――神室町 劇場前通り――
夢と欲望が渦巻く歓楽街、神室町……この街はゾンビによってボロボロになってしまっていた。
その神室町の劇場前通りに、2人の男女が生き残っていた。
青いスーツを着て、弁護士バッジをつけている男に、装束をまとい、首に勾玉を付けている女だった。
男の方は
女の方は
マヨイ
「な、ナルホド君! これからアタシ達、どうなっちゃうの?」
ナルホド
「……それはわからないよ、マヨイちゃん」
マヨイ
「それに、これって……映画の撮影とかだよね?」
ナルホド
「残念だけど……これは、トノサマンとかヒメサマンの撮影じゃなさそうだよ」
マヨイ
「そんな……!」
今の状況が映画の撮影とかではなく、現実に起こっていることだと知り、怯えるマヨイ。
すると、別の道から2人の男女が現れた。
二人とも学生服であり、それぞれの姿には特徴を持っていた。
銃を持ってゾンビに向けており、左頬には傷跡がある男子、青い髪のロングヘアーの女子だった。
ナルホド
「あれは……僕達と同じように、逃げ遅れた人達!?」
マヨイ
「そうみたい……お~い! そこの学生達!」
マヨイの呼びかけが聞こえたのか、2人の男女はナルホド達の方を向いた。
???
「あ、ソースケ! あっちに人がいるわ!」
宗介
「そうみたいだな」
気づいてくれてよかったナルホドだが宗介という男が持っている物に目を付ける。
ナルホド
「……君が持ってるのって……銃、だよね?」
宗介
「そうですが……何か問題でも?」
銃を持っているのに何のためらいもない宗介に、ナルホドはツッコミを入れる。
ナルホド
「あるよ! きみ、学生でしょ? 銃刀法で逮捕されちゃうよ!」
宗介
「この状況でそんなこと言ってる場合ではないと思うますが」
ナルホド
「それは……そうだけど……」
正論を言われ、黙り込むナルホド。
そこに、宗介と一緒にいた女子が事情を話す。
???
「あ、あの! こいつが持っている銃は、その……拾ったものなんです!」
ナルホド
「拾った?」
???
「そ、そうです! ここに来る途中で落ちてて……多分、軍人さんが落としちゃったんじゃないですかねぇ……ハハ……」
ナルホド
「まぁ、それだったら、辻褄は合うかな……」
???
(はぁ……よかった。この銃がこいつの所有物だってばれたら……脱出したときに面倒事が起きそうだもん……)
「と、とにかく、今は一緒に逃げましょう! 成歩堂さん!」
宗介
「何? あの男のことを知っているのか、千鳥?」
かなめ
「知ってるもなにも、殺人事件の裁判で活躍している弁護士よ! あ、アタシは
ナルホド
「あ、ご丁寧にどうも……この娘は、助手のマヨイちゃんです」
マヨイ
「よろしくねー……って、今は紹介してる場合じゃないでしょ!」
かなめ
「あ、そうだった……」
マヨイのツッコミで今の状況を再認識した彼らは、一旦、合流して話を聞くことにする4人。
かなめ
「うわぁ……あちこちゾンビだらけよ」
ナルホド
「そうだね……きみ達は、何でここに?」
宗介
「千鳥が、学校が終わったら神室町で友達と遊ぶ約束をしていんです」
かなめ
「それなのに、どうしてアンタが付いてくるのよ……」
宗介
「神室町といえば、ヤクザがいるという話ではないか。俺には、きみを守るという任務があるんだ」
マヨイ
「お、意味深な発言! もしかして、二人って付き合ってるの?」
かなめ
「え、ええっ!? 違います! 誰がこんな奴なんかと……!」
否定するかなめだが、満更でもないように頬を赤らめていた。
ナルホド
「ところで……その友達って、この街にいたりする?」
かなめ
「そうだと思います。騒動が起こる前に電話していたんです。『ウチらも着いたから、劇場前広場に集合な』って言ってました」
マヨイ
「ここがその劇場前広場だけど……アタシ達以外、誰もいないよ?」
ナルホド
「もしかすると、もう避難してる可能性もあるね」
宗介
「そうみたいです」
かなめ
「成歩堂さん達は、どうしてここへ?」
ナルホド
「僕達は、ある人から、弁護の依頼を受けてたんだ」
マヨイ
「その依頼人とここで待ち合わせしていたんだけど……時間になっても来なくって……」
宗介
「それで、そのまま待ってたら、この騒動に巻き込まれたと……」
ナルホド
「そうなんだ……とにかく、早くここから出よう」
宗介
「そうですね……!?」
お互いがこの場にいた理由を知り、脱出をしようとする。
しかし、突如、彼らの周りにゾンビが現れ、八方塞になってしまう。
宗介
「なに!?」
マヨイ
「やばいよ! ゾンビに囲まれちゃった!」
かなめ
「ソースケ……!」
宗介
「大丈夫だ。きみは俺が守る」
ナルホド
「……くっ!」
宗介
「成歩堂弁護士!」
ナルホドが、3人を庇うように前へ出る。
かなめ
「成歩堂さん、危険です!」
ナルホド
(マヨイちゃん達だけでも逃がさないと……でも、これじゃあ……!)
マヨイ
「お願い……誰でもいいから、助けてぇっ!!」
真宵が助けを願う為に叫ぶ。
すると、その願いが通じたのか、黒い柔道着を着た男が、ゾンビ達に向かって攻撃する。
???
「ワシに任せい! こんなゾンビ共、一捻りよ!」
男の攻撃により、ゾンビ達が撃破される。
かなめ
「す、凄い!」
???
「男だったらしっかりせい! 成歩堂龍一! そんなことで、ワシの弁護人が務まるか!」
ナルホド
「あなたは……依頼人の!?」
???
「いかにも、ワシが三島平八(みしま・へいはち)よ!」
宗介
「三島平八? ……あの鉄拳王だと!?」
かなめ
「確か、三島財閥の元・頭首じゃなかったっけ?」
平八
「頭首の座など、また返り咲いてやるわ」
宗介
「だが、お前は各国の諜報機関にマークされいるはずだ。なぜここにいる?」
平八
「……その理由は、この神室町の状況と無関係ではないぞ?」
マヨイ
「ど、どういうことですか?」
平八は理由を話した。
彼は、神室町の騒動の原因となったウィルス、タナトスを国内に持ち込んだ疑いがかけられており、無実を晴らそうとナルホドに弁護の依頼をしたこと、それに関しての調べ物をして遅れたことを話す。
平八
「……しかし、まだ待っておったとはのう」
ナルホド
「好きで待ってたんじゃないんです……」
マヨイ
「ナルホドくん、途中で腰抜かしちゃって……」
かなめ
「え? ここにいたのって、そういう理由だったんですか……?」
宗介
「情けない話ですね」
ナルホド
「うう……そ、それで、何かわかったんですか?」
平八
「それを直接伝えようとしたんじゃが……そいつらにハメられたらしいのう……」
平八がそういうと、どこからか声が聞こえた。
???
「ほほう! そら、真犯人が誰か……聞かせてもらいたいのォ!」
宗介
「誰だ!」
声の主が現れ、近くにいた別のゾンビを攻撃する。
???
「ワシらの神室町で、好き勝手やらせへんでぇ!!」
男は短剣でゾンビを刺し、それを抜いて足で蹴り飛ばしてゾンビを撃破する。
かなめ
「凄い! 素手でゾンビを倒す平八さんも凄いけど、あの眼帯を付けたお兄さんも凄い!」
眼帯を付けた男は、成歩堂と真宵の方に視線を向け、心配そうに話しかける。
???
「成歩堂センセ、大丈夫かいな? 法廷意外やとだらしないのォ! 霊媒師の姉ちゃんも無事やな?」
成歩堂
「あなたは……
宗介
「真島吾朗……東城会直系真島組組長、“嶋野の狂犬”と言われる、あの真島吾朗か?」
真島
「そやで。お前、よう知っとるのう」
かなめ
「それはそうですよ。以前、アナタが逮捕されたっていうニュースが大々的に報じられたんですから」
真島
「……ああ、あの時の事かいな」
平八
「もしや、その時に成歩堂に……?」
真島
「思っとる通りや、鉄拳王。その時に、成歩堂センセが弁護してくれたおかげで、無実が証明されたんや。内容はヒヤヒヤもんやったけどな」
平八
「成歩堂、ワシの弁護に、余計な危機はいらんぞ」
ナルホド
「ど、努力します……」
すると、真島が通ってきた道から、3人の男女が現れた。
ツノが付いた赤い帽子にゴーグルを付けた男子、金髪でホッケーのスティックを持った女子に、眼鏡をかけて、肩からノートパソコンを掲げている男子が真島の後を追ってきたようだ。
???
「おーい! 真島さん、待ってえな!」
???
「置いてきぼりはないですよ!」
???
『マッテクダサイ! マジマサーン!』
彼らは宗介やかなめと同じく、学生服を着ており、真島を追いかけてきたようだ。
真島
「おう! それはスマンかったなぁ!」
???
「謝って済むことやないでぇ……って、かなめ!」
かなめ
「え? ……ヒメコ! よかった、無事だったのね!」
ヒメコと呼ばれた女子とかなめは知り合いだったらしく、お互いを一目見てわかった。
???
「お前こそ無事だったんだな、かなめ!」
???
『不運にもこのゾンビにやられたのかと思ったぞ』
かなめ
「ボッスンにスイッチも……! スケット団は皆、無事だったのね!」
スケット団と呼ばれる3人組は、赤いツノ帽子を被ったのが
尚、スイッチはノートパソコンの音声合成ソフトを通じて話している。
ボッスン
「……ん? もしかして、隣にいる男が、かなめが言ってたソースケって奴か?」
宗介
「そうだ。初めまして、だな」
真島
「なんや、そのコが探してる友達やったんか、鬼姫ちゃん?」
ヒメコ
「だから、鬼姫呼ばんといてーな!」
鬼姫という言葉に反応するかなめ。
かなめ
「鬼姫? 確かそれって……」
ボッスン
「そ、それよりもさ、早くここから逃げようぜ! これ以上とどまると、やばいぜ!」
話をそらすようにボッスンが間に入る。
スイッチ
『だが、ゾンビの数が多すぎる。一度、奴らと戦った方がよさそうだ』
真島
「せやな。けど、カタギのセンセ達を守りながら戦うのはしんどいで」
ナルホド
「お、お手数おかけします……」
宗介
「俺は武器を持っているから多少は戦える」
ボッスン
「俺は、ゴーグルをかけてスリングショットだ! ……弾はどうしようか?」
ヒメコ
「ウチも、このサイクロンがあるから、問題ナシや!」
戦える側は、宗介・真島・平八・ボッスン・ヒメコの5人だけで、残りのナルホド・マヨイ・かなめ・スイッチは戦えないので、足手まといであった。
ナルホド
「うう……学生まで勇敢に戦おうとしているのに、大人の僕はただ見てるだけのか……」
ナルホドは、自分が戦えないことに悔しがっている。
かなめ
「しょうがないですよ。まさか、ゾンビが本当に出てくるなんて思ってもなかったんですから」
ナルホド
「それでも、ゾンビ相手に凄すぎるよ……」
マヨイ
「もう! だらしないなぁ、ナルホドくんは! 得意の『異議あり!』でゾンビをふっ飛ばしなよ!」
ナルホド
「そんな無茶な……」
マヨイの無茶ぶりに呆れるナルホド。
スイッチ
『ん? 皆、あっちから誰か来るぞ』
スイッチが向いている方に視線を向く。
そこには……
小牟
「やれやれ、ここもゾンビの溜まり場じゃの」
クルツ
「こりゃひでぇ……神室町っつったら、美人がたくさんいて、楽しい街だって聞いてたけど……」
渋谷での戦闘を終えた零児達が、神室町に到着していた。
零児
「ジル、こいつらがタナトスのゾンビか?」
ジル
「間違いないわ。データにないゾンビは、ほぼ間違いなくタナトスによるものよ」
マオ
「データにあるゾンビは……見覚えがあるわね」
クリス
「ああ、こいつらはt-アビスによるB.O.Wもいる」
零児
「ということは……誰かがこの街をウィルス兵器の実験場にしているということか……」
マオ
「酷いことをするわね。それにしても……」
マオが、一帯を囲んでいる壁を眺める。
マオ
「この壁はなんなの?」
零児
「この壁は、
クルツ
「へぇ、備えあればうれしいって言うけど、こんな使い方はなぁ……」
マオ
「ちょっと! あそこに誰かいるわよ!」
マオがナルホド達の存在に気づき、零児達もナルホド達の方に視線を向ける。
ジル
「本当ね。……軍人じゃなく、民間人のようね」
クルツ
「一歩遅かったら、どうなってたことか……」
零児
「俺達は政府の関係者だ! 無事か!?」
零児の呼びかけにボッスン達が答える。
ボッスン
「はい! 大丈夫です!」
かなめ
「よかった! これで助かるわ」
宗介
「そうだな……ん?」
宗介はクルツとマオの姿を捉えると、驚愕した。
宗介
「クルツに……マオか!? どうして、こんな所に!?」
マオ
「え? ……宗介!? 何でアンタがここに!?」
クルツ
「しかも、かなめまで一緒じゃねーか!」
マオとクルツも、宗介とかなめがいたことに驚いている。
零児
「なに? あの学生と知り合いなのか?」
マオ
「え、ええ……その、なんていうか……」
クリス
「もしかして、あの学生もミスリルの隊員なのか?」
クルツ
「ま、まぁ……そうなんだがな……」
ボッスン
「は? ソースケ、お前……政府の関係者なのか?」
ボッスンの質問に、かなめが凄く動揺する。
かなめ
「いや、それはねぇ……」
ヒメコ
「……なんや、マジかいな?」
平八
「ほほう、宗介……貴様、ミスリルの一員だな?」
宗介
「な……!?」
平八が言ったことが図星だったのか、宗介が動揺する。
スイッチ
『図星みたいだが……ミスリルとは、何かの組織か?』
平八
「簡単にいえば傭兵よ。普通の傭兵ではなく、正義の傭兵……と言ったとこかのう」
クルツ
「あちゃー……」
マオ
「こんな簡単にばれるとはね……」
マオとクルツは、もはや隠しきれないと悟り、諦める。
小牟
「どうやら、あの学生の事は認めるらしいのう」
ジル
「でも、これ以上の所索は後よ。今はこの状況をどうにかしないと」
クリス
「そうだな。それに、見知った顔が一人いるがな」
零児
「ああ。三島平八がなぜこんな所に……?」
平八
「なに、ワシも用があってここにたんじゃ。……まさか、森羅にBSAAの小僧どもまでおるとはのう」
真島
「なんや、あいつらのことも知っとるんかい」
平八
「超常現象を専門に扱う日本の政府機関と、バイオテロ対策部隊よ。あの連中が出てくるということは……今回の件、根はかなり深そうじゃ。フフフ……」
平八の笑いに、マヨイ達は若干引く。
マヨイ
「わ、笑ってるよ……」
ボッスン
「さすが、無敵の鉄拳王……と言ったとこか」
ナルホド
「“ピンチの時はふてぶてしく笑え”と言うけど……ピンチの質が違いすぎるよ……」
クリス
「立ち話はそろそろ終わりだ。学生達はどこか安全な場所に避難してくれ!」
ジル
「ジャパニーズ・ヤクザもよ!」
ジルがそういうと、真島は反発する。
真島
「アホぬかせ! ワシらの街がこないなっとるのに、見捨てたままにしておけるかいな!」
ヒメコ
「なんや、真島さん、カッコええこと言うなぁ」
ボッスン
「だけどよ、本職が来た以上、俺らはあの人が言った通り、どこか隠れた方がいいんじゃねえか?」
かなめ
「それはそうだけど……どこに隠れれば……?」
スイッチ
『皆、あそこはどうだ?』
スイッチが隠れるのに指定した場所は……マンホール。つまり、地下の下水道に逃げ込む案のようだ。
マヨイ
「な、なんか、クサそうだね……」
ヒメコ
「ホンマやで。汚れてしもうたら、どないすんねん!」
真島
「んな事言うとる場合かいな! 命助かりたいんやったら、多少のことは我慢せい!」
ナルホド
「真島さんの言う通りだ。幸い、あそこの周りにはゾンビがいない。急ごう!」
マンホールへとめがけて走る宗介・かなめ・ナルホド・マヨイ・スケット団。
しかし、途中にあったダンプカーの下から、ゾンビが現れた!
ボッスン
「どわぁっ!?」
宗介
「なんだと!?」
ヒメコ
「あ、アカン! ダンプカーの下に身ぃ潜めてたんかい!」
クリス
「まずい! あのままでは……!」
マオ
「宗介!」
絶体絶命のその時、どこからか狙撃の音が鳴り響き、ダンプカーが爆発する。
ダンプカーから現れたゾンビ達は、爆発に巻き込まれて全滅した。
スイッチ
『今のは……狙撃音?』
小牟
「どうやら、ダンプカーを狙撃したらしいが……クルツ、お主がやったんか?」
クルツ
「いや、俺じゃねえよ。ありゃ、別の場所からの狙撃だぜ」
周りが困惑する中、真島だけが全てを知っているように呟く。
真島
「なんか、足らんなぁと思っとったんや。」
かなめ
「真島さん……?」
真島
「バケモンに、ヤクザに、三島に、弁護士に、学生に、傭兵に特殊部隊。こんだけおっても、神室町にはまだ足らん」
ヒメコ
「十分足りとると思うで……」
ナルホド
「普段からどんな街なんだろう……?」
周りのツッコミも気にせず、真島は呟き続ける。
真島
「あいつが……あの男がのォ。」
スイッチ
『男……?』
真島
「そうやろ? ……桐生ちゃん」
真島が向けた視線の先には、銃を持った男が立っていた。
その男は、急いで真島の所へ走り出す。
桐生
「……間に合ったようだな、真島の兄さん」
真島
「エエとこ持っていきすぎやで、桐生ちゃん。そういうとこ、変わらへんなぁ」
桐生
「そういうつもりはないんだが……武器の調達に手間取った」
かなめ
「桐生……? それってもしかして、あの桐生さん?」
ヒメコ
「間違いないみたいやな。東城会4代目会長、“堂島の龍”、
桐生
「……それは昔の話だ。今のおれは、ただのカタギだ」
宗介
「だが、そんな顔をしたカタギ、どこにもいないぞ」
マヨイ
「さ、相良くん! 恩人に対して失礼だよ!」
桐生
「気にしなくていい。……もう慣れてることだ。それよりも、早く逃げるんだ!」
ナルホド
「は、はい! 皆、行こう!」
スイッチ
『リョウカイデース!』
ボッスン
「スイッチ、こういうときは緊張感持とうぜ……」
かなめ
「ホントよね……桐生さん、ありがとうございます!」
桐生の助けもあり、無事にマンホールに辿り着く宗介達。
マンホールのフタを開け、マヨイ・ヒメコ・かなめ・ボッスン・スイッチの順に中に入るが……
ナルホド
「相良くん、君も早く!」
宗介
「……いえ、成歩堂弁護士。俺は、この場に残って彼らを援護します」
ナルホド
「え!? だ、駄目だよ! あれだけ心強い人達がいるんだから、彼らに任せた方が……」
宗介
「確かにそうかもしれません。ですが、もし、予想を外れた展開が来たら、彼らも危ないです。一人でも多く戦って、早急に戦闘を終わらせる必要性があります」
ナルホド
「だ、だけど……」
宗介
「俺を信じてください」
ナルホドは宗介の顔をジッと見つめる。
すこし経つと、ナルホドは認めたみたいで相良の行動を許すことにする。
ナルホド
「……わかった。だけど、絶対に生き残ってね。じゃないと……彼女が悲しむからね」
宗介
「大丈夫です。俺は、そんな簡単に死にませんので」
ナルホド
「……そうか」
ナルホドはそう言い、マンホールの中に入る。
宗介はナルホドを見送ってから、マンホールのフタを閉じる。
真島
「……ええんか? 無駄死にしても知らんぞ」
宗介
「大丈夫です。千鳥を守るために、こんな所で死ぬつもりはありません」
桐生
「……覚悟を決めた様だな、相良」
クルツ
「ま、もしものことがあったら、俺が狙撃して助けるぜ」
零児
「……じゃあ、話はまとまった様だな」
ジル
「ええ。随分と話し込んだみたいだけど……そろそろ区切りをつけましょう」
マオ
「宗介! 今回はレーバテインが使えない戦いになりそうよ。いけるわね?」
宗介
「ああ、問題ない」
桐生
「全員、覚悟は決まった様だな……いくぞぉ!」
―――――――
戦闘が続く中、新たなゾンビが現れる。
真島
「なんや、また何か来おったで!」
零児
「あれは……t‐アビスとは違う様だな」
平八
「つまり、タナトスを使ったゾンビというわけか」
宗介
「ここはもう、ゾンビの溜まり場だ。このまま長居すると、面倒なことが起きる可能性があるな」
桐生
「そうだな……早く終わらせるぞ!」
―――――――
無事に戦闘が終わり、マンホールの中に逃げたナルホド達を呼び戻そうとする零児達。
真島
「お~い、センセ達! 無事に終わったで! そっちは全員、無事かいな!」
真島が大きな声でナルホド達を呼ぶが、返事はなかった。
マオ
「返事がないわね……」
ジル
「それほど深く降りたのかしら?」
クルツ
「まさか、地下にもゾンビ共が……?」
クリス
「クルツ、不吉なことを言うな!」
そんな中、桐生はハッと何かを思い出したように真島に問いかける。
桐生
「真島の兄さん、もしかして……これは『呪いのマンホール』じゃないのか?」
平八
「呪い……じゃと?」
桐生が言う「呪いのマンホール」とは、神室町の都市伝説で、あるマンホールの先には不思議な空間が広がっているという。そこでは平衡感覚が失われ、通常では考えられない事が起きるという。
宗介
「……そのマンホールの場所が、もしや?」
桐生
「ああ……劇場前通りだ」
零児
「ここ、か」
小牟
「真島ぁ! なんちゅうとこに一般人放り込んだんじゃ!」
真島
「しゃあないやろ! 知らなかったんや! というか、ここに逃げ込もうと提案したんは、あのスイッチいう兄ちゃんや!」
宗介
「ともかく、一度降りて、千鳥達の安否の確認をしなければ……」
宗介がマンホールの中に入ろうとすると、外で待機をしていた裏嶋が現れた。
裏嶋
「ちょっと、一体いつまでかかってるの? 隔離壁のせいで、来れないんですからね。車両は」
真島
「なんや、姉ちゃん?」
桐生
「服の色が、森羅の連中と同じだが……」
零児
「ああ、森羅の装備課の裏嶋博士だ」
裏嶋
「あら、ご説明ありがとうなのね。とりあえず、アタシのことは博士、と呼びなさいね」
ジル
「というより、博士……歩いてここまで来たの?」
裏嶋
「さっきも言ったでしょう? 隔離壁のせいで車両が来れないって」
宗介
「神室町のあちこちにゾンビがいるというのに、よく無事でしたね」
裏嶋
「まぁ、そこは運でね。……それより、終わったのなら龍亀一號に戻って。早いところ、対策を立てないと。今後の」
クリス
「そうもいかないんだ。このマンホールの中に、避難した民間人がいるんだ」
小牟
「じゃからもう少し……って! 向こうから、ゾロゾロとなんか来るぞ!」
小牟が前方を見ると、数え切れないほどのゾンビが零児達の方に向かって来ていた!
クルツ
「げぇ! 本当に来てやがる!」
宗介
「まだあんなにも残っていたのか!」
マオ
「まずいわね。後ろの道から逃げようにも塞がれてるし……」
桐生
「袋のネズミになっちまったってことか……!」
裏嶋
「……アタシにいい考えがあるわ」
零児
「なんだ? 今度は、秘密兵器でも持ってきているのか?」
裏嶋
「違うわ。一旦、地下に降りて、向こうから出ればいいってこと」
真島
「なんやて?」
裏嶋
「それじゃ、レディーファースト」
裏嶋がそういうと、例のマンホールの中に入って行った。
マオ
「ちょっと、博士! そのマンホールは……」
マオが裏嶋の行動を止めようとするが、時すでに遅く、裏嶋はそそくさとマンホールの中に逃げ込んだ。
ジル
「そういえば、博士にまだマンホールのこと教えてなかったわね……」
宗介
「だが、どちらにせよ千鳥達の安否が気になる。覚悟を決めて入るしかない」
クルツ
「だな……ほら、女性陣は早く中に入って!」
逃げ道一本である「呪いのマンホール」に、女性陣を先頭にマンホールの中に入り、急いでフタを閉めた―――
―――――――
――???――
零児達がマンホールから降り終わると、そこには地下ではない、別の場所に繋がっていた。
マオ
「な、なにここ……!? どうみても、地下ではないようだけど……?」
宗介
「どうやら、都市伝説は本当のことらしいな……」
桐生
「ああ……正直、凄く驚いてるぜ……」
桐生達はこの異様な景色に動揺を隠せないでいるが、零児・小牟・クリス・ジルは知っているかのように平然としていた。
零児
「小牟、ここはもしや……」
小牟
「間違いないのォ……」
クルツ
「なんだ? 零児達、ここを知ってるのか?」
零児
「ああ。……信じられないと思うが……ここは魔界だ」
真島
「魔界ぃ? いい歳して、恥ずかしゅうないんか?」
クリス
「……」
ジル
「……」
桐生
「……どうやら、冗談ではないようだな」
マオ
「信じられない……じゃあ、アタシ達、異世界に来たっていうの?」
クルツ
「マジかよ……」
異世界だと知り、さらに驚愕する桐生達。
すると、先に降りていた裏嶋が合流する。
裏嶋
「渋谷、秋葉原……人の世とは異なる世界への入り口は存在するのね。結構」
零児
「博士、無事だったか」
宗介はあることに気づく。
宗介
「ん? ……そういえば、三島平八はどこ行った?」
クリス
「なに? ……いない!? 一体どこに……!」
裏嶋
「三島平八なら、なんか一人で先に行ったようよ? 走って」
マオ
「勝手なことしちゃって……!」
宗介
「だが、先に千鳥達がここに来ているはずだ。俺達も急ごう」
零児達は、偶然にも流れついた魔界に来ているであろうナルホド達と、勝手にいなくなってしまった平八を探しに、魔界を捜索する―――
一万文字超えた……! ここまで書いたのは初めてです!
それで、今回で新たにアニメ作品から『スケットダンス』からボッスン・ヒメコ・スイッチのスケット団が出ました!(正式加入は次回です)
それと、今回書けなかった本編のシーン(ゾンビ騒動の真犯人など)は、番外編という形で書きたいと思います。