最近は暁様のほうで書いている『いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?』の方が忙しくて
side ジェイル
面倒な事態が発生しまくった社会福祉公社との技術交流から一週間が経過した。ニコルの事でユウダイには怒られ、レインと殺りあった事がバレてユウダイとラウの二人に怒られ横ではシャルに泣かれ、社会福祉公社との提携の為の汚い会議を幾つもこなし、サンクチュアリで暴走した部下達に頭を悩ませたりしながらも、なんとか全てを丸く納めて帰国。
帰国後はメールや電話ばかりで直接会っていなかったリリィのご機嫌取りの為にデートをこなしたり、ニコルのメンテナンス用の機材を用意したり、新しい人員の勧誘と面接を行なったり、ADの輸出を楽にする為に新しい携帯端末の会社を立ち上げたり、ジャケットアーマーのテストをしたり、動物型ビットの試作機のAIの慣熟を行なったりと寝る暇もなかったからな。
IS関連の仕事を割り振ろうにもシャルはニコルの面倒を見る必要があって無理だし、ジャケットアーマーはオレしか扱えないし、ラウラは動物型ビットに逃げられてどうしようもなかった。
ようやく落ち着いた今日、オレは自室にいた。1日分の食料を運び込み、入り口に『起こさないで』と書いた紙を貼付け誰も入って来れない様に扉にはロックをかけてから物理的にセンサーを破壊して扉を溶接して携帯端末の電源も全て切って内線のコードも切り館内放送のスピーカーも破壊してベッドに倒れ込む。念のためにネージュの緊急回線だけは開いておく。襲撃とかあったら不味いからな。そして意識を手放した。
side out
side シャルロット
「身体の調子は大丈夫?」
「はい、問題ありません」
問題無いと言うけど、床に大の字で寝転がって言われても説得力が無い。この一週間でニコルも新しい身体になれてきたので恒例の体力測定を行なったのだが、やっぱり本調子とは言えないのか途中でリタイアしてしまった。
「はいはい、嘘の報告は良いから」
う~ん、まだ早かったみたいだね。義体に関する事は他の担当官の人に色々と教わって来たから大丈夫だと思ってたんだけど、やっぱりもう少し身体を動かす事をした方が良いみたいだね。でも楽器の演奏とかは出来ないし、裁縫もそんなに詳しく教えられないし、どうしようかな?
「あれ、シャルロットちゃん、まだここ使ってる?」
入り口の方に顔を向けるとセイヤさんと7人程の職員がボールとワイヤーガンらしき物を持っていた。
「あっ、大丈夫です。それより何かするんですか?」
「お~、ここの所の昼休みに新しい遊びを考えてな。結構面白いんだよ。シャルロットちゃんもやってくかい?」
「新しい遊びですか?」
「百聞は一見にしかず。とりあえず見るが良い。よし、準備しろ」
「「「うぃ~っす」」」
壁のコンソールを操作して今まで出ていた拷も、こほん、特訓器具を収容して重力制御装置が起動する。そして格納庫内が無重力になった所で両端に丸い輪っかが一つずつ現れ、他にも丸い球体がいくつかゆっくりと格納庫内を巡回する。ああ、大体どんな物か分かった。
「まあ見てもらったら分かる通りだな。反則行為はワイヤーガンで相手を直接狙うとか明らかなラフプレイ位で1セット10分で回してる。結構身体を動かす必要があるから訓練にも使えるんじゃないか?」
「そんなに身体を動かすんですか?」
「無重力下でワイヤーガンと浮いてる球体を足場にするだけだと目的の場所に行けないから能動的質量移動姿勢制御を行なう必要があるし」
「能動的……」
「能動的質量移動姿勢制御、言い難かったらアンバックで良いよ。ISでも手足を振って向きを変えたりするアレの事」
「ああ、アレってそんな名前があったんですか」
「あんまり知ってる奴は多くないけどね。ISの教本にも書いてないし」
そう言ってセイヤさんが手本を見せてくれた。ああ、確かに自分でもやってるや、アンバック。というかアレクシアさんに一番最初に叩き込まれた。
それにしてもこれはニコルの訓練に良いかも知れないね。
「ニコル、動けそう?」
「……この状況下なら可能」
まあ無重力だからね。
「2分だけ下さい。ニコルに無重力下での動き方だけ教えてあげたいので」
「ニコルちゃんも参加と。それじゃあオレ達は端っこで準備運動してるから。あと、これが専用のワイヤーガンね」
二人分のワイヤーガンを借りて適当に使ってみる。引き金を引くと先端の吸盤が飛び出し、普通の銃の撃鉄部分にあるボタンを押すと巻き取りが行われる。これを格納庫の壁や浮いている球体に引っ付けて巻き取り時の力をアンバックを利用して好きな方向に移動する。
球体はビットの一種みたいでプログラム通りの軌道を通る様になっていた。頑丈だからこれを蹴ったりして移動も出来そうだ。ニコルはほとんど力が入っていないけど、それが逆に功を制しているのかスルスルと移動している。
「おぅおぅ、二人とも上手いもんだな」
セイヤさん達の準備も終わったのか皆宙に浮いている。
「とりあえずシャルちゃん達はソフト&機体班チームね。対するはオレ達武装&マテリアルチーム」
ちなみにマテリアル班は最近新しく出来た班で機体班と武装班から装甲とかの研究をしていた人達が分離した班のことだよ。チーフは居ないから機体班と武装班の下部班って所かな?人数が足りなかったら元の班の手伝いもしてるし。
「この人とあの人とそこの人と私が味方で残りが敵チームね」
ニコルに敵味方を教えておく。まだ会ってない人が居るから作業班で言われても分からないからね。
「分かった。何をすれば良い?」
「あのボールを向こう側の輪っかを通る様に投げれば良いんだよ」
「狙えなければ?」
「その時は味方がキャッチ出来る様に投げれば良いんだ。敵が持ってたら投げた時に無理矢理キャッチすれば良いんだ。それで10分以内に敵側の輪っかに何回ボールを通す事が出来るか競うんだよ」
「分かった、やってみる」
そう言うとニコルは開始の合図がある前にボールをキャッチし、全力で投球した。そして地獄が始まる。まずはニコルが反動の事を考えずに投げた事で変な方向に流されて浮いていたビットに頭部を強打して気絶する。そしてボールが壁やビットに命中して跳弾する。義体のフルパワーは重機を転倒させる事も可能な程だ。そのフルパワーで投げられたボールは無重力下という環境によって凶器と化す。
「えっ、ちょっ、待っ!?」
「マック!?」
マテリアル班のマックにボールが命中してマックも跳ね回る。そこからは語る事も出来ない程酷いものだった。私は次々に増えていく球を回避しながら壁のコンソールを操作して徐々に重力を元に戻していった。最終的に生き残ったのは私とセイヤさんの二人だけだった。
「私、知~らない」
私はニコルを抱えて格納庫から逃げ出した。
「オレも知~らな「いで済むと思ってるのか?セイヤ」げっ、ユウダイ!?」
「何か悲鳴が聞こえると思ったらなんだこの有様は?」
「いや、これは、その、ほら」
「とっとと手当てを施して報告書の提出をしろ!!」
「了解!!」
後ろの方でユウダイさんの怒鳴り声が聞こえてきたけど聞こえないフリをしてニコルをニコルの部屋に運び込む。ごめんねセイヤさん、今度差し入れを持っていくから許してね。
side out
side ラウラ
「むぅ~、やはりぶれるな。もう少し電圧を上げれないか?」
「電力が足りなくなる」
言葉少なく答えるのは武装班のチーフであるイルヴァだ。私はイルヴァに試射している銃の感想を言う。
「だが、そうしなければ今までのアサルトレールガンの様な精密射撃が出来なくなる。威力の方は問題無いのだろうが。電圧を上げられないのなら火薬の量を減らすしかないぞ」
「マテリアル班に依頼しておく」
「そうか」
構えていた試作の武装であるバーストレールガンをコンテナに戻す。今日はイタリアに行っていた間に完成した試作武装のテストを行っている。機体は私専用にカスタマイズしたADで傍らに置くコンテナには試作武装が満載されている。
先程使っていたバーストレールガンはサンクチュアリでは一般的なレールガンを電磁力だけでなく通常の火器と同じく火薬も使用して威力を高めるという物だ。そして確かに威力は上がったがレールガンに比べると反動が大きくなりすぎてしまったのだ。まあサンクチュアリに来るまでなら気にもならない位の反動なのだが、レールガンに慣れてしまっていると気になるのだ。
ちなみにサンクチュアリ製のISとADには射撃管制プログラムが搭載されていない。訓練でどうとでもなる反動によるブレを少なくする事にCPUを回す位なら何か特殊装置を詰んでそっちに割り振った方が良いと言う私のオリジナルの発言からそうなっている。
その為に所長もシャルロットもかなりの量を撃ちまくっている。そして私も1ヶ月で7000万発以上もの弾丸を撃ち続けた。一日辺り250万発程だな。おかげで射撃の腕やリロードの速度が上がるどころか、腕を動かす事すら面倒になりマガジン内に直接弾丸を量子領域から装填出来る様になってしまった。最後の方はただ引き金を引くだけの人形の様だった気がする。あまり最後の方を覚えてないから何も言えないが、確かそんな感じだったはず。
気を取り直して次はかなり大型の剣を構える。ADの全長よりも大きなそれを肩に担ぐ。結構重いな。そのまま振り回して見るが、少しでも気を抜けば手放してしまいそうになる。
「これはどんな武器なんだ?重いしデカイし使い難いんだが」
「待って。ヒット時に刀身内部に仕込まれた指向性爆薬が対象を粉々に吹き飛ばす使い捨ての武器だって」
「はあ!?」
驚いて剣がすっぽ抜けてしまい壁に回転しながら飛んでいく。そして壁にぶつかると同時に爆発が壁を抉っていった。指向性の名の通り、まるで斬撃で抉られた様にだ。まあ剣自体も柄を残して無くなっていたがな。
「危な過ぎて使えないぞ、これは。絶対防御をいくらか抜ける」
「火薬の量を調整っと」
隣では何事も無かった様にイルヴァが試作武装に点数を付けている。何でもこの点数によって製作者に更なる追加予算が下りるのだそうだ。
「次はこれ」
そう言って渡されるのは棘付きの鉄球に鎖が繋がっている、確かモーニングスターとか言う武器だったかな?
「今度も爆発するのか?」
「鉄球にブースターが着いているだけ。ちゃんと目標に向かって飛んでいくか確認して欲しい」
「分かった」
ターゲットとして用意されているコンテナに向かって鎖を振り回して遠心力を使って鉄球部分を投げつける。使った事が無い武器なので狙いが多少それてしまったが自動でブースターが起動して軌道を修正し、コンテナのど真ん中に命中する。そして手元に引き戻そうと引っ張ると、今度は私に向かってブースターを使って飛んで来た。
「ふん!!」
鎖を手放して鉄球を両手で掴み取り、ブースターを握りつぶす。
「思考制御出来る様に仕様変更」
「鉄球をぶつけると見せかけて鎖で拘束出来る様になれば面白そうだが、もう少し鎖の長さも考えて欲しいな。準備に時間がかかる」
「分かった。次はこれ」
指定された武装は盾の様な物で右腕に装着される。武装の情報を見ると、明らかに武装としては失敗作に見える。まずは盾になる部分に仕込まれている16連ビーム砲。火力はそこまで無いが面制圧では圧倒的な強さを見せる。だが本来の盾として強度が問題視される。
続いて側面部に装着されたパイルバンカー。ターゲットであるコンテナに接近して撃ち込む。パイルバンカーの炸薬がかなり多かったのか反動で私の肩が脱臼を起こす。更には盾自体が持たずに砕け散る。私は痛みに耐えながら右肩を嵌め直す。
「あとでこれを作った奴を教えろ。ついでに覚悟しておけと連絡しておいてくれ」
「作ったのはセイヤ。ロマンを求めて火薬だけでパイルバンカーの威力を最強にしようとしたみたい。レールガンの技術を使えば簡単なのに」
「またあいつか!!今日と言う今日は引導を渡してくれる!!」
「殺しちゃ駄目、アレでも役に立つ」
確かに役には立つ。シャルロットのエール・ド・ラ・リュミエールやボヌゥールの重力制御装置はあいつが手がけた物だ。ネージュのジャケットアーマーの基礎フレームもあいつが作ってたはずだ。
だが、その成功作の為に何百と言う失敗作を造り出し被害を出している。おかげで借金が増え続けており、現在の所10年はただ働きになる計算だ。これからも借金は膨らんでいくだろう。
「それより肩」
「これ位なら少しすれば治る。さすがに所長程の回復力は無いが、私にも治療用のナノマシンが投与されているからな」
既に沈痛作用が働いて痛みは感じない。治療の方も徐々に行われているのか少し熱を持っているが許容範囲内だ。
「駄目、無理させると皆に怒られる。今日はここまで」
確かにそうだな。所長の様に包囲されての説教は辛いものがあるからな。しかしそうなると時間が空く事になるな。街に行く程の時間がある訳でもないし、訓練系統が全て駄目になるとやる事が無いな。さて、何をしようか。
「イルヴァはこれから何をするんだ?」
「今までの評価は済んでるから、部屋でユウダイに借りた動画を見る。一緒に見る?」
「ユウダイに借りた動画?」
「新しい武装の参考にして欲しいって自分で編集した物」
「ふむ、興味深い。邪魔でなければ見させて欲しい」
「じゃあ行こ」
試射場の片付けを済ませてイルヴァの部屋に招かれる。内装は想像していた物とは大分違った。所狭しと大量のぬいぐるみが置かれ、レースやフリル満載の服を着せられている。
ちなみにいつものイルヴァの服装は作業服か白衣かスーツかジャージのどれかだ。この差は一体何なんだろうな。ちなみにぬいぐるみに名前を付けていたのだが、歴史的な狂人や殺人鬼や暴君の名前ばかりだった。なんなんだろうなこのギャップは。
「ここ」
そう言って自分が座っているベッドの横を叩く。つまりはそこに座れと言う事だな。それにしてもいつの間にか作業服を脱ぎ捨てて下着姿になっている。上は付けていなくて下だけだ。体格が似ている私もそうだ。リラックスするならやはり開放的な姿の方が良いな。
とは言っても私はISスーツを着ているから脱ぐと丸裸だ。さすがに他人のいる前でそれはどうだろうか?私は気にしないし、イルヴァも気にしないだろう。だが、シャルロットにはしたないと怒られたしな。でも今日はもうオフだし、ニコルの事でシャルロットは忙しいだろうからバレる事は無いだろう。
うむ、脱ぐか。まあイルヴァが嫌かも知れないので上半身を解放するだけだが、密着感が無くなり楽になる。
「準備出来た」
そして動画が再生される。動画はかなり古い物と思われるロボットアニメから最新のロボットゲームまで様々な物の中で再現出来そうな武装が使われているシーンを集めた物だった。更には分かり難い部分に説明が入ったりもする。時にイルヴァから意見を求められ、私からも意見を求める。
「余剰エネルギーを使ってピンポイントに力場を発生させ、それを攻撃にも転用するなど可能なのか?」
「ピンポイントに力場を発生させるのは可能。だけど、余剰エネルギーだけでは無理。攻撃に転用するにしてもエネルギーをそのままにしておくよりも電気に変換した方が有用」
「しかし、電気に変換するのならその部分の装甲を厳選する必要がある上に破損などによっては感電する恐れがある。ここはやはり防御用と割り切った方が良いな」
「ノウハウが貯まれば改良してみる」
「個人的にはあのアンカーが欲しいな。移動に拘束、攻撃にも使える。万能兵器と言っても良いな」
「だけどアレは一度射出したらもう一度巻き取らないと撃てない」
「ならその分数を用意すれば良い。薄い物だから重ねても問題無いはずだ」
「ちょっと強度が気になる。だけど検討してみる」
「それにしても凄い作品の量だな」
「ほとんどが日本の物」
「興味深いな。一度は行ってみたいな」
「所長はIS学園に行くつもりみたいだから護衛として行ける」
「所長が?ああ、また自分を囮にするのか」
「自分を囮にして裏では着々と反乱の準備をしてる。楽しみ」
「その分私は苦労しそうだな」
「頑張って」
「所長に聞いたのだが、計画初期の戦艦の製造を行って所員全員を目の届く範囲に置いておきたいとか愚痴をこぼしていたぞ。IS学園に行くまでに完成したら道連れだな」
「……頑張る」
たぶん、所長なら寮には住まずに戦艦の個室で暮らすだろうな。いつでもセイヤ達の暴走を止めれる様に。まあ、暴走癖はここの殆どの職員が持ってるからな。
その日は結局夕食後もイルヴァの部屋に入り浸り、そのまま泊まって行った。イルヴァも私と同じく寝る時は何も着ない派だった。
side out