メタリックガーディアン・プロミス 『桜の舞う島で』   作:戒炎

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ここまで来たら一話は一気に投稿。
クライマックスとエンディングです。
察しがいい人は分かるでしょうが、元ネタはサンプルシナリオです。
それを自分流にアレンジしたものです。

最初なので3つに分けてみましたがどうだろう・・・。
もっと長くても良かったかな。


「WAKE」その3

第11幕

 

side-マイケル-

 

 校門を出ると同時に、汗まみれのシャナと出くわした。

「ぐ、偶然、だな。(ゼェゼェ)」

 どう見ても偶然に見えない。

 そういえばこの数日間、基地以外で彼女を見かけなかった。

 大方島の調査に没頭し、マコトの護衛を忘れていたのだろう。

 まぁ、僕がついていたし、今日まで何事も無かったので良かったが、ソレでいいのかレムリア騎士。

「えっ、と~?」

 マコトが首を傾げる。今日は彼女のこの姿をよく見る気がする。

「あぁ紹介するよ。僕達と同じフォーチュンに所属しているレムリア人、シャナ・アティアイナさんだ。」

「シャナ・アティアイナだ。よろしく頼む。」

「あ、此方こそよろしく。」

 ぺこりと頭を下げるマコト。

「おおい。いいから帰ろうぜ。」

 状況が理解できていない馬鹿(東屋)が喚く。うるさい、こっちは今どうしようか考えてるんだ。

 見るとシャナの方も困っている。ここに来たはいいがどうしようか考えているのだろう。

 妙な沈黙が場を支配する。

「あぁ、もう!帰ろうって言ってるだろ!あ、シャナ。ついでだから街の案内でもしようか。」

「え、あ、あぁ、そうしてくれると助かるが、良いのか?」

 それだ!

「そういえばシャナはこの島に来たばかりだったな。島の要所を教えたいんだが、マコト。一緒にどうかな?」

 さりげない風に誘ってみる。

 彼女の性格上、ここで断ったりしないはず。

「うん。いいよ。」

 良し!

 

 僕達四人は街を散策していた。全員同い年の為、友人同士の買い物に見えなくも無い。

 一人格好が学生とは思えないが・・・。

 しかし。

「ほう。マコトの筋肉はとてもバランスが良いな。何か武術でもやっているのか。」

「うん。空手をね。そういうシャナこそ、綺麗な筋肉だね。さすが騎士様。」

「そうか?人から言われると少し照れるな。」

「その体なら、良い正拳が打てそうだね。」

 オカシイ。

 年頃の少女とはこんな物騒な会話をするものだったか?

 戦場生活が長かった僕には知らない世界だ。

 東屋は平然とした顔で歩いている。

 この一年で日本の高校生のことは大分学んだような気分でいたが、まだまだ浅かったか。もっと勉強しなくては。

「ところでだ。東屋コウジ。何故私を誘った?」

 マコトとの会話が切れた時、シャナはそんな事を聞く。

 そう言えば発端はこの男の言葉だったな。

「ん?いや、深い意味は無ぇよ。ただ、街のことを知らないと不便かな、て思っただけだ。」

「そ、そうか。いや、助かる。」

 なんとも無い理由だった。

 これぐらい単純で、裏表の無い理由のほうが彼女のような人間にはいいのだろうか。

 

 大方街の案内を済ませ、家路に着こうとした途端、黒いワンボックスカーが横に付けてきた。

 何だ?何か嫌な感じがする。

 シャナも同様だったのだろう。さり気なくマコトを庇う位置に移動する。

 するといきなり車のドアが開き、ガスマスクを着けた男達が僕達の足元に銃を撃ってきた!

「うわわわ!?何だ!?」

 東屋は混乱するも、マコトを庇うように立つ。意外と根性が座っているじゃないか。

 その瞬間。

「ガッ!?」

 後ろを向いた隙に連中に殴られる。しまった!油断していた!

「ファック!合図するまで撃つなっつてただろう!」

「いや聞きましたよ。GO、GO、GO!って。」

「ありゃ株価が上がったんだよ!」

 不味い、意識が・・・。

 

side-コウジ-

 

 マイケルが一撃で倒された!?

 ていうかなんなんだよこいつら、街中でガスマスクに機関銃!?

 は、こいつらディスティニーのテロリストだな!

「手前ら!何が目的だ!?」

「坊主、怪我したくなかったら、そこの嬢ちゃんを渡しな。」

 マコトを見ながらガスマスクが答える。

 こいつら、マコトが狙いか!?でもなんで!?

 いや、理由なんかどうでもいい!そんなことさせるか!

「クッ!こいつら、出来る!?」

 シャナは腰に帯びていた剣で奮戦するが、ガスマスク共はナイフを持ち、複数人で囲っている。

 俺はリーダーと思わしき男に殴りかかった。

「おりゃーーーーー!!」

「威勢はいいが、俺を舐めんなよ?」

 俺の拳はいとも簡単にかわされる。

 これでも空手経験者で、フミカ先生の生身での特訓も受けたんだぞ!?

 ソレをこうも簡単に!

「しゃあない。一発当てて大人しくさせるか。」

 ガスマスクが銃を構え、躊躇いなく撃った。

 俺は・・・。

 

「何!?」

 俺はその弾丸を避けた。

 どこに、どう撃たれるかが、一瞬だが見えたのだ。

 それに従い、体を動かした。俺自身も信じられない。

「ファック!このガキィ!」

 ガスマスクは銃を連射する。

 その度に、弾丸の軌道が読み取れる。

 弾丸はかすりもせず、全て俺という獲物を逃した。

「弾の動きを予測している!?まさか、スターゲイザー!?」

 スターゲイザー?聞いたことも無い言葉だ。

 だが今はそんな事を考えている場合じゃない。

 マコトは後ろで、何が起こっているのか理解できていない顔をしていた。

 が、俺と目が合うと、途端に不安そうな表情になる。

 そんな顔するなよ。俺が護ってやる。

 昔っから、そうだっただろう。俺は。

「あいつの、ヒーローに。あいつにとっての正義の味方に!」

 そう叫びながら、俺は崩れ落ちた。

 

 薄れ行く意識の中で見ると、ガスマスクはボディブローの形を取っている。

「悪いが、チャカだけが俺の武器じゃねぇんだよ。」

「コウジッ!?」

「嬢ちゃんも大人しくしててくれな。」

 ガスマスクの拳がマコトの腹に打ち込まれる。

 それでマコトは意識を失ったのか、ガスマスクに身を委ねた。

「ミッションコンプリートだ!引き上げるぞ!」

「ま、待て!!」

 シャナが叫ぶが、俺はそれ以上、意識を保ってはいられなかった・・・。

 

 

第11幕

 

side-フミカ-

 

「はっ!?」

 ベッドに寝ていた坊や達が目を覚ます。 

 ここはフォーチュン支部の医務室。

 うちらが現場に着いたときには既にマコトお嬢ちゃんは誘拐された後だった。

 残されていたのは気絶した坊や二人と今にも誘拐犯-おそらくディスティニーだろう-を追いかけようとしていたシャナだけ。

 そのシャナを宥めすかし、ここまで引っ張ってくるのには苦労した。

 しかしやられたねぇ。まさか街中でドンパチやらかす強攻策にでるとは考えてなかった。

 こちらの完全な油断だ。

「マコト、マコトはどうした!?」

 コウジが叫ぶ。アタシはそれに対し首を横に振った。

 コウジは眼を見開き、マイケルとシャナは苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 それはそうだろう。坊やは幼馴染を、残る二人は護衛対象を目の前で攫われたのだから。

 かくいうアタシの心中も穏やかじゃない。教師の仕事なんてほっぽっときゃ良かったんだ。

 この島での生活で平和ボケしていたらしい。

「何してるんだよ!早く助けに行かねぇと!」

 坊やが喚きたてる。

 気持ちは解るが、少し落ち着いて欲しい。こっちは対策を考えてる最中なんだ。

「何処に行く気だ、場所も解っていないのに・・・。」

 マイケルは逆に静か過ぎる。

「探すんだよ!!島中虱潰しに探して、それでも見つからなきゃ海のほうにも」

「今フォーチュンの調査部が探している。お前達が眠っている間にな。」

「何悠長なこと言ってるんだよ!」

「お前に何が出来る。当てがあるのか?」

「それでもだよ!それに何も出来ないのはお前も同じじゃないか!さっきだって!」

「何!?」

 全員苛立ってるね。良くない状況だ。

 年長者として纏めるしかないか・・・。

「いい加減にしてくれ!!」

 腰を上げようとした所に、マイケルが声を荒げる。

 無理も無いかもしれない。

 マイケルはあの嬢ちゃんに気があったようだし。

 焦り具合ならコウジと変わらないだろう。

「僕達が喚いても彼女の居場所は分からない。今は対策を考えよう。彼女を助ける手段を。」

「あ、あぁ。」

「・・・すまねぇ。」

 二人ともバツが悪そうに顔を背ける。

 良かった、マイケルはまだ冷静だ。

「その前に、あんたら二人はちゃんと謝りな。ギスギスしてたらうまくいくことも失敗するよ。」

 経験則だ。揉め事を持ち込んだまま作戦に入るとチームワークが乱れる。

 最悪仲間割れから両者撃墜、なんて事にもなりかねない。

「・・・悪かった。言い過ぎたよ。どうかしてた。」

「いや、こちらも無遠慮すぎた。」

 コウジは意外と素直に謝った。マイケルの言葉が聞いたんだろう。

 シャナはまだ納得し切れていない。理解はしているが、頭と心が合致していないんだろう。

 医務室の空気が少し落ち着いてきたところに、司令部から緊急通信が入る。

『皆さん!緊急発進をお願いします!奈落獣が島に向かっています!』

 このタイミング、おそらくギルガーンか・・・。

 厄介な時に嫌な奴のご登場だよ、まったく・・・。

 

 

 

-数時間前-

 

side-???-

 

「おら、奴さんのお出ましだ。とっとと作業に移れ。」

 ターゲットの誘拐からアジトへ戻ると、すぐに中佐から指示が来る。

 まったく、休みも無しとは、人使いが荒いぜファッキン。

 それにしてもおっかねぇ。奈落獣が目の前にいるんだからな。

 しかも完全に中佐の制御下にあるのか、オレ達が仕事をしやすい姿勢を取っている。

 奈落獣がここまで大人しくなるなんて聞いたことねぇ。ホント何者なんだこの人。

 考えても仕方ない。今はお仕事お仕事。

 嬢ちゃんのアビスシードと奈落獣、ギルガーンをリンクさせる。

「う、うぅ・・・。」

 苦しそうに呻く嬢ちゃん。そりゃそうだ。

 

 今からこのギルガーンに取り込まれるんだからな。

「くぅ・・・、うあ!」

 さらに苦悶の声を上げる。

 ・・・ファック。嫌な仕事だぜ。

 この嬢ちゃん、確か16、7とかいったな。

 妹が生きてりゃ、同い年くらいか・・・。

 ホント、吐き気がしてくらぁ。ガスマスクの中でリバースしたらシャレにならねぇ。

「おっと、完全に融合させるなよ。面白い趣向を考えたんだ。」

 ファック。この人の面白いはろくなもんじゃない。

「そういや、姐さんはどうしたんです?」

「あぁ?アイツは気乗りしねぇんで欠席だとよ。ったく、女ってのは我侭だな。」

 オレも我侭言いてぇよ・・・。

 

 

第12幕

 

side-コウジ-

 

 緊急発進すると、敵の影はすでにレーダー内にあった。

 畜生、こんなことしてる場合じゃないってのに!

 さっさと片付けて、マコトを助けに行かないと・・・。

『皆さん、奈落獣の映像を捉えました。そちらに転送します。』

 コックピット内に映像が映し出される、ってこれは!?

「「「マコト!?」」」

 奈落獣の胸に、まるで磔にされたようにマコトが埋め込まれていた。

 あいつら・・・、なんてことしやがる!

「あれでは迂闊に攻撃できないぞ!?」

 シャナが叫ぶ。そうだよ。下手に攻撃したらマコトが・・・。

 ちっくしょう!卑怯者め!

『・・・各機へ。優先されるべきは都市、及び島の安全です。市街地での戦闘は避けられないでしょう。よって、速やかに目標の撃墜を。

 全力で奈落獣を倒してください。』

 おい!?それって!

「マコトの命はどうでもいいのかよ!?」

『島の防衛が最優先だと言ったはずです。彼女の生命については二の次です。』

 司令は冷たく言い放った。

 でもそんなの、納得できるわけねぇだろ!?

「了解しました。」

「マイケル!?」

 何でだよ!お前だってアイツの友達だろ!?

 それを簡単に見捨てるってのか!?

 言おうとした時、奴はさらに言葉をつなげる。

「しかし彼女を見捨てることは出来ません。救出方法を模索しつつ、迎撃にあたります。」

 マイケル・・・。

『・・・承知しました。私も出来るならば人質は救出したいですからね。ですが、それが無理な時は。』

「無理かどうかじゃねぇ、やってやるさ!マコトも、街も!俺達が救ってみせる!」

「僕自身、かなり難しい事だと思っている。だが、その無理、僕達で押し切るぞ。東屋。」

「おうよ!」

「お前達、解っているのか?悠長にしていたら、この島の被害は増すばかりなんだぞ。」

「お前だってマコトの友達だろ?助けたいって思わないのかよ!?」

「できるものならやるさ。だが、二つを天秤に掛けたなら。」

「天秤になんか乗せんな!街を護る!マコトも助ける!両方やってのけてこそ!」

 

「正義の味方ってもんだろ!!」

 

 俺の叫びに、シャナはしばらく黙る。そしてまた口を開いた。

「・・・呆れた奴だ。だが、友を護る事もまた騎士道。その無茶に乗ってやるさ!」

「よし!それでこそ騎士、いやシャナだぜ!」

 一人じゃ無理。二人でも難しい。でも三人なら、四人なら!

「たく、若いのばかりで盛り上がるんじゃないよ。」

 先生が呆れたように言う。

「こちとらアイツに煮え湯を飲まされてる。何としてでも撃ち落したい。でも、テロリストの良いように進むのは癪だね。」

 ニヤリと獰猛な顔で嗤い、先生は一息つく。

 訓練中にも見た顔だ。あの時は怖くて仕方なかったけど、今は。

「アタシも乗ったよ。生徒を護れないで、何が教師だ、てんだ!」

 今はすごく頼もしい!

「コウジ!技術班がブレイガストに新装備を追加してる!敵の真っ只中で使ってやりな!」

 了解!!

 そして俺達とディスティニーは、完全に戦闘圏内に入った。

 

 

「まずは周囲の雑魚を片付ける!各機、攻撃開始!」

「「「了解!!」」」

 マイケルのルミエールと、シャナのバルサーガが宙に舞う。

 ルミエールは空中からビームライフルを連射、敵のガーディアンを撹乱する。

 バルサーガは剣を抜くとビームを避けて隊列から離れた一機に切りかかる。

 剣が輝かしい光を帯びた。

「はあぁぁぁっ、オーラ斬り!」

 光り輝く剣により、ガーディアン、ヴィクラマは一刀両断される。

 先生のアクセルギアは火炎放射やレールキャノンで敵を一箇所に纏め、ミサイルで一網打尽にする。

 それでも敵は全滅していなかった。

 だが、ダメージは負っている。それに大きな隙も出来た。

 敵の集団に対してブレイガストを走らせる。

 奴らもガトリングで攻撃するが、ブレイガストの装甲はビクともしない。

 ちゃんとした実戦は初めてのはずだが、まるで恐怖は感じない。

 こんなもん、あの時のフミカ先生の暴力に比べれば!

「豆鉄砲なんだよ、そんな物!!」

 ついに敵の懐に入り込む。逃がさねぇ!

 新しい装備、こいつか!

 最初に乗った時には無かったレバーを引く。

「サンダァーー、ボンバァーーーーーー!!」

 ブレイガストが腕を打ち鳴らすと、肩から電気を帯びた管が出てくる。

 そこから放出される激しい電流が、周囲の敵を焼き焦がした。

 辺りに煙が立ち込める。 

 一陣の風が吹き、煙が晴れるとそこには二機を残し、残骸になったヴィクラマ。

 ち、アイツらは耐えやがったか。

「ファック!コイツは殴るだけが脳じゃなかったのかよ!?」

 何か叫んでいるが関係ねぇ。もう一度だ!

「サンダーボンバー!」

 レバーを引く。・・・が、何も起こらない。

『言い忘れていましたが、サンダーボンバーはENの消費が激しいので、一度の戦闘では一回切り使用可能です。』

「先に言ってぇーーーー!?」

 ガーディアンが紅く光る斧で反撃してくる。

 掠った所がすっぱりと切れていた。あの武器やばい!?

 マジ助けて!?

「後は僕達に」

「任せてもらおう」

 上空からルミエールがビームサーベルを、バルサーガが剣を振りぬく。

 敵機の腕が切断され、武器も持てなくなったようだ。

「畜生、なんだこのファックな状況!おいお前ら無事だな。後はあれに任せて撤退するぞ!」

 踵を返し逃げるヴィクラマ。

 今度は追わない。アイツラに構ってる暇は無い。

 ようやく、本番なのだから。

 

 奈落獣、ギルガーンといったか。

 宙で文字通り高みの見物をしていた奴が降りてくる。

 茶色い身体、星型の頭、黒い翼。

 何処からどう見ても悪の怪獣だぜ。

 本当なら喜んで倒すとこなんだが、今はそういう場合じゃない。

 マコトを助け出すことが重要だ。

「全機、神楽坂マコトの囚われている胸部を避けて攻撃!まずは動きを止めるよ!」

 先生の号令により各機が動き出す。

 まずはルミエールのビームライフルが発射される。

 だが、ビームは音も無くギルガーンの身体に染み込み、何事もなかったかのように佇む。

「バリア、いや、吸収か!?」

 マイケルが叫ぶ。不味い。そうなるとマイケルやシャナの攻撃が効かない!?

「アイツが吸収できるのはビーム兵器だけだ!マイケルはアタシらの援護!コウジとシャナで切り込みな!オーラ斬りは通用するよ!」

 先生のアドバイスで俺達は動く。

 そういえばコイツと戦ったことがあるんだったな。

 俺とバルサーガはまず両腕を破壊すべく突撃する。

 奴の足元にはアクセルギアのミサイルとルミエールのビームライフルで牽制する。

 もう少し、もう少しで飛び込める!

 そう思ったとき、ギルガーンは両腕をこちらに向けた。

 腕が回転する。まさか!?

「くあぁ!」

 前を飛んでいたバルサーガが吹き飛ぶ。一瞬遅れて、ブレイガストにも強烈な衝撃が走った。

「うわぁぁ!」

「ロケットパンチ!?あんなの知らないよ!?」

 どうやら先生でも知らない武装があったらしい。

 アクセルギアはレールキャノンと、先程より大型のミサイルで攻撃する。

 だがそれも、奴はひらひらとかわす。巨体に似合わず素早い!

 ギルガーンは口から光線を発射し、アクセルギアを攻撃した。

「うわぁぁぁぁ!」

 そのまま吹き飛ばされるアクセルギア。

 ヤバい。予想以上に敵が強い。

 再びロケットパンチが俺を襲おうとする。

 だが、その腕に何処からか砲撃が飛ぶ。

 ダメージは無いようだったが、俺が避けるには十分な隙だ。

『各機へ。当基地も援護に回ります。攻撃能力はありませんが、敵の動きを撹乱するぐらいは可能です!』

 ナイス司令!

 そこに何かが飛んでくる。こいつは確か・・・。

「コウジ!そいつはリペアキットだ。アンタが一番動ける。最初に使いな!」

 ありがとよ、先生。ブレイガストは応急キットのお陰で多少ダメージが回復した。

 俺はギルガーンに向かって突撃する。サンダーボンバーが使えない以上、もうこうするしかない。

 腕を振り上げ、ギルガーンの顔面を狙う。しかし、

「な!?」

 ギルガーンは少しだけ浮き上がり、胸に拳が届くようにした。

 このままじゃマコトが!

 俺はぎりぎりのところで止める。

 その瞬間を待っていたかのように爪を振り下ろす。

 その衝撃でブレイガストは吹っ飛び倒れこんでしまった。

「くそ!?」

「大丈夫か、東屋コウジ!?」

「奴め、姑息な手を・・・。」

 全員が密集し、陣形を整える。

 こっちは大分消耗が激しいって言うのに、奴はまだピンピンしてやがる。

 どう戦うか、それを考えていると、ギルガーンに変化が起こる。

 皮膚に罅が入ったと思うと、バンッと弾け飛んだのだ。

 そこから現れたのはまたもや異様な怪物。

 いや、怪物と呼んでいいのか?

 茶色だった皮膚は銀色のメカメカしい装甲に変わっている。

 各所も生物的な部分は無くなり、マシンのようないでたちに変わっている。

 なんだよこれ、パワーアップってやつ?

 

「ラーフめ、超奈落獣化してたのかい!」

 超奈落獣。先生から聞いた、ラーフ帝国の切り札。

 アビスのテクノロジー、アビテクで造られたガーディアンと奈落獣を融合させることで誕生する、新たな奈落獣。

 その力は通常の奈落獣を遥かに上回るという。

 ただでさえ不利な状況なのに、こんなのの登場かよ・・・。

 そうこうしていると、ギルガーンの口に強力なエネルギーが溜まる。

「不味い!全機散か、」

 その指示は遅かった。

 ギルガーンの口から放たれた光線は、俺達全機を飲み込み大爆発した。

「ぐ、うぅ、駄目です。ルミエールは、動けません。」

「バルサーガは何とか動ける。が、かなりギリギリだ。」

「アクセルギアも半壊だよ。たくなんて威力だ・・・。」

 みんな戦闘続行は難しい。いや、戦えるには戦えるだろう。

 だが、マコトの命を考えながら戦うと・・・。

『・・・皆さん。神楽坂マコトさんのことは諦めてください。今は超奈落獣の撃破を。』

 司令の口から、遂に残酷な現実が突きつけられた。

「やるしか、無いのか。」

「嬢ちゃんのことを考えなければ、あるいは」

「だけど・・・、くそぅ。」

 みんなからも諦めのムードが漂っている。

 ・・・・・・・・・

 

「冗談じゃねぇ・・・。」

 諦める?マコトを?

 じゃあ何で俺はここにいるんだ?

 俺は何をしに来た?

 マコトを救うためじゃないのか?

「冗談じゃねぇ・・・!」

 それを諦めたら、俺は、生きていけない。

(約束してください・・・)

 約束・・・。

(この島を、私を護ると)

 護る、約束・・・。

(その力を、正しき事に使うと)

 約束。

 

(うえ~~~ん!!)

 マコトが泣いてる・・・。

 そういや昔は泣き虫だったっけ。

 空手は強いくせに小心者で、よくからかわれて、いじめられて・・・。

(こらーーーーーー!!)

 そんなアイツを守るのは、いつも・・・。

(マコトを泣かせる奴は許さないぞ!)

 いつも・・・。

(マコト、なにかあったらいつでも俺を呼べよ!)

 いつも・・・。

(コウちゃんが、助けてくれるの・・・?)

(ああ、約束だ。どんな時でもお前を助けてやる!)

 いつも、俺の役目だ。

 約束なんだ。あいつを護るのは。

 あいつとだけじゃない。俺自身との約束だ。

 心に固く誓ったんだ。

 あいつを助けたい。

 だから、だから、だから!

 

「冗談じゃねぇーーーーーーー!!」

 俺の声に反応するように、ブレイガストが光に包まれる。

 俺はそのまま一気にギルガーンとの距離を詰めた。

「何をする気だ東屋!?下手な攻撃はマコトに!」

「そのマコトを、助ける!それが俺の、約束だぁーーーー!」

 ギルガーンの胸、マコトの少し隣にブレイガストの手を差し込む。

 暴れるギルガーン。痛いか、痛いかよ。

 安心しな、すぐ終わる!

 ブレイガストの輝きがさらに強まる。

「あれは、ALTIMAの、加護?」

 誰の言葉かは判らない。

 俺は一心に、今度は突き入れた手を抜いていく。

 その際、マコトを掌で包むようにする。

 そして、遂に手は完全に引き抜かれた。

「AGYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!」

 悲鳴を上げるギルガーン。どうやらマコトは人質であり弱点でもあったようだな。

 俺は急いで下がり、既に戦闘不能に陥っているマイケルにマコトを託した。

「傷なんか付けんじゃねぇぞ。」

「誰に言っている?」

 お互いにニヤリと笑い合う。

 まったく、俺達はマコトに対しては気が合うみたいだな。

 さてと。

「散々暴れまくってくれたなぁ、おい。え?」

「人質と言う卑劣な策はもう使えないぞ。」

 俺とシャナがギルガーンを睨みつける。

 感情があるのか?じりじりと後ろに下がっている。

 俺達の間に砲弾が通り過ぎ、ギルガーンに直撃した。

 再び悲鳴を上げ、たたらを踏む。

 アクセルギアは既に立ち上がり、レールキャノンを構えていた。

「アンタには色々世話になった。そのお礼だよ!受け取りな!アクセルギア、フルファイア!!」

 アクセルギアに搭載されている全ての武器が火を噴く。

 全弾が直撃。苦しむギルガーン。

 その隙を逃さず、バルサーガは先程のオーラ斬りを放つ。

 右腕が切り落とされ、さらに窮地に立たされたギルガーンは、なんと逃走しようとする。

 その身体が光り、いざ逃げんとしたところで、

『させません!!援護射撃、撃て!』

 基地からの射撃でバランスを一瞬崩す。

 その一瞬で十分!

 俺は既に奴の間合いに入っている!

 ブレイガストは拳を握る。全ての力を溜め込むように。

 再び機体が輝く。今度は先程のとは違う。

 力強く、敵を葬るための輝き。

 悪を打ち倒し、正義を体現する、力の象徴。

 雷がブレイガストの拳に宿る。

「ファイナル・トール・スマッシャーーーーーーー!!」

 右拳をギルガーンに向かって振りぬく。

 拳は楽々と奴の身体を貫いた。同時に電流が奴の肉体を焼き焦がす。

 拳を抜き、俺は悠々とみんなの所へ戻る。

 後ろでは倒れこんだギルガーンが、爆発し消滅した・・・。

 

 

第13幕

 

side-フミカ-

 

「と、言うわけで、ギルガーンは撃墜。街には多少被害が出たけど死傷者は無し。めでたしめでたし。」

『めでたくありませんよ・・・。結局ディスティニーのアジトは発見できずじまい。街の修復の費用、どれだけかかったと思います?」

 ミウコ司令は溜息をつきながら言う。

 たく若いのに何萎れてんだか。

 そう言ってアタシはビールを飲む。

『まさかその酒代も請求する気じゃないでしょうね?』

「え?だめ?」

『だめに決まってるでしょーーーーーー。』

 あぁうるさいうるさい。

「じゃ、明日は学園祭で忙しいんでこれで。グッナイ~♪」

『ちょっ』

 少しはひたらせてよ。こちとら仲間の仇も討てたんだから・・・。

「・・・乾杯。」

 お休み、同胞達・・・。

 

 

side-シャナ-

 

 私はレムリア陛下と念話をしている。

 今回の顛末を報告するためだ。

「というわけで、神楽坂マコトのアビスシードは消滅。島の謎は未だ謎のまま。引き続き調査を続行します。」

『分かりました。では引き続きお願いします。」

 ふぅ。念話とはいえ、緊張する。

『ところで、もう島での生活には慣れましたか?』

「はい、幾分か・・・。」

 なぜいまさら?

『貴女が島での暮らしを謳歌できるよう、学園への編入手続きを済ませておきました。』

 は?

『来週から貴女は桜花学園の2年生です。がんばりなさい。』

 念話が途切れる。

 はい?私が学生?

「どういうことだ・・・。」

 今後の生活が、妙に不安だ。

 

 

side-コウジ-

 

 あの戦いから数日、マコトは順調に回復している。

 奈落に侵された肉体も異常なし。元気に登校している。

 

 そして、学園祭当日。

 俺達の演劇も終わり、俺は屋上に来ていた。

 なんだか妙な気分だ。

 いきなりガーディアンに乗ったと思ったら、調子にのってボロボロにされて。

 フォーチュンに協力してディスティニーと戦って、攫われたマコトを救い出して・・・。

 この数日間で色々あったなぁ・・・。

 

(約束してください。この力を、正しきことに使うと)

 

「約束、守れたのかなぁ。」

「何の約束だ?」

 げ、嫌な奴に聞かれた。

「何しにきたんだよ、こんなとこに。」

「いや、少し風に当たりたくてな。」

 マイケルはわざわざ俺の隣に腰掛ける。

 らしくないな。

 二人の間に妙な沈黙が流れる。

 なんかムズムズする・・・。

「お前には感謝している。」

「へ?」

「あの時、僕達は彼女を救うことを諦めかけていた。お前がいなければ、マコトはこの世にいなかっただろう。」

「別に、俺は当然のことをしただけだ。正義の味方としてな。」

 胸を張って言ってやる。

 普段なら嫌味の一つでも飛んでくるのだろうが、今日は違った。

「正義の味方か。お前なら、なれるのかもな。」

 ・

 ・

 ・

「「気持ち悪!?」」

 俺達は同時に自分の身体を抱きしめる。

 ホントらしくないこと言いやがって。

「あ、こんなところにいた。」

 そんな時、マコトが屋上にやって来た。

「学園祭はまだ終わってないよ!ほらほら、二人とも行こう。」

 マコトは俺達の手を取り、駆け出す。

「ちょ、危ねぇって!走るなよ。」

「マコト、コイツと一緒と言うのが気に入らないのだが。」

 ホント余計なことばかり言いやがって!

「みんなが、二人が助けてくれたんだよね。ありがとう・・・。」

 マコトが何事か呟く。だが、学園祭の喧騒にかき消され俺達には届かなかった。

 引っ張られていく中、ふと屋上の方を見ると、白い服の少女が微笑んでいるのが見えた・・・。

 

 

 

 

 

 

side-???-

 

 闇の中、男が一人いた。

 男の眼は邪悪な輝きを放っている。

 男は、誰に語るでもなく、言葉を放つ。

「ギルガーンごときじゃあの島は制圧できんか。」

「まぁいい。次の手は打ってある。」

「桜花島は必ず手に入れる。我らの、いや、この俺のためにな。」

 闇の中、男の哄笑だけがこだました。




以上が第1話でした。
これを読んでくれた人がいれば幸いです。
誤字脱字は多いでしょうが、頑張ってみます。
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