織、各国に入り込んでいるのか。

 全ては奴の狂言のようにさえ思えてくる。

 しかし、知ってしまった私達は、それに備えなければならない。

 アバターを顕現させたALTIMAのこともある。

 あれが邪なる者の手に渡らぬよう、守っていかなければならない。

 ここには、大事な物が増えすぎた。

「それにしてもシャナ。あの時にも思いましたが、良い顔をするようになりましたね。」

「な、何を言われるのですか陛下!?」

 突然そのようなことを!?

「騎士という、上辺の称号に縋っていた貴女は、友を得て、戦いを知り、恋を知り、守りたいモノを心に決めた。その姿は、真の騎士に相違ない。」

 相変わらず、唐突に言われる・・・。

 この方は私をからかって楽しんでいるのではないか?

 まぁ、陛下のお言葉を否定する気は無い。

 そもそも私自身が、この島での生活に楽しみを覚えている。それを壊したくないと思っている。

 かつて読んだ物語の結末。

 一人の騎士は、本当に大切なモノを知り、真の騎士と、勇者となった。

 私にもなれるだろうか。そんな物語のような人間に。

 いやなれる。だって私は知ってしまったから。出会ってしまったから。

 どんな時にも諦めない。希望を信じて歩んでいく。多くの友と支えあう。

 そんな輝くばかりの勇者に、出会ってしまった。

 ならば私もなろう。そんな勇者の隣に立てるように。

「シャナ。顔がにやけていますよ。」

「こ、これは失礼を・・・。」

 うう・・・。恥ずかしい。穴があるなら埋まりたい・・・。

「シャナ。忘れているようですから言っておきます。貴女は騎士。レムリアにおいて貴族の家系です。」

 はい。ですからその名に恥じぬよう精進を。

「騎士階級は一夫多妻が認められています。貴女の想い人と競争相手をレムリアに連れ帰れば、貴女の悩みは全て解決です。」

 ・・・・・・。

 今一瞬、その手があったかと思ってしまった自分が憎い。

「貴女には発破をかけましたが、よくよく考えれば貴女が認めた人物。揃って我が国に招待すれば、アティアイナ家は安泰なのでは?」

 陛下、貴女は素晴しい方だ。

 ですが、今の貴女は人を惑わす魔女に見えます。

「それでは、次の通信をお待ちしております。」

 そうして、魔法によるホログラフは消える。

 部屋にまた一人となって考える。

 ・・・一夫多妻。最悪それを狙うか。

 すっかり平和ボケした頭に、魔女の誘惑の残滓が過ぎる。

 

side-コウジ-

 

 相変わらずここは良い。丘桜の下で横になると、色んなことを思う。

 この桜花島ももう11月。秋も終わりに近づき、冬が目の前に迫っている。

 それでもこの島の桜は枯れない。四季の温度変化はあるくせに、四季を感じさせない場所だ。

 島の人間の服装で、なんとか寒さが伝わってくる。

 この万年桜は地下のALTIMAによって咲き続けている。でも、その詳しい仕組みは未だ不明。

 あれから遺跡に何度か入ったが、もう奥まで入れなくなってしまった。

 もう俺には力が残っていないのか。だがブレイガストとタリスマンは残っている。まだ動かせる。

 当面の危機は去ったということか。アバターの声も聞こえない。

 それでも、いつかまたこの島には危機が訪れるだろう。何となくだが、そう思う。

 その時にために、俺達は俺達で力を溜めておかなきゃならない。

 彼女も、それまで眠っているのだろう。

 できれば、誰にも邪魔されずに休んでいてほしい。

 その為に、俺は強くなってみせるから。

(よく言う。最後まで僕の力に頼って。)

 うるせぇ。お前が勝手に出てきたんだろうが。頼んだ覚えは無ぇ。

 大体なんでまだこんな所にいるんだよ。

(君達が心配で心配で中々逝けないんだ。早く解放してくれると嬉しいんだがね。)

 お前が勝手に心配してるだけだ。

 俺は、俺達は強くなる。誰にも負けないくらい。大切なモノを守れるくらい。

 だから、お呼びじゃないんだよ。

 ていうかお前、ただ寂しいだけなんじゃないか?

(まさか。・・・まぁ、皆の笑顔の中にいられないのは、悔しいかな。)

 ・・・俺は、寂しいよ。お前がいなくなって。

 本気で喧嘩できたのは、お前かマコトしかいないんだから。

 ・・・マコトも、強くなった。強くなったけど、まだ支えが必要だ。

 俺もまだ、誰かに支えていて欲しい。

 俺達は相棒だから。これからも支えあっていく。どんな時も。

(やれやれ。まだ気が付いてないとは。鈍いにも程がある。)

 なんだよそれ。

(自分で気付け馬鹿。さて、そろそろ失礼するよ。)

 帰れ帰れ。二度と出てくるな。

(フッ。僕は見守っている。いつでも、この桜とともに。また逢おう、親友。)

 気配が消える。

 野郎、本当に帰りやがった。

 でも、俺達はまだ繋がっている。絆は決して切れやしない。だから。

「またな、親友。」

 

「話は終わった?」

 丘桜の陰から、マコトが顔を出す。

「俺が誰と話してたって?ここには俺とお前しかいないぞ。」

「うん。でも、彼の声が聞こえたから。」

 じゃあ話し聞いてたんじゃないか。

 男同士の語り合いを盗み聞きするとはなんて奴だ。

「で?何の用だ。今日は折角の休みなんだぞ。」

 たまの休日。ゆっくりさせてほしいな。

 あれから出撃は無くても訓練漬けだったんだから。

 学生は休みでも、民間軍事会社に休み無し。

 溜息が出る。俺の青春は一体どうなるんだ。

「用って、部活だよ。ここの所碌に活動してなかったからね。いくら全員がフォーチュン所属でも、これ以上は生徒会に睨まれる。」

 部活って・・・。またファッションやスイーツでも調べるんですかねぇ。

「携帯は切ってる。家にもいない。全く皆で探しちゃったよ。」

 そう言って隣に座るマコト。

 皆って、あいつらもやる気満々かよ。

 そんな女子女子した部活やだぁ。

「来月はクリスマス桜祭があるだろ。その為に少しでも情報を集めないと。」

 クリスマス桜祭とは、言うなれば12月に行う学園祭だ。

 うちの学校は春に学園祭を行うから、2学期がどうしても華やかさに欠ける。体育祭をやったくらいだな。

 それを補うのが目的か、12月にもお祭り騒ぎをする慣わしになっている。

 桜花学園の設立者はそうとうお祭り好きらしい。

「それに、これからは少しずつ、桜について調べていこうと思うんだ。」

「桜について?俺達学生が手出しできるレベルなんだろうな。」

「元々碌に研究が進んでないけどね。ボクが調べたいのは、桜に四季での変化があるのかについて。」

 桜に四季の変化?そんなこと考えたことも無かったな。

「あの時、桜に後押しされたような気がしたんだ。だからボクは、その桜のことをもっと知りたい。ただ純粋にそう思っただけなんだけど。」

 協力、してくれるかな?

 なんて首を傾げやがる。

 嫌だって言ってもなんだかんだで協力させるつもりだろうに。

 でも、桜に変化が見られたら、それはそれで大発見だな。

 スイーツだなんだを調べるよりもよっぽど楽しそうだ。

「やるよ。いい暇つぶしになる。」

「ん。ありがとう。」

 風が吹く。寒さを感じさせない、涼やかな風が。

 会話が途切れる。それでも、気まずさは感じない。

 隣にいるのが当たり前だから。今更気にしない。

 それどころか、少し心地良い。

「ねぇ、コウジ。」

 そんな中、不安そうな声で呟く。

 不安と恐怖が一緒くたになったような声。

 マコトの心が感じられた。そこには、一点だけ、黒い点が見える。

「また、戦いが起きるのかな?この島で。」

「イロウションなんてやつらがいるならまた来るだろうな。そもそも俺達がグラフスのディスティニーを壊滅させたから、連中に目を付けられたのかも

知れないし。」

 俺達を危険視する奴らがいる以上、戦いは起きる。

 そもそもアイツのアジトだった場所が、奈落汚染されてしまった。

 奈落獣の発生率は格段に上がっている。この一月現れなかったのが奇跡みたいなもんだ。

「今度も、守れるかな。今度は、どうなるんだろう。不安が襲ってくるんだ。どうしようもなく、怖くなる。」

 まったく、こいつは。またそんなこと考えて。

 身体を起こし、マコトの頭に手を乗せ、ぽんぽんと軽く叩く。

「大丈夫だ。その時が来ても、皆がいる。何より俺がいる。俺達は無敵のコンビだって、言ったろ?」

「そうだけど・・・。」

「どんな奴が来ても、俺がお前を護る。絶対に護ってみせる。その役目は誰にも譲らない。だから。」

「だから?」

「お前も、俺を支えてくれ。お前がいれば、俺は何も怖くない。どんな敵とも戦える。お前が勇気をくれるんだ。」

 自分で言っていて、顔が熱くなる。背中が痒くなる。

 らしくないこと言っているなぁとも思うけど、俺の偽らざる気持ちだ。

「だから、傍に居てくれ。じゃないと、俺も不安になる。」

「・・・まったく。コウジはボクがいないと何も出来ないなぁ。」

「あぁそうだよ。お前が居るから、俺は強気でいられる。お前が居ないなんて、考えられないよ。」

 沈黙が丘桜を支配する。

 自分の顔が赤くなっているのが分かる。

 多分、マコトの顔も。

 確認してみたいけど、まともに見れない!

 どうすんだこの空気!

 どうにもこうにも居た堪れない状況になってきたその時。

「ここにいたか、二人とも。」

「酷いですよマコトさん。見つけたら教えてくれるって言ってたじゃないですか。」

 シャナとメイが走ってくる。

 俺達は一瞬で距離を取った。

 いや、なんで離れる?別にやましいことはしていない!

 なんでこんなにドキドキしてるんだ!?

「ご、ごめんね!?つい話し込んじゃって。」

 言いかけて、マコトは二人にがっしりと捕まえられる。

「ずるいぞマコト。早速抜け駆けか。」

「お二人は唯でさえ家が近いのに、こんな時にまで独り占めですか?」

「ち、違うよ!?たまたま、たまたまあんな空気になっただけで。」

 なに話してるんだろう。よく聞こえない。

「だ、大体鈍いコウジがこれぐらいでどうにかなるわけない!なったら苦労しないよ・・・。」

「なに、いつまでも煮え切らない態度を取るようなら私に考えがある。皆が幸せになれる方法だぞぉ。」

「シャナさん、なんだか悪い顔してます。」

 おーい。俺置いてけぼり?寂しいよー。

 でも、こんなのも面白い関係だよな。

 いつまでも、こうしていられたら良い。

 俺は多分、卒業してもこのままフォーチュンとして島に残るだろう。

 メイもそうだろうし、シャナもレムリアから何か言われない限り残るだろう。

 マコトはどうだろう。もうそろそろ卒業後のことを考えておかなきゃいけない時期だし。

 ・・・残ってくれると、嬉しいな。

 このまま皆で笑いながら、大切なモノを守りながら。そんな生き方も悪くない。

 それが、俺の愛する一番の時間、大切なモノ。

 あいつと約束した、俺自身と約束した。

 生涯守り抜いてみせる。だって。

 約束は、守らないとな。

 

 

 桜が咲き乱れる島での物語は、一先ずお終い。

 これから先、多くの困難が彼らを襲うだろう。

 唯一言、彼らに送りたい。

 その行く道に、幸あれ。




長いようで短い間でしたが、本当にありがとうございました。
こんな駄文に付き合っていただいた方々に、心からの感謝を。
至らない箇所だらけでしたが、初投稿、初連載という訳で楽しかったです。
駄目で豆腐メンタルな作者ですが、またどこかでお会いできたら幸いです。
その時までにもっと上手くなってれば良いなぁ。
それではこの辺で。
See you!!
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