――魔界 ???――
零児達が魔界を捜索している頃、魔界に建っているとある城。
その城の中では、魔界の住民であろうサキュバスと吸血鬼がいた。
しかし、それは決して楽しいような雰囲気ではなかった。
???
「……いつまでそこに立っているつもり、デミトリ?」
サキュバスの質問に、デミトリと呼ばれた吸血鬼は顔をニヤけながら答える。
デミトリ
「退屈極まりない……そうは思わないかね、モリガン」
モリガン
「そうね、その意見には賛成だわ」
デミトリ
「私が何をしに来たか……わかっているだろうな?」
モリガン
「紳士がレディの寝所にまで足を運ぶ理由……いくつも思いつかないと思うけれど?」
話からするに、今、彼らがいる城はモリガンの城の様だ。
デミトリ
「……そうだ。決着をつけに来た」
モリガン
「……」
デミトリ
「さぁ、アーンスランドの主よ! この私と戦え! 魔界最強を賭けて……闇を統べる資格を賭けて!」
デミトリがモリガンの城に来た理由、それはモリガンと魔界最強の座を賭ける決闘の申し込みだった。
モリガンは少しの間沈黙をし、口を開く。
モリガン
「あ~あ、やめやめ」
モリガンの答えはNOであった。
デミトリ
「ぬ……」
モリガン
「どうやら……お客さんみたいよ」
現在、モリガンの城には、城の主であるモリガン、決闘を申し込みに来たデミトリの他に、“人間”の客人達がいたのである。
その客人とは……
ナルホド
「あの~、お取込み中のところ、すみませんけど……」
マヨイ
「道に迷っちゃったんですけど……」
かなめ
「あ、勝手にお邪魔してすみません!」
ボッスン
「ちゃんと、ノックしたり、声上げたりしてたんですけど……」
スイッチ
『返事がなかったので、勝手にお邪魔させてもらいました』
ヒメコ
「せやけど、アタシら泥棒やないんで、安心してください」
神室町のマンホールの中に逃げ込んだはずのナルホド達だった。
デミトリ
「人間だと……?」
モリガン
「どうやら、人間界から迷い込んでしまったようね」
モリガンの言葉に、ナルホドは声を上げる
ナルホド
「人間界……? ……え? じゃあ、ここはどこですか!?」
デミトリ
「……魔界だ」
ヒメコ
「魔界?」
スイッチ
『悪魔が住む、魔界のことだな』
かなめ
「ええっ!?」
ボッスン
「ウソだろ? 俺達、マンホールに逃げ込んだだけですよ!」
自分達とは違う世界だということに驚きを隠せないナルホド達。
モリガン
「ふふ、魔界へようこそ」
マヨイ
「駄目だよ、ナルホド君! そういうのは!」
ナルホド
「ど、どういうのだよ!」
デミトリ
「これから魔界大乱戦を始めようという時に……タイミングの悪い人間どもが……」
決闘の邪魔をされ、怒りを隠せないデミトリ。
スイッチ
『なんか……凄く怒ってるんだが』
ヒメコ
「しゃあないやろ! アタシらだって、こんなことになるとは思ってなかったんやで」
モリガン
「心配しないで、こいつ、口だけだから」
デミトリ
「モリガン……」
モリガン
「人間界へはよく遊びに行くから、送ってあげるわ」
ボッスン
「いいのか? 優しい姉ちゃんだな!」
かなめ
「っていうか、その格好で遊びに行くの……?」
モリガン
「城の外から“おかしな力”を感じるのも気になるし……それを見に行くついでにね」
マヨイ
「おかしな力?」
デミトリ
「……確かにな。これはなんだ?」
モリガン
「さぁね。ただ……」
ヒメコ
「ただ?」
モリガン
「……何か、面白いことが始まるのかもね」
ナルホド
「な、なんか嫌な予感が……」
―――――――
――魔界 モリガンの城付近――
モリガンの城の近く……所々に毒の沼があり、数か所に金の鎖が刺さっていた。
そんな場所に、一人の男がいた……
???
「……ようやく、か。時間はかかったが……デビルの力は、すべて俺の物となった。これで、ようやく始めることができる」
男が呟くと、どこからかもう一人、別の男の声が聞こえる。
???
「何をだ?
カズヤ
「……なに?」
カズヤと呼ばれる男の前に現れた男。
その男は、カズヤがよく知る男だった。
カズヤ
「貴様……
仁
「ようやく見つけたぞ」
カズヤ
「俺の居場所がよくわかったものだ。……血の繋がり、などと言うのではあるまいな?」
仁
「……ふざけるな。貴様を親だと思ったことはない」
そう。カズヤは仁の父親なのだ。
しかし、それは感動の再会という言葉は似合わないといったほどの空気が漂っていた。
仁
「かつての戦いで、貴様は魔界に消えた。いつか、必ず出てくると思っていただけだ。渋谷で、それらしい人物を見たという話を聞いた」
カズヤ
「それで、わざわざここに来たと言うのか? ご苦労なことだな」
仁
「……話は終わりだ。今度こそ死ね。三島一八!」
親子同士の殺し合いが始まる、その直前――
???
「おっと、そいつを殺すのは、じっくりと調べてからじゃ」
どこからか、老人の声が聞こえた。
カズヤ
「……なに?」
仁
「この声は……!」
二人の元へ近づいてくる人物――さっきまで零児達と共に行動していた平八であった。
平八
「ククク……やはり生きておったか」
カズヤ
「なに……? 貴様、何者だ?」
仁
「……また、首を突っ込んできたか」
カズヤは平八と最後に会った時の姿が違っていたため、わからなかったが、仁は以前のある戦いで知っていたのだ。
平八
「そうか、あの時のワシは今の姿ではなかったからのぅ」
カズヤは少し黙りこんで、やっと平八であることに気づく。
カズヤ
「貴様……三島平八か? ……なぜそんな姿をしている?」
平八
「研究中の新薬……その副作用で若返ったのよ」
カズヤ
「若返っただと?」
平八
「貴様が行方をくらましていた間も時は流れていた、ということよ」
仁
「まだデビル因子のことを諦めてないのか」
平八
「当然じゃ。人を超えたその力……ワシにないのはそれだけじゃ」
平八の目的を理解したカズヤは、顔をニヤけながら挑発する。
カズヤ
「ならば、奪ってみるか? デビルの力を完全に抑え込んだ、この俺から」
平八
「そのつもりよ。ついでに仁、お前もじゃ」
仁
「丁度いい。ここで三島の血を全て断つ!」
仁の祖父である平八、父親であるカズヤ、そして仁……家族同士の殺し合いが、始まろうとしていた――
キュービィ
「ミツケタ……ニンゲン……ミツケタ」
キュービィ
「アナタ……エイヨウ? ドク? オイシイ?」
三島一家の周りに、魔界の生物であるキュービィが現れた!
カズヤ
「こいつら……魔界の虫どもか」
仁
「これからという時に……!」
平八
「ならば、ここは専門の連中に任せるか」
カズヤ
「なに? まだ誰かいるのか?」
別の所から、平八やナルホド達を捜索していた零児達が現れた。
零児
「見つけたぞ、三島平八」
クルツ
「勝手に動かないでくれよ。ただでさえ、ややこしい事態なのによ」
宗介
「待て。他に誰かいるぞ」
真島
「成歩堂センセ……とは違うようやのぉ」
マオ
「それに、どこかで見たことあるものまで……」
ジル
「金の鎖ね。魔界にまであるなんて……」
小牟
「肝心の連中はおらん、渋谷で見た金の鎖がある。どうなっとるんじゃ……」
今いる場所の状況を見て、次々と口にする零児達。
仁
(あいつら……政府機関、森羅の……?)
仁は、以前から知り合いであった森羅の面々を見つめ、魔界に来る前に、自分が目撃したことを彼らに伝える。
仁
「その鎖、渋谷の街で回収されているのを見た」
クルツ
「なんだって!?」
クリス
「お前……風間仁か?」
マオ
「風間仁……確か、三島財閥の現・頭首の男ね」
宗介
「金の鎖……クルツやマオが日本に来た理由は、それか?」
零児
「ああ。俺達、森羅とBSAA、ミスリルの合同でな」
桐生
「随分と豪華な合同任務だな」
ジル
「でも、いったい誰が回収してたの?」
ジルは、誰が渋谷の金の鎖を回収したのか仁に訊く。
仁
「化け物共が、だ。連中は森羅の見知った奴らだった」
クリス
「ということは……逢魔か?」
仁
「そうだ」
マオ
「あいつら、いつの間に……」
零児
「おそらく、俺達が神室町へ向かった後に回収した、とみるべきだな」
小牟
「なんじゃい、なんじゃい! こそこそとやりおって!」
宗介
「その鎖のことは後で訊くとするが……その鎖が魔界、というところにまであるということは……」
裏嶋
「その金の鎖が異世界にもある……ということね。……いやらしい状況ね。かなり」
桐生
「神室町の地下で、こんなことが起こっていたとはな……」
彼らの会話を、カズヤは静かに聞いていた。
カズヤ
「ふん、俺が居なかった間に、色々と面白いことが起きているようだな」
クリス
「む? あの男は……?」
零児
「……気にはなっていた。まさか、三島一八……?」
クルツ
「三島一八って……確か、“冷血御曹子”って恐れられた……」
宗介
「だが、あの男は20年近く前から行方不明になっていたはずだ」
桐生
「その男が魔界にいて、財閥の現・頭首や鉄拳王と一緒にいる、か……」
ジル
「嫌な予感しかしないわね」
すると、零児達の前にキュービィとは違う魔界の化け物が現れた。
宗介
「……少し、騒ぎすぎたようだな」
ジル
「ええ。魔界のデビル達が集まってきたようね」
真島
「もう、滅茶苦茶やで。……オモロくはなってきたはのォ」
マオ
「全然面白くないけどね」
クルツ
「で、三島一家はどうするんだ?」
クルツが三島一家はどうするか訊く。
平八
「そうじゃのォ……デビルどもは奴らに任せ、このままやるか?」
仁
「……俺は構わん」
カズヤ
「ふん……一人残らず殺せば同じことだ」
平八の案に、仁とカズヤは同意する。
裏嶋
「……アタシ達に押し付けるみたいね。面倒事を」
クリス
「嫌な押し付けだな」
宗介
「だが、こんなデビルどもがいるんじゃ、千鳥達も危ないぞ」
小牟
「それもそうじゃのう。じゃが、三島一家はとんでもなくヤバい雰囲気じゃぞ?」
真島
「せやったら、どないするんや?」
三島一家の殺し合いを何とか止めようと、零児がある取引を持ちかける。
零児
「……三島一八、手を貸してくれ」
カズヤ
「なに……?」
零児
「見返りは『情報』だ。アンタがいない間、何が起きていたか」
クルツ
「零児、あいつと取引しようってのか?」
宗介
「危険じゃないのか?」
小牟
「いや、その方がええじゃろ。デビルの力を身に付けた三島マンに暴れられても面倒じゃしの」
マオ
「それもそうね」
桐生
「それに、親子同士の殺し合いも見ちゃいられねぇからな……」
クリス
「ああ。もし、そうするのなら、止めさせてもらうぞ」
仁
「……余計なことを」
あと少しでデビルの血を絶やすことができたかもしれない状況を覆され、機嫌を損ねる仁。
真島
「タマの取り合いする雰囲気やないのォ。どないするんや?」
マオ
「まずは、この場をどうにかするべきでしょうね」
カズヤ
「……ふん」
仁
「……く」
平八
「ガーハッハッハ! こいつらがそう決めるのなら、ワシもそうするか!」
三島一家はしょうがなく一時的に共闘することになった。
宗介
「話はまとまったと見るべきだな」
ジル
「そうね。……一時はどうなるかと思ったけど」
零児
「博士、下がっていてくれ。ここは俺達がなんとかする」
裏嶋
「了解。任せたわよ。全面的に」
そう言い、裏嶋は一時撤退する。
三島一家を取り囲んでたキュービィ達はついに彼らの方へ攻めてきた。
カズヤ
「……足を引っ張るなよ、仁」
仁
「それはこちらのセリフだ。貴様は大人しくしていろ」
平八
「後ろからスキを見て……というのも手か。ククク……」
キュービィの包囲網を突破した三島一家は、意外な形で共闘することとなった――