暗殺教室~月と星~    作:霊花

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改稿中です。

修学旅行の話3つ目。さて、不良たちはどうなるか……。


修学旅行の時間3

茅野:Side

 

今、私と神崎さんは手足を縛られて動く車の中で座らされてる。窓は隠されて、どこへ向かっているか、どこを通ったかすべてが見えなかった。

 

「うひゃはー!チョロすぎんだろこいつ等!!」

 

「いったべ?普段勉強ばっかしてるやつらはこういう力技には無力なのよ」

 

私たちを拉致してるこの不良高校生たちは、さっきからテンション高く何かを喚いている。

 

なんなの……こいつ等。何する気?

 

「これ、犯罪ですよね。あなたたちなんなんですか?男子達をあんな目に合わせて」

 

このままおとなしくしているのも嫌だから、どうにか情報を得ようと口を開く。一応相手の機嫌を下手に損ねないように敬語っぽくしているが、自分の不機嫌さは隠さない。そりゃもうかなりイラついてるし。

 

「人聞き悪ぃな~、修学旅行を楽しくさせてやろうっていう優しい気遣いじゃん」

 

人をふん縛っといて、何が優しい気遣い、よ。こいつら頭おかしいでしょ。

 

「カラオケ行こうぜカラオケ!」

 

「なんで京都まで来てカラオケ!?」

 

せっかくの修学旅行が台無しじゃんバカなのこいつら!?……ああ、バカだったわ最初っからどう見ても明らかに。

 

「わかってねぇな。それがいいんだよその台無しが。そこの彼女なら分かるだろ?」

 

不良の一人、多分こいつらのリーダーだと思うけど、そいつが神崎さんを見ながら何か言った……って、え?

 

「どっかで見たことあるって思ったんだよ。……これ、あんただろ」

 

そういって携帯をいじりだしたと思ったら、その画面をこっちに見せてくる。そこに移っているのは髪形も格好もいつもと違う姿をした神崎さんの写真だった。なんというか、おしとやかな神崎さんとは雰囲気が違った。ちょっとツンツンしてるような。

 

「攫おうと思ってたら逃がしちまった。ここのゲーセンに結構入り浸ってたんだってな~。まさかあの椚ヶ丘学園の生徒だったとは。俺には分かるぜその気持ち。楽しいよな~台無しは。今日は夜まで俺が台無しについて何から何まで教えてやるよ」

 

聞いてないこと、聞きたくもないことをペラペラと勝手にしゃべっている。

 

こいつら、サイテー。

 

そう思ってそいつを睨んでたら車が止まった。

 

無理やり引きずり出されて連れてこられたのは、内装がボロボロの随分前に潰れた店、みたいなところ。

 

「ここなら騒いでも誰もこねぇ。今ツレ呼んでるよ。人数は多い方が楽しいだろ?」

 

「楽しもうぜ、台無しを」

 

私は、自分を制するので精一杯だった。

 

茅野:Sideout

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零:Side

 

渚たちにしおりに書かれたことを実行するように言って、その場を離れた後。

 

俺は先ほど気絶する前に二人が連れていかれた方向から経路を大雑把に予測し、屋根伝いに移動しながら眼鏡をはずす。

 

その状態で目を凝らせば、うっすらと通った跡(・・・・)が見えた。スタンガンを食らったとき咄嗟に付けた印だったから薄いが、しっかり役目は果たしたようだ。

 

もうすでに消えかけている薄い跡を辿り、そして着いたのは人気の無い場所の、随分前に潰れた店舗跡だった。

 

奴等と同じ制服の見張りが一人居るし、間違いはないな。

 

 

スッとその見張りの前へ降り立つ。相手は違う方向を見ていて、まだこちらへ気づいてない。

 

全く……見張りというのは複数つけるものだ。でないと、

 

ゴッ

 

襲撃されたとき、誰もそのことに気付けない。連絡要員くらいは置いておくべきだ。

 

尤も、そんなの居てもこれくらいの奴なら気づかれる前に殺れるが。

 

 

とりあえず、頭に蹴り入れて気絶させた見張りは、ガムテでパッと手足を拘束して転がしておく。恐らく渚たちか殺せんせーがこれで気付くだろう。

 

作業を終えると俺は眼鏡をかけなおす。これは、仕事じゃない。そう意識しておかないと、殺しかねない。

 

ついでに近場にいくつか落ちている鉄パイプから、なるべく長めのを拾い上げる。

 

 

さて。

 

 

建物内に入れば下へ降りる階段。

 

そしてその先にあるドアを蹴り破る。

 

ドカシャーンッと派手な音を立てて吹っ飛ぶドア。案外軽かったな。攫われた二人には当たってないだろうが……。

 

中に入ると、奥の方に縛られた状態の茅野さんと神崎さんが居た。周りには二人を攫った大勢の不良たちも、あそこにいた奴らは全員そろっている。ついでに吹っ飛ばしたドアが見事不良の一人に激突していたらしく、下敷きになっていた。呼吸はしているようなのでセーフ。

 

「「零君!!」」

 

二人はとりあえず無事。ケガらしきものは見当たらないし、まだ変なこともされてないようだ。

 

なのであとは、

 

「な、なんだおまえ!!なんでここが分かった!?」

 

そこでなんか喚いてる馬鹿共を黙らせれば良いわけだ。

 

「そんなの誰が教えるかよ。しいて言うなら、お前らみたいな馬鹿が拉致後に行きそうな所は廃屋かここみたいな潰れた店だろう?外にお前等と同じ制服の見張りもいたし簡単だったな」

 

鉄パイプを向けながら不良たちへ殺気を向ける。

 

殺気に対して悲鳴をあげたり腰を抜かした奴もいるにはいるが、気絶をする奴はいない。さすがに本校舎の生徒に比べたらそれくらいの度胸はあるというわけか。まあ、殺気程度で気絶されても困るので多少調整してる。

 

さて、うまく加減ができるかは分からないが……仕事で使う武器と違ってこの鉄パイプは軟そうだしなぁ……。

 

少しだけ、ぶつけても簡単には変形しない程度に()を籠める。骨くらいは砕けるが、当たり所に気を付ければ死ぬことはないだろう。今の俺はかなり機嫌が悪いが、後先考えず行動するほどではない。本当に殺しては後が面倒なのでその辺は気を付けなければならないだろう。

 

 

準備はできた。まずは、

 

「粋がってんじゃねぇぞ!中坊が!」

 

いいタイミングでこちらへ殴りかかってきた奴がいるが、とりあえず無視。

 

その攻撃を避けながら、俺が向かうのは攫われた二人の近くにいる奴ら。数は3。

 

瞬時に移動し鉄パイプを一振りすれば、そこにいた3人の不良は気持ちがいいくらい綺麗に吹っ飛んで壁に激突した。バキボキと何本か骨が折れる感触がしたので、もし気絶していなくともしばらく動けないだろう。

 

俺は、守りながら戦うということに慣れていない。さっきはこの弱点が顕著に出ていた。

 

ならば、その懸案事項を真っ先に片付けることが大事。二人がいる場所は壁際なので、二人を背の後ろに持ってくればあとは前や横へ意識を向ければいい。

 

これなら、一度にこちらへ向かってこられても……3方向を同時に薙ぎ払えばいいだけ。

 

不良たちがナイフを片手に向かってくるのをみて、目を細める。

 

「お前ら、それ(刃物)の意味……分かってんのか?」

 

刃物は鈍器以上に容易く人の命を奪う。それを持つだけで、不良同士の殴り合い(ケンカ)から、命の奪い合い(死闘)へと変わる。

 

 

「手元が狂っても、知らねーよ?」

 

 

 

零:Sideout

 

___________________________________________

 

渚:Side

 

僕等はあの後、零君の言うとおりしおりにしたがって殺せんせーに連絡し、しおりにあった「拉致実行犯潜伏対策マップ」をたどって茅野と神崎さんの居場所を探していた。このしおり、あまりにも万能すぎるなぁ……。

 

そしたら、意外に早く見つかった。というか、探し始めて最初の場所だった。その入り口にあの不良たちと同じ制服の人がガムテープで縛られて倒れてたから分かりやすい。

 

「これ、零くんがやったのかな」

 

「100パーそうでしょ。まあ、手間が省けたからいいや。それよりさ、早く行かないとアイツ、高校生たち殺しちゃってるかもよ?」

 

あ、そうだ。早くしないと!

 

正直、この時点で僕たちが心配しているのは茅野や神崎さんよりも、零君がやりすぎてしまわないかどうかだった。攫われた二人ももちろん心配だけど、零君が着いていることが分かった時点で無事だろうという確信に似たものがあった。

 

僕達は急いで建物内に入り、階段の先にあったドアを開けた。

 

 

 

中を見ると、既に十何人もの不良が床に倒れていた。

 

倒れている人たちはピクリとも動かない。まだ意識のある人たちは、座り込んで零君の方を見ながらガタガタ震えている。

 

「あ、渚!」

 

「みんな!!」

 

茅野と神崎さんの声が聞こえる。うん、ちゃんと無事だったみたいだ。

 

「ん?ああ、遅かったねみんな」

 

零君が振り返る。その様子はいつも通りの彼だった。

 

その中で茅野と神崎さんは今、縛られている縄を零君に切ってもらっているところだったようで。

 

「……ねえ、零。これ全部零がやったの?」

 

カルマ君が零君に聞く。

 

「ああ、うん。ちょっと殴っただけだし、別に死んではいないから安心してよ」

 

そう答える零君。え、あの一部ピクリとも動いてないんだけど、ナイフ刺さってんだけど……ホントに生きてるの?

 

試しに恐る恐る倒れている一人に近寄って脈をとる。……よかった、息もあるようだし生きてるね。ナイフは下手に抜くと逆に危ないので、触らないことにした。

 

と、その時。僕らの入ってきた入り口から物音が聞こえてきた。ずるずると何かを引きずる音。

 

不良たちの助っ人か、と僕らは一瞬身構えた。けど、

 

「みなさんっ!無事で……すね」

 

「殺せんせー!」

 

そこからは殺せんせーが入ってきた。触手に何かをぶら下げて。それと、頭になんか顔隠しみたいなのをかけて顔を見えづらくしている。

 

「殺せんせー、それ、なに?」

 

「調度ここに入ろうとしていたので、手入れしておきました」

 

そういって殺せんせーはその何か……手入れされて坊主頭に眼鏡をかけられた4人の元不良らしき人たちをぽいっと投げ捨てる。どうやら先生は僕らがここに向かっている間に他の場所をしらみつぶしに探していたらしい。

 

「で、その黒子みたいな顔隠しは何?」

 

「暴力沙汰ですので、この顔が暴力教師として覚えられるのが怖いのです」

 

そもそも国家機密だけど、と思いながら。手は修学旅行のしおりで塞がっているからメモ帳は取り出さず、今新しく出てきた殺せんせーの弱点は頭の中に記録する。

 

 

殺せんせーの弱点⑩:世間体を気にする

 

 

「それより、この不良たちをやったのは?」

 

「ああ、それ僕」

 

先生が倒れて動かない不良たちを指しながら僕達に聞き、零君が手をあげる。

 

「これは少々やり過ぎです!!ほぼ全員複数の骨折がありますし、一部はナイフ刺さってるじゃないですか!!!」

 

「僕の友達殴ったり拉致ったりしたのにこの程度で済ませてるんだから逆に褒めて欲しいくらいだね。あとナイフは刺されそうになったのを弾き飛ばしたら、たまたまそいつの上に落ちただけだよ。別にヤバいとこに刺さってるわけじゃないから、病院で治療すれば治るよ」

 

プンプンと怒る殺せんせーに対し、零君がため息をつきながら淡々と言うその内容は、ちょっと怖かった。

 

明らかに、わざとだよね……ナイフ。

 

 

「なんなんだよ……」

 

 

その時、意識のあった不良の一人が腕を抑えながら何かを言った。僕らがその……多分不良たちのリーダーかな?の方を向けば、彼は殺せんせーに向かって叫ぶ。

 

「なんなんだよお前らは!ふざけんじゃねぇぞ!エリート校はバケモンがいるどころか、先公まで特別製かよ!?」

 

「バケモンて……」

 

足をガタガタ言わせ、だらんとした腕を抑える彼はもうほとんど脅威には見えなかった。他にも2・3人ほど似たようにガタガタ震えている人が見受けられる。

 

まあ、零君にボコボコにされた後で、先生が持ってきたアレ(元不良)を見れば……ね。

 

ちなみに零君はそんな彼を冷めた目で見ていた。

 

「どうせテメーも肩書で俺ら見下してんだろ。バカ高校だからって舐めやがって……!」

 

その不良リーダーの言葉は、彼らの考えを物語っていた。

 

それに対して殺せんせーは、エリートではありません、と言いながら一瞬僕らの方へきて、カルマや杉野、奥田さんに何かを渡す。

 

その後にまた、不良リーダーの前に戻って話し始めた。

 

「彼らは確かに名門校の生徒ですが、その中で彼らのクラスは落ちこぼれの代名詞として差別の対象になっています。それでも、彼らはその中で様々な物事に前向きに取り組んでいます。決して、君たちのように他人を水の底へ引っ張るようなことはしません」

 

話をする先生を横目に、先生に気を取られている不良たちの近くへ僕らはじわじわ寄っていく。さっき殺せんせーが渡してきたモノの意味を、僕らは理解していた。離れたところで零君が苦笑いしているのが見える。

 

先生の話は続く。

 

「学校や肩書など関係ない。清流に住んでいてもドブ川に住んでいても、前に泳ぐ魚は美しく育つのです」

 

その言葉に、離れたところにいた神崎さんが反応したように見えた。もしかすると、今の言葉は神崎さんにとっての大事なきっかけだったのかもしれない。

 

 

さて、私の生徒たちよ、と。殺せんせーが僕らへと声をかけた。

 

「彼らを手入れしてあげましょう。修学旅行の基礎知識を、頭に直接叩き込んであげるのです」

 

その言葉と共に、僕とカルマ、杉野と奥田さんの4人が動く。まだ意識のある不良たちの頭に向けて、僕らは手に持つ「先生特製修学旅行のしおり(鈍器)」を振り下ろした。

 

残っていた人たちは結構タフな方だったみたいだけど、さすがに頭に大ダメージ食らえば意識は保てない。

 

彼らが全員倒れたところで、僕たちはようやくほっとできた。

 

___________________________________________

 

不良たちを気絶させた後、零君が不良たちの携帯を使って救急車を呼んでおいていた。

 

 

で、僕らは面倒ごとに巻き込まれる前にと、さっさとその場を退散していた。

 

外に出ると、既に夕日が空を赤く照らしていた。いつの間にか、結構時間がたっていたみたいだ。

 

「はぁ~一時はどうなることかと思ったぁ……」

 

杉野が心の底からホッとしたように、声を上げた。僕もその意見には同意するよ。

 

「ん~俺一人なら何とかなったと思うんだけどねー」

 

「そうだねー。カルマだったら普通に相手出来てたよ。一人一人は弱かったし」

 

「怖い事言うなよ」

 

カルマ君と零君の会話は何というか……さすがだとしか言えない。すぐ傍の奥田さんと顔を見合わせて、苦笑いした。

 

ふと、茅野と神崎さんの方を見る。茅野は心底ほっと安心したように胸をなでおろし、神崎さんは……晴れやかな顔をしていた。

 

……多分、さっきの殺せんせーの言葉が効いたんだろうな。

 

「さて、では修学旅行に戻りますか」

 

殺せんせーがそう言いながら歩きだす。それに続きながらカルマ君がナイフを先生に向かって振っているのが見えた。零君も加わって移動しながら二人がかりで攻撃しているけど、やっぱり当たってない。

 

「そういや俺ら、暗殺実行できなかったなー」

 

「まあいいでしょ。明日殺せば」

 

「もしくは今、ね。……ちょっとは当たれっ」

 

カルマ君と零君の猛攻にも緑の縞々を浮かべながら避ける殺せんせー。

 

こう、殺せんせーはものすごく手強い暗殺対象(ターゲット)だけど……先生としてはやっぱり、とても頼りになるね、困ったことに。

 

渚:Sideout

 




今日の夜あたり、ちょっとしたキャラ紹介ページ載せるかな……。
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