IS インフィニット・ストラトス 獣の指揮者   作:ユキアン

16 / 21
第16話

 

 

side ジェイル

 

 

ラウラがサンクチュアリに配属されてから4ヶ月。配属初期とは違い、ラウラは立派に成長した。ISとの適合率は低かったが、それはサンクチュアリの才能だけはある馬鹿共がラウラに合わせてISコア調整した事で問題を解決してしまった。その成果を元にヴァンとネージュも調整を行なったおかげで反応速度が更に向上した。さらにはついでとばかりにヴォーダン・オージェすらも解析して調整を行ない適合させてしまった。金色に変色していた瞳は元の赤色に戻り、眼帯は必要無くなったのだが無いと落ち着かないと言う事で普段は眼帯を着用している。それでも以前までとは違い色々な種類の物を購入してファッションとして楽しんでいるようだ。たまにシャルとか女性職員におもちゃにされてるけどな。

 

ラウラのISはまたもや新規製造の新しいタイプのISとなった。オレ達3人は万能タイプであるが、ラウラはどちらかと言えば格闘方面の才能が有ったのでそれに合わせてISを開発した。ネージュとは違い、かなり厚い装甲と巨体に合わせた大型ブースターにPICを装備。さらにはPICとは異なる重力制御装置を搭載し色々な事が出来る。実弾の軌道をねじ曲げたり、範囲内に重力を掛けて動きを鈍らせたりと応用力がある。その分エネルギーを消費するのだが、そこら辺は巨体の各部にエネルギータンクを搭載する事で解消した。武装も巨体に合わせて新規製造が行なわれたが、こちらは変わった物はない。お馴染みになっている高周波ブレードにアサルトレールガンのサイズを大きくしたり、ラウラの要望で開発された三連装グレネードランチャーと各特殊弾頭(液体窒素の詰まった冷凍弾や3m範囲に絶対防御を抜く程の高圧電流を放つ電撃弾やスモークグレネードやフラッシュグレネードなど)位だ。名前は重力制御装置の存在をぼかす為にボヌゥール、幸運と名付けた。実際、重力制御装置で出来る事は致命傷を重傷にする位の事しか出来ない、まさに幸運としか言えない様なことしか出来ないのだ。(後に判明した事だが、アサルトレールガンで試していた所為で殆どずらす事しか出来なかっただけで普通の火薬の銃なら90度軌道を曲げる事ができた。それに気付いたとき、全員が唖然とした。使った本人であるラウラも棒立ちになった位に)

ラウラのことはここまででいいだろう。

 

 

 

さて、現在オレとシャルと護衛としてラウラと保護者にユウダイとラウを連れてイタリアに訪れている。表の目的は新しい武装の営業販売で裏の目的はADの本格的な説明とオレを使った取引だ。ここ数年イタリアでは南北の経済格差によるテロ行為が多発し、昨年にようやく大半のテロ組織が壊滅、または自決によって収束した。そしてそれの開発の為にイタリア政府は少女をサイボーグに改造した特殊部隊を使っていたと言う噂を拾ったので、調べてみた所事実だったようだ。

ここ数年の間、イタリアの義肢技術がもの凄い勢いで進歩していた。両足が義肢の少年が普通の子に混じってサッカーの試合に出れる位にだ。おそらくはサイボーグの少女達の技術を流用しているのだろう。そこから逆を辿ればすぐにその組織が判明した。その名も『社会福祉公社』

サイボーグの技術なら確かに義肢の開発に貢献出来るだろうな。それだけならな良いのだが、実体は全身麻痺や瀕死の状態の少女を洗脳してサイボーグに改造しているのだ。また、無理な投薬なども行なわれて寿命も短い。正確な情報は拾えなかったけど、初期型の大半は既に殉職、2期生も限界に来ている個体があるそうだ。あくまで確定情報じゃないけどね。

今回はその社会福祉公社の協力を得られる様に交渉した。被験者もそうだが、技術者との交流が行ないたい。オレの身体は未だに未知数な事が多すぎる。だが、生体工学に詳しい者は一人も居ないので表面的な事しか分かっていない。それを調べ尽くしたい。この身体が何時まで持つのか。それを知らなくてはならない。その為に技術交流は必須とも言える。ネージュを展開するたびに体調が良くなっているのが本気で怖いんだよ。調べてもラウラを連れて戻ってきてから変わってないから余計に怖いんだよ。

 

まあ、それはいいだろう。とにかくオレ達は社会福祉公社と接触する為に指定されたウフィッツィ美術館に来ている。ここを指定してきた理由は分からないが、何か意味があるのだろう。約束の時間までは時間があるので適当に美術館の中を散策する。オレはあまり美術品の知識は無い。有名どころが辛うじて分かる程度だ。ラウは口説く時のネタの為に結構詳しかったりする。ラウの説明を聞きながら色々と見て回るのだが、どうにも善し悪しが分からない。彫刻なら何とか理解出来そうなんだが。その途中、シャルが人ごみによって体調を崩してしまった。

 

「ごめんなさい」

 

「気にするな。ゆっくり休めば良い。約束の時間まではまだ余裕がある」

 

シャルをユウダイとラウに任せてラウラと二人で美術館を散策する。

 

「ラウラ、こういう絵や彫刻が理解できるか?」

 

「なんとなくですけど、こう背中がぞわぞわしない事も無いです」

 

「そうなのか?オレにはさっぱり分からん」

 

一つの彫刻の前に立って眺めても、何も感じない。精々がここまで綺麗に大理石を切るのは凄いよな、位だ。いや、他にも在るな。

 

「ああ、一つの大理石から3人を彫り出したのか」

 

「……ザビーネ女の略奪」

 

近くに居た車いすに乗った少年にも見える少女がぽつっと言葉を零した。

 

「それがこの彫刻の題名なのかい?」

 

「……」

 

オレが尋ねても少女は反応を見せない。この子は一体何者だ?あまりにも身体のバランスが取れすぎている。そして生気があまり感じられない。

 

「リコ!!」

 

背後からそれほど大きくも無いはずなのによく通る声が聞こえてくる。そしてその声に少女が反応する。

 

「あまり離れるなと言っただろう」

 

「ごめんなさい」

 

そうしてやってきた男の顔に見覚えがある。向こうもこちらに気付いたのか目元が一瞬鋭くなった。

 

「初めまして、ジェイル・デュノアです。こちらは私の護衛のラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「ああ、初めまして。ジャン・クローチェだ。こちらはリコだ」

 

ジャンさんと握手を交わして、そのまま四人で美術館を回る。

 

「本日はこのような場所まで出向いてもらい申し訳ない。こちらにも色々と事情があってね」

 

「込み入った話になりそうですね。ここでは聞かない事にしましょう」

 

「そうしてもらえると助かる」

 

そのままゆっくりと見て回ってから集合場所に向かい、用意されていた車に乗り込んで移動する。

 

「これからの予定を聞いても?」

 

「予定としてはこのまま社会福祉公社に向かう予定だ。そこでそちらからの要求のあった技術交流を行なう予定だが、人数はこれだけなのか?」

 

「ISの秘匿回線を流用した物で向こう側と通信を繋ぐ予定です。こちらも少しばかり予定が狂い始めていまして、それの修正に忙しいのです」

 

「そうか。こちらにもある程度情報が回ってきたが、使えるのか?」

 

「金さえあれば。出来る限りのコストダウンを計っていますが、やはりある程度の戦力にする為にはそれなりに金が掛かります」

 

「やはりそうなるのか。1機でもこちらに回してくれれば大分楽になるのだがな」

 

「敵は強いですか?五共和国派よりも」

 

「……強い。装備もそうだが、幹部クラスの情報が一切手に入らない。実行部隊の隊長ですら最近まで分からなかった。亡国機業、舐めていたわけでは無いが厄介すぎる相手だ。2期生も3期生もかなりやられている」

 

「1期生はどうしたんです?」

 

「……1期生はここに居るリコと義体のテスト運用を行なっているクラエスを除いて全員が殉職している。リコも長くは無い。今日が、まともに動かせる最後の日だった」

 

「それは……」

 

一気に車内の空気が重くなった。まさか末期がここまで行くとは思っていなかった。今は助手席に寝かされているのだが、生きているのかどうか疑問に思ってしまう位に呼吸が浅い。

 

「気にするな。待ち合わせの時間はリコに許されていた時間に合わせてあった。もう、病室から動かす事は出来ない」

 

誰もが言葉を発せない状況が数分続いた。

 

「あの」

 

今まで何も話そうとしなかったラウラが突然口を開いた。

 

「どうかしたか」

 

「あの、彼女は、その、役目を果たせたのでしょうか」

 

「何故そんな事を聞く」

 

「そ、それは、その……」

 

「ラウラは目的があって産み出された存在でありながら、その目的を達する事が出来なくなった存在だ」

 

自分では言い難いと思い、オレが横から口を挟む。

 

「義体の事は、今ではちょっと調べれば噂の欠片が拾える程度の物です。だからラウラはそれを知りたがっているんです」

 

「……リコは務めを果たしたさ。もう、戦う必要は無い。だから出来る限りの我が侭を聞いてやるつもりだ。もう覚えても居ないと思っていたが、ウフィッツィに行きたいと言ってな。失礼だとは思ったがあそこを指定させて貰った。気分を害したならすまない」

 

「いえ、その程度の事で気分を害していたらウチの部下を扱う事なんてできませんから」

 

「ならよかった。ラウラと言ったな」

 

「はい」

 

「君はリコ達とは違う。私はこれまでリコを道具として扱ってきた。義体は寿命が短いと最初から分かっていた。だが、復讐にはちょうど良いと思ってもいた」

 

「「復讐ですか?」」

 

シャルとラウラが疑問に思っている。まあ、知らないだろうな。そこら辺はユウダイとラウが説明する。

 

「5年程前に起こったクローチェ事件って呼ばれる五共和国派が起こしたテロでね。彼の両親と妹、それに婚約者が亡くなられたんだ」

 

「残ったのは確か弟さんだけだったはずだ。まあその五共和国派も昨年に大半の組織が壊滅してクローチェ事件の黒幕も捕まったはずだ」

 

「そうだ。だが、復讐の中で私は弟のジョゼも失った。私も死ぬ気でいたが、リコに呼び止められてしまったがな」

 

「けれど、それに納得してるんでしょう?」

 

「ふっ、そうかもな」

 

そこで会話は終了した。復讐を終えて家族を全て失ったと言うのに、それでもジャンさんは前に進み続けている。羨ましいな。オレは前に進む事も出来ずに倒れそうだ。それでも良いと心の底から思っている。アレクシアはオレの全てだったのだから。

 

 

 

 

 

 

社会福祉公社に到着したのはその日の昼過ぎに到着した。昼食は途中で取っているので早速技術交流に移る事になった。シャルとラウラはこれに関しては戦力外なので席を外し、義体の訓練風景を見学する事になっている。場合によっては参加もするみたいだ。ちょうど調整を行なう義体も居るそうなので座学を受けた後に調整を見学する。

 

「見た目は普通の女の子なんだな」

 

隣の手術室では3期生の少女の調整が行なわれている。先日の戦闘で過負荷がかかった部分の交換らしい。左肩を切りはずし、新しい左肩を取り付けられる。その後は調整槽に入れられ人工皮膚の定着が行なわれる。

 

「表情はほとんど無かったけどね。あと、身体のバランスがしっかりしてる。モデルとしてもやって行けそうだね」

 

「あ~、説明を続けるがこの子は3期生の1号体で主に義肢のデータ取りの為に居る。3期生のコンセプトは太く短くだ。倫理的にはアレだが、亡国機業側に対抗する為にはそうしなければ消耗が激しすぎる。2期生と3期生の消耗度合いのデータがこれだ」

 

担当官にデータを見せて貰う。2期生は3期生とは違い、出来るだけ人間に近く、薬の使用量を減らして長く持たせる様にしているのだが、殉職比率が5.5:1では3期生のコンセプトの方が長生き出来ると言う現実に悲しくなる。

 

「表面的な感情は無いが、内面はそうでもない。カウンセリングの方からは1期生とそれほど変わらないと報告が来ている。寿命の方は3年が限界と見ている」

 

「短いな」

 

「希望的観測でだけどね。現場では2年持てば良い方だと思ってる。1期生は5年前後、2期生は10年前後が寿命だ」

 

「余っている義肢を直接見せて貰えますか?」

 

「上の方からは出来る限りの要望は聞く様に言われてるからね。明日には用意しておくよ。とりあえず人工皮膚の定着で調整は終了する。義体に関しての詳細なデータは用意してるから渡しておこう」

 

データを受け取り、コピーしてユウダイとラウにも回す。そしてサンクチュアリの方にもデータを送信しておく。ついでに何か連絡が無いかを確認するとイタリア政府へのADの受け渡しが終了したのでオレが持ち込んでいる分は好きに使っていいと大統領からの指示書が来ていた。

今日の予定は全て消化したので用意された部屋に戻り、三人で社会福祉公社に提供する技術の話し合いを始める。

 

「専門外の事が多過ぎてあまり提供出来そうな物がないね」

 

「精々が義肢に使われている人工骨格に使える金属の代替物位になるな」

 

「後は人工神経系位だな。ADの奴が応用で使えるはずだろう」

 

「アレの調整って結構難しいんだぞ。それも一部だけ交換もあまりオススメ出来ない。だが毎回毎回全部交換なんてしてると寿命を削る様な物だぞ」

 

「誰か変な物を作ってないかな?そういう知り合いが居るのならこれを機に入れても良いと思うんだよね」

 

「とりあえずサンクチュアリの方に通達しておこう」

 

類は友を呼ぶという言葉通り、変人には変人なりのネットワークが存在する。それも世界中にだ。まあ能力や思考などがピンキリなので中々手が出せていないのだが、ウチの面子が推薦する様な奴なら受け入れても良いだろう。

 

「それから大統領からオレ達が持ち込んだ物は好きに使っていいと許可が出た。どうする?」

 

「ADと対価にもう少し突っ込んだ情報を得るか?それか何体か義体を回してもらうか?」

 

「調整出来ない状態で義体を回してもらってもね。それに使い潰すなんて事所長は出来ないし、というかウチじゃあ無理でしょう」

 

「とりあえずは保留か。まあ時間はあるから後々考えよう」

 

「そうだな。それじゃあオレはこのままもう少し義体に関する勉強をさせて貰うか」

 

「それじゃあ僕は職員に声をかけて来ようかな」

 

「迷惑だけはかけるなよ」

 

「分かってるさ」

 

部屋から出て行くラウを見送ってサンクチュアリからの報告書に目を通す。

特に問題は起こってもいないし、起こしてもいないようだ。多少侵入者の数が増えているようだが、想定内ではある。ISを持って来られない限り最終防衛ラインすら踏めん。ISを持ち込んだら最終防衛ラインでAD部隊で殲滅する手筈になっている。職員の半分以上がADの専用機を所持しているからな。1機や2機で抜く事などできんよ。まあおかげで更に予算を食いつぶされたがな。必要経費だと割り切った。うん、必要経費だ。必要経費、半年分……

 

 

side out

 

 

 

 

 

side シャル

 

 

「くっ、速い!?」

 

「シャル!!」

 

ラウラが私の服を掴んで引っぱり倒してくれたおかげでなんとか弾丸を躱せた。すぐに転がって柱を盾にしながら落としてしまったSIGを諦めて予備のSIGを取り出す。

 

「どうする?相手はかなり強い」

 

「どうしようかな?勝ち目が全く見えないや」

 

SIGに取り付けた照準機とヘッドギアの網膜投影装置とリンクさせ、腕だけを出して射撃を行なう。ラウラはグロックに付けていた照準機をイサカに付け直して私と同じ様に身体を隠したまま近づけさせない様に牽制射撃を行なう。

 

「ラウラ、弾薬はどれだけ残ってる?」

 

「12ゲージの散弾が2発にスラッグ弾が4発、グロックのマグが2本とFAMASのマグが1本だがFAMASは落とした」

 

散弾を撃ち終えてスラッグ弾を装填しながら答えてくれた。

 

「こっちはSIGのマグが4本だけ。あとはナイフが1本」

 

そういう私も1本使いきり、ラウラはスラッグ弾も使いきる。これでイサカは鈍器と化しちゃった。

 

「どう考えても詰んだな」

 

向こうがこちらの弾幕の切れ目に合わせて飛び出し、二人の少女がP90を撃ち込んでくる。ちらっと見えたけど、まだ二人ともP90のマグが2本以上持ってた。

 

「出来る限りの事をするしか無いね」

 

SIGのマガジンを交換して呼吸を整えながら考える。少しでも勝率がある方法を考えなきゃ。ラウラも弾切れのイサカとFAMASのマガジンを投げつけながらグロックを構える。連携は諦めて一騎打ちのトリックプレイしかないかな。ラウラも同じ考えなのか一度だけこちらに視線を向けてきたので頷いておく。この場所でできそうなのはあれしか無いか。

少女が柱を迂回して私を射角に捉えるのと同時に身を隠していた柱に向かって飛び、三角飛びの要領で高く飛ぶ。反応が一瞬遅れた所にSIGを向けて引き金を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、やっぱり負けちゃったね」

 

最後に撃ったゴム弾は相手が薬莢に足を取られて体勢を崩した事で外れ、そのまま二発目を撃つ前に私が撃たれて終わった。

 

「むぅ、悔しいな」

 

模擬戦を終えて義体の子達と一緒にシャワーで汗と泥と硝煙を落とす。

 

「いえ、私達も必死でした。今までのどの相手よりも技量では上でした」

 

「はい。同じ条件で戦えばどうなるかは分かりません」

 

そう答えるのは私達の相手をしてくれた双子の義体であるニコラとニコロだ。男の子の名前をしてるけど女の子である。

 

「そうかなぁ?私なんてまだまだだし、今日もラウラの足を引っ張っちゃったし」

 

「そうは言うがシャルロットは私が元いた部隊の者よりも強いぞ。私はそういう風に作られているし、何年も鍛えてきたからな。そう言えばシャルロットはどれ位鍛えてるんだ?」

 

「1年ちょっとだよ」

 

「……何?」

 

「だから1年と2、3ヶ月って所だよ。それまでは特に何もしてなかったよ」

 

あれ?なんだかラウラが落ち込んじゃった。

 

「たった1年ちょっとで……」

 

ニコラとニコロがラウラの事を同情の目で見てる。感情が無い様に見えるだけでちゃんと感情はあるみたいだね。顔は殆ど動かないから目を見ないといけないけど。とりあえずラウラをフォローしないと

 

「いや、ほら、アレを作った人とマンツーマンでの特訓のおかげだから。あの特訓が凄かっただけで、そこからは一般的な成長率だから。お兄ちゃんは身体を虐め抜いてるから今でも成長率は凄いけど」

 

「やっぱり私のオリジナルは化け物なのだな」

 

「ごめん、否定出来ない。1回でADをぼろぼろにしちゃう人だから」

 

「ちくしょう、皆否定してくれないのか。いずれ私も化け物に」

 

「ならないと思うよ。ラウラに使われてる9割って、能力的にはどうでも良い部分みたいだから。残りの1割が化け物の部分だろうってチーフ陣で話してたから」

 

「つまり私は普通なのだな」

 

「いや、どうだろう?専門家じゃないから分からなそうにしてたけど、変な部分があるってことだけは分かってたみたいだし、今回の技術交流とかでそっち方面も調べるみたいだけど」

 

「あの、先程からオリジナルとか出てますけど、何の事なのでしょう?」

 

「あ~、言っても良い?」

 

「いや、私から言おう。私は、あ~、なんて言えば良いんだろうな。とりあえずは人工的に優秀な軍人となる様に作られた、人間で良いんだよな?」

 

「お兄ちゃんに言わせれば、何をもって人間とするかそれが難しいとか。とりあえず人間と名乗りたければ名乗れば良いんじゃないかな?お兄ちゃんはあんな身体だけど人間を名乗ってるし、アレクシアさんも人間を名乗ってたから良いと思うよ」

 

「じゃあ人間が良い。それでオリジナルと言うのは私の、姉になるのか?」

 

「う~ん、どうだろうね。姉と言えば姉とも言えるけど、母親と言えば母親とも言えるし、とりあえずは血縁関係のどれかになるはず」

 

「え~、前の個体のDNAの9割を利用して産まれたクローンだ。クローンで合ってるよな」

 

「厳密に言えばクローンじゃないけどね。DNAの足りなかった1割は適当に調整されてるし、薬物で色々と身体を弄られてるみたいだから。調整された者で、コーディネーターかな?詳しくはお兄ちゃんやチーフ陣に丸投げだね」

 

「人ごとだからと軽すぎるぞ!!」

 

「人ごとだからね。それに何であろうが、サンクチュアリの皆は気にしないし、ラウラはラウラでしょ」

 

「う、む、そ、そうだな」

 

ラウラが照れて顔を赤くしながら顔を反らすも肯定する。うん、そんなところがかわいいんだよね。だから抱きしめて頬擦りするのもしかたないよね。うん、ラウラが可愛いのが悪いんだよ。だから私は悪く無い。

 

「わっ、こら、止めろ!!」

 

すぐに暴れられて逃げられちゃった。端っこの方で私に対して威嚇している。一度警戒するとしばらくは抱きしめられないんだよね。お兄ちゃんなら捕まえられるんだろうけど、興味ないみたい。

 

「おっと、話が横にそれたけど、大体はそんな感じかな。簡単にまとめるとニコラ達みたいにちょっと特殊な事情があるだけだよ」

 

「「はぁ」」

 

チラチラとラウラの方に視線をやりながら答える二人の目を覗いてみる。そこには珍しい物を見つけて興味津々な子供の目が見えた。やっぱり表面的には見え難いだけで感情豊かだよね。そんな二人にこっそり耳打ちする。

 

「ラウラは私の事しか警戒してないからシャワーを浴びるフリして近づいて隙をうかがうと良いよ」

 

そう言ってラウラから距離を取ると最初は怪しそうに警戒を強めていたんだけど、この距離なら大丈夫だと警戒を解いた所にニコラとニコロがラウラに無表情で飛びかかり抱きしめたり頬擦りをしたりする。いきなりの事態にラウラは混乱して暴れようとするも、力ではニコラ達に敵わずもみくちゃにされた。数分もすると満足したのかラウラを解放する。解放されたラウラは急いで浴場を飛び出して行ってしまった。ああ、これは完全に機嫌を損ねたかな?また今度街でパフェでも食べさせて機嫌を取らないといけないや。

 

「二人とも満足した?」

 

「「うん」」

 

やっぱり表情は変わらないけど、雰囲気で分かる。もしかして表情筋を使ってないから感情を出せないだけなんじゃないかな。私は両手の人差し指を使って唇の端を持ち上げる。ニコラ達はいきなりこんな事をし始めた私を不思議そうな目で見つめてくる。

 

「これから楽しかったり嬉しかった事があったらこうして見て。そうしたら、ちっぽけな事かも知れないけど世界は変わるから」

 

そう言って二人の頭を撫でてあげる。そうすると二人は一度顔を見合わせてからさっきの私みたいに両手の人差し指を使って唇の端を持ち上げた。例え身体が機械になろうともこの子達には心がある。使い捨ての道具だとしてもこの子達は人間だ。担当官やここの人達が人間として扱わないのなら、私が出来る限りこの子達を人間として扱ってあげる。この子達はラウラや、お兄ちゃんの未来の可能性の一つに近い。そんなのは駄目だ。もう私は何も失いたくない。だから、私が守ってみせる。自己満足なのは分かってる。だけど、それでも。

 

 

side out

 

 




なんか色々混ざったけど気にしない方向でお願いします。
半分以上自己満足で書いてるので、気に入らないのならそっとウィンドウを閉じて下さい。
感想で気に入らないとか書かれると結構堪えます。
感じ方なんて人それぞれなのに自分の意見を押し付けるだけの方が多くて。
原作への愛を感じられないとか言われても、人それぞれでしょうに。せめて自分でも作品を書いてから言って欲しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。