ボッチな僕が異世界最強です   作:カムクライズル

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今日、僕は死んだ。普通の交通事故で。

 

 

そして閻魔のいる地獄へ向かうのだと思っていた。だが違った。

 

 

目を開くと真っ白な空間が視界に映る。ここが死後の世界だと勘違いしそうな時、前から眩いばかりの光が起こったので、反射的に目を閉じた。

 

 

「あなたが神崎仁さんですか?」

 

 

誰もいない空間に女性の声が聞こえる。目を開けると、そこには露出度の高い白い服を着ていて、背中に大きな翼を生やしている、ピンク色の髪の色をした美女がいた。

 

 

「ああ」

 

 

「私は女神ミュランという者です。」

 

 

こいつが女神だとかは納得はしたが、未だにこの状況には慣れそうにない。まず女性と1対1という状況が無理だ。女性は男よりも姑息でいやらしいから。

 

 

「神崎さん、あなたは女神である私のせいで死んでしまいました。」

 

 

ミュランは頭を深々と下げ、数秒ほど経って頭を上げた。目には涙が浮かんでいる。だが嘘泣きなのが分かりや過ぎる。泣けば許して貰えるという、浅ましい考えが隠しきれてない。

 

 

「これであなたが許すとは思いません。」

 

 

言葉ではなんでも言える。まず本気で謝っても、許す気は一ミリも持ち合わせていないけどね。

 

 

「なので私はあなたに、異世界への転生、能力を渡そうと思っています。」

 

 

異世界への転生と能力。まるでライトノベルの小説だ。そして異世界に行くことで1人で過ごせるかもいれない。悪くない。

 

 

「じゃそれで。」

 

 

ミュランの顔は泣き顔から笑顔へと早変わりし「はいっ!」と答える。やはり嘘泣きだった。僕のイライラは顔には出ないが、心の中で怒りという感情が噴出している。

 

 

ミュランはそんなことにも気づかずに、右手に杖を出現させ、呪文を唱え始めると、僕を中心に魔法陣が出現し、唱え終えると魔法陣は僕から消滅した。

 

 

スキル『魂狩り』を取得しました。

 

 

とどこからともなく声が聞こえた。

 

 

「このスキルの能力を調べるにはどうしたらいい?」

 

 

「はい、ステータスやスキルなどは念じることで確認することができます。」

 

 

ステータスを表示するために、頭の中で念じてみたところ、目の前に文字が表示された。

 

 

◆〈神崎仁〉◆

種族:人間

年齢:15

性別:男

レベル:1

HP:13

MP:11

力:6

魔攻:12

守備:8

魔防:9

技:8

速さ:11

 

 

取得スキル

魂狩り

 

 

これがステータス、まだレベルが1のためか、能力値はとても低かった。そして取得スキルの魂狩りの効果を念じ、表示させた。

 

 

『魂狩り』

対象の心臓部付近に触れることで相手の命、経験値、スキルなどを奪うことができる。

このスキルは相手の命だけであったり、能力と経験値だけにすることを選ぶことができる。また、このスキルを発動させた場合、止めることは不可である。そして相手の所有しているスキルを確認することは、このスキルではすることができない。

 

 

『魂狩り』はとても有能なスキルであることに驚いていた。そして思いついてしまった。

 

 

この女神の力をこのスキルで奪うことができれば…。

 

 

「あのぅ、確認はすみましたか?」

 

 

「っ!…ええ確認できました。」

 

 

女神の能力を奪うことを考えている時に声をかけられ、かなり驚いてしまったが、女神は気にしなかったので、ひとまず安心した。

 

 

「それでは、異世界へのゲートを開きたいと思います。」

 

 

ミュランは呪文を唱えだすと、目の前の地面に扉が出現しだした。呪文を唱え終える頃には、扉が開いた状態で出現していた。

 

 

「この扉に入り込むことで、神崎さんは異世界への転生が完了となります。ほかに質問などはありますか?」

 

 

「…僕が異世界に行って後も、あなたは関与し続けるのですか?」

 

 

これが最大の問題だ。もし関与があるなら、厄介なことをしないといけなくなるが、関与がないなら能力を奪うだけでいい。できれば後者がいい。

 

 

「いえ女神である私でも、異世界まで関与することはできません。」

 

 

その言葉を聞いて安心していた。そして決意する。

 

 

女神の能力奪還を。

 

 

「最後に握手してもらえますか?あなたのせいで死んでしまいましたが、感謝はしているので。」

 

 

ミュランは毒を吐かれたことによって少し引きつった笑顔を浮かべながら、手を前に差し出した。そして僕も手を差し出し、握手が行われるとミュランは思っている。そんな考えを裏切って、僕の手は女神ミュランから見て、左の胸に収まっていた。

 

 

「貰うよ、君の力」

 

 

ミュランは、感情を一転させ、冷たい目でこちらを見ていた。

 

 

「…神に欲情するなどあってはならない。さっさと離せ、人間。」

 

 

隠していた本性を表した。性格が腐っても女神。とても女子が出すような眼力ではない。目と目が合うだけで、体の自由が奪われるようだ。僕は眼力に負けて、ミュランから手を放した。

 

 

その直後、ミュランは胸を押さえながら苦しみ始めた。女神に対して、スキルが有効なのは完全に運頼みだったが、成功した。

 

 

「神崎仁…何をしたっ!?」

 

 

どうやら女神ミュランは僕のスキルを知らないらしい。知っていたら握手などする訳がない。

 

 

だがただの人間が行えるのは、スキル使用しか可能性がないのに、何故気づかないのだろう。

 

 

〈スキル『魂狩り』により、女神ミュランの全てのスキルと経験値を強奪開始しました…………強奪終了、『時間操作』、『天災操作』のスキルを獲得、膨大な経験値を対象者に移行、ステータスを更新します……………更新完了。スキル『魂狩り』を終了します。

 

 

僕はステータスを表示させるため、念じた。表示されたステータスはかなり飛躍されている。

 

 

◆〈神崎仁〉◆

種族:半神

年齢:15

性別:男

レベル:121

HP:280000/280000

MP:8900/8900

力:4500

魔攻:6000

守備:4000

魔防:4600

技:4200

速さ:4000

 

 

 

取得スキル

『魂狩り』『時間操作』『天災操作』

 

 

魔法

炎魔法系(レベルEX)水魔法系(レベルEX)雷魔法系(レベルEX)風魔法系(レベルEX)光魔法系(レベルEX)重力魔法系(レベルEX)回復魔法系(レベルEX)………

 

 

時間操作(タイム・ストッパー)

所有者の15m以内の時間を止めることができる。なお、時間を止めた空間の物体は触れることはできる。ただし一日で10分しか止めることはできない。それを超えると、所有者の時間も、徐々に停止していく。

 

 

天災操作(ウェザー・サンクチュアリ)

地震、竜巻などの自然現象を作り出すことができる。だが魔力もかなり消費するので、魔力切れには注意が必要。

 

 

「人間の分際で女神に逆らい、力を奪ったのか!?許さん!許さんぞ!」

 

 

能力を奪い取ったためか、地面に這いつくばりながら僕を罵声し出した。体の自由を奪われるような眼力もなくなっていた女神は、哀れで滑稽だった。それを見ると笑いが止まらなかった。

 

 

そしてお別れだ、女神ミュラン。

 

 

「じゃあね、女神ミュラン。この力は僕の物だ。」

 

 

そう言い残し、僕は床にある扉に足を踏み込んだ。ゆっくりと下に落ちていく、そして意識がだんだん薄れていった。

 

 

 

〈『女神の加護』を取得しました。なおこのステータスは特殊なので表示されることはありませんのでご注意ください。〉

 

この機械の声は当然、神崎には伝わらず、この能力の意味も知らぬまま、異世界への転生が行われた。

 

 

 

 

辺りに赤ん坊の声が響いた。

 

 

産婆から大事そうに抱きかかえられながら、母親の元に渡された。

 

 

「おめでとうございます、元気な男の子ですよ。」

 

 

「ストリー、よくやってくれた、これでアルファード家の世継ぎが生まれた。」

 

 

夫に妻が労いの言葉をかけられ、疲れ切った表情の中、涙を流していた。

 

 

「あなた、この子の名前を教えてもらってもいいかしら。」

 

 

布に包まれている赤子をゆっくりと自分の手の位置まで運び、体を妻に向けた。

 

 

「この子の名はレイ、レイ=アルファードだ!。」

 

 

誇らしげに名前を発表する父。失笑する母。だが母はある異変に気付く。

 

 

「ねぇ、あなた、レイがこっちをじっと見てるけど…話を聞いてるように見えない?」

 

 

「まさか。今さっき生まれたばかりなのに言葉は分からないだろう。」

 

 

「…そうね、そんな訳ないわよね。」

 

 

2人はそう勘違いしているが、僕は言葉を理解していた。てっきり言葉は分からないものだと思っていたが、そうではなかった。もしかしたら女神の力のおかげなのかもしれない。

 

 

少し経つと扉が開き、部屋に入るや否やトテトテと歩きながら少女は僕に近づいてくる。僕の近くに来ると、笑顔で僕を見つめてきた。

 

 

「こらアルトリエ、お前は部屋で待ってなさいと言っただろう?」

 

 

どうやら娘の様だ、待機させられていたが、我慢できず来てしまったらしい。

 

 

「ごめんなさい、お父様。私、早く弟の顔が見たかったんです!」

 

 

キラキラとした目で父親に訴えかける。それに父親はあっさりと負けてしまい、母親の近くに座らせた。そして僕の顔をつつき始める。

 

すごく嫌だ、いますぐやめてほしい。

 

 

「ストリー、この子を我がアルファード家に恥じない子を育てていこうな。」

 

 

「はい、あなた…。」

 

 

僕のことを忘れて、完全に2人の世界に入ってしまっていたので、この幼女を止めることはできそうにない。だが強烈な睡魔が来ていたため、僕は夢の中へと逃げていった。

 

 

 

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