部長を待つにあたって。ここで我が発見部の紹介をさせて頂こうと思う。しかし残念ながらこの部の趣旨を僕にはあまりよくわかってないのだ(たぶん立ち上げた本人にも良くわかってない)。ちなみに現在の部員数はたった3名(幽霊部員1人のオマケ付き)もちろんあと部員二名は部長と僕だ。それでも部として成り立っているのはきっとなまじ生徒会長である部長が権限(コネ)を使ったに違いない。
「さて、三時十二分…」
ちなみに待ち合わせ時間は二時だ。いい加減帰ろうかな…と、わりと本気で思い始めた頃。
「だーれだ?」
と恋人和気藹々な感じに目隠しやがったので僕は得意な裏拳をかましてやった。すると手に何かを殴った手ごたえのようなものと、後ろでお腹を押さえて地面に膝を付く部長。ついカっとなって殺った。だが後悔はしていない。むしろとても清々しい気分だった。まるで日頃の鬱憤が解消されているような気分だ。
「なるほど。これが自由というやつか」
「いきなり殴る事はないよね!? っていうか私に何か言う事はないかな?」
ジト目でそう言ってくる部長。はあ、 部長に言う事ですか? いっぱいあるんですが、そうですね。
「頑丈ですね、部長」
「…もういいよ。っと、そろそろ行こっか」
「そうですね」
少女移動中(笑)
そんなわけでやって来ました噂の博麗神社。といっても作りは至って普通の神社。まぁ、実物で神社というものを見た事は数えるぐらいしかないし、あまりちゃんと見たことはないのであくまで遠目で眺めて『それっぽい』と思った感想である。感想としては到って普通の一言に尽きた。神隠し幽霊が出ると騒いでいるわりには案外拍子抜けである。
「うーん。どう見ても普通だよねー。やっぱガセだったのかな」
やっぱりとはなんだこの野郎というツッコミをいちいちしていたらこちらが疲れるので寸での所で飲み込んだ。
「とりあえず活動報告として写真撮っておきますか?」
「ん、それもそうだね。頼んだ。……ところで赤梨くん」
「はい。何ですか?」
「この神社を見ての感想は?」
「普通…ですかね」
「そうか」
「でも」
ポケットから携帯端末を取り出しカメラモードに設定すると、部長がいつになく真剣な顔で聞いて来たので。僕はいつものようにちゃかす事はせず、この神社に訪れてからの“違和感”について答えた。(どちらかというとここでボケたら殺されるかと思ったので控えさせてもらった次第である。タイミングと空気を読むことって大切だよね。みんなも気をつけよう!)
「入口に立ち入ら禁止って看板ありましたよね? そのわりには、少し綺麗過ぎると思いませんか? まるで誰かが“毎日掃除している”かのようです」
「…確かに綺麗だね」
「それから…さっきから気になっていたんですが。この神社に入ってから、ずっとあそこから誰かの視線を感じます」
そう言って僕は何もない空間を指さす。
「視線? そこには誰も居なけど?」
「はい。ですからもしかしたら幽霊かもしれませんね。良かったじゃないですか(棒読みである)」
「うっわ…。超興味無さそうな顔だね」
「実際、興味無いですし。というか。幽霊が居たって、僕は対して困りませんから」
かといっても、呪われたり取り憑かれるのは流石に遠慮するが。僕にとって、迷惑さえ掛けなければなんだっていいのだ。他人がどうこうなったとしても僕には関係ない。それこそ他人事なのだから。
「キミってさ。何処でも生きていけそうな気がするよ」
「ありがとうございます」
「いや、褒めてないから」
「可愛い部員の心を玩ぶなんてひどいいですよ部長」
「キミそんなキャラじゃないよね? っていうかどちらかというと弄ばれているのは私だし!」
「被害妄想激しいですね部長」
「ケンカ売ってるのかなぁ? ねぇ売ってるの? 買うよ?」
「あ、近づかないで下さい。妄想が伝染(う)つります」
「どういう事だろう!? 私にはキミの言ってることが理解できないよ! というかそもそも妄想って伝染するの!?」
「稀に思春期と共にやってくる厨二病が進行した心病の一種である。また妄想症候群(MS)と形容され、特に高校高学年に発病しやすい。MSを発病すると実際の現実とは違ったいわゆる”自分だけの現実”を持ち、やがて現実と妄想の境目が視覚出来なくなり区別する事も困難になる。周りからはまるで見てはいけないものや同情するようなどこか暖かい目で見られる事になる。離れてても皆あたたかく見守ってくれてるよ。やったね部長」
「なんだかよくわからないけど馬鹿にしているという事はだけは伝わった。よし。私は今からキミを殴る。大丈夫。心配しないで。殴るのは右頬だけにするから」
「よし。じゃあ僕は部長の左頬を殴ろう!」
「なんで!? わけがわからないよ!」
「わけがわからないよ…ぷ」
「笑うな!」
「HAHAHA。もう冗談ですよ。このくらいの冗談で怒るなんて…。さっすが部長私達が出来ないことを平然とやってのけるぜ。そこに痺れるあこが『そのネタは危険だからやめようッ!』」
――ヴゥン…
といつものようにギャグめいた雑談をしていると一方手前の地面に大きな裂け目が現れた。近付いて覗いて見ると真っ暗な空間に色とりどりの目玉がギョロギョロと犇めいていた。しかも悪趣味なことに、その隙間の端々には赤いリボンで飾られている。……もしアレが今回の噂の種だとして、しかしあれは幽霊と形容していいものなのか?
「さて。もう夕方ですし。超帰りましょうか」
「はい待とうね赤梨くん。…ってうわ、心底面倒くさそうな顔しないでよ」
「だってそれってあれでしょう? 押しちゃダメなボタン的なポジションのヤツでしょう? いやですよ。部長はともかく、僕に何かあったらどうするんですか」
「そういう時って普通は押すものって知らなかったの? って事でレッツゴー♪」
話を聞かない部長なんて大嫌いだ。腕を拘束され逃げようにも逃げられず。そして間もなくあの怪しげな裂け目に落ちていくのであった。落ちて行く裂け目の中で、もし無事に帰える事が出来たら不思議発見部をやめようと決心するのだった。
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!