ボッチな僕が異世界最強です   作:カムクライズル

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第2話

僕がこの異世界に来てから数年ほど経った。

 

 

アリティア王国は大国である。

財政は黒字、政治も良好、同盟国との関係も友好的とこの異世界の中でもトップクラスの国である。国王は平和主義の国民思いの男なので、国民も信頼をおいており、彼が若くして国王になって数十年間、問題は一切起きなかった。

 

そしてこの国には国内では国民の治安の維持、城の警備、王族の警護などを担当し、国外では盗賊、魔物討伐を担当する『騎士団』と、ありとあらゆる魔法を研究し、国の設備強化、医療の発達に力を入れる『魔法団』が存在する。

 

さらに住宅区は指定されている。王族は最北端にあるアリティア城、貴族、官僚、騎士などは北区、施設の研究者や図書館の職員などは東区、一般階級の人たちなどは西区となっている。南区は宿屋など外から来た人たちの場所となっている。中央区は市場、武器工房など様々な施設が存在する。

 

そんな国の貴族として僕は生を得た。そして僕は髪はお伽噺に出てくる王子のように輝く金髪となり、顔は輪郭の整っている女のような美男子へと成長した。そんな僕を見て、父親は僕に英才教育を施し始めた。

 

大方、有能な後継ぎを作るために行われたのだろうが、すでに人間の域にはいない僕にとっては退屈な時間だ。しかも僕は家を継ぐ気などない。

 

だから僕は家からたびたび抜け出し、西区にある国立第一図書館へ向かうため区の門へと向かった。北区は上流階級の区なので、区の入り口に警備がしかれている。

 

「許可書を…あ、すいません。」

 

父親が貴族のため、顔パスで通ることができる。僕は門を通過し、西区へ向かった。国立第一図書館には魔導書を読むために向かった。

 

魔導書は普通のことは記されていない。実用されてない魔法の理論、存在していない幻獣の実態、誰も作り出すことのできない武器などが記されている。それが魔導書だ。魔導書は暗号化されているので、簡単には読むことができない。なので知識欲をくすぐる。

 

そんなことを考えている間に、僕は目的地へとついていた。そして周りに人影がないことを確認した。

 

「…よしだれもいないな。」

 

本来、魔導書は一般公開はされていない。さらに重要なものは、上流階級の貴族でさえ見ることはできない。見ることができるのは、各国立図書館の所長や国王しかできない。

 

「…重力浮上(グラビティ・ポイント)

 

だからいつものように僕は重力浮上(グラビティ・ポイント)を使い、建物の中に侵入し、魔導書の保管されている魔法の扉を開け、中へと入っていった。本来扉には、魔法の鍵がかかっているが、膨大な魔力を注入することで、開けることができるのを知っているため、人さえいなければ、簡単に入ることは可能である。

 

「こないだの続きでも見るか…」

 

僕は前に読んでいた魔導書の続きを読もうとした。だが前置いていた場所に魔導書がなかった。近くを探してみても、見つからない。原因が分かった瞬間、体に鳥肌がたった。この部屋に誰かが入っていることが。

 

「そのまさかじゃよ、まさかこのような子が侵入しているとはのぅ。」

 

後ろには白い豊かな髭をたくわえている老人がいた。服装は賢者の服なのでおそらくこの国立図書館関係者なのだろう。手にはこの前、僕が読んでいた魔導書があった。

 

「…いつから。」

 

「ほっほっほっ、最初からじゃよ。魔導書1つ1つは魔法で閉じ込められておる。それが破られれば、魔法をかけた本人に、魔法が取れてしまったことが伝わるのじゃよ。」

 

まさか、魔導書自体にセキュリティをかけられているとは思ってもみなかった。もしかしたら、扉を開けた時点に、すでにばれていたかもしれない。僕は目の前の老人を警戒し始めた。こいつは何故、侵入されていることをばらさないんだ?と。普通なら老人は僕が

 

「解いただけでなく、解読もできるとは恐ろしい子じゃな。」

 

「…まぁ1冊だけで、2週間も解読に使ってたけどね。」

 

老人はいつも開いていない目を大きく開き、口を開けて呆然としていた。

本来、魔導書は熟練の研究者でも、1冊を解読するだけで何年以上もかかる。下手すればそのまま何年も解けなかったものを、まだ数年しか生きていない少年が解いたのだ。

 

化け物扱いか?と思って見ていたが、老人はそう思っていなかった。近くに置いてあった杖を手に取り、勢いよく立ち上がった。

 

「面白い!面白いぞ!名を何という!」

 

弱弱しい老人が力強い声をあげ、僕に近づいてくる。僕は名前を教えたくはない。教えたくはないが、騎士団に連行されたとき、貴族であることを伝えることで、金で罪を解決させてくれるかもしれない。

 

「レイ=アルファード。」

 

「あのアルファード家の子供か!ここまで才能に溢れている子がいるとはのぅ……」

 

「関心なんていらないからさ、僕は名前を言ったんだ、あんたの名前を教えてよ。」

 

「わしの名前はボラルディ、この国立第一図書館の所長であり、伝説の賢者の1人なのじゃ!」

 

ボラルディはドヤ顔で言ってきたのだが、僕は知らない。伝説の賢者とはなんなのか。

 

「伝説の賢者って何?」

 

さっきのドヤ顔から一転、かなり気分が落ち込んでいる。

ボラルディにとってはこの自己紹介は定番であり、いままで「伝説の賢者って何?」という返答はいままで一回もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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