なので、3/22現在では
・マシュ ・アルトリア ・マルタ ・エリザベート
・綺羅星(レオニダス・黒ひげ・アステリオス)
・バレンタインガチャ負の遺産(荊軻・ブーディカ・エウリュアレ)
となります。更新に応じて適宜追加予定。謎のヒロインXは……何だろうね……?
……翌朝。
「ひとのものをとったら! どろぼう!」
フランスの大気を、先輩……ぐだ子の叫びが震わせる。
考えてみれば既に色々おかしかったのだ、とマシュは改めて思う。ぐだ子の契約するサーヴァントは既に十を数える。召喚サークルの確立していない状況でこそ呼び出せなかったものの、霊脈を見つけた今なおエリザベート・バートリーと聖女マルタが召喚不可なのは、明らかに異常な事態だった。
(まさか、こんなことになっていたなんて)
霊脈のそばで一夜を明かした明け方に、襲撃者は竜に騎乗してやってきた。すなわち、ドラゴンライダー。そんな英霊は、人類史上でも数えるほどしか存在しない。
「『汝盗むなかれ』……その通りですね、『別の私』のマスター・ぐだ子。このような形で対面するのは、とても残念に思います」
「マルタさん! なぜ貴女が敵に!?」
「マシュ、貴女も元気そうですね。……私もまた、この時代に召喚されたのですよ。貴女方の敵対する、あの壊れた聖女ジャンヌ・ダルクのサーヴァントとして」
「じゃあ、先輩が貴女を召喚できなかったのは」
「存在が重複するからでしょうね。……特異点においては、先に召喚された者と同一のサーヴァントを後から持ち込むことは出来ないのかもしれません。自分対自分が頻発するなんて、悪夢以外の何物でもないでしょう? あのジャンヌ・ダルクのように別の側面を呼んだなら、話は違うのでしょうが」
「わたしたちと一緒に戦ってはいただけませんか! マルタさん!」
「残念ですが……今の私は、狂化を付与されています。こうして理性を保ちながらお話するのが精一杯。悔しいけれど、陣営を違える貴女方を見逃すことも難しいでしょう」
「マルタ。やるしかないってこと?」
「はい、ぐだ子。ふふ、聖女の誓いを守る私は、マスターとしての貴女にこの拳を披露する機会もありませんでしたね。今の私は狂ったサーヴァント。在りし日の誓いもまた、理性と共に遠く、遠く。でも、この特異点に貴女がいるのなら。私の祈りだけは、まだ……」
「そうか……みんな、構えて」
「はい、先輩……マシュ・キリエライト、対サーヴァント戦闘に入ります!」
一斉に武器を構える圧倒的多勢のサーヴァント達を前に、なおも穏やかな表情を崩さないバーサーク・ライダー。もちろん、それが虚勢でないことを、彼女を知る者なら皆よく知っている。
「では、こちらも……さあ出番ですよ、愛を知らない悲しき竜……タラスク!」
巨竜が。かつて数多の勇士を喰らい、聖女の祈りによってのみ調伏されたという古の大鉄甲竜が、その姿を表す。その威容は、これまで戦ってきたワイバーンたちとは比較にもならない。
「……戦う前に一個だけ教えて。黒ジャンヌは、どんなサーヴァントでも狂化付与できるの?」
「おそらくは。彼女の持つ偽なる聖杯の力でしょう」
「そっか。じゃあ、絶対に黒ジャンヌを倒して、どうやるのか教えてもらわなきゃな。そんなのは私だけの秘密にして、種火周回の時だけ全体宝具持ちを
「ふふ、誰も人を傷つけない、素敵な使い方ですね。それに、あの金腕たちを一掃できるのならばタラスクも喜ぶでしょう。……さて。どこまで本気かは知りませんが、良い気概を見せてもらいました。あとは拳で語り合うとしましょう。見事このマルタの屍を乗り越え、あの黒い聖女を打ち倒して見せなさい!」
……数刻の後。激戦を経てバーサーク・ライダーは消滅した。黒いジャンヌの切り札である究極の竜種の存在と、それに対抗できる竜殺しの英雄の存在を示唆して。
新たなる目的地は、リヨン。
おそらく、他のサーヴァント達もこの大地に召喚されているのだろう。未だ召喚できない槍兵エリザベート・バートリーも、きっと。
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「敵サーヴァント、未だ距離を維持してこちらを追走中……いや、近づいているぞ!」
「引き続き解析を頼みますッ……メドゥーサ、まだ行けるか!?」
「走るだけならば。振り切るのは難しいでしょう」
全力逃走中のはずが、いつしか敵に追いこまれようとしている。メドゥーサは速度を落とさぬまま、素早く周囲の地形を探知して逃走経路を選んでいく。平野の多いフランスであるから辛うじて速度の出せる地形を選べているが、森や街に突き当たったらすぐに追いつかれるだろう。
「ちょっといい? 追跡者は徒歩かしら? それとも何かに騎乗している?」
「徒歩だよ! いったい何なんだあのスピード! オリンピックもビックリだ!」
「そう。……マスター、
「知っているのか、メディア!」
「ええ。おそらく追手は、かつて私と同じ船に乗っていた者。婚姻を望む男たちを、その俊足で片端からねじ伏せ続けた女……真名をアタランテ」
「黒ジャンヌの後ろにいたあの女狩人か! 同じ船、つまりアルゴナウタイだって……?」
「獲物を追う戦いにおいて、彼女の真価は最も発揮される。このままでは森の獣同様、狩り殺されるのを待つだけよ」
マスター……ヒッポノオスとメディアが、追手の正体について検討している。メドゥーサはメディアに比べて古い時代の存在で、アタランテという英雄を直接知るわけではない。だが、メディアと共にアルゴー号の冒険を果たした英雄であるなら、相手もこちらを知っているということだ。
「そうね。向こうも私を知っている以上、容易に魔術戦に持ち込ませてはくれないでしょう」
「石化の魔眼による足止めは?」
「こちらの視界より、向こうの射程のほうが長いでしょうね」
「くっ、どうしたものかな……」
「検討中に悪いが、前方にワイバーンだ! このまま進むと挟み撃ちになるぞ!」
「ありがとうございます、ドクター! ……ここで迎撃するしかないか。メディア、長距離射程の攻撃魔術と、メドゥーサに身体強化の準備を。メドゥーサはペガサス召喚の準備。こちらから一気に間合いを詰めて、近接戦でケリを付ける!」
足を止めて十秒も立たない内に、その気配はやって来た。いや、気配より先に、無数に飛来する矢の雨が。
「狙いも付けずに乱れ撃っても、そう当たりなどしませんよ!」
一人の弓から放たれたとは思えないほどの矢の嵐とはいえ、未だ牽制にすぎないのか、着弾地点の間には辛うじて隙間がある。それを縫うように駆け回り、なお近づきつつある相手の位置をメドゥーサが捉えた瞬間。
「この災厄を捧がん――二大神に奉る!
敵の宝具の発動。一瞬にして矢が天を覆い尽くし、大地を埋め尽くさんばかりに降り注ぎ。
「あ――」
身を挺してマスターをかばうメドゥーサとメディアは、ヒッポノオスの目から光が失われるのを見る。そして、一瞬の後。
「訴状の矢文――二大神に奉るだと!? あれは……あれは! かつてニオベの子らを尽く射殺した
己のマスターが真に激昂する姿を、そのサーヴァント達は初めて知った。
「令呪を以って命じる……あの女を生かして返すな! 宝具の開帳も許可する! 絶対に殺せ!」
◆
メドゥーサは、怠惰な……柔らかく言えば面倒くさがりな性格である。
できることなら何もせずに日々が過ぎれば良いと考える彼女の思考が、平穏を保てなかった在りし日の故郷『形なき島』に由来するものであるかを知る術はないが……あるいは、彼女を象徴する動物=蛇のごとく、動かざるを良しとするためかもしれない。
蛇が活発に動き回らないのは、それが変温動物であるからか、食べ物の消化に時間がかかるからか、あるいは獲物を待ち伏せするのに都合が良いからか……いずれにせよ、動かない方が良いときがあるからであろう。
繰り返しになるが、メドゥーサは怠惰で……そう、今日と同じ明日が続くことをこそ望む。
それゆえ、彼女が自ら余計な口出しをすることは少ない。
いつだって、藪をつつくのは蛇ではなく人間なのだから。
だから彼女は、自分の持つ「ある宝具」の真名を、これまで己の主に伝えていなかった。というよりも、主であるヒッポノオス自身が聞こうとしなかった。聞くまでもないと思ったからだろうと、メドゥーサは考えている。
その宝具の名を、『騎英の手綱』という。騎英とは、かつてペガサスに乗ってキマイラ殺しの偉業を成し遂げた英雄のこと。メドゥーサは彼の武勇譚を手綱を通じて借り受けているにすぎない。
つまり、メドゥーサの主たるヒッポノオスは、その黄金の手綱のことを彼女本人よりもずっとよく知っているのだ。
……だが、その宝具を
否、
違う。
違うのだ。
その宝具の名は、
在りし日のベレロポンとは別人の名前であり、しかし同時に、間違いなく騎英の英雄の名前であった。
ベルレフォーンとは誰か。メドゥーサは
(……容姿が、ワカメ。性格も……ワカメ。全てが……ワカメ……!)
なんという傲慢な英雄であっただろうか。己に神の国へ入る資格があると豪語し、墜落し、なお反省せぬ男。しかし、彼はそれでも必要な存在だった。
なぜなら……ホントウの騎英の英雄が、座に来ることを拒んだからだ。
ベレロポンは何らかの方法で――神の裁断の矛盾を付いたのだと知ったのは、ごくごく最近のことだ――「座」に昇らないことを選んだ。しかし、騎英の英雄の存在を忘れ去るには、その乗騎……すなわちペガサスは有名になりすぎた。人々の信仰を浴びすぎた。今更その伝説の
そして、新たな英雄が生まれた。
人々が語り継ぎ信じた通りの、傲慢なるペガサス乗りの英雄……ベルレフォーンが。
世界は神をも畏れぬ世捨て人ベレロポンの名を忘れ、代わりにベルレフォーンの名を刻んだ。
ゆえに。ゆえに、その宝具の名は騎英の手綱<ベルレフォーン>。
嗚呼。すべてを投げ捨てて只人としての死を選んだベレロポンが、そのまま冥界に留まったなら万事が上手く行っただろう。しかし、彼は転生してしまった。新たな肉体にその魂を宿し、あろうことか、『騎英の手綱』をもつサーヴァント・メドゥーサを召喚してしまった。
もはや、世界の欺瞞は破れた。メドゥーサが自身の宝具の真名を解放した瞬間、ヒッポノオスは全てを悟るだろう。英雄ベレロポンの末期の決断が、ベレロポンという英雄の存在そのものを亡き者にしたのだと。
……それでも。それでも、とメドゥーサは思う。
ヒッポノオスならば。今日まで幾許かの時間を共にしてきた己の主ならば、この不細工な真実を受け入れられるのではないか、と。
今更、
だが、ベレロポンではなくヒッポノオスならば……再び一人の人間として未来を救うグランドオーダーに身を投じる彼ならば、過去を受け入れながら未来に進むことが出来るのではないか。
……それが結論。内なる魔力の滾りを解放し、メドゥーサは自身の仔ペガサスを召喚する。
ペガサスが駆ける先にいるのは、マスターの過去の後悔だ。
子を殺された。だから、怒り猛る。それは正しい感情だ。だが、それに囚われ続けてはいけない。なぜなら、怒りのままに暴虐を振るう者は報いを受けるからだ。かつてトロイアの英雄ヘクトールの遺体を冒涜したアキレウスのように。
……マスターはまだ未熟だ。だから、もう少し見守ろうと思う。
いつか人類により良い未来を取り戻すまで。まずは、過去に向き合うところから。
「優しく蹴散らしてあげましょう――――
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「マルタ、そしてアタランテが消滅しましたか。口ほどにもない……」
黒い聖女は悪態をつきながら、聖杯の元へと向かう。
新たなる手駒を召喚し、邪魔者たちを排除せねばならない。
「さあ、来なさい!」
聖杯が光に満ち、再びサーヴァントを招く。その姿を見て……黒い聖女は笑い出した。
「あはは、あはははは! 何よ、何なのよ、貴方! その顔は!」
「……ランサーだ。俺の顔に、何か?」
「……だって貴方……
「……?」
「はぁっ、はぁ、駄目、もう、笑いすぎて死んでしまいそう! ねえ、真名を貴方の口から聞かせてくれないかしら?」
「アンタ、ルーラーだろ? そんな必要無いだろうに」
「いいから! 早く!」
「……ランサーのサーヴァント、
「ええ! ええ! 最高よ、最ッ高! まさか、ご同類に会えるとは思わなかったもの!」
「あぁ?」
「偽物は殺さなきゃいけないでしょう……私も、貴方も!」
・オリ鯖登場。もう黒聖杯の泥めいて真っ黒だぜ!
……まじめに言えば、ベルレフォーンが仲間になったり1章以外に登場したりはしないので、黒ジャンヌと絡めるためのイベント戦闘用オリ敵だと思ってご勘弁いただければ……
・マルタさん退場。チュートリアルガチャで作者のカルデアにやって来た彼女は最速で最終再臨を終え、耐久力の高さもあって敵クラスにメタ貼れない時は「等倍? とりあえずマルタ!」していた程の愛着あるサーヴァントです。お月見でも登場させたい。というか、そこまで続けたい。
・アタランテちゃん退場。「言葉を交わさず退場」したので、彼女の考えや聖杯に託す願いをヒッポノオスが知るのは3章で仲間として再登場してからになります。敵とは言っても一方的な断罪は駄目! 絶対!
・>……特異点においては、先に召喚された者と同一のサーヴァントを後から持ち込むことは出来ないのかもしれません。
→捏造設定。
・>自分対自分が頻発するなんて、悪夢以外の何物でもないでしょう?
→(作者にとって)悪夢以外の何物でもないでしょう?