吹雪は曙を曳航しながら鎮守府に帰投した。
埠頭には護衛艦あけぼのと救急車が止まっていた。
吹雪は桟橋から陸に上がり、曙を引き上げた。
「吹雪・・・。」
青葉(明人)は吹雪をじっと観ていた。
「明人さん、貴女、弾薬の節約という理屈を使って私達を轟沈させようとしましたよね?」
「そんなことは無「私達の命よりも弾薬の方が大切なんですね。」」
吹雪は青葉(明人)を怒りの目で見ていた。
「旗艦って良いですよねー。私達に指示を出して、轟沈させたり、助けたりするのも自由ですからねー。」
その時、青葉(明人)の何かがプチッと切れた。
「黙って聞いてりゃグチグチ言いやがって・・・。あ?あんたに旗艦の大変さが分かんのか?唯でさえ護衛艦は消費する弾薬数が多くて提督からあんまり撃つなと言われているんだぞ?その状態で少しでも多く撃ったら罰せられる、敵を撤退させなかったら罰せられる!それに『あけぼの』の曳航もしなくちゃいけない、その時、吹雪は無傷、私が小破、曙が中破だった。その状態になっている時、あれが1番ベストな指示だったんだ!旗艦もやった事がない癖に文句言ってんじゃね!そんなに文句を言うならお前が旗艦やれ!」
青葉(明人)は怒鳴ると寮に早歩きで行ってしまった。
「吹雪・・・。」
曙は吹雪を見た。吹雪は下を向いていた。
バァン!!!
青葉(明人)は部屋のドアを思いっきり閉めた。青葉は外出中で居なかった。青葉(明人)はベッドの上に座り、泣き始めた。
「私だって・・・、あんな指示を出したくて出したんじゃないのに・・・。」
そして、青葉(明人)はベッドに潜り込んだ。
ー2016年ー
ー03月26日ー
ー19時30分ー
「アキ、夕「嫌だ。」」
青葉が心配して青葉(明人)に問いかける。
「ねえ、お風呂入りましょ「嫌だ」」
「モンハンやりま「嫌だ」」
「ジパングごっこしま「嫌だ!」」
何を言っても青葉(明人)は『嫌だ』しか言わない。
青葉(明人)の声はは毛布の中から聞こえる。
「もういいよ。艦娘疲れた。実家に帰る。学校も辞める。那珂ちゃんのファンやめる。一人にして。」
「どうしたんですか?アキらしくないですよ。」
青葉は暫く考え、言った。
「分かりました。私は空いている部屋で寝ます。電気、豆電球に変えときますね。お休みなさい。」
パタン
青葉は部屋から出ていった。
青葉(明人)だけいる部屋はオレンジ色の豆電球で照らされいて、いつも寮中から聞こえる艦娘達の騒ぎ声すら聞こえなかった。
聞こえていたのは海岸線を通る国道の車の走行音と埠頭に打ち付ける波の音だけだった。その音は今日に限って寂しいように聞こえた。